注意
同名の人物
同名の人物が二名存在する。
- ハリー・ポッターの父親。本記事で記述。
- ハリー・ポッターの息子。フルネームはジェームズ・シリウス・ポッター。該当項目で記述。
タグ付け
「ジェームズ」タグのみの作品が多いが、検索の利便性を考慮するならばジェームズ・ポッターとタグ付けするのが望ましい。
概要
『ウィザーディング・ワールド(魔法ワールド)』の人物。魔法使いの男性。
『ハリー・ポッターシリーズ』の本編開始時点では故人である。
ハリー・ポッターの父で、妻はリリー・ポッター(リリー・エバンズ)。
アルバス・ダンブルドア率いる不死鳥の騎士団の若手の中心として闇の帝王ヴォルデモートと何度も直接対決した人物。
しかし1981年のハロウィン、妻のリリーと共に、ゴドリックの谷にてヴォルデモート自身の手にかかり殺されてしまう。享年21歳。
ルビウス・ハグリッドをはじめ、学生時代からの友人や騎士団のメンバーからは、現在もヒーローの様に想われており、息子のハリーにとっても、ある時期までは彼を「最も尊敬すべき人物」と見ていた。
グリフィンドール出身。学生時代から優秀で、成績は学年上位でクィディッチのスター選手という人気者だった。シリウス・ブラック、リーマス・ルーピン、ピーター・ペティグリューと「マローダーズ」として悪戯騒ぎを起こしていた。7年時には男子首席に選ばれている。
非合法の動物もどきであり、牡鹿に変身する。マローダーズたちからのあだ名はプロングズで、「角の枝分かれ」の意味。
プロフィール
Name | James Potter
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誕生 | 1960年3月27日 |
死亡 | 1981年10月31日 (享年21歳) |
血統 | 純血 |
家族 |
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所属 | 不死鳥の騎士団 |
学校 | ホグワーツ魔法魔術学校 🔴グリフィンドール寮 |
在学中の地位など | |
杖 |
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守護霊 | 🫎牡鹿(明言されていないが、騎士団メンバーなので出せると思われる。そして動物もどきと守護霊の形態は一致する) |
技能 | |
その他 |
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映画版演者 |
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映画版吹替 |
人物
容姿
外見は息子のハリーに瓜二つ。髪は短く漆黒で、四方八方に逆立っている(short and stuck up in all directions)。鼻はハリーよりやや高く、眼鏡を掛けており、背が高くて細面で細身の男性。
ただし、目はハリーと違いアーモンド型ではなく、色はヘイゼル(邦訳版では「ハシバミ色」)で、これは金色と緑色と褐色を混ぜたような色合いのことである。※参考画像
学生時代、格好をつける時(主にリリーがいる時)は髪の毛を更に手でくしゃくしゃにする癖があった。映画版では茶髪であり、その影響かファンアートでも明るめの髪色で描かれることが多い。
原作においてジェームズと瓜二つの容姿とされるハリーは美形だった頃のトム・リドルと顔立ちや雰囲気が似ていると記述されており、非JKR直筆記事(つまりワーナースタッフの筆によるもの)ではあるが、ウィザーディング・ワールド公式サイトがジェームズをシリウスと同じく「容姿端麗」な少年であると記述したこともある。原作者による彼の容姿への記述は「good looks」(総体的に見てかっこいいこと、雰囲気・しぐさ含む)で、明確に顔貌が整っているのかは不明。
享年21歳なので生前の姿は青年であるはずだが、映画版では中年~壮年のキャスティグがなされた。これは原作者と情報がうまくやり取りできていなかったか、あるいは「父」としてのイメージを重視した結果だろう。(そもそもジェームズと同期のセブルス・スネイプやシリウス・ブラック、リーマス・ルーピンも映画版では原作よりも年上のイメージでキャスティングされている)。
パーソナリティー
由緒正しい純血で名家の一人息子。実家は非常に裕福で、かなりの高齢妊娠の結果生まれた子供だったこともあり、両親に深く愛されて何不自由なく育った恵まれた青年。両親の人柄や家風の違いもあり、同じような境遇であるドラコ・マルフォイと異なり、純血主義やマグルへの差別意識に染まることもなく、闇の魔術に対しては徹底的な拒絶や嫌悪感を示していた。
作中では英邁闊達な人物とされ、学生時代も成績優秀な上に素晴らしいクィディッチ選手で、最終学年には首席(ヘッドボーイ)にまで選ばれた。
また、マクゴナガル曰く「抜群に賢く」、ルーピン曰く「何をやらせても校内で一番優秀だった」とされ(より詳細に言えば両者の評価はジェームズだけでなくシリウスも含む)、習得困難で達成者は極僅かである動物もどきになることを教授の指導なしに成功し、成人後はあのヴォルデモートの魔の手から3度も逃れる等、資質においても非常に恵まれた才気煥発な人物として描かれている。
一定の年齢まではやや傲慢で増長していたとされるが、一方で作中の多くの人物からは一貫して明朗快活でユーモアに溢れ、友情に篤い人望ある人物として語られている。シリウスや教授らによれば、学生時代は悪戯好きで問題児ではあったものの、皆から好かれる人気者だったとされ(この「皆」にスリザリン生が含まれていない可能性は高いが)、前述のように生前に親交があった友人や不死鳥の騎士団のメンバーからは没後もヒーローの様に語られることもある。
後の世代で例えれば、ビル(容姿端麗で人望ある首席)やチャーリー(優秀で人気なクィディッチ選手)、フレッド&ジョージ(悪戯好きで皆を楽しませる人気者)、マルフォイ(裕福な資産家の子息で由緒ある純血)といった面々の長所を一身に集めたような人物と言え、いかに好かれやすく人気がある青年であったかは想像に難くない。
また、学生時代にジェームズがスネイプにした執拗な攻撃はイジメと言い得るものだったが、
- 魔法界で徹底して差別される存在である狼人間のリーマスを受け入れ、彼の孤独と苦しみに寄り添うために動物もどきになった。
- ブラック家を勘当されたシリウスをポッター家に迎え入れ、狼人間であるため定職に就けなかったリーマスに経済的支援をした。
- 闇の魔術や、それを行使したり、傾倒する人物を嫌い(スネイプへ攻撃した一因でもある)、魔法界の平和を取り戻すために果敢にヴォルデモートに対抗した。
- ピーターの裏切りによりヴォルデモートに自宅を襲撃された際には自分の命を盾にして妻子を守ろうとした。
このように愛情に溢れ、友情に篤く、勇気と正義感に富んだ人物であったことも事実である。本人がホグワーツ特急で宣言した通り、まさにグリフィンドールらしい人物であった。
※またスネイプとの確執については、ハリーが見たスネイプの記憶では一方的な加害者のようだったが、実際には互いに頻繁に呪いをかけて攻撃し合っていたとされ、一般的なイジメの加害者と被害者の様な関係性ではないことには留意する必要がある。
来歴
生い立ち
1960年3月27日、由緒正しき純血のポッター家に生まれる。ただし純血だが家風は純血主義ではなかったようだ。
父はフリーモント・ポッター、母はユーフェミア・ポッター。具体的な年齢は不明だが、魔法族の基準で見てもかなりの高齢出産だったらしい。
フリーモントは死の秘宝のイグノタス・ペベレルの末裔であり、本編でハリーが持っている真の透明マントの継承者である。また彼は優れた魔法薬師でもあり、魔法薬の発明で特許を取って成功させた会社を売却して家の財産を何倍にも増やした。
両親に深く愛されて育った(とハリーは若いジェームズを見て確信していた)。
学生時代
低学年〜中学年
ホグワーツ魔法魔術学校に入学、尊敬する父フリーモントと同様にグリフィンドール寮に組み分けされる。
クィディッチチームでも優秀なチェイサーとして活躍。成績も優秀で文武両道だった模様。陽気でユーモア溢れるその性格から、一部を除き学校中の人気者であった。シリウス・ブラック、リーマス・ルーピン、ピーター・ペティグリューと親しく、マローダーズ(徘徊者、強奪者、強襲者)(悪戯仕掛け人)と名乗っていた。ホグワーツ全域を探検し、忍びの地図(Marauder'smap)という逸品も作成している(後にフレッド&ジョージを経て息子ハリーの元へ渡る)。
特にシリウス・ブラックとは入学前に乗ったホグワーツ特急の中で既に意気投合しており、以降、唯一無二の親友として「一心同体」「影と形」と呼ばれるほど兄弟同然の付き合いをしていた。
また、同じく親友の1人であるリーマス・ルーピンが狼人間であることを認識すると、アニメーガスになる方法を調べ能力を会得し、ルーピンが狼状態のときでも一緒にいられるようにするなど、篤い友情を示した。
一方でスリザリンのセブルス・スネイプとは入学前のホグワーツ特急で同じコンパートメントに乗り合わせた時から互いに軽蔑・憎悪し合う関係になる。
ジェームズはスネイプがヴォルデモートに近しい思想(ジェームズの嫌う闇の魔術や純血主義)に傾倒していたこと、他生徒に平然と闇の魔術を使うような危険なグループに属していたこと、ジェームズが想いを寄せていたリリー・エバンズと仲の良い幼馴染であったこと等に対する嫌悪感や嫉妬からスネイプを激しく敵視、執拗に攻撃していた。
また、スネイプもジェームズが裕福で円満な温かい家庭に恵まれていたこと、優れたクィディッチ選手であり殆ど全ての分野において校内一に優秀であったこと、学校中の人気者でスネイプの愛するリリーも(彼女がいつ頃から自覚していたかは定かではないが)ジェームズに惹かれていったこと等、自身の望む資質や才能、他者からの好意や愛情に恵まれていたジェームズに対する羨望や嫉妬から彼を激しく敵視し、対立していた(後にルーピンが当時について語った内容によれば、常にジェームズから攻撃をしていたわけではなく、スネイプから攻撃することも少なからずあったようである)。
詳細は不明であるがスネイプ以外の多くの生徒にも悪戯目的で面白半分に呪いをかけていたとされる。ただし呪いにもSpell/Charm/Hex/Jinx/Curseといった種類があり、ジェームズは他者を害する様なユーモアがないとされる呪いは使っていない(3巻でのハグリッドの発言から原作でフレッドやジョージがしていた様な悪戯と同じ類の行為と思われる)。
また、シリウスがスネイプを人狼状態のリーマスに出会うように誘導した際は、危険を顧みずスネイプを救出しており、深刻な敵対関係にある者にも決して邪悪な呪いは使わないなど、一貫して一線を弁えていたことが窺える(一方でスネイプは学生時代からセクタムセンプラの様な危険な闇の魔術を発明・行使していた)。
リリーは周囲に優秀さを誇示せずにはいられないジェームズの傲慢さを嫌っており(シリウスによればリリーが近くにいる時のジェームズはアピールせずにはいられなかったとあるため、実際には常にそうだったわけではないのかもしれない)、偶然スネイプの記憶を見た息子ハリーも今までの「理想の父親」像が崩れ、シリウスとリーマスに問い質すほどのショックを受けた(ただ原作者によれば、この時点で既にリリーはジェームズに惹かれていたとのこと)。
高学年
その後、スネイプとリリーが絶交。7年生になりホグワーツの首席(ヘッドボーイ)に任命される頃には傲慢さや目立ちたがり屋といった短所を改めていたようで、晴れて同じく首席(ヘッドガール)に選ばれたリリーと交際するようになった。
しかし、そのことでさらにスネイプに憎まれるようになり、リリーに気づかれないところでは卒業するまで呪いのかけ合いは続いていたようである。
ちなみにシリウスが16歳の時に夏休みにブラック家に耐えかねて家出、ポッター家に転がり込んできている。原作者書き下ろしの短編ではジェームズとシリウスでバイクに二人乗りしながら死喰い人とチェイスしているのだが、それはおそらくこの辺りの事件だろう。
卒業後
死喰い人に勧誘を受けるも、それを断ってリリーや悪戯仕掛け人と共に不死鳥の騎士団の初期メンバーに加わる。断った際にはヴォルデモートに1回目の襲撃を受けたが退け、計3回ヴォルデモートの襲撃を退け生き延びた。騎士団の活動に専念するため妻のリリーと共に職についておらず、両親からの莫大な遺産で生活していた。
このため、理由はともかく、バーノン・ダーズリーの「ポッターは働いていなかった」発言も実は事実であったことが判明している。
また、ブラック家から勘当されたシリウスを家に留め置き、狼人間であるため定職に就けなかったリーマスには経済的な支援をした。
ジェームズとリリーは親戚となるダーズリー家を訪れたことがあるが、ペチュニア・ダーズリーとバーノン・ダーズリーは魔法の存在を受け入れず、良好な関係を築くことは叶わなかった。これによって幼少期にスネイプによって壊された姉妹関係を修復することが出来ないまま、今生の別れとなる。
リリーとは卒業後に結婚し、ハリーが誕生した。
なお、結婚式に付添人はシリウスが務めている。作者の発言によれば息子にはクリスチャンとしての洗礼式もきちんと行い、洗礼親はシリウスに任せた。
ヴォルデモートが「予言」に従い息子ハリーの命を狙っていると判明すると、ゴドリックの谷で事実上の隠遁生活を送る事になる。シリウスが「忠誠の魔法」により居場所を隠すための「秘密の守り人」をピーターにするように薦め、それを承諾。しかしピーターの裏切りに遭い、ヴォルデモートにポッター家の所在が発覚してしまう。
1981年10月31日。ジェームズはリリーとハリーを逃そうとヴォルデモートに一人対峙した。しかし、ピーターを信じきっていた彼は直前まで杖を使ってハリーと遊んでおり、杖を居間に置いたままにしてしまっていた。アルバス・ダンブルドアでさえも勝てるかどうかといった強さを誇ったヴォルデモートを相手にするには致命的なミスだった。
その後
4巻にてハリーがヴォルデモートと決闘した際、逆転呪文によりヴォルデモートの杖から霊体のような存在で姿を現し、リリーと共にハリーを支援した。
7巻では蘇りの石によって、死に向かうとするハリーの前に再び霊体ような姿で登場した。映画版ではハリーと対話をしていないが、原作ではハリーと話している。
原作と映画の相違点
映画ではスネイプが一方的に被害に遭っているシーンのみが描かれたためジェームズの印象が悪いが、原作ではルーピンが当時の両者について、常にジェームズから攻撃をしていたわけではなく、互いに呪いをかけて攻撃し合っていたと語っており、一方的な加害者と被害者といった関係ではなかったことが明示されている。実際、ハリーが見た記憶でスネイプが攻撃される側だった際ですら(セクタムセンプラと思しき)魔法でジェームズに切り傷を負わせ、応戦している。
また、スネイプは「常にジェームズたちは徒党を組んで自分を狙った」と言っているが、彼も完全にスリザリンで孤立していたわけではなく、マルシベールやエイブリーといった自身と同じ死喰い人予備軍のグループに属していた。
そして当時のマルシベールやエイブリーは他生徒(リリーの友人を含む)に闇の魔術を行使しており、スネイプは行動を共にしていながら、彼等の行為を止めることなく黙認していた上、その邪悪な所業を嫌悪感を露わにして責めるリリーに対し、彼等を擁護する発言までしていた。
スネイプが彼等の行為に積極的に加担していたのかは不明だが、ハリーが手にした彼の学生時代の教科書やルーピンがセクタムセンプラをスネイプの十八番と評していたことから、スネイプも学生時代から闇の魔術を発明・行使していたことは明示されている。
これらを総合すると、スネイプはジェームズ達に執拗な攻撃を受けていたが、同時に自身もジェームズへ攻撃しており、また一般的な生徒から見れば闇の魔術を他生徒に行使する謂わばテロリスト予備軍とでも言うべき危険で暴力的なグループに属する危険な人物であった。
学生時代のジェームズやシリウスが多大な人気を博していたのは、こうした危険なグループに堂々と対抗できる存在であったことや、闇の魔術による被害に遭った生徒達から見れば仕返しを代行してくれるヒーローの様な存在と見做されていたことも理由の1つだったのかもしれない。
事実、スネイプの記憶においても周囲の生徒達の多くがジェームズ達に味方するような態度をとったが、スネイプに同情したり、彼を庇ったりするような生徒はリリー1人を除いて全くいなかった。
ハリーもスネイプの記憶を見たことで流石に父に対して失望し、リリーがなぜジェームズと結婚したのかと悩んだ時期もあったが、その後の冒険の中で完璧な善人はいないことを受け入れ、妻ジニー・ウィーズリーとの間に生まれた長男に、父と名付け親のファーストネームをとって、「ジェームズ・シリウス・ポッター」と名付けるなど、命を捨てて自分を守った父に尊敬の念を失う事はなかった。
原作と映画の相違から、映画派のファンからは「クズ」というイメージを持たれがちである。一方で原作を読むと、欠点もあるが多大な長所や美点も持っており、成長するにつれて欠点をなくすために努力した人という評価に変わることが多い。
「ジェームズVSスネイプ論争」はファンダムでは定番のネタであり、特に映画から参入したファンと元から原作を熟読していたファンで意見が割れやすく、完璧な善人とは言い切れないジェームズと、完璧な悪人とは言い切れないスネイプは双方ともに魅力的なキャラであるため、議論がオーバーヒートしやすい傾向がある。自身が議論に参加する際はヒートし過ぎないように気を付ける必要がある。