※人間の持つ感情としての「恐怖心」については、恐怖の記事も参照
概要
オンドゥル語を始め、良くも悪くも出演者の滑舌や演技が一部で話題を博したことでも知られる本作だが、中でも「恐怖心」についてはその当事者たる橘朔也の、物語序盤における数々の行動に深く関わる要素の表れであると同時に、作中で見せた「名は体を表す」を地で行く強烈な顔芸により、放送当時は言うに及ばず番組終了から20年を経た今なお、同作にまつわる語り草の一つとして認知されている。
作中での経緯
事はTVシリーズ第6話「カリスの正体」における、橘の台詞に端を発する。
この回では、何者かに追われる身となっていた烏丸所長が、橘と旧知の深沢小夜子を通じて、橘へある事実を伝えようとするくだりが存在する。その事実とは即ち、かねてより橘の身体を苛んでいた「ライダーシステムの不備」が、システムではなく橘の心に根ざす「恐怖心」に起因しているというものであった。
この「事実」を知らされ、落胆の色濃い橘は「恐怖心 俺の心に 恐怖心・・・」(※)と呟きつつ夜の街を彷徨うのだが・・・そんな彼に追い打ちをかけるかのごとく、直後に襲いかかってきた謎の男にまるで太刀打ちできぬまま、橘は這々の体での逃走を余儀なくされてしまう。
そして、続く第7話「囚われた2号」にて披露されたのが、問題のあの「顔芸」である。
逃走の後、橘は栞や虎太郎から、剣崎が何者かに拉致されたことを知らされ、剣崎を助け出すために協力して欲しいと頼まれる。一度はこれを突っぱねた橘も、そこに烏丸もいるかも知れないともっともらしい理由を付けつつ承諾すると、単身剣崎が連行されたと思しき研究施設へと急行する。
・・・が、橘が現着した時点で既に剣崎はブレイドに変身し、トリロバイトアンデッドやカリスと三つ巴の乱戦を演じている真っ最中であり、すぐに橘もギャレンへと変身してアンデッドと対峙せざるを得なくなった。そして前述した「恐怖心」の悪影響はここでも露呈し、戦闘が進むにつれて融合係数と戦闘能力の著しい低下を引き起こしたギャレンは、遂にはギャレンバックルを弾き飛ばされ、敵地の真っ只中で変身解除に追い込まれるという危機的状況を迎えてしまう。
バックルをなんとか取ろうとする橘の前に迫るトリロバイト。迫ってきたトリロバイトを見た橘はついに完全に戦意を喪失して後退り、恐怖に顔を歪め激しい悲鳴を上げるのであった・・・。
そうでなくとも、颯爽と後輩を助けに入ったはずが逆に醜態を晒してしまう(しかも次の回では、助けようとしたはずの後輩に窮地を救われた)、というあんまりにもあんまりな流れであった上に、にじり寄るアンデッドを前に何もかもかなぐり捨てて、恐怖心と情けなさをこれでもかと露わにした天野浩成迫真の演技は、様々な意味で視聴者に多大なインパクトを残すには十分過ぎるものがあり、メイン画像を始めあちこちで模写されるほどの人気を博す格好となった。ビブラートの利いた叫び声も必聴モノである。
後には、前出の「俺の心に~」の台詞と結びつく形で、この顔芸までもが「恐怖心」と呼ばれるようにもなった。
(※ 細かい日本語文法としては、「俺の心に恐怖心」では二重表現であり、少々おかしい台詞であるとの指摘もある。とはいえ、気落ちした者の独り言の表現としては、文法が体を成していない方がむしろ自然かもしれない)
備考
前述の通り、「恐怖心」という要素は物語序盤における橘の行動にも、良くも悪くも大きな影響を及ぼしており、剣崎によって危地を救われ、烏丸所長から直接真実を伝えられてなお、橘は恐怖心の払拭に躍起になる余りに迷走に次ぐ迷走を繰り返していくこととなる。
結局、橘が恐怖心を克服するに至るのは、因縁の相手であるピーコックアンデッドを撃破するまで待つこととなるのだが・・・それと引き換えに喪ったものはあまりにも大きすぎるものであった。
橘役の天野浩成が、2018年に日本テレビのバラエティ番組『THE突破ファイル』内の再現ドラマに、夫人の雛形あきこと共に出演した際、コウモリの大群に家に住み着かれた夫婦を演じたのだが、コウモリを見た時のリアクションが完全にこの時の表情だったことから話題となった。
また、天野は超が着く程の愛妻家としても有名だが、雛形が仕事などで泊りがけで家を空ける度に、
- 雛形「残念なお知らせがあります。明日からドラマの撮影で○○に一週間程出かけます」
- 天野「ウワァァァァァァァァァァ!!」
・・・といったやり取りが繰り広げられていることも明かされている。
このように、『剣』はおろかニチアサに関わらないところでも度々引き合いに出される「恐怖心」であるが、さらに時が下って天野が『王様戦隊キングオージャー』に出演した際にも、同作で演じたグローディ・ロイコディウムの辿った末路(※2)と、そこで垣間見せたリアクションに、やはりと言うべきか「恐怖心」を想起された視聴者も少なからず観測されている。
(※2 詳細は当該記事も参照。端的に言えば「自身の望みとは裏腹に、死後も止むことのない亡者達の呻き声に苛まれ続ける」というものであり、この事実はグローディに橘と同様の、ひどく情けない叫び声を上げさせる格好となったのである)
恐怖心、みんなでやれば怖くな・・・い・・・?
・・・やっぱりダメな気がする。
関連タグ
モズイ:『ウルトラマンダイナ』に登場する怪獣の一体。こちらも恐怖心に関連があるキャラクターであるが、恐怖心が悪影響を及ぼした橘とは逆に、こちらは恐怖心を逆に利用するという点で相違している
???「ウワァァァァァァァァァ▂▅▇█▓▒░(’ω’)░▒▓█▇▅▂」:似て非なるもの