「言ってくれ。あのお方が、俺だけが忠実であり続けたとおっしゃったと……」
注意
検索の利便性に配慮するならば、邦訳版のフルネーム表記である「バーテミウス・クラウチ・ジュニア」とタグ付けすることを推奨する。
概要
『ウィザーディング・ワールド(魔法ワールド)』の人物。魔法使いの男性。
『ハリー・ポッターシリーズ』に登場。
イギリス魔法省の高級官僚バーテミウス・クラウチの息子。
在学中はホグワーツの秀才として名高かったが、死喰い人に加わり、ヴォルデモート卿に忠誠を誓う。
父と全く同じ名前であり、区別のため「バーテミウス・クラウチ・ジュニア(Bartemius Crouch Junior)」と呼ばれる。読者からは「クラウチ・ジュニア」と呼ばれることが多い。
ベラトリックス・レストレンジら死喰い人の仲間と共にフランク・ロングボトムとアリス・ロングボトムを拷問した罪により逮捕。裁判で父により直接裁かれ、監獄アズカバンへと連行された。その後獄死したという。
真相
実は母と入れ替わる形でアズカバンから解放されており、その代わりに父により何年もの間自宅監禁されていた。
やがて父の手から逃れると、同じく「死んだはずの男」であるピーター・ペティグリューと合流し、ヴォルデモート卿の復活のために動き出す。
プロフィール
フルネーム | Bartemius Crouch
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誕生 | 1962年あるいは1963年頃だと思われる |
死亡 |
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血統 | 純血 聖28一族 |
出身 | ホグワーツ魔法魔術学校 寮不明 |
所属 | 死喰い人 |
家族 |
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あだ名 | バーティ |
映画版演者 | デイヴィッド・テナント |
映画版吹替 | 桐本琢也 |
ゲーム(EA)版CV | 四宮豪 |
容姿
少しそばかすがあり、薄茶色の髪をしている男性。
映画版では蛇のように特徴的な舌なめずりをする癖があった。
来歴
生い立ち
1962年〜1963年頃、聖28一族である純血の旧家・クラウチ家の一人息子として生まれる。純血主義的な家風ではなく、むしろ父のクラウチ・シニアは過激派純血主義者(死喰い人たち)に強硬な姿勢を見せた。クラウチ・シニアは死喰い人に許されざる呪文を使うことや、彼らを裁判なしで逮捕するといった政策をとる。
学生時代
ホグワーツ魔法魔術学校時代の寮は不明。O.W.L試験では12科目(全科目)をO(Outstanding)(おおいによろしい)という評価をとる秀才だった。これは日本のマグルの大学における「優」「S」「A」に該当する最高評価である。
ちなみに12科目というのは、ハーマイオニー・グレンジャーでさえ一年で音を上げた単位数である。またハーマイオニーは逆転時計を使って履修していたが、これは歴代でハーマイオニーのみに許された特例装置であったことが公式で言及されている。つまりクラウチ・ジュニアは時計を使っていない。ハーマイオニーの代とは単位や時間割のシステムが異なっていたようだ。
クィディッチを見るのが好きだったようだが、自分でプレイしていたのかは不明。
死喰い人時代
父に反してヴォルデモート卿の配下である死喰い人に加わる。ベラトリックス・レストレンジらと並び闇の帝王の忠実な従者であった。
ロングボトム夫妻への拷問
闇の帝王が赤子のハリー・ポッターの抹殺に失敗して行方不明になった後、多くの死喰い人が逃亡したり魔法省と取引をしたり潔白を主張した。しかし忠臣たちは闇の帝王を探そうとしていた。以下がそのメンバーである。
- ベラトリックス・レストレンジ
- ロドルファス・レストレンジ
- ラバスタン・レストレンジ
- バーテミウス・クラウチ・ジュニア
彼らは闇祓いそして不死鳥の騎士団の一員であるロングボトム夫妻(夫フランクと妻アリス)を捕らえ、夫妻を魔法で拷問してヴォルデモートの居場所を聞き出そうとした。
ロングボトム夫妻がヴォルデモートの居場所を知らないにもかかわらず、彼らは拷問を続ける。結果として夫妻は廃人化した。そこに魔法省が駆けつけると、彼らは逮捕された。
父の手による裁判
当時、魔法省の魔法法執行部長で、厳格かつ遵法精神に溢れていたバーテミウス・クラウチ・シニアは多くの魔法使いから支持を集め、いずれは魔法大臣になるのではと目されていた。その息子クラウチ・ジュニアがいつからか父親に反発し、死喰い人としてヴォルデモートの配下に加わっていたというのは当時の社会に大きな衝撃を与えた。
そして父の手により裁判が行われる。クラウチ・ジュニアは泣いて無実を主張したが退けられ、遂には親子の情に縋るも「お前は息子ではない」と断じられ、監獄アズカバンに送られた。
そしてその後間もなく発狂し、死亡したとされた。
父クラウチ・シニアは息子の闇堕ちの責任があったではないかと白眼視されるようになる。魔法大臣どころか、閑職である国際魔法協力部に追われた。
自宅への監禁
しかし、亡くなったのは彼ではなく彼の母親であった。
息子を哀れんだ彼女はポリジュース薬で息子に変身し、収監中の息子と密かに入れ替わったのである。
これは夫に懇願しての作戦で、妻を愛していたクラウチ・シニアはこれを承諾して決行し、密かにクラウチ・ジュニアはアズカバンから自宅に連れ戻される形で脱獄していた(当然ながらこの夫妻の行いは犯罪者の隠匿で、重大犯罪である)。
クラウチ・シニアはクラウチ・ジュニアが本当にヴォルデモート卿の支持者であるという確信があったようで、その後は「服従の呪文」をかけて彼の自由意思を奪って自宅に監禁、家のハウスエルフであるウィンキーに世話させていた。
見られた秘密
何年もの間クラウチ家の秘密は守られていたが、ある時、魔法省職員であるバーサ・ジョーキンズが訪問時にクラウチ・ジュニアを偶然目撃してしまう。この事実はクラウチ・シニアによって記憶消去され隠蔽された。
しかし同時期にバーサはピーター・ペティグリューに襲われる。ピーターの手によりヴォルデモートの前に連れて行かれたバーサは、開心術で記憶の深層を掘られる。そしてヴォルデモートとピーターはクラウチ・ジュニアが生きていることを知ったのだった。
クィディッチ・ワールドカップで
ハウスエルフのウィンキーの説得もあり、1994年、クラウチ・ジュニアは透明マントを着た状態でクィディッチ・ワールドカップを見に行くことを父に許される。
しかし、既にこの頃には父にかけられた「服従の呪文」を打ち破りはじめていた。クラウチ・ジュニアは見張りを言いつけられていたウィンキーの目を盗むと、ハリー・ポッターの杖を盗んで闇の印を打ち上げた。
これはかつて逮捕を免れた死喰い人がクィディッチ・ワールドカップにおいて闇の帝王を探そうともせず死喰い人の格好をしてマグルいじめを楽しんでいたことに対する威嚇を意図したものである。実際、死喰い人でマグルいじめをしていたルシウス・マルフォイたちは闇の印を見た瞬間怯えすくんで逃げ出している。
その後、闇の印を打ち上げた犯人が息子であることを確信したクラウチ・シニアによって密かに保護され、自宅に再び連れ戻され厳重に監禁される。
陰謀の始まり
しかし、クラウチ家を訪れたヴォルデモートによってクラウチ・シニアは服従の呪文をかけられ、監禁されていたクラウチ・ジュニアは解放された。
そしてピーター・ペティグリューと組むと、ホグワーツ魔法魔術学校の闇の魔術に対する防衛術の教授になる予定だったアラスター・ムーディを襲撃。彼を魔法のトランクの中へと監禁した。
偽物の先生
そしてクラウチ・ジュニアはポリジュース薬でムーディに化けると、「ヴォルデモートの肉体復活に必要なハリーをリドルの墓場へ届ける」という最終目標を果たすためにホグワーツへ訪れる。炎のゴブレットに強力な錯乱呪文をかけるとハリーを三大魔法学校対抗試合の第四の対抗選手に仕立て上げ、知識や情報を適宜与えて優勝へと巧みに誘導していく。
またその過程で、服従の呪文に抵抗し、アルバス・ダンブルドアに真実を話そうとホグワーツに現れた父を殺害した。
最終的に優勝杯を「移動キー」に変え、それにハリーを触れさせることでヴォルデモートの元へ転送し、ヴォルデモートがハリーの血を使い肉体蘇生に成功。任務を完遂した。
魂の抜け殻
だがその後、ムーディが偽物だと気付いたダンブルドアに捕らえられ、真実薬によって遂に全ての真相を吐かされた。この時までダンブルドアを完全に騙しきっていたようであり、学生時代に完璧な模範生として振る舞っていた時のヴォルデモートですらダンブルドアから目をつけられていたことを考えると、これがいかに凄いことかが分かる。
その翌朝、魔法大臣コーネリウス・ファッジが護衛に連れていた吸魂鬼が勝手にクラウチ・ジュニアに襲いかかると接吻を施し、彼は死よりも酷い姿となった。その後の詳細はまったく不明だが、ほどなく死亡したのだと思われる。
人物
闇の帝王への心酔
ヴォルデモートことトム・リドルとは「父親と全く同じ名前を付けられた」「父の存在を受け入れることができなかった」「自らの手で父親を殺した」「在学中は首席級の秀才だった」「闇の魔術に対する防衛術の教職を志願した(クラウチ・ジュニアはあくまで任務としてだが)」「演技力に長けている」などの多くの共通点がある。そのためヴォルデモートに強く共感・同調しており、その忠誠心は極めて高いものであった。ベラトリックスと並んで死喰い人の中でも数少ないヴォルデモートを失踪後に探した一人でもあるため、彼からの信頼も厚かった。
父子の愛憎
このように父に対して強いコンプレックスを抱いていることが分かる。自らを否定した実父を捨て、ヴォルデモートを自分の父として思慕したかったのかもしれない。つまり本質的には父に愛されたかったのだと思われる。また、母には愛されていたようであるためエディプスコンプレックスもあったかもしれない。
父クラウチ・シニアも息子に対して冷淡なように思えるが、彼にクィディッチを見に行くことを許したりしており、愛情が全くなかったわけではないようだ。そもそも愛する妻の願いとはいえ、犯罪者の息子を脱獄させ、何年も家に監禁するのは尋常ではない(殺すこともできたはずである)。
父も子も、互いに憎しみだけではなく愛情も抱いていたが故に関係が拗れてしまったのかもしれない。
名教師?
ムーディとして行った授業は実践的で質が良く、生徒から支持を得ていた。
これには「ムーディを演じる」という事情も影響したと思われる。
また、ハリーには両親を殺した魔法を実演しヴォルデモートの力を意識させる、服従の呪文への抵抗の才能を開花させる、卒業後の進路として闇祓いを勧める、など少なくない影響を与えた。ハリーは後に自分の進路を示したのが変身した死喰い人であったことを奇妙に感じながらも、受け入れている。
またネビルにも結果論だがハリーとほぼ同様の影響を与えたと言える。
ドラコ・マルフォイには目を光らせており、ハリーに攻撃した彼に容赦なく変身術を使って罰した。これはドラコが元死喰い人のひとりルシウス・マルフォイの息子で、自分と違いいつでも主人を捜索できたのにもかかわらず、無関係を装っていたことによる怒りからきたものである。結果的にドラコには良い薬になったかもしれない。
余談・裏話
- クラウチ・ジュニアの裁判をきっかけに次期魔法大臣と目されていたクラウチ・シニアは失脚し、代わりにコーネリウス・ファッジが大臣となった。そしてヴォルデモート卿復活を丸一年間見て見ぬ振りをする失態とハリーへの迫害・暴行へと繋がることとなる。
- ベラトリックスらがロングボトム夫妻を拷問した際にクラウチ・ジュニアがいたのは確かだろうが、実際に彼も拷問に加わったのかは定かではない。たしかにベラトリックス単独で強力な闇祓い二人を再起不能な状態へ追い込んだとは考えづらいが、彼女に手を貸したのはロドルファス・レストレンジとラバスタン・レストレンジだけかもしれない。
映画版
開幕早々、原作では「モースモードル」を唱えて闇の印を打ち上げている。蛇のようにチロリと素早く舌なめずりする癖があり、ムーディに化けている際も時折その癖を出していた。
原作よりも見た目は年上であり、性格も凶暴になっていた。
また、憂いの篩における過去の記憶のシーンではイゴール・カルカロフの裁判中に座席から途中で逃げようとしてムーディに阻まれる姿が描かれている。このことから映画版のクラウチ・ジュニアは父と同じく魔法省官僚であったような印象を与える。
父との関係や脱獄の真相などは尺の都合か全てカットされており、ただアズガバンから脱獄した死喰い人として描写された。また最後はダンブルドアに捕らえられたところで出番が終わったため、その後の消息は不明である。
二次創作
年齢描写から親世代の一員と考えられており、スリザリン生、もしくは作中で見せた優れた知性からかレイブンクロー生として創作されることが多い。
また在学中のレギュラス・ブラックとの関係を創作するものも多い。レギュラスとはクィディッチが好き、十代で死喰い人に加わる、家が人生に重い影響を与えた、異形の魔物に襲われ文字通り息絶えたなどヴォルデモートに次いで共通点が多い。
しかしレギュラスが最終的にヴォルデモートの破滅を目論んだのに対し、クラウチ・ジュニアはヴォルデモートの肉体復活に深く貢献する。
関連イラスト
関連タグ
碇シンジ……父にコンプレックスを持つ少年つながり
ホグワーツ魔法魔術学校の教職員 | |
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『ハリー・ポッターシリーズ』 | |
🐾変身術 | ミネルバ・マクゴナガル |
🧪魔法薬学 | |
💫呪文学 | フィリウス・フリットウィック |
🌿薬草学 | ポモーナ・スプラウト |
🛡️闇の魔術に対する防衛術 | |
📚魔法史 | カスバート・ビンズ |
🌙天文学 | オーロラ・シニストラ |
🔮占い学 | |
💡マグル学 | |
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🥚魔法生物飼育学 | |
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📖司書 | イルマ・ピンス |
🧼管理人 | アーガス・フィルチ |
🗝️番人 | ルビウス・ハグリッド |