「クルーシオ!(苦しめ!)」
「闇の帝王は再び立ち上がるぞよ!我々は待つのみ!あの方は蘇り、我々を迎えにおいでになる!」
概要
『ウィザーディング・ワールド(魔法ワールド)』の人物。闇の魔女で、死喰い人。闇の帝王ヴォルデモート卿の忠実な右腕として知られており、作中でも屈指の実力を誇る。作中では従弟のシリウス・ブラックに姪のニンファドーラ・トンクス、ドビーなど、ハリーたちの仲間の多くの命を奪った。
ちなみにレストレンジは夫であるロドルファス・レストレンジの姓であり、旧姓はベラトリックス・ブラック。そのためシリウス・ブラックや、マルフォイ家に嫁いで姓が変わったナルシッサ・マルフォイとその息子ドラコ・マルフォイとは親戚関係にあたる。
本編開始時点ではアズカバンに収監されていた。しかし、ヴォルデモート卿の復活によって夫ロドルファス・レストレンジをはじめとした他の死喰い人と共に脱獄。
初登場は第5巻の『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』であるが、第4巻の『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の時点で既に復活したヴォルデモート卿から言及(「アズカバンが開放されたときには、レストレンジたちは最高の栄誉を受けるであろう」)がある。また、憂いの篩の裁判のシーンでも一瞬登場する。ただしベラトリックスの名前そのものは第5巻まで登場しない。
プロフィール
Name | Bellatrix Black →Bellatrix Lestrange
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誕生 | 1951年 誕生日不明 |
死亡 | 1998年 5月2日 |
血統 | 純血 聖28一族 |
家族 |
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杖 |
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出身 | ホグワーツ魔法魔術学校 🟢スリザリン寮 |
愛称 | ベラ(ヴォルデモート卿とナルシッサから) |
技能 | |
映画版演者 | ヘレナ・ボナム=カーター |
映画版吹替 | 高乃麗 |
来歴
女戦士の星
1951年に、純血一族の王族を称するブラック家の分家筋に生まれた。
天体から命名するというブラック家の習慣に従って彼女もまた星の名を名付けられ、女戦士や征服者を意味する「ベラトリックス」というオリオン座のγ星を背負うことになった。
またベラトリックスはブラック家三姉妹の長女であり、妹にアンドロメダ・トンクスとナルシッサ・マルフォイがいる。
ホグワーツ入学後は一族の慣習通りスリザリン寮に入寮。同年代にはルシウス・マルフォイ(1954年生まれ)やアーサー・ウィーズリー(1950年生まれ)、モリー・プルウェット(生まれ年は明らかではないが、アーサーと同年代)にリータ・スキーター(1951年生まれ)などがいる。
ちなみにシリウス・ブラックやジェームズ、リーマス・ルーピンにセブルス・スネイプなどのハリーたちの直接の親世代(1960年生まれ)とは若干年齢が離れている。(ドラコ・マルフォイのみ両親がベラトリックスと同世代)
そのためシリウスやジェームズとベラトリックスはホグワーツ在校期間は被っていない。
その後、時期は定かではないがロドルファス・レストレンジと結婚(おそらく政略結婚)し、以後はレストレンジの姓を名乗る。敬称は「マダム」だが、これが貴族的な慣習なのかレストレンジ家がフランスに由来する血筋であるためなのは不明。
闇の帝王の愛弟子
ヴォルデモート卿が活動を開始すると、ベラトリックスは夫ロドルファスと共に死喰い人に加入。
第4巻で復活した際のヴォルデモート卿の言葉によれば、レストレンジ夫妻は死喰い人の中でもとりわけヴォルデモート卿に忠実な僕であったようである。特にベラトリックスのヴォルデモート卿への忠誠心は作中でもかなり顕著な形で現れており、ヴォルデモート卿からも愛称で呼ばれたり直々に闇の魔術を伝授されたと言われるなど、特別な扱いを受けていた様子が見られる。
そもそも死喰い人はそのほとんどが男性であり、女性の死喰い人はほとんど言及されていない。(原作ではベラトリックスの他にはアレクト・カローのみ)
そのため、ヴォルデモート卿がベラトリックスを登用したのには何か他の理由(後述)もあったのかもしれない。
ベラトリックスのヴォルデモート卿に対する態度は、臣下としての忠誠を超えた愛情や執着の域にまで達しているようにも感じられ、実際作者のJ・K・ローリング女史は「ベラトリックスはロドルファスを愛さず、ヴォルデモートだけを愛していた」と発言している。
つまりベラトリックスとロドルファスの結婚は恋愛結婚ではなく家同士に決められた政略結婚で、ベラトリックスは夫を愛していたということは無さそうである。
だがその一方で夫ロドルファスの方は、ハリーがダーズリー家からトンクス家へ逃げる際、妻ベラトリックスと行動を共にしてニンファドーラ・トンクスを追撃していたり、『ハリー・ポッターと呪いの子』では「ベラトリックスの忠実な夫」と呼ばれていたりと、こちらは妻への愛情があった可能性もある。
揺るがぬ忠誠
第一次魔法戦争の終結時、リリー・ポッターの息子に対する愛の魔法による反撃を喰らいヴォルデモート卿が姿を眩ませると、ルシウス・マルフォイを始めとした多くの死喰い人が保身に走る。
そんな中ベラトリックスは夫ロドルファスと彼の弟ラバスタン・レストレンジ、そしてバーテミウス・クラウチ・ジュニアと共にヴォルデモートの生存を信じ、その捜索に奔走した。
その過程で闇祓いのフランク・ロングボトムとアリス・ロングボトム夫妻を捕らえ磔の呪文をかけて拷問、ロングボトム夫妻は廃人となり、その件でベラトリックスたちは逮捕されることとなった。
しかし彼女は裁判でもヴォルデモートへの忠義を否定することなく「闇の帝王は再び立ち上がるぞよ!我々は待つのみ!あの方は蘇り、我々を迎えにおいでになる!」と叫ぶ。そのままアズカバンへ投獄されることを受け入れた。
この一件があり、結果的にはヴォルデモート卿の復活に全く寄与することが出来なかったにもかかわらず、レストレンジ夫妻は復活したヴォルデモート卿にその忠誠心を評価される。「最も忠実な僕」として、再び主人に仕えることとなった。
「最後の、そして最強の副官」
そして第二次魔法戦争では神秘部の戦いやホグワーツの戦いに参戦。シリウス・ブラック、ニンファドーラ・トンクス、ドビーなどを殺害した。またマルフォイの館ではハーマイオニー・グレンジャーをナイフを使って拷問にかけている。
ちなみに、ベラトリックスはフレッド・ウィーズリーの殺害に直接関与したのかは不明。
そして最後はモリー・ウィーズリーとの決闘で敗北し、モリーが放った呪い(種類は定かではないがおそらく死の呪い)を胸に受けて死亡した。
(映画版ではモリーに一度石化させられた後に粉々にされている。よくこれはペトリフィカス・トタルスからのレダクトだと言われるが、詳細は不明。少なくとも原作でのペトリフィカス・トタルスには硬直化の効果はあれど石そのものにする効果はない。)
また、騎士団員と言えど基本的には主婦に過ぎないモリーが熟練の戦闘員であるベラトリックスを殺せたことに納得できない読者もいるようだが、なにぶん乱戦下での出来事でもあるし、ベラトリックスがモリーを格下と侮った結果であったとも言える。
容姿
容姿端麗な者が多いとされるブラック家の血筋らしく、艶のある豊かな黒髪を持った美女。
その後、アズカバン時代を経てその容貌も衰えてしまった。
しかし、チョウ・チャンに熱をあげシリウス・ブラックの美貌を評価しジニー・ウィーズリーに恋に落ちるなど、何かにつけて顔の造作にうるさい事で定評のある(?)ハリーから「昔は綺麗だったんだろう」というようなニュアンスで称されており、美女であったことには間違いはない。
また、ハリーがアンドロメダ・トンクスをベラトリックスと間違えるシーンもあるので、ベラトリックスの脱獄後の容姿はある程度回復したようである。
ちなみにハリーはベラトリックスの妹のナルシッサに関しても「(周りを見下すような顔をしていなければ)美人なのに」という感想を抱いている。
映画版はアズカバン脱獄後から徐々に髪質や容姿などが改善しているような演出もあり、髪の艶と化粧の雰囲気がよく見ると初登場時と死亡直前ではかなり違っているのがわかる。髪にパーマがかかっている他、胸元の開いたドレスにコルセットをつけたボンデージ風の戦闘服が印象的で、他の衣装を見ても全体的に服の系統は妹のナルシッサに近い。前述の戦闘服はデザインがかなり斬新(コルセットがツギだらけ)だが、胸元の空いたロングドレスにコルセットという出立ちには格式ある女性の正装という雰囲気があり、得にコルセットは時代的にも少々古めかしい衣装であるため、死喰い人たちの衣装(旧時代の特権階級を思わせるようなものが多い)には全体的に演出的なこだわりがあるようだ。
実はこのコルセットスタイルを考案したのはベラトリックスを演じた女優のヘレナの方かららしく、曰く「セクシーに見せたかった」とのこと。
ちなみにベラトリックスはホグワーツの戦い時点で40代後半である。まさに美魔女と言えるだろう。
人間関係
ブラック家
互いに愛称で呼び合うなど、妹ナルシッサとの仲はおおむね良好なようである。ただし息子のドラコを溺愛している妹とは違い、ベラトリックスは「息子はヴォルデモートのために命をかけて仕えさせるべき」という考え方を持っている。そのためベラトリックスから見て甥であるドラコ・マルフォイの教育面では対立している。
それでもナルシッサがドラコを守るためにセブルス・スネイプと「破れぬ誓い」を結んだ際には立ち合いをしたり、ドラコの任務を支援するために彼の閉心術の師匠になったりと、ナルシッサの手前もあるのかドラコのことは家族として尊重していたようである。だが映画版で表情をうかがう限り、ドラコの方ではベラトリックスのことはかなり怖がっていたようだ。
またもう一人の妹のアンドロメダに関しては、彼女がマグル生まれの魔法使いであるテッド・トンクスと駆け落ちしたため絶縁状態であり、かなり憎んでいた。
シリウス・ブラックに関してもそうだが、ベラトリックスはブラック家や純血の家を守ることを非常に重んじているため、「血を裏切る者」である彼らを許すことは出来なかったようだ。
彼女が作中で明確に殺害した描写のある「シリウス」「ニンファドーラ(アンドロメダの娘)」「ドビー」は、全てベラトリックスと近しい関係を持っていたものたちであり(ドビーは本来マルフォイ家の屋敷僕であった)、特にシリウスとニンファドーラは彼女自身での殺害に執着していた向きがある。ヴォルデモートに「狼人間(リーマス・ルーピン)と姪が結婚したようだな」と作中で煽られて辱められた影響もあるだろう。
仮面夫婦
前述の通りレストレンジ家のロドルファスと純血婚をしたものの、彼との間に子供はいなかった。
ただこれが仮に政略結婚であるならば後継である男子を作ることは必須事項であるし、政略結婚は受け入れても子供を作ることは受け入れないというのは純血の血を繋ぐことに執着しているベラトリックスの性格からしてもなかなか筋が通らないため、なぜ子供がいなかったのかは不明。
或いは後述(余談)の理由から、かなり初期から夫婦関係が破綻していたためであるのかもしれない。
『ファンタスティック・ビーストシリーズ』ではレストレンジ家の女性が登場し、レストレンジの家風がかなり男尊女卑で父権的であったことが判明した。(もっとも、レストレンジ家の問題ではなく、純血一族は全体的に似たような感じなのではないかとも考えられる。)
家風に反するベラトリックスの奔放ぶりには違和感があるが、ヴォルデモートの最強の腹心であったことが関係して許されていた可能性もある。
余談
杖の形
ベラトリックスの杖を良く見ると曲がっており、銃のような形態をしている。この杖はハリーたちに途中で奪われたためホグワーツの戦いの際には別の杖を使用しているが、こちらは真っ直ぐなデザインになっており「ベラトリックスの2本目の杖」などとしてワーナーブラザーズなどから販売もされている。
『ハリー・ポッターと呪いの子』(ネタバレを含みます)
シリーズ完結からおよそ10年後に発売された続編『呪いの子』では、なんとベラトリックスとヴォルデモート卿の間にデルフィーニという娘が生まれていたことが判明。
復活したヴォルデモート卿に生殖能力があったことも衝撃だが、70代のヴォルデモート卿と50手前のベラトリックスの間に子供がいたというのはそれでなくとも中々ショッキングな事実であり、界隈にも大きな衝撃が走った。
前述のようなヴォルデモート卿のベラトリックスに対する特別な扱い(愛称で呼んだり闇の魔術を直々に教えたり)や、ベラトリックスのヴォルデモートに対する過剰なまでの執着にはこうした背景もあったのかもしれない。
これがいつ頃に生まれた設定なのかは不明だが、原作の天文台の塔の戦いでベラトリックスが何故か登場していない(映画版では参戦)のは、当時出産前後だったからなのではないかとも考察されている。早い段階で作者はこの設定を原作に潜ませていたのかもしれない。
ちなみにベラトリックス役を演じたヘレナ・ボナム・カーターも出演当時(一時期)妊娠中であり、結果的には中々粋な演出になっている。
ヴォルデモート卿役のレイフ・ファインズとヘレナがこの設定をローリング女史から聞いていたのかについては、明言がないため不明。
ちなみにナルシッサ・マルフォイ役を演じたヘレン・マクローリーは元々ベラトリックス役の予定だったが妊娠のため降板したという裏話もあり、結局ヘレナも出演中に妊娠してしまったため「ベラトリックス役はもう妊娠する運命なのかもしれない」とローリング女史が設定した、と考えても面白い。
舞台裏
映画版でベラトリックス・レストレンジを演じたのは英国女優のヘレナ・ボナム・カーターで、他の出演陣と同様に(特に日本では)ベラトリックスの役で世界的に広く知られている。
だがヘレナ自身はベラトリックス役に関係なくイギリス映画やハリウッド映画(特にイギリス映画)では大御所の大女優であり、ドラマなどにも数多く出演して大英帝国勲章を受賞するなどの実力派。代表作は『眺めのいい部屋(“A room with a view”)』、『ファイトクラブ(“fight club”)』、『オーシャンズ8(“Oceans 8”)』など他多数。オスカーにも2度ほど(鳩の翼The wings of the dove、英国王のスピーチthe king’s speech)でノミネートされており、エミー賞(Enid)英国アカデミー賞(英国王のスピーチthe king’s speech)などの受賞歴もある。
2023年での最新作はNetflixオリジナル映画作品の『エノーラホームズの事件簿2』であり、2024年1月には英国で”One life”が公開予定。
ちなみにご本人はベラトリックスについては「自分とも共通点があるように思ったし、演じていて楽しかった」とインタビューで発言しており、騒いで遊んでいた子供たち(イギリス監督のティム・バートンとの間の息子と娘)にベラトリックスの杖を無言で向けて揶揄ったり(子供たちは一瞬で黙ったらしい)、ハロウィンではベラトリックスの仮装をして練り歩いたりと中々にアグレッシブで楽しいお人柄。ベラトリックス役を演じている最中は、外を歩くと近所の子供たちによく号泣されて逃げられたと対談番組で面白そうに話していた。ベラトリックスのガタガタの付け歯は自宅の食器棚に飾られているらしい。
ローリング女史がトランスジェンダーに関わる発言でTwitterで炎上した際には、メディアから他の出演者たちと同様にインタビューを受け「人は誰しも、自分自身の中に人生の歴史とトラウマを抱えて生きていて、そのトラウマによって意見というのは形成されているわ。だから私たちはその人がどんな人生を送ってきたかということや、その痛みの記憶を尊重しなければならないし、全てのことに同意する必要はない。もしそんなことが強制されるのだとしたら、それはひどく悲惨でつまらないことでしょうね」と発言、ヴォルデモート役を演じたレイフファインズやドラコ役を演じたトム・フェルトンらと同様にローリング女史へのヘイトやバッシングに対しては否定的なコメントを残した。
だがローリング女史に完全に対立する立場をとったハーマイオニー役のエマ・ワトソンやハリー役のダニエル・ラドクリフ、ロン役のルパート・グリントらを非難するようなことは本意ではなかったようで、その件について尋ねられた際には「彼らは自分たちのファンを守るために必死なんでしょうし、責められないわね」と言葉を濁した。
作品収録中はエマ・ワトソンやダニエル・ラドクリフたち若手役者陣とも関係は非常に良好で、収録後も子供を抱いたヘレナとエマが談笑しているオフショット写真が撮影されたりと仲は良い様子。
ハリー役を演じたダニエル・ラドクリフとドラコ役を演じたトム・フェルトンは収録当時ヘレナに熱をあげていたとのことで、当時の様子が窺えるオフショットフィルムや写真なども数多く出回っている。だが今のところ、彼らとの共演作はハリー・ポッター以外にはない。
ダニエルに関しては『ハリー・ポッターと死の秘宝』の収録後にヘレナに頬にキスされている写真が有名で、後の『バックトウホグワーツ』で会談したところによればダニエルはヘレナにラブレターを渡していたらしい。
「あれはとっても嬉しかったわ、今もトイレに飾ってあるの」と笑いながら話したヘレナにダニエルは歯に噛んでいたが、写真に納められた手紙の全文を読み上げさせられるという中々の公開処刑を強要され(この辺りが非常にベラトリックス役らしい)、爆笑するヘレナの前で「僕はあなたのコースター係(コーヒーなどの下に敷くもの、英語で韻を踏んでこのように言っている)に任命されてとても光栄でした。ペット扱いされていた(実際オフショットフィルムに”he is my dog lol”と言ってヘレナがダニエルを揶揄うシーンがある)けれど、本当に大好きでした。あと10年早く生まれていたら、僕にもチャンスがあったかもしれないのに」などと書かれた手紙を読み上げた。ヘレナ曰く「今ならいけるわ笑」とのこと。現在(『バックトウホグワーツ』収録当時)は23歳年下の恋人と仲良くやっているヘレナのことだからもちろん冗談だろうが、満更でもなさそうなダニエルの表情は必見である。
ちなみにトム・フェルトンの方にはそこまでの面白エピソードはないのだが、ヘレナに対しては「小さな失恋を覚えた」とのこと。エマ・ワトソンが当時トムに熱をあげており、告白を断ったという有名なエピソードがあるが、同年代のエマを差し置いて10代の少年たちのハートを鷲掴みにするヘレナの魅力には驚かされるばかりである。
ベラトリックスだけを見ると「狂気の魔女」という印象だけが先行して「美女」というところには目が行きにくいヘレナだが、他の出演作を見ても「英国の薔薇」「コルセットクイーン」と絶賛された美貌は還暦前の現在も健在。若い頃の作品は印象がだいぶ異なるが、若い頃のベラトリックスのイメージで『キングオブファイヤー(“Henley Ⅷ”)』(アン・ブーリン役)や『ハムレット(Hamlet)』(オフィーリア役)などを観てみるのも中々面白いのではないだろうか。もっと荒んだ(狂った)感じが欲しいという人には『死の愛撫(Margaret museum)』をお勧めしたい(だが残念なことにこちらはVHS版にしか日本語字幕がないため、英語で鬼リスニングを試みるかVHSを気合いで焼き増しするしか方法はなさそうだ)。
注意
結婚前のベラトリックス・ブラック時代(学生時代)の作品にも、ベラトリックス・レストレンジとタグ付けされることが多い。