曖昧さ回避
アニメ「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」の登場人物
⇒コルセット(パンティ&ストッキングwithガーターベルト)
概要
元々は中世ヨーロッパの貴族等が使った、胸を支え、腰を細く見せる補正用の下着。一般庶民が下着として使用するようになったのは19世紀以降である。
女性がドレスと合わせて使っていたイメージが強いが、お腹の出具合が気になる男性も使っていた。
胸部へ肉を寄せることもできるため、ドレスサイズを埋める補強用としての機能も持っていた。
現代のブラジャーは、これの胸部のみを切り離したものが元祖となっている。
肌を保護する下着をつけた上から着用し、前方のバスク(留め金)を留めた後、後方のハト目部分に通した紐を引っ張って体に沿わせ、締め上げる。ウエストをより細く締め上げるためには力が必要になるため、侍女や夫が着用者の尻に足をかけて紐を引いた。
胴部分には、初期には柔らかなヤギの皮などが、後にはリネンが使用された。バストを支える部分やウエストを締めるボーンの素材は、鯨骨や鯨の髭、象牙、銀、動物の角、木で、後には軽くて丈夫なスチールが登場する。
富裕層はコルセットにもふんだんに金をかけ、コルセティエ(コルセットを作る職人)に特注した。コルセティエは上流の女性たちのために上質な素材を取り揃え、仕上げには手編みのレースや豪華なリボンで飾り立てた。一方、庶民は丈夫で安い材料を利用し、せっせと手作りしていた。
コルセットの歴史
ファッションアイテムとしてのコルセットは、14世紀にまでその歴史をさかのぼることができる。その後、18世紀末から19世紀初頭にかけてのナポレオン1世の時代には、皇后ジョセフィーヌの好みが影響してシュミーズドレスのような軽い装いが流行し、一時的ながらコルセットが廃れた時代もあった。しかしナポレオンの失脚とともにファッションも復古し、コルセットも復権する。
21世紀に至る現代まで、その主要な目的が女性のボディラインを整えることにあるのは変わらないが、ファッションの流行り廃りに合わせ、コルセットの形も変化を続けてきた。
清楚さを強調する、あるいはバックスタイルを重視する時代には、バストを抑えるような形状になり、逆に上半身を強調する時代には、バストが豊かに見えるよう、下から支える大きなカップがつけられた。前者は19世紀後半のバッスル・スタイルなどに用いられ、後者は17世紀や19世紀末のファッションに合わせて作られた。
また、女性が私室でくつろぐ際には、簡易なドレスの上から、袖のついたコルセットを部屋着として身に付けることもあった。この部屋着としてのコルセットは、華やかな色合いに染められ、凝った刺繍が施された豪華なものだった。
長い歴史を持つコルセットは、様々な創作物にも登場している。
『白雪姫』では、敵役の魔女が何度かにわたって姫の殺害をたくらむが、その中にコルセット用の美しい紐で姫を魅了し試着を勧め、手伝いを装って締め上げ、窒息死させることを目論むというものがある。
映画『風と共に去りぬ』では、ヒロインのスカーレット・オハラが「もっと強く!」と侍女に命じ、思い切りウエストを締め上げさせて颯爽とパーティに出ていく。
ピーター・メイルのエッセイ『贅沢の探求』では、愛人ができた男の行動の一つに「スタイルを良くしようとコルセットを着用する」が挙げられている。
コルセットで作られるボディラインの魅力に、異性だけではなく着用者自身も憑りつかれた。特に女性たちは美を競い合い、より細いウエストを強調することに夢中になった。中には夜会に出席した後、気分が悪いと言って帰宅した娘が死んでしまい、遺体を調べると肋骨を骨折していたという悲惨な例もある。
ただしこれは極端な例で、通常、コルセットで締め上げるのは骨のない部分である。そのためコツを掴めばどんどん細くすることができるのだが、締めれば締めるほど体液の循環が悪くなり、さらにボーンがある関係上装着部は曲げることが難しくなる。このためやりすぎると骨や内臓を圧迫するため健康に害を及ぼす可能性があった。しかし、中には「体を締め上げる」ことに一種のフェティシズムを見出し(タイト・レイシング)、睡眠中にもコルセットを外さないという女性もいた。
もちろん適度であれば問題はなく、有閑階級の女性たちはコルセットを着用したまま、優雅にテニスなども楽しんでいた。しかし謹厳なヴィクトリアンが終焉を迎え、享楽的なエドワーディアンに時代が移ると、ファッションにも自由が求められるようになっていく。オリエンタリズムの流行もあり、着物風に前を合わせたデザインや、ストンとしたウエストを締め付けないシルエットのドレスが女性たちを魅了した。
そして20世紀初頭、現在のものに近いブラジャーが登場する。戦争や世界大恐慌などを逆のバネとして、女性たちも社会を担うようになると、動きやすいブラジャーに人気が集まり、コルセットは廃れていった。
現代のコルセット
現代では上述の「曲げにくい」ことを利用して医療用に、腰部の術後の保定や、背骨等を矯正する目的でも使われている。また、胃を圧迫することで食欲を抑えることができるため、ダイエット目的で使用する人もいる。着用の際には医師の指示を守り、またくれぐれも健康を阻害しないよう、締め上げ過ぎないようにし、2~3時間に1度は緩めて血液の循環をはかることが必要である。
ファッションの流れに、かつてインナーとして着用されていたものがアウターに変化するというものがあるが、コルセットも同様で、17世紀ごろにはヨーロッパ各地の民族衣装の一部となったほか、現代のファッションにも取り入れられている。1970年代末~1980年代にかけては、著名デザイナーの手によりコルセットやボディスーツなどが、マドンナをはじめとするアーティストのステージ衣装として使用され、一般にも広がりを見せた。
創作物のキャラクターの服装にも取り入れられ、例えば『魔法少女まどか☆マギカ』のヒロインの一人、巴マミの魔法少女としての衣装は、ブラウスとスカートにコルセットを組み合わせたものである。これによりクラシカルな雰囲気を醸し、18世紀の銃士のイメージを演出している。
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ブラジャー:コルセットから発展した下着。
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