「知ってるかな?夢っていうのは、呪いと同じなんだ。
呪いを解くには、夢を叶えるしかない。
けど、途中で夢を挫折した者は、一生呪われたまま…
…らしい。
…貴方の…罪は重い…!」
演:泉政行
変身する仮面ライダー
「知ってるかな?夢っていうのは、呪いと同じなんだ。
呪いを解くには、夢を叶えるしかない。
けど、途中で夢を挫折した者は、一生呪われたまま…
…らしい。
…貴方の…罪は重い…!」
演:泉政行
変身する仮面ライダー
活躍
活躍
元々は平凡な青年だったが、両親を乗せた車を運転中に事故に遭い、2年間の植物状態を経て死亡し、ホースオルフェノクとして覚醒する。
覚醒した後、伯父に両親の財産が奪われた事と恋人・森下千恵の裏切りを知り、彼女の新たな恋人になっていた従兄弟の木場一彰(伯父の息子)と千恵を殺害している。
それもオルフェノクの聴覚で伯父たちの悪意が聞こえた挙句、一彰に千恵が寝取られた事を知ってしまうという、極めて悲惨な経緯だった。
一彰に煽られた木場が彼を殺害した後に使徒再生に失敗した一彰が千恵宅で灰化した事から千恵が刑事に疑われ、千恵は都合良く木場に取り入るも、刑事にしつこく尋問されたので、木場が犯人にでっち上げられたというえげつないものだった(木場が一彰を殺した事そのものは事実だが、当然千恵は知る由も無い為彼女にとってはでまかせも同然であった。犯人呼ばわりされた事よりも、保身の為に自分を売られた事に深く傷付いた木場はそれでも楽しかった頃の幻影に縋ろうとするが、幾ら刑事を撒けるほどの超人的スピードを手にしたとは言え、過ぎ去っていく過去の幻影を掴み取る事など出来る筈も無く、千恵の殺害を決行した)。
しかし、第17話ではその千恵の兄・森下義正に千恵の行方を問われた際には言い出せなかった辺り、容赦無く殺害したとはいえ、罪悪感はある模様。
尚、伯父を殺害したかについては不明だが、一彰の死亡後に警察の捜査が入っている辺り、生きている可能性が高い。
その後、同じオルフェノクである長田結花と海堂直也と出会い、(一時は海堂の反発等紆余曲折あったが)3人で生活を始める。3人はオルフェノクと人間の共存を理想に、オルフェノクから襲われている人間、同類から狙われるオルフェノクを守っていく。
しかし、後述する様に間が悪い所があり、トードスツールオルフェノクとファイズが戦っている様を見て仲間が襲われているものと勘違いし、彼が逃走する一端を作ってしまったことも…(但し、オウルオルフェノクやオクトパスオルフェノクといった明確に人類や善良なオルフェノクの敵対者と認識したオルフェノク相手には躊躇しない)。
乾巧とは激しく対立することもあったが、信頼関係を築いた後は共闘する。一時は巧が戦えなくなった時にファイズギアを預かり、仮面ライダーファイズとしても戦っている。
対立の発端は海堂が殺人犯を殺した(あくまで自らを殺した復讐の形で殺しており、正当防衛ではない)所に偶々やって来た巧と戦闘になった所に介入した(ファイズは善悪問わずオルフェノクを倒す存在と誤解していた)勘違いに次ぐ勘違いと、後の草加雅人による策謀がより対立を深めることとなった。尚、この勘違い自体は木場の知っている情報(ファイズは人間を襲わないオルフェノクを抹殺するスマートブレインの戦力である事など)からは自然な反応である。
5話では「憎んでもいない人を殺せない」と吐露している。
但し、とある理由から車上荒らしをした乾巧一行を許したり、財布を忘れて代金が払えない真理に小銭を貸すなど、基本的には善良な性格であり、良くも悪くも人を信じ易い純粋な人物で、だからこそ人の信頼を真っ向から裏切る行為や己の利益の為に騙して罠に陥れようとする行いを働く者は絶対に許さず、そういう相手は人間オルフェノク問わず容赦しない。
ホースオルフェノクに覚醒したのもこうした暴れ馬的な側面と、礼儀正しい側面が表れたからなのかもしれない。
彼の変身するホースオルフェノクのモチーフにはユニコーンも組み込まれているが、奇しくもユニコーンは純潔を好み、七つの大罪では「憤怒」を司る(尻軽な千恵を容赦無く殺害するのも納得というものである)。まさしく彼の内面が前面に現れている姿だと言える。
終盤、結花が警察に殺されたと思い込み(但し大元の元凶である事は間違いない)人間に絶望し、花形の推薦でスマートブレイン社の社長になる。
花形から自分を社長に推薦した理由を聞いた後も、オルフェノクを憎む草加雅人からカイザギアを奪い、殺害。草加にはかつて騙され裏切られ殺されかけオルフェノクという種全体を憎悪されたこともあってか、無関係の人物を拉致した上でリンチに追い込み、もはや余命幾許かというところでわざわざ彼の使っていたカイザに変身してトドメを刺すという手段に出ていた。
更には鈴木照夫を生贄にアークオルフェノクを覚醒させ、全てのオルフェノクを不死身にした上で世界をオルフェノクのものにしようと企む。
しかし、最終回で駆け付けたファイズこと、巧との最後の激闘の末、再び人間を守るためにカイザとしてアークオルフェノクと戦う。
そして、アークオルフェノクを道連れにする形でブラスターフォームの超強化クリムゾンスマッシュに貫かれ、その生涯を閉じた……。
性格
性格
元々は平凡な青年である木場であったが、オルフェノクになった後の生涯は波乱万丈であった。
ある時はお人好しとして、ある時は無慈悲な殺戮者として、ある時はもう一人の主人公として活躍し続けた。
しかし、彼以上に邪悪な登場人物のいる世界において、視聴者からとしてはスカッと系の善玉だったのか、自己中系の偽善者で悪役だったかについては未だ尚評価が分かれるところである。
特に序盤で一彰と千恵を殺害したことに関しては元を辿れば二人の行いが招いた自業自得と言える末路だったとはいえ賛否が分かれる。いくら相手が悪質とだからといって殺していいわけがなく(現に木場もその場の激情に身を委ねて一彰と千恵を殺害してしまった件とそれに伴う義正の暴走を招いてしまったことを心から深く悔いていた)、人間として生きるなら裁かれるべき罪(現実世界なら間違いなく無期懲役、下手すれば死刑である)から目を背けて、オルフェノクの身分に甘えてたと捉えられても致し方ない。
その一方で人の夢を守るために誰かの命を奪うことを受け入れた巧*や愛する人を守るため、己の信念を貫くために一切ブレずに闘い続ける草加に対して、人間の心を保とうと頑張る一方で、自分の罪を受け入れきれない木場の「等身大の人間らしさ」にシンパシーを覚える人が多いのも事実であり、物語を見てきた視聴者達も木場と自分がもし同じ立場に置かれれば例えどれだけ人として間違っているとはわかっていても同じ行いを犯さないと言い切れるような自信はないから彼の行いをとても責める気にはなれないという人も数多い。
ただ、間違いなく言えることとしては、哀しき悪役だったという事だろう。
因みに木場はファイズやカイザに変身する際、他の装着者達と違い、フォンを左手で倒していた(他の装着者は右手。例外として後述のオーガに変身した際には右手で倒していた)。
劇場版『パラダイス・ロスト』
劇場版『パラダイス・ロスト』
「俺達が生きていくには難しい時代かもしれない…」
「でも必ず来るさ。オルフェノクと人間が、共に生きてける時代が」
TV版と違い「人間とオルフェノクとの共存」という夢を明確に掲げており、それが劇場版のテーマとなっている。
人間達にも正体を明らかにし、人間の味方としての立場を取るが、友人である巧、真理、啓太郎、ミナ以外の人間には疎まれている。
真理と共に記憶を取り戻した巧の帰還を喜ぶも、その矢先に盗まれたファイズのベルトを取り戻そうとして水原を誤って死なせてしまった件で糾弾され、結果、海堂と結花共々孤立。信用を取り戻す条件として「帝王のベルトの奪取」を言い渡される。
スマートブレインに潜入し、帝王のベルトを奪おうとするが、エラスモテリウムオルフェノク激情態の襲撃を受け、結果、海堂と結花を失う。そしてその直後に真理に化けたスマートレディの言葉を受け、人間達に裏切られたと思い込み絶望し慟哭する(スマートブレイン社に向かう途中、真理がオルフェノクを恐れていることを偶然知ってしまったことも、人間に絶望する要因の一つになっている)。
「ようやく分かったんだよ」
「俺が生きていく道は一つしかない……」
「俺はオルフェノクとして生きていく!」
オルフェノクとして人間を滅ぼす道を選び、物語終盤にオーガに変身して巧の前に立ちはだかる。当初は圧倒的な力で巧=ファイズを追い詰めたが、真理の激励を受けて決意を固めた巧が変身したブラスターフォームに敗北。戦いの中で真実を悟り、真理を庇ってエラスモテリウムオルフェノクをオーガストラッシュで抑えつけるが、無数の毒針を全身に受けてしまい致命傷を負う。
その状態で最期の力を振り絞ってエラスモテリウムオルフェノクを吹き飛ばし一矢報いた後、巧と真理の目の前で力尽きて倒れ、死の間際に巧に自らの理想を託した……。
巧「木場……。お前……」
「約束して……俺の、俺の出来なかったことを……君が……」
オルフェノクの巧と人間の真理が手を取り合えたことを見て、僅かではあったが自分の夢が叶ったことに満足を覚え、静かに息絶えた……。
尚、息絶えた木場がオルフェノクの死の証である青い炎に包まれると同時に、その後を追うようにオーガギアも青い炎に包まれている。
小説版
小説版
井上敏樹が執筆した『仮面ライダーファイズ正伝 異形の花々』(2004年8月17日に講談社より刊行)でも登場。
こちらも恵まれた環境で育っているという点は同じだが、父から建築設計技師としての類い稀なる才能を色濃く受け継いでおり、建築家になることを夢見て大学の工学部を首席で卒業するほどの順風満帆な人生を送っていたという設定。
パーティ会場で知り合った『三輪信孝』という自分とよく似た境遇を持ちながら、自分の負の側面を具現化したような青年と交流するようになり、彼の面倒を見ていたが、木場の才能に嫉妬した信孝がコンテスト用の図面をバラバラに引き裂いただけでなく、ナイフで木場を殺す凶行に出てしまい、ホースオルフェノクに覚醒。怒りのままに信孝の頭をアイアンクローで潰して殺害するが、その姿を両親に見られて孤独の身となってしまう。
尚、こちらのホースオルフェノクは額の角を伸ばす能力を有している。
殺意を促すオルフェノクの本能と抗いながら、真理とデートをしたり、妊娠した結花の子供に『勇介』と名付けるなど次第に人間とオルフェノクの共存に希望を見出していくが、草加によって結花が惨殺されてしまい、彼を口で言うには憚られる状態にした。
最期は、駆け付けたウルフオルフェノクが拾った自身の魔剣に貫かれ、憑き物が落ちたように灰化した……。
余談
余談
当初の設定では名字は「木場」ではなく、「たてなみ(漢字は不明)」であったと演者がインタビューで語っている。また第1話の台本に「たてなみ」の名が無かったため、出番が無いと思った泉氏は撮影に遅刻したという。
木場勇治を演じた泉政行氏は、『555』終了から約11年後の2015年7月28日に闘病(病名は最後まで明らかにしなかった)の末、35歳の若さで逝去。平成仮面ライダーシリーズにおけるライダー変身者の中では初の物故者となった……。
よく「憎んでもいない人を殺せない」≒逆を言えば「憎んでいる相手なら容赦しない」と曲解・拡大解釈されがちだが、前述の悲惨すぎる経歴を考えると許されない行為とはいえ、殺人衝動に駆られるのも仕方無いと言えよう。
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