概要
詳細
本作の登場人物の一人である、プラズマチョチョンこと烏丸所長(烏丸啓)の発した台詞の一つ。『剣』という作品は、出演者の滑舌等に起因したネットスラングも一部で話題を博したことでも知られるが、この台詞についてはそれとはまた別の意味で、視聴者に強烈なインパクトを与える格好となった。
作中での経緯
この台詞が飛び出したのは、TVシリーズ第8話「蘇った者たち」でのこととなる。
同話数では、一時行方不明となっていた烏丸所長が、紆余曲折を経て剣崎一真達と再会、この少し前より剣崎や橘朔也を付け狙う謎の人物の狙いや、アンデッドの解放などにまつわる様々な事実が、烏丸の口から明らかにされた。
その際、話題は剣崎達が使用しているライダーシステムに関する問題にも及び、かねてより「急遽作ったライダーシステムのせいでオデノカラダハボドボドダ!(俺の身体はボロボロだ!!)」と主張していた橘に対し烏丸は、
「君の身体がそうなったのは私の責任だ。だが私は謝らない」
と、彼の不調がシステムの不備ではなく、後述の通りその胸中に巣食う「恐怖心」に起因したものであると告げるに至ったのである。
無論、そんな烏丸からの説明に橘も納得できるはずがなく、慰めようとする剣崎に対しても「うるさい!何がわかる・・・お前に何がわかるんだぁっ!」と激昂した末に、「臆病風に吹かれた俺は戦えない」との自嘲と共に共闘を断り、ボロボロの状態のまま去っていったのであった。烏丸はそんな橘の去り際に、
「その恐怖心を克服して、必ず戦いに戻ってくれると信じているからな」
との言葉を投げかけるのであった。
自分の責任であることは認めているが、謝っていない。
自分の非を認めて「謝るのか?」と思わせて、謝らない。
言ってしまえば、要求を呑むと思わせてはっきりと否定する「だが断る」と同じような使い方が出来るとも言える。
あまりにも使い勝手が良さそうなので日常生活で使いたくなるかもしれないが、当然ながら元ネタを知らない人に言えば普通に人間関係に支障をきたしかねないので注意。気心の知れた平成ライダーファン同士でのやりとりにとどめておきたいところである。
解説と考察
一応ながら記しておくと、件の台詞は責任逃れから言ったような軽い言葉では勿論ない。
確かに字面だけみれば謝罪を回避しているかのようにも見えるが、一方では去り際にかけた台詞からも窺えるように、「ライダーシステムには変身者が恐怖心を抱くと心身に異常をきたす副作用があるが、恐怖心を抱かなければ大丈夫だし、今恐怖心を抱いている橘も克服できると信じている」という橘さんへの厚い信頼を表した言葉なのである。とはいえ、激励・鼓舞としてもなんとも遠回しに過ぎる、分かり辛いものであることに変わりはないのだが・・・。
また、仮にここで普通に謝罪していた場合、橘は「自分が恐怖心に打ち勝てないのも仕方のない事」と諦め、仮面ライダーとしての闘いから降りてしまったかもしれないし、実際に一連のやり取りの直後には、橘も「普通の生き方」へと戻ろうとしていたりもする(この時は結局逡巡の末にライダーであることを選んでいるが)。そうなれば、ギャレンのベルトを受け継ぐ者が見つからないままピーコックアンデッドの企みも阻止できず、最悪の方向へ未来が進んだ可能性も、決して否定はできない。
大袈裟な仮定かもしれないが、そう考えればこの言葉にも重みが感じられるのではないだろうか。
余談
後のTVシリーズ最終回では、(橘ではなく剣崎に)烏丸が謝る場面が存在する。この時は全世界規模で破滅的状況に追い込まれていた上、自身も「諸々の事情」から再度長期の失踪を余儀なくされ、剣崎達に十分な手助けができずにいたことへの謝罪であり、この台詞とはまた状況が異なる。
放送当時発売された、カードダス版ラウズカードのキャラクターカードには、「だが私は謝らない」のカードが存在する。
このカードが存在するという事実だけでもネタになりそうであるが、加えてカテゴリーが「K」に設定され、さらに他のカードでは効果名(CHANGEやKICKなど)が書かれている箇所に「KARASUMA」と記されており、この2つが並ぶことで丁度「K KARASUMA(烏丸啓)」になっているという、偶然にしても狙ったにしても「持ってる」と言える仕様となっている。
烏丸を演じた山路和弘氏は、所長のこの台詞に対して随分と驚いていたようで、「あれはないよねえ(笑)橘にトドメ刺してるようなもんだから。俺だったらすぐ『ゴメン!』って謝るんだけどね」と発言している(劇場版仮面ライダーブレイド完全攻略ガイドの本人への取材に基づく)。
pixivでの用法
pixivではこの台詞の出たシチュエーションを再現したもの以外にも、
何やらふざけている感じの作品にタグ付けされていたり、
作品内の主張に対するリアクションとしてのタグとして使われている。
関連タグ
全部私のせいだ:『仮面ライダー鎧武』に登場する台詞の一つ。この台詞のように「自分に責任があることを自認しながら、非を認めない」という点で共通しているものの、前述の通り曲がりなりにも相手への遠回しなエールの意を含んでいたこの台詞に対し、こちらは自らの行動が原因で引き起こされた事態やそれに翻弄される者達を嘲笑う目的で発せられたという点で相違している
謝ったら死ぬ病:似て非なる言葉。