もしかして→呪いの子
概要
『ハリー・ポッター』シリーズ第8章。原題は『Harry Potter and the Cursed Child』
といっても主人公はハリーではなく、ジニーとの間に産まれた三兄妹の次男アルバス・セブルス・ポッターとドラコの一人息子であるスコーピウス・ヒュペリオン・マルフォイ。
物語は『死の秘宝』から19年後(2017年)。同学年である2人がホグワーツに入学するところから始まる。
発表媒体は小説ではなく舞台劇で、2016年のロンドンを皮切りに欧米各地で公演されており、2022年夏には日本人キャストでの東京公演が行われている。
また、ワーナー側が実写映画化の構想を練っていることも発表されている(ただ、現時点ではまだ企画の初期段階で、確定したわけではないとのこと)。
ストーリー
場面は『死の秘宝』のエピローグ、大人になったハリーたちが9と4分の3番線で自分の子どもを送り出すところから始まる。
それぞれの事情で悩みを抱えていたアルバスとスコーピウスは入学式で同じスリザリン寮に組み分けされ、親友になっていく。
そして3年後。
神秘部の戦いで全て破壊されたはずの逆転時計が押収されたことを聞きつけたセドリック・ディゴリーの父・エイモスはハリーにそれを使ってセドリックを蘇らせたいと頼むが、ハリーは断る。
その様子を聞いていたアルバスは「セドリックがハリーのせいで殺された」と考えるようになり、父親への反発心をより強めていく。
アルバスとスコーピウスはエイモスの姪のデルフィーニ・ディゴリーの協力を得て魔法省から逆転時計を盗み出し、セドリックを助けるべく約20年前の三大魔法学校対抗試合へ向かう…。
キャラクター
演者は東京公演での配役。協賛のホリプロ所属のタレントが多くキャスティングされている。
ホグワーツ
- アルバス・セブルス・ポッター(藤田悠 / 福山康平)
ハリーとジニーの次男。"英雄"ハリーへの劣等感を抱いている。
- スコーピウス・マルフォイ(門田宗大 / 斉藤莉生)
ドラコの長男。
2人と同年代のスリザリン生。
- ローズ・ウィーズリー(橋本菜摘)
ロンとハーマイオニーの長女。2人と同学年のグリフィンドール生。
アルバスの2つ上の兄と2つ下の妹。どちらもグリフィンドール生。
- ミネルバ・マクゴナガル(榊原郁恵 / 高橋ひとみ)
現・校長。
引き続きホグワーツの番人。
3階の女子トイレにいるゴースト。
親たち
魔法省・闇祓い局の局長 → 魔法法執行部部長。
多忙な日々を送っているせいかアルバスの悩みに気づいてあげられず、かえって苦しめる一面も。
- ハーマイオニー・グレンジャー(中別府葵 / 早霧せいな)
ちなみにロンドン公演では黒人女性が演じていたことが当時ちょっとした話題になった。
本編後ハリー、ネビルとともに闇祓いになるも今は引退、五兄の悪戯専門店を手伝っている。
- ジニー・ポッター(馬渕英里何 / 白羽ゆり)
旧姓・ウィーズリー。日刊予言者新聞のスポーツ編集者。
- ドラコ・マルフォイ(松田慎也 / 宮尾俊太郎)
妻のアストリアを早くに亡くし、一人息子のスコーピウスを大事に育ててきた。
本作ではマルフォイ家の事情にも触れられる。
その他
- エイモス・ディゴリー(福井貴一)
セドリックの父親。聖オズワルド魔法老人ホームで生活している。
- デルフィーニ・ディゴリー(宝意紗友莉 / 岩田華怜)
エイモスの姪、だったが……
本作でも登場する。
その扱い
- 未だに本編のような小説にはなっていない。
- 原作者J.K.ローリングは構想においてのみ共同執筆である。
- 本編との齟齬(矛盾)が多く存在する。
これらのことから、第8章は公式と捉えていないファンもいるため、ファン間交流の際には留意したほうが良いだろう。
特に物語の鍵となる逆転時計については論争が巻き起こった。
この不完全さが原因かは不明だが、映画でハリーを演じたダニエル・ラドクリフ氏は今作が映画化される場合でも再び演じることに消極的である。
ちなみにローリング本人は「『ハリー・ポッターと呪いの子』は舞台劇。あくまで舞台劇として想定され書かれ、常に舞台劇であることを意識され、それ以外はなにもないの。これが映画になる予定はないし、小説にも、人形劇にも、カートゥーンにも、漫画シリーズになる予定もない、『呪いの子 on Ice』になる予定もまったくない(笑)」とコメントしている。
国内では
上述の東京公演でも、協賛のテレビ局が映画の地上波放映権をもつ日本テレビではなく(開局70周年記念という題目の)TBSとなっているなど、制作側も別物として扱っている模様。
ちなみにTBSで『謎のプリンス』を放映した3月時点では、
- これまでの金曜ロードショーより枠が長いのにカットがさらに多く、フレッド&ジョージとワームテールは出番無し。
- カットやCMがあるのは仕方ないにしても、重要シーンを途中でブツ切りにするようなタイミングであった。
- 前番組のバラエティで、ハリー・ロン・ハーマイオニーの3人をカップリング的な意味が含まれてしまう三角関係と解説。
などの理由からやや不評。
さらに開催が近づいた5月末には『死の秘宝』の前後編を2夜連続放送という、ゴールデンタイムのレギュラー映画番組がほとんど無い昨今にしては好待遇と言える日程だったが、
- あれだけ三角関係を強調したのにハリーとハーマイオニーの踊るシーンはカット。
- CMや本編の効果音、BGMとセリフ部分との音量差が大きく、一部からは「音割れポッターがまさかの公式化」と揶揄される。
- これについては前編のみで、後編では改善された。
- 主人公はアルバスとスコーピウスなのに、ハリー役の3人やエハラマサヒロ、榊原郁恵など、「キャラクターが重要か」よりも「俳優が有名か(バラエティ慣れしているか)」を重視して紹介。
- キャストにフォーカスを当てがちなのは最近の実写化全般に言えることだが、ここまで主役が宣伝に関わらないのは珍しい。
同じ放送局のダークファンタジーの二の舞にならないことを願うばかり...と思いきや、そのウィザーディングワールドを再現した舞台装置やキャストのハマり具合は観客から好評を博している。
その甲斐あってか、2022年度の菊田一夫演劇賞大賞を受賞した。
会場は赤坂ACTシアターで無期限ロングラン上演中。
最寄り駅である赤坂駅は肖像画が飾ってある等、世界観をこれでもかと作り込んでいる。
興味のある人は是非電車で赤坂駅から劇場に足を運んでみてもいいだろう。
シリーズ一覧
- ハリー・ポッターと賢者の石
- ハリー・ポッターと秘密の部屋
- ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
- ハリー・ポッターと炎のゴブレット
- ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
- ハリー・ポッターと謎のプリンス
- ハリー・ポッターと死の秘宝
- (ハリー・ポッターと呪いの子)