概要
J・K・ローリングによる『ハリー・ポッター』シリーズ並びにウィザーディング・ワールドの作品群に登場する用語。
自らを動物へと変身する変身術を有する魔法使い、魔女のことを指す言葉。
言葉の意味
原語ではAnimagus(アニメーガス)。
動物を意味するアニマル(animal)とラテン語で魔法使いを意味するマグス(magus)を掛け合わせた言葉で、直訳すると『獣身術師』の意味。
通常の変身術との違い
アラスター・ムーディに変身したバーテミウス・クラウチ・ジュニアがドラコ・マルフォイをフェレットに変身させたように、通常の変身術でも杖と呪文によって動物に変身することが可能。
しかし、杖と呪文による変身では思考が無くなり、人間であることを忘れてしまう上に変身を解くには他の魔法使い魔女の助けを借りなければならない。
しかし、動物もどきは喋れないものの人間としての思考は持ち合わせ、自分に対して自由自在に行える。
ホグワーツ魔法魔術学校で優秀な成績を修めていたジェームズ・ポッターやシリウス・ブラックも習得に三年の歳月を要しており、非常な高度な技術を要する魔法。
差異 | 動物もどき | 変身術 |
---|---|---|
杖の有無 | 必要なし | 必要あり※ |
呪文の有無 | 必要なし | 必要あり※ |
習得期間 | 3年以上? | 不明 |
変身時の思考 | 人間としての思考はある | 思考はなく人間であることを忘れる |
人間に戻る時 | 自由自在 | 他者に解いてもらう |
変身の対象 | 自分のみ | 自分・他人 |
※高度な技術を持つ魔法使いは杖や発声無しで呪文を唱えることができる。
※ただし、杖や発声を使用する呪文のほうが効力が高い。
習得方法
下記の習得方法は派生作品であるゲームホグワーツの謎より参照したもので、正式な内容かどうかは不明。
- STEP1:1ヶ月間マンドレイクの葉を口に含ませたままにする。この際、葉を飲み込んだり吐き出してはいけない(他人に見られるのも不可)。万が一失敗すると、最初からやり直しとなる。その後満月の夜にマンドレイクの葉を口から取り出し、葉を瓶に入れ唾液で浸し、それを月光に照らす。満月が曇天の場合は新たなマンドレイクの葉で再度行う必要がある。
- STEP2:月光に照らしたら次に自身の頭髪1本と7日間日光に当たらない露を小さじ1杯とドクロメンガタスズメの繭を瓶に加える。その後、瓶を暗所で静かな場所に置き、雷雨になるまで誰からも触れられない場所に置く。覗き見たり、日光を当ててはいけない。考えることも勧めない。
- STEP3:雷雨を呼ぶ嵐が来るまでの期間、対象者は杖を胸に当て、動物もどきの呪文を毎日、日出と日没に唱える。
『AMATO ANIMO ANIMATO ANIMAGUS』(アマト・アニモ・アニマト・アニマグス)
- STEP4:雷雨になったら瓶の所へ向かい、広く安全な場所に移る(万全を期すためになるべく一人で)。成功していれば瓶の中に赤い魔法薬が出来上がっている。そして動物もどきの呪文を唱え魔法薬を飲み干す。
以上の手順で動物もどきになることが可能である。どのような動物に変身するかは対象者自身選ぶことができず対象者に合った動物に変身する。
注意事項
- 前提として卓越した魔法薬学と変身術の技量が必須となる。また時間を要する魔術であり、強い忍耐力がない魔法使いには推奨しない。
- 習得失敗となると半人半獣と化す深刻な事態に陥りやすい。また既存の治療法は存在しない。
- 習得成功後、最初の変身の際、動物の鼓動を感じた後に激しい苦痛と不快感に襲われる。この時恐怖に支配され、パニック状態になると心まで動物に偏ってしまい、暴走する危険がある(上記にある広く安全な場所で一人で実行するのはこのため)。
魔法省への登録義務
動物もどきは術自体の危険度や自由度が高いことと、偵察や盗みなど能力の悪用をしやすいことから魔法省が厳しく変身者の動向を監視している。
具体的な方策として動物もどきの名称や特徴を記した登記簿を作成しており、変身者は必ず魔法省へ報告しなければならない。違反した場合、アズカバンへ収監もあり得るため、リータ・スキーターはハーマイオニーの要求を呑むしかなかった。
ハリー・ポッターの作中である20世紀中に魔法省に登録されていた動物もどきは七人となっている。
その内の一人がホグワーツ魔法魔術学校の変身術の教授、ミネルバ・マクゴナガルである。
ただし、原作だけで少なくとも五人の動物もどきが登場していながら、魔法省へ報告していたのはミネルバ・マクゴナガルだけだった。
そのため、他にも動物もどきを習得していながら魔法省に報告していない人は居ると考えられる。
特にヴォルデモートが暗躍した闇の時代に置いて、動物もどきのスパイ活動は不死鳥の騎士団ならびに死喰い人両陣営に齎した影響は大きく、母同様に動物もどきとなったタルボット・ウィンガーは死喰い人からの報復を受ける可能性を考慮して登録を見送っていた。
人物 | 作品媒体 | 動物の種類 | 登録の有無 | 備考 |
---|---|---|---|---|
ミネルバ・マクゴナガル | ハリポタ | トラネコ | 合法 | 変身術の研究のため |
シリウス・ブラック | ハリポタ | 黒い犬 | 非合法 | 親友のため |
ピーター・ペティグリュー | ハリポタ | 白いネズミ | 非合法 | 親友のため |
ジェームズ・ポッター | ハリポタ | 牡鹿 | 非合法 | 親友のため |
リータ・スキーター | ハリポタ | コガネムシ | 非合法 | スキャンダルを掴むため |
タルボット・ウィンガー | ホグミス | 鷲 | 非合法 | |
タルボットの母 | ホグミス | 白鳥 | 非合法 | 死喰い人の情報を得るため |
間違えやすい能力と種族
差異 | 動物もどき | マレディクタス | 狼人間 |
---|---|---|---|
変身技術 | 訓練 | 先天性 | 先天性又は後天的 |
変身意志 | 自由自在 | 徐々に制御不能 | 満月の時、強制的 |
人間の思考 | あり | あるが徐々になくなる | なし |
能力の遺伝 | なし | 母から娘にのみ | 狼人間同士の子又は噛まれる |
能力の区分 | 変身術 | 遺伝の呪い | 感染症 |
血の呪い
【対象者】ナギニ
女性にしか発症せず、母親から娘へと受け継がれていく呪いのこと。
マレディクタス(Maledictus)はその呪いによっていずれ永久的に動物の姿になってしまう女性の意味。
発症すると動物もどきどうように特定の動物に自由自在に変身できるようになる。
呪いの種類によって変身する動物の種類が変わり、ナギニの場合は蛇になる。
しかし自由意思で動物に変身できる動物もどきと異なり、自分の意志とは関係なく徐々に呪いが進行していき、最終的に永遠に動物の姿になってしまう。
狼人間
【対象者】リーマス・ルーピン、フェンリール・グレイバック、キアラ・ロボスカ
一ヶ月に一度、満月の時に凶暴な狼人間に変身する種族。
平常時は普通の人間と変わらず日常生活を送っているが、一度満月になると理性と自我を失い、積極的に人に捕食しようとする。
主に先天的な狼人間と後天的な狼人間が存在する。
動物もどきとの違いとして、変身後の思考を保つことが出来ず、自由に変身できないことが挙げられる。
しかし、変身後に動物との一定のコミュニケーションは可能であり、リーマス・ルーピンの親友たちの悪戯仕掛け人は満月の日に彼が孤独にならないように動物もどきを習得した経緯がある。
余談
守護霊と同じ
原作者曰く、エクスペクト・パトローナムの呪文で動物の形を取る守護霊と原則的に同じ姿をとるため、自分で動物を選べない。
ニンファドーラ・トンクスがリーマス・ルーピンへの愛から守護霊がうさぎから狼に変わっているため、もし彼女のように動物もどきが愛する相手の守護霊や動物もどきと同じ動物に変わる可能性があるのかどうかは不明。
変身の範囲
シリウス・ブラックは黒い犬の動物もどきだが、映画版の『アズカバンの囚人』ではジャーマンシェパード、『不死鳥の騎士団』ではスコティッシュ・ディアハウンドという全く別の犬種になっていた。
単なる大人の事情と片付ければそれまでだが、『黒い犬』であればどんな犬種にも変身できるということであるなら動物もどきの中でもかなり自由度の高い変身が可能ということになる。