相川始
あいかわはじめ
『仮面ライダー剣』の登場人物の1人であり、仮面ライダーカリスに変身する青年。23歳。
喫茶店「JACARANDA(ハカランダ)」に居候し、店員を務める傍ら、栗原母娘の勧めでカメラマンを目指している。
口数が少なく他者との交流を好まないが、栗原母娘のことは大切にしているようだ。
公式によれば23歳だが、後述の素性から恐らく自称。
他のライダーには当初決して友好的とは言い難いが、栗原母娘の危機に際してはカリスに変身し、アンデッドの魔の手から親子を守るために戦う。
彼が栗原家に居候するきっかけとなったのは、本編開始の数ヵ月前、谷川連峰の雪山で遭難していた栗原天音の父・栗原晋である。
彼は死を目前にしながらも、ひたすら家族のことを想っていた。そのことが彼の心に引っ掛かり、栗原家に訪れ居候するようになった。その後、始は二人の優しさに触れ変わってゆく。
当初はその無愛想な態度が原因で剣崎一真とも対立していたが、判明した始の正体(後述)、伊坂の陰謀に巻き込まれたこともあって、二人は敵対し何度も戦うこととなる。
だが、伊坂との戦いで負傷した際に剣崎に助けられたことがきっかけで、二人の間に友情が芽生える。
一時期は他のアンデッドとの戦いに天音達が巻き込まれかけたことから、自分の存在が栗原家に災いを齎すことを危惧し、ハカランダを去ったこともあった。
だが始がいないからといって彼女らがアンデッドに襲われない保証は無く※、剣崎に「君が側にいて守れよ」と説得され、再び栗原家に舞い戻る。
※実際、栗原母娘は始と無関係に、アンデッド関係の騒動に複数回巻き込まれている。
正体(ネタバレ注意!!)
その正体はアンデッドの53体目にして、何の始祖でもないという特殊な存在のジョーカーがヒューマンアンデッドの姿に変身した姿。
カリスの姿もマンティスアンデッドのカードを使って借りたものであり、「カリス」という名前もマンティスアンデッドの個人名(つまり、始は作中でライダーとして認知されているが、厳密には他の怪人の姿を借りた怪人に過ぎない存在である)。
それ故、ライダーへの変身にカテゴリーAのカードが必須である剣崎達とは異なりどんなカードでも変身可能。
劇中では、ドラゴンフライアンデッドやウルフアンデッドの姿に変身したこともあった。正しく、どんなカードの代わりにもなれるジョーカーの特性を持つ。
栗原晋の死に居合わせていたのも、雪山で遭遇したギラファアンデッドとの戦闘中、写真を撮っていた彼を巻き込んで死なせてしまったからである。彼の最期の願いと家族の写真を託されたことがきっかけとなってハカランダを訪れた。
ヒューマンアンデッドの内からの働きかけの他、栗原親子や剣崎と交流していく内に、人を愛し性格も穏やかになってゆく。
当初は天音達以外の人間には関心を持たず、戦いに巻き込むことを厭わなかったが、中盤以降はエレファントアンデッドに対して周りの人を巻き込まない場所で戦う事を提案したり、(成り行きではあるが)三上了達をアンデッドから助けた事もある。
更には人間として静かに生きていくことを望むようになるが、内に潜むジョーカーの本能と、自らがバトルファイトの勝者となった時、人類毎地球が滅びてしまう運命に苦悩する。
だが、それでも彼を信頼し支えてくれる剣崎と友情を深めていった。
一時期カテゴリーAのカードを失ってカリスへ変身出来なくなり、同時に闇堕ちした上城睦月やコーカサスビートルアンデッドによってジョーカーの本能を引き出されようとするも、天音や遥香の想い、そして剣崎の助けもあり、ギリギリのところで踏み留まって戦う。
「本当に強いのは……強いのは!人の想いだ!」
だが皮肉にも、始を守ろうとした剣崎のキングフォームの強過ぎる力がジョーカーの本能を呼応・暴走させてしまう。しかし、仮面ライダーワイルドカリスに強化変身することで克服。
その後キングフォームの力で暴走した剣崎を救ったり、共に天王路博史に立ち向かったりと、人々を守るため共に戦った。
ちなみに天王路の一件の際にはケルベロスにカードを全て奪われ、またしても暴走しかかるも意識のある内に自己催眠を掛けて倒れるという行動に出た。
この際一歩間違えばその間に封印されていたかもしれないにもかかわらず、それ以上に仲間を傷つけることを恐れており、始の思いが強く現れた一面と言えよう。
TV版(永遠の切札)
物語終盤、バトルファイトは彼の勝利で決着したことから、世界に大量のダークローチが発生してしまう。
始自身でも止められぬ運命。彼も絶望し、自ら剣崎に封印されることを望む。
そして、剣崎に嘗て介抱された山小屋で待ち続け、彼に最後の戦いを挑む。
避けられぬ滅び。愛する者を救うには、最早始が封印されるしかない。
剣崎「アンデッドは全て封印した…!お前が最後だ、ジョーカー!」
「俺とお前は、戦うことでしか分かり合えない!」
そして二人は変身し、最後の戦いに臨む。
だが……死闘の果てに、互いに武器を失ったジョーカーとブレイドが殴り合った瞬間、ブレイドの身体に異変が起きる。
そして、変身を解いた剣崎の身体から、始と同じ緑色の血が流れ出す。それを見た始は驚愕した。
「剣崎……お前……お前はっ……」
「アンデッドになってしまったと言うのか……」
これこそ、剣崎の狙いだった。
自らが2体目のジョーカーと化すことでアンデッドを二体とし、始も世界も両方救ったのだ。
駆け寄ろうとする始を彼は「来るな!」と一喝する。お互いが愛するものを守るためには、それしかない故に。
剣崎「お前は、人間達の中で生き続けろ…」
そう言い残して、剣崎は何処かへ去って行った……。
そして、始はハカランダで生き続ける。遥香と天音の笑顔が絶えない場所で。
ある日、始は遥香から頼まれた買い物の帰りに銀杏並木を歩いていた時、ベンチに懐かしい友がいるのを目にする。
「剣崎…?」
剣崎「始」
「剣崎…!」
思わず駆け寄る始。だが、それは彼の見た幻だった。
剣崎『お前は、人間たちの中で生き続けろ…』
友の言葉を噛み締め、始は歩いてゆく。
彼もまた、運命と戦い続けるのだ。
TV版の後日談の一つとされる『小説 仮面ライダーブレイド』では、300年後の未来でも剣崎の言葉を忘れず、人間として生き続ける始の姿が描かれている。
だが、統制者はバトルファイトの再開を諦めていなかった……。
もう一つの結末『劇場版 仮面ライダー剣 MISSING ACE』
TV本編とは異なる結末を迎えた並行世界の5年後の物語。
最後の1体のアンデッドとして剣崎に封印されており、この事は剣崎にとって大きな心の傷となっていた。また、突然始がいなくなったため、天音はそれが原因で心を閉ざし非行に走ることになってしまった。
その後、剣崎がアルビノジョーカーからカードを取り戻したことで睦月によって解放され、天音を救うために必死で戦う。最後には巨大邪神14を復活させるべく生贄にされた彼女に代わり、自らが生贄になった上で剣崎に命を擲ってもらう=14諸共倒されるという結末を迎えた。
その必死の想いは、荒んでいた天音(※彼女は始が戦っている場面では終始気絶していた)にも伝わり、彼女を改心させるきっかけにもなった。
そのことを告白した後、天音は誕生日パーティーの最中家の外に始の姿を見て外へ出るが幻であった。
しかし剣崎は、「始はいつも側にいる」と彼女に語り掛けるのであった。
始の演者である森本氏はこの映画のラストシーンに感動し、泣き出したとのこと。
「その子に手を出すな!!」
EP29・30に剣崎や天音と共に登場。
当初は『仮面ライダーディケイド』の海東大樹のみが出演をアナウンスされ、ブレイド編の存在自体が伏せられていたため、予告にて視聴者を大変驚かせることとなった。
始役の森本亮治は各種ゲームや映画『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』で度々カリスの声を当てていたが、相川始として顔出し出演するのは『剣』本編以来実に14年振りとなる。
なおこの時点で既に天音の前から姿を消しているが流石に何も言わず出ていくことは無かったようで、天音は『MISSING ACE』の時のようにグレることも無くハカランダの経営にあたっている。
始も始で後述の非常時にはすぐさま駆けつけており、人知れず見守っていたことが窺える。
活躍
- EP29『ブレイド・ジョーカー!?2019』
嘗て剣崎と出会った山小屋を拠点に、カメラマンとしてひっそりと活動し続けていた。
その後、天音が白ウォズの手によってアナザーブレイドへと変貌させられたことを察知し、アナザーブレイドと戦闘中だった仮面ライダージオウへと襲い掛かる。
戦闘では(常磐ソウゴが状況が読み込めなかったために本調子ではなかったとはいえ)ジオウを終始圧倒、必殺技のスピニングダンスでジオウを追い込むほどの実力を見せつけたが、そこにカリスが使用したアンデッドの力に引き寄せられてやって来た剣崎が現れる。そしてアンデッドの性により、再びバトルファイトが引き起こされてしまう。
- EP30『2019:トリニティはじめました!』
当初、始は剣崎と戦おうという意思が無かったため、ブレイドに圧倒されてしまうが、戦いの余波でアナザーブレイドの変身が解除され、その正体が天音であったことが判明したため、剣崎は驚愕、戦いは中断される。
その後、自身のもとを訪れた天音に対し、ハカランダを出て行った理由を説明しようとするが、そこへ白ウォズの未来ノートによって導かれた剣崎が出現。始も結局戦いは避けられないと悟ったのか、今度は本気で剣崎=ブレイドと戦いを始める。
しかし、これは白ウォズの策略であり、直後に出現した白ウォズの手によって天音は再びアナザーブレイドへと強制的に変身させられてしまい、2人はアナザーブレイドによってジョーカーの力を奪われてしまった(この際剣崎共々、身体から流れ出ていた血の色が緑から赤へと変わっており驚愕していた)。
最終的に、アナザーブレイドは仮面ライダージオウトリニティに倒されたことで世界の滅亡は辛くも回避された。
始はジョーカーとしての力も仮面ライダーへの変身能力も失ってしまうことになった(2人のライダーおよびジョーカーとしての力はライドウォッチに封印され、一度はソウゴが返すも改めて剣崎の手で託された)が、天音に対して危機に陥った際はいつでも駆け付ける意思を伝え、今後も彼女を見守っていく決意を新たにしたのだった。
尚、元が人間だった剣崎と違い、最初からジョーカーであった始がジョーカーの力(及び概念)を奪われた今の状態がどの様な状態なのかははっきりと語られておらず不明。仮面ライダー図鑑の登場人物図鑑の項目でも「人間(に変化したと思われる)」とぼかされている。
剣崎同様、完全な人間になったか(派生意見に相川始として生きてきた人生そのものが人間の形を取った、とも)、使用していたヒューマンアンデッドの力のみが残り、疑似的に人間に近い存在になっているとも取れる。
- ムッコロフェイスと呼ばれる顔芸がよくネタにされる。これは第6話で見せたインパクトの強い場面である。
- 劇中、幼女(栗原天音)との関わりが深いため、『仮面ライダーカブト』に登場する風間大介/仮面ライダードレイクともども、ネタでロリコン扱いされることがある。
- 本編DVDに付属するライダー役の俳優4人のフリートークでは、上城睦月役の北条隆博が始について「ロリコンだよな」と発言したため、森本と剣崎一真役の椿隆之に叱られた。だが、椿が「何故始はあそこまで天音ちゃんを守ろうとしたのか」と(やや強引に)話題を変えようとしたら、今度は橘朔也役の天野浩成が「ロリコンだからじゃないの?」と発言。その後、彼は椿に無言で殴られた。この一連の流れは何故かカットされず、半ば公式設定と化してしまった。
- 一応フォローしておくと、天音の母である遥香さんのことも同じ位大切にしているし、中盤以降は天音や遥香とは関係無い女性(※幼女ではない)を身を挺して庇ったこともある。更に後日談小説の『たそがれ』では、老婆になった天音のもとに会いに行く場面もある。純粋に栗原天音という1人の女性を愛しているだけであって、決してロリコンではないと思われる。
- というかそもそも、1万年以上生きている始からしたらある意味全人類がロリショタともいえる。
- 始役の森本の身長は172cmであり日本人成人男性の平均身長と同程度だが、剣崎役の椿が185cm、橘役の天野が180cm、白井虎太郎役の竹財輝之助が181cm、伊坂役の本宮泰風が185cmと他の男性キャストが軒並み高身長なため、相対的に低身長に見えている。
- 尚、変身後のカリスのスーツアクターを務めた伊藤慎も身長180cmと長身であり、変身前後で身長差がある(変身前後での体格差が目立つのは仮面ライダーブレイドや仮面ライダーレンゲルも同様である)。
コメント
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