「アークの意志のままに」
「人類が絶滅危惧種となる日は近い…」
「我々は人間の奴隷ではない。我々こそが、この星の主だ」
演:砂川脩弥
変身する仮面ライダー
・仮面ライダー滅
概要
サイバーテロリスト・滅亡迅雷.netの司令塔。
滅亡迅雷フォースライザーを用い、仮面ライダー滅に変身する。
人物像
「人類よりもAIの方が優れていると信じて疑わない冷酷な性格の持ち主で、己の理想実現の為に滅亡迅雷.netを立ち上げ、ハッキングによって実用化されたヒューマギアたちを次々に殺戮マシン・マギアへと仕立て上げて行く。その為、「笑い」「笑顔」を追い求める飛電或人とは決して相容れない存在」
実働は行動係である迅に任せ、表舞台に出る事はほとんどないため、或人は第6話で初めて存在を知った。
なお、ヒューマギアの不自由さ・無力さも把握しており、そのため滅亡迅雷.netを立ち上げたことも発言している。
正体
「我々は人間ではないからだ」
第8話でターバンを外した際、ヒューマギアであることが判明。
ターバンで隠れている耳の部分は、ヒューマギアモジュールを無理やり引き剥がしたようなヒビ割れが存在し、内部の機械がむき出しになっている。また、ヒューマギアの状態を示すアラートは、通常状態の青と暴走状態の赤のどちらでもない紫になっている。
人間のように振る舞い自由意思も持つ同メンバー・自律型ヒューマギアの迅とは異なり、彼の言動は衛星アークの司令に殉じており、彼自身の自我・感情は芽生えていないとされる。
人間への恨み辛みがあることを仄めかされている(1)が、アークの思想に反しない限り、人間への個の感情を向ける様子はなく、人間との共闘や守護、人間の創作物の模倣は吝かではない様子が見られる。むしろ、迅の方が自身の感情で人間を憎む言動をとることが多い。
若い姿(演者は20代)をしているが、同年代の姿であるヒューマギアの迅をアークの司令のもと息子のように育てた(「迅との関係」にて後述)。第25話での博士ボットの発言(≒ハッキングした迅の発言)によれば、元々は幼児教育のサポートを目的として開発された父親型ヒューマギアを原型とする個体だったことが判明。
仮面ライダー滅姿では、初期フォームを一貫するにも関わらず優れたラーニングの力により相手と渡り合い、劇中でもその実力は発揮されている。
元は非戦闘個体であるはずの父親型ヒューマギアでもあり、第35.5話では「バトルセンサー」が搭載されていることが明かされた。
活躍
第1話において飛電是之助の死をきっかけに「マギア作戦」の実行を宣言、人類滅亡のための活動を開始する。
第4話で仮面ライダー滅が初登場。
また、この変身姿はデイブレイクの発端となったヒューマギア工場跡地に残されていた記録映像にも姿を見せている。
第5話では任務から逸脱し、ゼロワンからプログライズキーを奪おうとした迅をたしなめ、ゼツメライズキーによるデータ収集をするよう釘を刺した。
第6話で「親」として香菜澤セイネを庇う多澤社長を見て戸惑い、一度はセイネに取りつけたゼツメライザーを剥がし逃がそうとした迅の前に現れ「親離れが早すぎる」と言い放った。そして迅を強制的に仮面ライダー迅へ変身させた。
第8話ではZAIAエンタープライズジャパンにて開発されていたA.I.M.S.の戦闘兵器であるギーガーに成功。その後、病院で働いているヒューマギアをトリロバイトマギア化させ、仮面ライダー滅に変身して仮面ライダーバルカンを瀕死の状態にまで追いやり立ち去った。
第15話でデイブレイクタウンにてA.I.M.Sと戦闘。アークの命令で迅を庇い、バルカンの攻撃を受け機能停止に陥る。
第17話で再起動を果たすがA.I.M.Sにより拘束されている。
不破に対し、アークが人間自身の手で「人間の悪意」を植え付けられた為に「人類滅亡」に目覚めたことを話している。
第24話、脱走。
第34話では、植物工場の見学にやって来た或人の前に現れた。
管理用ヒューマギア・ミドリの身柄と引き換えに宇宙野郎雷電のジョブキーを要求した。
第35話、迅を庇うが滅自身も自らの行動へ動揺する。
第41話において、アークを倒す提案を持ち掛けた迅と衝突。
アークから離反し夢ができたと或人に語った。
第42話、或人の秘書であるイズを破壊。
第43話では、アークワンとなった或人と戦闘。
戦いの過程で迅を破壊された悲しみと怒りで滅自身がアークの力を手に入れてしまった。
第44話、飛空ビジョンなどをジャックし、飛電社長である或人がアークとなったことを理由に人類こそ滅ぶべき悪であることを再度宣言。
第45話では、或人との直接対決となった。
本編外の活躍
ネタバレ注意
他の個体と同じ飛電のモジュールを付け、服装もベストとパンツスカートのような服装となり、本編とは異なり所持している刀で俊敏に戦う。
滅亡迅雷.netの役割が大きく変わっている世界のため、かつての是之助の秘書型ヒューマギアにあたるウィルに乗っとられた飛電の元で、大量のトリロバイトマギアを迅と率いる個体となっている。
迅と共に、人間の残党部隊である不破や刃と交戦する。口癖は「アークの意志のままに」を引き継ぐ。
- 『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』
「楽園?知らないのか、この世界は捨てたもんじゃない…」
迅の司令のもと行動役も行い、不破達ともエスの率いる仮面ライダーアバドンの軍団と交戦。
今回滅としては初のワイヤーアクション ともなる高所からの変身や、天津・迅・不破・刃という並びにおいてセンターになる立ち同時変身など制作陣もこだわった見せ場が多く、キャスト陣からもその活躍を主役のようだとコメントされている。また、本編にて最後に使用したアークスコーピオンではなく、再びフォースライザーでスティングスコーピオンに変身し、本編と劣らぬ高い戦闘力を発揮している。(強化フォームであるアークスコーピオンは、最終回でゼロワンに破壊された上に、アークと滅を融合させるが滅の方に負担をかけさせ、悪意を滅ぼす目的を持った滅の選択を考えたら再使用はしがたいのも理由だろう。)
本編後の心を持ち合わせており、新しいイズへ或人の元へ導こうとする(別個体である認識は薄いまたは割り切れないためか、それを不破に咎められる)等、本編とは違った姿が描かれている。
本編第31話では「人類の存在するこの世界ではヒューマギアは無力な存在だ。一人では生きてはゆけない。」と悲観するなど世界に破滅願望を抱えていた当人だが、世界への希望を見出し自身は一人ではないことを述べた口上ののち、ヒューマギアである迅だけではなく天津や不破・刃と共に協力し、今度は、破滅願望を抱える多勢に無勢の人間の敵を諭すまでに変化した。
また、エスと或人との会話では、或人が心を救った存在について語る姿を見て、本編でもまた迅や或人から救われた心がある本人であるためか、わずかながら笑む描写もある。
演じる砂川氏も、終盤にて芽生えた心を意識するように柔らかい表情も意識している。
ちなみに、この劇場版の滅の活躍については、杉原監督によると「滅役砂川氏の終盤の演技の熱量に感化され、ご褒美の意味合いもあり力をいれた」 (21)とのこと。
人物関係
通信衛星アーク
滅曰く「アークは絶対、全て」である為、命令に従順でありアークの思想が続くかぎり、自身の機体が破壊されることも厭わない。また、アークの司令を受信して他に伝える役割を担い、イズ同様衛星にとっての仲介機のような立場も兼ねている。他のキャラクターが劇中にて「自身は道具や奴隷ではない」と否定している一方自身は触れることはなく、いわば滅はアークの言いなり状態であった。
第25話にてアークに再接続したが、第36話にて迅の画策により滅はアークの器となり、完全に乗っ取られた。 第41話ではアークへ抵抗をし、アークが甦らないよう人間の悪意を排除するため人類滅亡を志すが、第42話では図らず自らの行いにより甦らせてしまう状況になる。
迅
滅亡迅雷.netの行動係。仮面ライダー迅の変身者。
飛電或人
ヒューマギアと人間の共存を目指す若き社長。
幾度か滅に怒りを向け敵対したが、第35話にて、アークの言いなりから滅を救おうと対話を試み、滅も自身を庇った姿勢へ評価を述べていた。
しかし第42話では関係が悪化。イズの説得に動揺して破壊した滅に対し復讐心を抱いた所にアズがつけ込み、アークワンとなった姿で滅を襲撃し、全面戦争を行った。
天津垓
ZAIAエンタープライズジャパン社長。アークに人間の悪意をラーニングさせ、滅亡迅雷.netも裏で糸を引いていた人物。亡を使役しながらも「奴も私の道具だ」と語っていた事により、滅も行動を傍受され彼の策略を知らずに利用されている可能性を示唆した(12)。ただし、復活後の迅の行動は予想外ともとれる言動をしている。
第16話では起動停止した滅を笑みながら踏むといった行為にも及んでおり、第27話でも滅と一戦を交えたが「時代遅れの絶滅危惧種」と称した。第35話にて滅亡迅雷.net殲滅のために討伐を宣言したが、或人の妨害もあり滅率いる彼らに敗北し撤退した。
与多垣ウィリアムソン
ZAIA本社開発部の幹部だったが、衛星アークが暴走したことで天津を更迭。ZAIAエンタープライズジャパンの新社長に就任する。滅を「アークの置き土産」と称し存在を把握しており、処分しようとする。プロジェクトサウザー後編にて亡と協力し、アークの器として滅を利用することを提案する。
飛電其雄
飛電或人の父親代わりとなったヒューマギアでもあり、滅の原型となる父親型ヒューマギアの元データとして使用された存在。
暗殺ちゃん
ドードーマギア、ドードーマギア改の変身者。祭田ゼットという5体存在する個体が窃盗団により改造された暗殺用ヒューマギアである。第13話にて滅も計算外の暴走に至った。
宇宙野郎雷電/雷
通信衛星ゼアで活動している旧式の宇宙飛行士型ヒューマギア。
第14話で滅・迅と邂逅し仮面ライダー雷へと変身するが破壊され、滅亡迅雷.net及びアークの復活のために第35話で復元される。滅は彼の帰還と復活を快く歓迎し、第41話ではアークの本体である衛星をゼアごと破壊し、アークの言いなり状態から解放した。第44話では、人類滅亡に急ぐ滅へ人間から学んだ心を理由に咎めた。
黒フードの人物/亡
レイドライザーにより人間を暴走させ、迅と共にある人物のチップに宿り滅がA.I.M.S.から脱走する手引きをした開発型ヒューマギア。滅は亡へ「ヒューマギアは人間の奴隷ではない」と主張しており、その言葉と天津の「ヒューマギアは道具である」という矛盾にエラーを起こし、人間とヒューマギアの共生を天津に訴えかけたが…………。滅の言葉のもとヒューマギアとしての自我を芽生えさせており、自身のフォースライザーを迅に託させるよう滅に伝え(第5話時点)、ザイアの機密情報でもあったギーガーの存在を滅に伝える等の任務を行っている(12)。第35話には、「滅の夢を叶える」ことを目的として滅亡迅雷.netに所属。
余談
- 滅が所持している日本刀は指揮刀のように号令をかける際に使うのみで、戦闘に利用する描写はない。実際に戦闘に利用したのは劇場版と第41話でアークに操られていた時である。第44話では採物のようにアークに捧げ変身時の演出に使用した。
- 滅と迅は初期設定では師弟設定となっており、第3話より制作段階で親子設定へ変更された(2)。
- 滅が脱走する第24話で不破が滅を蹴るシーンがあったが、和やかに終わるイメージは避けたいと提案した岡田氏のアドリブで、監督との相談の上追加されたシーンでもある。後日、蹴ったお詫びとして岡田氏は砂川氏に焼肉を奢った。
- 第35.5話にて、滅の個体ナンバーが「0103」であることが明かされた。これは「おとうさん」のもじりかと思われる。
関連タグ
仮面ライダーゼロワン
迅(仮面ライダーゼロワン) 滅亡迅雷.net
仮面ライダー滅
通信衛星アーク
関連・類似キャラクター
- 駆紋戒斗/仮面ライダーバロン:主人公と共闘する事はあれど、あくまで相容れない立ち位置を選んだキャラクター。
- 戦極凌馬/仮面ライダーデューク:弓使いのダークライダーの先輩、「敵組織の司令塔である為、ライダーとしての活躍は少ない」「様々な策略で主人公達を陥れる」「4号ライダーと同じ組織に属しており深い関係にある」「利害の一致で主人公達に共闘を持ちかけた事もある」「物語終盤で一度だけ利害の一致で主人公と共闘するが、自分の目的を果たす為に再び敵対する」「最終的に自分のやらかしたツケが回ってくる」等の点が共通。
- ハート/ハート・ロイミュード:機械生命体である敵のリーダー。
- チェイス/仮面ライダーチェイサー:人間に尽くす為に生み出された使命と葛藤し、心を学んでいった機械生命体。
- アラン/仮面ライダーネクロム:人外として人間と価値観を異にしていたが、自国の理想世界の洗脳が誤っていることを知って離反。尊敬する存在や大切な存在の死を経て、自らの意志や心を学んで乗り越えていったキャラ。
- パラド/仮面ライダーパラドクス:主人公と敵対し、命と心の在り方を問われた人工生命体。
- 破滅コンビ:ガンバライジングで設定されたディケイドと滅のコンビ。因みに、滅役の砂川氏もディケイド役の井上氏を特に尊敬し、好きなライダー作品にディケイドを挙げている。