概要
『ウィザーディング・ワールド(魔法ワールド)』の人物。1990年代において現存する人狼の中で最も残酷とされる男で、死喰い人の一員として名を連ねている。しかしこれは正式なものではなく、闇陣営側の人狼たちのリーダー的存在であるがゆえの名誉的な地位であることが仄めかされている。他の死喰い人と違って、闇の印が刻まれていない。(つまり、ヴォルデモート卿への連絡手段を渡されていない。)
「狼人間は人の血を流す権利がある」という考えを持ち、「魔法使いの子供を噛んで狼人間、そして死喰い人にすること」を使命とする。また、人を噛むことを愉悦としており、特に子供を好む。
リーマス・ルーピンを人狼にした張本人。
プロフィール
容姿
歯は尖り、爪は長く黄色く、髪や髭は灰色で縺れている。身体は大きく、血と泥と汗が混じったような悪臭が漂っている。このような外見となった一因として、グレイバックが通常の人狼と異なり、変身していない状態でも人を噛むという性向がある。また、満月の夜には確実に捕食できるように獲物の近くで身を隠し自らの変身を待つ。
来歴
生年不明。
おそらく若い時にグレイバックは既に人狼であり、その疑いで魔法省に連行されていた。この時、魔法省職員ライアル・ルーピンが失言により人狼を侮辱(「人狼は死に値すべき」と発言)してしまったため、グレイバックは復讐としてライアルの息子リーマス・ルーピンを噛み、人狼にした。
グレイバックは生涯を通じて数多の人を襲った。いつ頃からか人狼のリーダーとしてヴォルデモートの傘下に加わり、死喰い人のローブを与えられた。第一次ヴォルデモート暗黒期において、グレイバックの名は人々の恐怖の対象であった。
グレイバックの存在とその主張により、人狼のほとんどが闇の陣営につくことになる。
ヴォルデモート消滅後も人狼として人を襲い、ホグワーツに襲撃したりしている。ヴォルデモート復活後は死喰い人として合流。(ただし、復活の際の墓場での死喰い人召集には呼ばれていない)
1996年度の天文台の塔の戦いにはドラコ・マルフォイの手引きによりホグワーツへ侵入し参戦。人間状態でビル・ウィーズリーに顔に噛みついており、彼は人狼にこそならなかったものの(グレイバックが変身状態ではなかったため)、ポピー・ポンフリーの癒術をもってしても深い傷跡が残った。人狼の噛み付きというのは「セクタムセンプラ」と同様に呪いを帯びた傷なのである。
映画版では天文台の塔の戦いの約半年前にベラトリックス・レストレンジと共にウィーズリー家を焼き討ち。ハリー・ポッターとジニー・ウィーズリーと戦った。
1997年度の魔法省陥落前後からスカビオールら人攫いと共同で活動し始める。マグル生まれやホグワーツを逃れた子供を欲望のために攫っていた。
ホグワーツ最終決戦ではラベンダー・ブラウンを襲っているところをハーマイオニー・グレンジャーに攻撃され吹き飛ばされる。その後シビル・トレローニーに水晶玉を頭にぶつけられたりと散々な目に合い、最後はロン・ウィーズリーとネビル・ロングボトムにより撃破された。
差別と憎悪
人狼は魔法社会において古くから蛇蝎の如く嫌われ避けられる存在であった。人狼は身元を登録することが要請され、ドローレス・アンブリッジ起草の反人狼法では就職がほぼ不可能となるなど、政府からも取り締まられる存在であった。
また、1990年代になるまで狼化症状を抑える魔法薬さえ発明されず、人狼となったものは毎月の忘我状態と破壊衝動に苦しんでいた。
彼らは就労や結婚はもちろん、ホグワーツに通い教育を受けることすらリーマス・ルーピンといった幸運な特例を除いて許されたことはない。
つまりグレイバックは人狼たちの社会への憎しみを代弁する存在であった。
これが人狼がほぼ例外なく闇の陣営の傘下に入っている理由である。
そして、このように人狼が社会への負の感情を募らせれば募らせるほど、「まとも」な魔法使いはより人狼の有害性や動物的な側面に注目し、怖がり、嫌悪し、無視する。このような現実世界でもありふれた負の連鎖が継続していたことは想像に難くない。
そして、実はグレイバックらに協力する純血主義者や死喰い人達も人狼を差別し、侮蔑しているのである。