烏丸「神などいない」
「このバトルファイトも、元はと言えば地球に住む生物達が望んだものだ」
「己が進化だけを望む闘争本能、それら全てが融合して、バトルファイトというシステムを生み出したのではないだろうか」
概要
『仮面ライダー剣』の世界において、1万年前に行われた戦い。
トランプのスート(ラウズカード参照)を模した53種のアンデッドが、優勝することで得られる力を使うことで得られる覇権をかけて戦う。
敗けた者はラウズカードに封印され、最後に生き残った者が勝者となり、“統制者”から地球上の全生命を自分の思い通りのものに変革できる“万能の力”が与えられ、地球の支配者となる。1万年前のバトルファイトではヒューマンアンデッドが優勝し、これにより人類は地球の覇者、万物の霊長となった。
本来は統制者と呼ばれる超常の存在が引き起こしており、敗北したアンデッドも統制者によってラウズカードに封印されていた。
現代のバトルファイトは影で天王路博史が"万能の力"を自分のものとするために動いていたもので、ジョーカーと仮面ライダーしか封印を行えない事態となっていた。
参戦資格はアンデッドであることであり、人間がアンデッドになることでも資格が満たせる。
これを利用したのが天王路の計画であった。
バトルファイトのルール
- 参加資格があるのはアンデッドのみ。
- アンデッドと融合する等して、自らをアンデッドと化した人間は参加を認められる。
- 優勝した参加者は、万能の力と次のバトルファイトまでその種の繁栄が約束される。
- ジョーカーが優勝すれば、地球上の生命はリセットを迫られる。
- 勝利者が決定した後に新たに資格を持つ者が参入すれば、優勝は無効となりバトルファイトは続行される。
『劇場版仮面ライダー剣 MISSING ACE』では優勝者に与えられる偉大な力が巨大邪神14であり、DC版ではヒューマンアンデッドはそれを拒んだことが語られている。
また、イレギュラーな決着によってなのかアルビノジョーカーが新たに参戦している。
しかし、いずれのスートにも属さないジョーカーが優勝した場合、ゲームオーバーとなり、地球のあらゆる生物はダークローチの大軍団に滅ぼされる。これを阻止するため、劇場版では人類=仮面ライダーたちはジョーカーこと相川始(仮面ライダーカリス)を封印し、TV版では思いもよらぬ方法でこれを回避するに至った。
剣本編ではゲームオーバーによるデメリットは「無限に出現するダークローチの侵攻」という形でしか示されなかったので、ダークローチを全て倒しさえすればよいと誤解されることもあるが、前述のバトルファイトの管理者「統制者」が無事である限りバトルファイトの仕組みやゲームオーバーの決定が覆ることはないので、ダークローチを片付けるだけでは何の解決にもならない。
『剣』劇場版及び『仮面ライダージオウ』のように優勝者を直接排除するか、本編最終回のようにルールの穴を突くか、はたまた小説版のように統制者そのものに干渉しなければ解決はできないのである。
小説版では新たなカテゴリーのバトルファイトを行ったとあるが、作中ではアンデッド同士の争いよりは人間を襲うただの怪人に近かった(後述の統制者が行った目的が別にある疑似的なものであった)。
統制者
前述の通り、このバトルファイトを管理する存在。
イレギュラーな存在であるダークローチやアルビノジョーカーを作り出した存在である。
黒い石版「モノリス」越しに意思を疎通しており、ダークローチもそこから生まれる。詳しいことは項目を参照のこと。
ブレイドの世界(仮面ライダーディケイド)
この世界のBOARDは原作のような人類基盤史研究所ではなく、アンデッドを封印するための民間警備会社とされている。
そして社員はトランプのスートのようにランク付けされ、日々生存競争が繰り広げられており、原作で言うところの参加者をアンデッドから人間に置き換えたバトルファイトとも言える設定となっている。
仮面ライダージオウ
本編終了から14年後の世界であり、2体のジョーカーが接触を避けていたために事実上の休戦状態に陥っていたものの、バトルファイトそのものは継続していた。
白ウォズが栗原天音を変身させたアナザーブレイドの暴走によって、モノリスからダークローチでなくジョーカーを無限に発生させる(イレギュラーな形で力と概念を奪うアナザーライダーの能力で発生した、ジョーカー2体分の存在を介したが故の歪みによるものと考えられる)形で世界を破滅させようとするも、ジオウトリニティがこれを倒したことで、『剣』劇場版と同様勝ち残ったアンデッドが居なくなる事態に陥り、バトルファイトは終了を余儀なくされた。
謎
本編では正式なバトルファイトが行われなかったことやかつてのバトルファイトの詳細(各々の対戦の結果やヒューマンアンデッドが何を望んだのか)が語られていないために多くの謎が存在する。
地球上の生物の始祖が覇権をかけて争う設定に反して種類に偏りがひどく、例を挙げればタカ科の内大きさ以外に明確な違いがあるとされない鷹と鷲が分かれていたり、ヒョウ属がライオンアンデッド、ジャガーアンデッド、タイガーアンデッドで3体もいるし、カテゴリーAとカテゴリーKが同じスートの近い種の組み合わせであること、これとスカラベを加えると生物の始祖の52体の内5体が甲虫となる。だが、彼らが対等な関係で共闘する様子も見られない。
また、トリロバイトアンデッドは三葉虫の祖だが三葉虫は1万年前のバトルファイト以前に絶滅している。
アンデッドは星の覇権を握るためにバトルファイトを行うとされるが、アンデッドのモチーフにならなかった生物はどういう扱いになるのかは不明。
バトルファイト上のシステムとしても統制者の審判を待たず封印を行え、封印さえすれば他のアンデッドの能力も使用可能なジョーカーがかなり有利であり、上級アンデッドは当時の社会(人間社会)に溶け込める変身能力を持つばかりか一部は他のアンデッドを従える洗脳能力を備えているなど格差も見られる。
これらについてはファンの間で「予選や前バトルファイトの結果などが行われメンバーが入れ替わっている」「それらで好成績を残すと近い種の加入や上級アンデッド扱いになれる」「バトルファイトごとに全体からランダムで選ばれる」「絶滅した生物であっても始祖の参加は認められている」「ジョーカーは参加者というよりは最後の試練」「統制者はジョーカーの優勝を望んでいる」など様々な憶測があるが理由は不明。
よみうりランドのショー独自の設定としてヒューマンアンデッドが前バトルファイトで優勝したためカテゴリー2になったというものがあり、これと前述の三葉虫の存在からリザードアンデッドがかつての勝利者だった為に恐竜が繁栄したという説もあるが、トカゲと恐竜は分類的には割と別(定義や説も変わるものとはいえ爬虫類というところまで)なので、もしそうだとすれば結構な詐欺である(アルマジロが地球を支配していたなんて歴史も多分無いし…)。
一応、勝利したアンデッドの種族に近い生物も一定の支配権を得ることができる可能性も考えられなくもないし、バトルファイトにおける生物種の「定義」は統制者の物が正しいとすべきだろうが……。
もっとも、『仮面ライダー剣の世界』が我々の世界と異なる以上、現実の分類や絶滅の有無などは全く当てはまらない可能性もある。
スカラベアンデッドがコガネムシの祖でもあるし…。
(スカラベは本来フンコロガシ)
そもそもバトルファイト自体が作中世界における人類の進化の説明できない部分にあたるので、逆に言えば我々の世界の分類などで説明できないということなのかもしれない。
余談
後年のスピンオフ作品『仮面ライダーアウトサイダーズ』にて橘朔也が初登場するEP3のサブタイトルが「バトルファイトの再開とゼインの誕生」であるが、実際の本編ではバトルファイトのバの字すら登場しなかった。ナズェダ。
実際に再開されたのは(原典とは異なる使い方ではあるものの)仮面ライダークロニクルであり、続くEP4のあらすじでもバトルファイトの名前は登場せず橘さんはこちらを一般開放しようとしている。やはりそういうことか。