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クリノリン

くりのりん

スカートを大きく広げるために着用する下着の一種。全体は鳥かごや釣鐘のような紡錘形で、着用者の腰から足にかけての全面を覆う骨組み。ネットペチコート。
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概要編集

クリノリンとは、19世紀半ば(1850~60年代)に流行した下着の一種である。


当初はの毛を織り込んだ麻の繊維でできた円錐状のスカート下であったが、より形をはっきりさせるため、鯨のひげあるいは針金を用いたものとなった。これによりペチコートを数枚から十数枚重ね履きしてスカートを膨らませていた女性のファッションは一気に軽量化された。身軽さを失わずに優美さを演出できるようになったため、女性のファッションは巨大化していった。


しかしクリノリンには、座った際に骨組みが足に食い込むという問題があった。また、大きく広がった裾はさばくのも大変で、ドアを通るにも不自由し、何かに引っ掛けたり、広がりすぎた裾に暖炉の炎が燃え移ったりする事故が相次いだ。一説によると、クリノリン・スタイルのドレスを着用した人のうち、約20000が何らかの事故に遭い、3000人ほどが死亡したとされる。


クリノリンとヴィクトリア朝のファッションについて編集

クリノリンはヴィクトリア朝のファッションとして数えられるが、ヴィクトリア朝は1837年から1901年までの長きにわたるため、その間ファッションも様々に移り変わっている。


ヴィクトリア朝初期の1840~50年代まではペチコートやシュミーズを幾重にも重ねることでスカートを膨らませていた。それがクリノリンの登場で大きなスタイルを保持しつつ軽やかなものとなり、それも廃れて60年代以降はバッスル・スタイルが流行することになる。歴史もののイラストを描く際などには参考にしていただきたい。

  • ただし、クリノリンの構造はバッスル・スタイルにも利用されることになった。詳細はリンク先を参照。

ちなみにこの間、メイン画像に見られるように、女性の上半身はコルセットにより保持されていた。下半身のファッションに合わせ、コルセットも少しずつ形を変えていくが、20世紀初頭のブラジャー登場まで引き続き使用されていくことになる。


創作物に見るクリノリン編集

マーガレット・ミッチェルの小説『風と共に去りぬ』は1860年代、南北戦争前後の南部アメリカが舞台となっている。映画版ではヒロインのスカーレット・オハラをはじめとする女性たちの、優美なクリノリン・スタイルのドレスを見ることができる。

スカーレットがまとう衣装は白とグリーンをイメージカラーとし、娘時代にはシフォンの軽やかなドレスで若さを演出している。一方、戦争後の貧窮時代には、焼け残った屋敷のカーテンを取り外して仕立てた濃い色の重厚なドレスを着て、タラを立て直す資金を調達するため、レット・バトラーを口説き落とそうと出かけていく。


(娘時代)

スカーレットScarlett O'Hara ♛ 郝思嘉



余談編集

クリノリン・スタイルは20世紀半ばに「ネットペチコート」という形でリバイバルを遂げている。また、20世紀末にはジョン・ガリアーノらのデザインにも影響が見られる。



関連イラスト編集

その特殊な構造に魅力を感じるためか、本来はスカートの下に隠されている骨組みを見せるイラストが多い。

鳥籠姫すちぱん。



関連タグ編集

パニエ コルセット バッスル・スタイル

半透明スカート



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