「その純粋さを、利用されないようにしろ」
「だから最後に残ったものだけは、失いたくない!信じられる、仲間だけは!!」
「仲間の想いを…無駄にはしない!!」
演:天野浩成
変身する仮面ライダー
概要
『仮面ライダー剣』の登場人物。
人類基盤史研究所、通称「BOARD」が開発したライダーシステム第一号、仮面ライダーギャレンに変身する男性。年齢25歳。BOARDでは主人公・剣崎一真の先輩にあたる。
一人称は「俺」(目上には「私」を使用)。呼称は「橘」「橘さん」「橘君」等苗字で呼ばれることが殆ど。ファーストネームで呼ばれた事は殆ど無い。ファンからはもっぱら「橘さん」、もしくは空耳ネタから「ダディ」と呼ばれる。
人物像
サウスハービー大学という海外の大学を卒業後、BOARD研究員の職へ就く。その後、ギャレンに適合しなかった桐生豪の代わりにギャレンの資格者として急遽選ばれたという過去を持つ。
かなり生真面目で厳しい部分があるものの優しさや思いやりも兼ね備えており、自分の身よりも仲間の身を案じるような好人物。しかし頑固で不器用で愚直な面もある為、戦うことへの恐怖心に苛まれたり、他人に騙され利用される事などが多い。また、深沢小夜子が大切にしていたパズルのピースを飲み込んだと発言したり、ティーカップを鷲掴みにして飲んだり、明らかに失敗作であろうパスタのお代わりを要求したり、上城家の外から睦月を監視したりと実直すぎるが故に奇矯な行動を取る事も。
彼は同作の他のライダーたちに比べ、他人の意見を無碍にせず真摯に耳を傾け、現代で突如始まったバトルファイトの裏側を探って情報を求めており、ちょくちょく所属が変わるマクロな立ち位置にいる。逆に他のライダー達は我が道を貫くと言えば聞こえはいいが、はっきり言えば他人の意見に耳を傾けない傾向が強い。
その生来の実直な面につけ込まれて利用され、虚偽の情報に翻弄されたりと情けない醜態が多かったのは事実だが、中盤以降物語の焦点として扱われた剣崎と始達の割を食ったのも否めない部分も散見される。
そもそも彼は「他人の話を聞く」から騙され、他のメインメンバーは「人の話を聞かない」から騙されないだけであり、仮に他のメンバーが「騙される」状況に陥った場合思い込みに思い込みを重ねて、拗れに拗れるのが目に見えている(実際序盤に「橘が裏切った」と思い込んだ剣崎の迷走ぶりが、凄まじかったのは知っての通りである)ため、そういう展開を作る上で「彼しか騙された後、後腐れなく誤解を解ける者がいなかった」とも言える。(結果として「他人に騙されないように忠告しながら騙されまくるクールキャラの皮を被ったポンコツ」になってしまったのはアレだが)
このように主人公勢の中ではやや不遇といった感が拭えない人物だが、ライダーや人生の先輩として剣崎や睦月を導こうと奮闘したりするなど、自分の立場から来る責任を果たそうとする気持ちは人一倍強い。
また、ライダーとして戦うだけでなくBOARDやライダーシステムの謎、バトルファイトの秘密を深く研究していた。成果も得ており、それぞれについておおよその真相を掴んで剣崎たちに警告していた。
そして何よりも、決めるべき時には誰よりも格好良く決める漢である。泥臭い苦戦と敗北を繰り返しながらも、物語を左右する強敵たちを次々と倒してきたのも他ならぬ橘である。(また、第1話時点ラウズカードの手持ちがそこそこあるのも、経験豊富な橘の活躍故である。剣崎は2ヶ月の研修を経てブレイドになったことを考えれば、かなりの期間仮面ライダーとして戦ってきたと考えられる。)
上記の場をややこしくしてしまう性格に埋もれがちだが、設定通り頭脳明晰ではあり、烏丸所長が炎上した際のトリックを瞬時に見破る、劇場版ではアンデッド再解放に際し、ケルベロスを基に次世代ライダーシステムを制作するといった活躍を見せている。(次世代ライダーの人選については明らかに失敗している)
剣崎達は白井農場に居候しており、彼も拠点として利用する事があるが、居候をしている訳ではなく、冷蔵庫、パソコン、ベッドといった最低限の物しか置いていない部屋で一人暮らしを続けている。基本的には剣崎達とは別行動を取っており、携帯型のアンデッドサーチャー片手にアンデッドを封印している。
劇中での動向
ライダーとしては剣崎の先輩にあたる。高い動体視力をはじめとする優れた戦闘技術を持っているが、アンデッドとの戦いにおいて潜在的な恐怖心に苛まれ、体の不調を訴える。
それをライダーシステムのせいだと考えた橘は、物語序盤にしてBOARDに不信感を抱き、結果的に剣崎達を裏切る立場になってしまう。この頃は大学時代からの友人である深沢小夜子の診療所に寝泊りする日々を送っていた。
その後も体調は思わしくなくむしろさらに悪化していき、身体を治すためには全てのアンデッドを封印してバトルファイトを終結させればいいと思い込んだ彼は、ボロボロの体で無謀な戦いを挑んでは敗北してゆく。
さらにその後、しばらく消息を絶っていた烏丸啓からライダーシステムが恐怖心を増幅して肉体に不調を与える事実を知らされ、打ちのめされてしまう。
結局、急遽作ったライダーシステムのせいで体がボロボロになったことには変わりはないのだが、そのきっかけが自分の恐怖心にあったという真相は、生真面目な橘にとって己を許せることではなかった。
仮面ライダーの資格を返上した橘はその直後伊坂に誘拐され、シュルトケスナー藻の効果によって目覚ましい回復を遂げたかに思われた。だがそれは麻薬の快楽のような一時的な回復に過ぎず、その事実を明かされて激高し伊坂に挑むも敢えなく敗北してしまう。(この際、カテゴリーAのカードを渡すことを躊躇しており、恐らくこの時点で洗脳はほぼ解けていたと思われる)
しかし、独自の調査でシュルトケスナー藻の真実を知り、彼を止めようとしていた小夜子を伊坂に殺された事により、その怒りで恐怖心を克服。再び伊坂と激突し、あれほど苦しめられた相手をほぼ完封するという人間離れした戦闘能力を発揮、ピーコックアンデッドの封印に成功した。この時に発した亡き愛する人への魂の叫びが必殺技と合わさり、後に伝説の一つに数えられることとなったあの「バーニングザヨゴ」が爆誕したことは既によく知られている通りである。
こうして劇中初の上級アンデッド封印成功者になった彼だったが、小夜子の死により戦いに虚しさを覚え、一時ライダーの資格を返上。しかしギャレンの最初の適合者であり先輩であった桐生豪が仮面ライダーレンゲルとして暴走したことを知り、彼を止めるため再びギャレンに変身。見事彼を撃破する。(この戦いではアンデッドの攻撃を上手くかわしてギャレンバックルを回収、即座に変身してみせた他、相手の攻撃を敢えて受けて銃撃に転じたり、バーニングディバイドラウズ中のタイムラグを狙われない為にレンゲルのカードケースを集中的に狙撃する、その後の戦いで剣崎が切り易くする為にバレットで3体のアンデッドを足止め、残った1体を拘束し、剣崎の攻撃が当たる前に自分は離脱などの驚異的な戦闘センスと連携を発揮している。)
以後、レンゲルの適合者となった上城睦月の成長をサポートしつつ、剣崎達と共にアンデッドと戦い続ける。
睦月を育成するために棒術や、剛速球に書かれた数字を当てて動体視力を鍛える実技訓練を課したり、戦いの中でアドバイスを送るなどのアクションを取るが、アドバイスが逆に足を引っ張る事も少なくなかった。(※)
アンデッドとの融合係数の高さなどシステムへの適性を見込まれてスカウトされた剣崎とは異なり、元々は研究員として「BOARD」に所属しており、上記の通りギャレンの正式な候補者である桐生豪が事故でリタイアしてしまった為に(その現場に研究員として立ち会っていた為、システムの安全性が盤石の物でない事を目の当たりにしており、システムへの信頼性を欠いて不安が増幅されたのが序盤の不調の遠因とも言える)急遽決まった代替要員である。最初からライダーになるべくしてなったわけではないのだ。逆にその研究能力を生かすことで、先述の通り戦いの真相に誰よりも迫ることができている。
桐生との一件の後、剣崎との関係は良好だったが、相川始=ジョーカーがバトルファイトで勝ち残れば世界が滅びることを知り、始を封印しようと奔走する。
同時に、キングフォームの力を手にした剣崎がアンデッドになりつつある危険を広瀬義人に知らされ、剣崎を止めようとするが、始の人間らしさに触れ続けたことで封印を拒んだ彼と対立してしまう。その後、広瀬の真の目的と自身が(また)騙されていたことを知り、剣崎と和解。アンデッドを封印するため共に戦うことを再び誓うのだった。またこの頃、ジョーカーとしての自身を押さえ込めなくなっていた始を何とかしようとしていた剣崎のために、広瀬が保管していたスート・ハートのカテゴリーKを持ち出し、彼に譲渡している。
なお、この時には、始が「人間になろうとしている」という意見に対して、(激情家な性格もあってか)思うことがある様な反応を見せており、警戒はしつつも「可能性」は考慮するといった段階になっている。
劇中終盤、「BOARD」の首魁にしてバトルファイトを開戦させた男、天王路=ケルベロスⅡをライダー全員で協力し撃破。これによってアンデッドが残り2体になったことを受け、世界の滅びを回避するべく始を封印しようとするも、負傷した彼が電話越しに栗原天音に対して優しく話しかける様を目撃したことで思いとどまる。
始と彼の想い、そして彼を信じる剣崎を信じることを決めた彼は、最後の上級アンデッドであるギラファアンデッドとの決戦にたった一人で挑んだ。ジャックフォームの飛行能力も物ともせず、強力なバリアを使用する敵に大苦戦(バリアが上面にも展開されているかを確認する目的もあったと言われる)するが、マスク割れをともなった後述の戦法で見事にギラファアンデッドを撃破。ギラファの最後の抵抗で封印カードを崖下の海に弾き飛ばされてしまうがそのままギラファを巻き添えに崖下へと落下。
そして諸共に海へと消えていった…。
かに思われたが、最終回で帰国した烏丸所長に救助され無事生還。(変身ベルトは破損してしまったが)
烏丸所長から剣崎の真意を聞かされ、彼を止めるためにレッドランバスを走らせて決戦の場に向かうも、既に剣崎はどこかへ去っていた。
「剣崎ぃぃぃっ!!」
彼の悲しい叫びが、海にこだましたのだった。
その後、剣崎の写真を見ながら彼の行方を案じていた。
「剣崎がどこへ行ったのか、それは分からない。やつは人であることを捨てることにより、人を、世界を守った…。だが彼は、今も戦い続けている…。どこかで。運命と…」 ___最終回ラストシーンのナレーション
その後の客演など
MISSING_ACE
剣崎がジョーカーを封印したIFストーリーである劇場版では、すべてのアンデッドが封印された直後、烏丸所長とともにラウズカードを人知れぬ場所(恐らくチベット)に封印すべく移動する中、アルビノジョーカーに襲撃され、烏丸所長が殺害されてアンデッドが解放されてしまう。
そして新世代ライダーたちを率いる指揮官を兼任しつつ自らもギャレンとして戦いを続けていた。なお、彼らからは「チーフ」と呼ばれている。
剣崎たち旧世代ライダーに協力を求めなかったのは、彼らが変身するために必要なカテゴリーAのアンデッド(ビートルアンデッド、スパイダーアンデッド)が解放され、彼らが変身できない状況だったため。
剣崎たちと再会したときは、黒いスーツに黒サングラスという出で立ちだったため、ファンからは「橘プロデュース」と呼ばれてしまった。
加えて、アルビノジョーカーが暗躍する中、ずぶ濡れの状態で超古代のレリーフを見上げてたり、誰もいない狭い通路で天音ちゃんに「君は超古代の力を得るための鍵なんだよ!」と迫ったりして、とても怪しかった。
が、アルビノジョーカーは別の人物であったため、橘は素で怪しい行動をしていたのだった。
全ての戦いが終わった後は、それまで真面目に振る舞っていた鬱屈を吹き飛ばすかのように、天音ちゃんの誕生日会で思いっきりはしゃいでいた。
S.I.C. HEROSAGA
後日談の一つに当たる「DAY AFTER TOMMOROW」では、ジョーカーになってしまった剣崎を元に戻すための研究の一環としてカメレオンアンデッドを解放してしまい、騒動の原因となってしまう。
そのことが語られた際のサブタイトルは、某ラノベ風に「橘朔也の失策」だった。
たそがれ
本編の後日談である「たそがれ」では、睦月や虎太郎たちが寿命で死去する中で(天音の状態から、本編から数十年以上は経過していると思われる)、彼だけは元気に生きていることが発覚。
これは作者の會川昇曰く、「剣崎を元に戻そうと自分の体を実験台にした影響で、寿命が延びてしまった」とのことである。
小説仮面ライダーブレイド
テレビ本編から数百年後を舞台にしているので、さすがに登場しない。
が、橘さんと似たタチハラという男が登場する。
スーパーヒーロー大戦GP
本編終了から11年後、何と顔出しで登場。予告映像にて一瞬だけ変身ポーズを披露した。
作中ではショッカーの手に落ちた仮面ライダーカリス、仮面ライダーレンゲルから追われていた所で仮面ライダーゼロノス/桜井侑斗と出会い、「ショッカーにブレイドが捕獲された」と進言するが、案の定侑斗を裏切って罠に嵌めるが、ゼロノスに返り討ちにされる。その後正義に目覚めたライダーたちに感化されて脳改造の影響が解けたのか、改めて侑斗達に協力した。
また、ショッカー基地でブレイドを発見した際には「剣崎!!」と言っているが、脚本上は「ブレイド!!」と書かれていた台詞をあえて変えたことを演者である天野氏が語っている(パンフレット参照)。なお、ブレイド役も椿隆之氏本人が演じているので、それに合わせる様に本当に剣崎にした説もある。
クライマックスシーンではブレイドとの息の合ったコンビプレイで、ショッカー幹部のン・ガミオ・ゼダとマシーン大元帥を撃破した。
尚、この作品でも終盤の名台詞のセルフオマージュとして「俺は全てを失った…仲間だけは信じられる」という発言をしていたり、持っているラウズカードの種類からショッカーに入ったのは剣の物語中盤以降で、彼の戦いをサポートしていた仲間達もショッカーまたはアンデッドに殺害されてしまったと思われる。
仮面ライダーアウトサイダーズ
ep.3『バトルファイトの再開とゼインの誕生』で、『MISSING ACE』と同様、「人類基盤史研究所 BOARD」の所長として登場した。
劇中では、仮面ライダーフォーゼ ベースステイツのライダーカードとラウズカードを使用して、仮面ライダーフォーゼ コズミックステイツのゼインカードを作成した。また、他のゼインカードも同様の形で作成している。
また、ゼインドライバーは、ジョージ・狩崎に一任したり適合者の選定をしたりと、ゼインに協力していることがうかがえる。
そして、ep.4『狂った時の運行とゼインの正体』では、彼らゼイン側の目的が「仮面ライダークロニクルの一般開放による悪意の根絶及び人類の管理」であることが判明。協力者の西馬ニコに「幻夢コーポレーションから仮面ライダークロニクル一般開放の許可を取り付ける」ことを要求するものの、社長の小星作が納得しない上にこれまでの惨劇を見ていたニコはこれを拒否。さらには、滅とブレンの離反を招いてしまい、滅の身体を乗っ取ったアークが変身した仮面ライダーアークゼロと交戦。圧倒的なスペック差で追い込まれるものの、仮面ライダーゼインの乱入により難を逃れた。そして、「仲間の想いを守る」ため、ゼインが「フォーカード」で使用したラウズカードのうち、エボリューションギラファを使用してキングフォームに変身。「フォーカード」でアークゼロを吹っ飛ばして変身解除に追い込み、乱戦を終結させたものの、今度はゼインが侑斗を乗っ取り、善意が暴走する様を目撃した。
ライダーレボリューション
変身前は登場せず、仮面ライダーギャレンの姿で登場。
こちらではフォーゼ組に速水公平と間違われたり、ホースオルフェノクとネクロムに始の秘密を喋ったりとコミカルなものから、本編のように善意から混乱を招いてしまったものまで多種多様な掛け合いが見られる。
ホースオルフェノクに話した秘密は「始の正体」、ネクロムに話した秘密は「たこ焼き屋をやっていた件」となっている。始の正体に関しては流石の橘でも下手に言いふらしたりはしないだろうが、ホースオルフェノクを人間に近しい怪人だと信用したからこそ正体を話した可能性が考えられる。
ファンからの扱い
その頑固で真っ直ぐな人を疑わない性格の為に、懲りずに何度も他人に騙されて利用されることに加え、激情家な性分からか戦闘中に仲間を襲ったり、興奮のあまり周りが見えなくなってしまったりなど、大人と思えぬ失態を犯すことも多い。また、端々の言動がエキセントリックなのも特徴で、オンドゥル語抜きでもネタとして成立すると言われているとかいないとか。
こういった真面目さ・激情家の面とどこか抜けた立ち居振る舞いが垣間見える二面性、どこまでも人間臭く、その必死の奮闘に親近感も覚えてしまう様な未完成のヒーローっぷりもあり、ネタとガチどちらもいけるそのキャラクターを古参新参問わず多くのファンにこよなく愛されている。
仮面ライダーギャレンとしての活躍はそちらの項目を参照の事。
今なお揺るがぬ、平成ライダーネタキャラの筆頭にして創始者。
彼がいなければ、平成ライダー史にネタ枠が誕生するのはさらに後のことだったのは間違いないと思われる。
この評価は、劇中序盤での迷走ぶりや数々の奇行による部分が大きい(まあ、序盤だけではないのだが)。しかし本人にしてみれば、他の候補もいない中で戦闘要員としての覚悟もないままに、自分が負ければ後がない状況下で信頼性に不安の残るシステム(更に言えばギャレンの変身候補である桐生は変身実験中に右腕を酷く損傷し、機械の義手に頼らざるを得なくなっている)を使い、誰も経験した事のない不死の怪物との戦闘を強いられ続けてきたわけであり、その重圧からTV第1話の時点で心身共に消耗しきっていたが故の言動であったと考えれば、無理もないところであろう。
更に言えば、「剣」という作品は当初特撮番組初挑戦の脚本家が執筆していたため、ところどころ不自然さが目立つという意見がある。その反響を受けて中盤で脚本家が交代し、軌道修正が為されるまでの一時、本当の意味で脚本が迷走していた時期があった。その序盤でスポットが当たってしまったことも、彼が王道の先輩キャラから外れていった一つの要因ではあったのかもしれない。
2020年、CSMギャレンバックルの発売記念インタビューにおいて天野氏は、遂に「何を言っているのかよく分からないまま、演技していた場面も多々あった」と証言されている。
こうした序盤の迷走や数々の名言と迷言、さらには銃ライダーであることなどから戦闘となると弱いイメージを持たれがちだが、実際のところそんなことはまったくない。そもそも第1話までに彼が単独で封印したアンデッドは相当数いることは想像に難くないし、上級アンデッドの撃破回数も劇中第2位を誇る(剣崎との同時撃破を含めて3回。一位の剣崎は5回)。
銃使いのライダーでありながら接近戦に非常に強く、また敗北が他のライダーに比肩して多く感じられるのは致し方ないが、彼の特筆すべき点として「一度負けた相手には絶対に負けない」、「敵が強いほど強くなる」という二点があり、
- ピーコックアンデッド戦では相手の攻撃を物ともせず逆に武器を奪い取って圧倒、回避困難な高速の羽ミサイルを後方に飛びながら全弾撃ち落とし本体にも命中させる
- 桐生戦ではギャレンよりスペックの高いレンゲルをインファイトで逆に圧倒、相手の反撃手段であるリモートの発動を銃撃で阻止、ひるんだ隙にカードをラウズして撃破
- ギラファアンデッド戦ではジャックフォームに変身後、正面はおろか頭上や背後からの強化された銃撃すら弾かれ、ギラファも銃撃を積極的に追う様な素振りもせず無防備に受ける等、突破口がまったく見えないバリアを持っているのに、反撃を喰ってジャックフォームも解けフラフラのギャレンが何度か弱々しく向けた銃に攻撃を入れて振り払っているのを見極め、トドメを刺すために至近距離に近寄ってきたギラファの腕を掴み捨て身の接射を敢行して撃破(相打ち)
など、強敵との戦いではとにかく見せ場に事欠かない。まさに「ギャレン華麗に」
が、その反動なのかは不明だが、何故か実力の低い敵には妙に苦戦したり手こずりがち。一人でペッカーアンデッドに手間取ったり、初期の剣崎が封印できたディアーアンデッドにボコボコにされたりしている(ただし、前者は入院する必要があるほどの怪我を押して無理矢理出撃したため戦闘中に視界がぼやけだしてしまうほどの不調、後者は序盤の恐怖心により融合係数が低下し身体の不調に苛まれ精神面でも余裕を失っていた心身共に作中最悪の状態と、作中でも特に心身の調子が悪い条件での戦いを余儀なくされた局面ではある)。
が、それとは裏腹に仲間割れの際は、前述の恐怖心による絶不調状態ですら設定通りの実力を発揮し、無駄に強い
それゆえ「"誰でも勝てる雑魚"と"誰にも勝てない強敵"と"味方"にしか勝てない」と称されている。
誰が呼んだか「強敵にしか勝てない男」「肝心な時にしか役に立たない男」「ここ一番でしか活躍できない男」。
人物像では、元々海外留学を経て研究員として「BOARD」に採用された経緯から情報収集・分析や機械類についての知識や技能を持っており、劇中では設定上「文武両道」とされている剣崎よりも「文武両道」と呼ばれるに相応しい活躍をしていたりもする。パラレル設定の劇場版では、天王路博史の人造アンデッドとレンゲルのシステムを雛形に新しいライダーシステムを製作するなど、その能力は確か。
ちなみに上記の通り人間人外問わず幾度となく騙され続けている彼だが、劇中で悪意をもって彼を騙した存在は全て例外なく死亡または封印されている。そのことから「橘さんを騙す=死亡フラグ」と一部でネタにされている。
なお、シュルトケスナー藻はファンの間でもずくと呼ばれてきたが、小夜子役の粟田麗女史と共に出演した天野のインタビューによれば、本当に「もずく」であり、しかも出演者向けの賄いメニューにも「もずくスープ」があったとのこと。
名言
- 「カテゴリー8(エイト)か、面白い」(1話)
- 「烏丸!? あんな悪人、なぜ庇う?!」(3話)
- 「急遽作ったライダーシステムのせいで、俺の体はボロボロだ!」(3話)
- 「俺の体はボロボロだ!俺の体を治すには、アンデッドを封印するしかないんだぁっ!!」(5話)
- 「恐怖心…俺の心に、恐怖心…」(6話)
- 「人をおちょくってるとぶっ飛ばすぞ!」(7話)
- 「カテゴリーエースは俺のものだ!」(12話)
- 「伊坂!貴様だけは…貴様だけはおれの手で倒す!!」(15話)
- 「小夜子…君との思い出は、数えるほどしかないけど…君を思い出させるものは、数え切れないぐらいある。そして…なにより君の笑顔が忘れられない。遅いかな?今頃になって言うのも…俺は…俺は…俺は君が好きだった!君の事を大切に思っていた!」(15話)
- 「やはりそういうことか!」(17話)
- 「3!」(21話)
- 「これ食ってもいいかな?」(22話)
- 「スリップストリームだ。その一点に賭けろ」(25話)
- 「俺は全てを失った…信じるべき正義も、組織も、愛する者も、何もかも…。だから最後に残ったものだけは、失いたくない!信じられる、仲間だけは!!」(47話)
- 「この距離ならバリアは張れないな!」(47話)
余談
上記のような武勇伝の一方で恐怖心によって怯えた表情と情けない悲鳴には定評がある。また、第6話では剣崎の肩を借りたと思ったら0距離射撃で吹っ飛ばしたり、第7話では通りかかった散水車に一晩中しがみ続けて伊坂から逃げるシーンがあったのだが、直前にサングラスをしているはずの伊坂がライトに怯むなどこの時期の冒頭はシリアスな笑いの宝庫だった。
(※)本人的には効果的にカードを選んで欲しくてアドバイスをしたつもりが、結果的にオーキッドアンデッドを逃す隙を作ってしまっている。ちなみに、睦月が選んだカードは♣︎6ブリザードと♣︎3スクリュー(=「ブリザードゲイル」が発動)という相性の悪くない組み合わせであり、属性+パンチという組み合わせは橘自身も使っていた組み合わせだった事から度々ネタにされる。ただ、オーキッドアンデッドは強力な上級アンデッドでライダーになったばかりに睦月には分が悪く、またこの際の睦月は「新しく手に入れたカードを試す」旨の発言をしておりまだ使い慣れていない信頼性の低い技を実戦で用いることや前後の展開から「この時点での睦月は『上級アンデッドのラウズカードを集める』ことに目的を見出してしまっている」ことを危惧したとも取れるため、橘のアドバイスが一概に悪いわけではない……言うタイミングが悪かったのだ。
天野浩成氏が歌う第二期ED「rebirth」のサビ「Got to be strong」が「辛味噌」と聞こえてしまう事からネット上でネタにされ、さらには剣のDVD内のインタビューや他作品のやり取りでもネタにされている(天野自身はそれを公認しているようである)。しかし歌詞自体はとてもカッコよく熱くなる内容なので聴く価値は(色んな意味で)ある。
某ゲームに銃使いの同姓同名の女性(朔也)がいるが全くの偶然。ちなみにCVはガンマイザー。
「仮面ライダーケタック(ガタック)」や「仮面ライダー竜王(電王)」など新仮面ライダーの誤植がある毎に「これはダディが変身するに違いない」というネタが数年間ほど流行っていた。
2011年放送の『仮面ライダーフォーゼ』では、天野氏が天ノ川学園高校校長「速水公平」役として出演している。
だがその正体はリブラ・ゾディアーツであり、話が進むにつれメキメキとヘタレてきている。
さらにその人物とは別にタチバナというキャラクターも存在しており、橘さんとタチバナさんの対面に期待がかかる。
そしてネット版スピンオフで、ついに橘さん(ギャレン)とタチバナさんが対面した。同時に、橘朔也・タチバナさん・速水公平は全員別人と明言される。詳しくは配信動画、および仮面ライダーギャレンの記事を参照。
ちなみに、トークライブでは元ライダーネタを振られ、天野氏も変身ポーズを披露している(当人も「小っちゃい子ポカーンですけどもね」と苦笑いだった)。一回目は単なる音源+変身ポーズであったが、二回目はわざわざ本格的な変身音源と専用BGMまで用意し、「この距離ならバリアは張れないな!」という名台詞まで披露して、ファンを湧かせた。
(その後、当人も「なんでも勢い」と助言を与え、なんであれ後輩達のファンサービスに持っていくといった役を担った。)
ちなみにその際、ターンアップまでで済ませれば良いものを畳ダッシュまで再現するため、場が少しグダついていた。
天野氏は後にクワガタムシがモチーフの赤いヒーローが登場する『王様戦隊キングオージャー』でグローディ・ロイコディウムを演じている。こちらは不死身の身体を持つ敵幹部である。また、彼の同僚の一人を演じているのは『剣』で烏丸所長を演じた山路和弘氏であり、再び共演する事となった。
天野氏の妻である雛形あきこ女史は『アドベンチャー・ヘブン』でイロキを演じており、夫婦で『キングオージャー』への出演を果たし、後に共演も果たした。
『鬼滅の刃』の登場人物の一人である我妻善逸とはヘタレで騙されやすいが、強敵には戦績が良い点が共通する事から橘を「平成の善逸」と呼ぶネタや逆に善逸を「大正のギャレン」と呼ぶネタも存在する。
ちなみに名字が『橘』でクワガタムシがモチーフの先輩にビーファイタークワガーがいるが、あまり知られていない。
関連動画
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橘六花:ドキドキ!プリキュアの菱川六花とのコラボネタ。
関連・類似キャラクター
- 菱形サクヤ:別世界の仮面ライダーギャレン。彼もややオンドゥルしている場面があった。
- 詩島剛:銃使いの2号ライダーの変身する後輩。こちらも最初は怪人である3号ライダーを敵視する事で、主人公と対立し、その後は和解して共闘するのが共通する。
- 仮面ライダーレインボーガッチャード:こちらは設定の関係上強敵こそは倒せど通常怪人にはめっぽう弱いという強敵にしか勝てない男ならぬフォームとなっている。
2号ライダー変身者