概要
『ウィザーディング・ワールド(魔法ワールド)』の人物。男性。魔法使い。
イギリス魔法省のトップである魔法大臣を務める。(『ハリー・ポッターシリーズ』1巻~5巻)
プロフィール
Name | Cornelius Oswald Fudge
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血統 | 純血または半純血 |
家族 | 妻帯者(クラウチ・シニアの発言より) 詳細不明 |
出身 | おそらくホグワーツ魔法魔術学校 寮不明 |
映画版演者 | ロバート・ハーディ |
映画版吹替 | 篠原大作 |
容姿
背が低くて恰幅が良く、頭髪はくしゃくしゃで白髪。またライムグリーンの山高帽を愛用する。
来歴
純血あるいは混血のファッジ家に誕生。
学校卒業後、魔法省へ入省。
魔法事故・惨事部の次官にまで出世。ピーター・ペティグリューとマグルの大量死の現場を見ている。(実際はピーターは死んでいなかったが)
その後ミリセント・バグノールド(レイブンクロー出身魔女)から引き継ぐ形で1990年に魔法大臣になった。これは有力な大臣候補であったバーテミウス・クラウチ・シニアの失脚を受け、更にアルバス・ダンブルドアも推薦を固辞したが故の、いわば繰り上がり人事であった。
それ故ファッジは魔法大臣を務められる自信がなかったようで、当初はダンブルドアにひっきりなしに助言を求めに来ていた。
しかし途中で権力の味を覚えたのか、自らの地位と安寧に拘泥。ダンブルドアを自らを脅かす敵とみなすようになる。決定的な決別のきっかけは1994年度、リドルの墓場から生還したハリーの言葉をダンブルドアが信じ、ヴォルデモートの帰還を主張したこと。
自身の治世で闇の帝王が復活したなどという醜聞を認めたがらなかったファッジは、この情報が嘘であると真っ向から否定。ヴォルデモートが本当に復活したかどうかの真偽を巡ってダンブルドアと対立する。
また、そこまで過激ではないがファッジ自身も純血主義者であるとダンブルドアに語られており、対立の原因は今回の一件に始まった事ではなかった事が窺える。
その後ファッジはドローレス・アンブリッジ上級次官をホグワーツに送り込み、ダンブルドアへの牽制を行う。
- 日刊予言者新聞に圧力をかけハリーやダンブルドアを貶める偏向報道をさせる
- ホグワーツの生徒がダンブルドア側の戦力にならないよう「闇の魔術に対する防衛術」の指導要領を座学のみにする
- ヴォルデモートと死喰い人らが密かに起こしていた事件の罪を冤罪で逃亡中のシリウス・ブラックに擦り付ける
- 遂にはダンブルドアを校長から解任して後釜にアンブリッジを据える
といった暴挙を尽くした。
しかし、この愚行が原因でハリーたちは「ダンブルドア軍団」を組織し独自に防衛術の訓練を行い、信頼していたアンブリッジは権力を笠に着てさらなる暴走を繰り返す事態になる。
このゴタゴタの間に力をつけたヴォルデモートが魔法省に現れた事で、身をもって自らの間違いを知ることとなった。
最終的には荒ぶる世間の声を受けて辞任、闇祓いのルーファス・スクリムジョールに大臣を託し、自らはマグルの英国首相との外交の顧問としての役割にのみ残留した。
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』終盤でダンブルドアの葬儀に出席して以降出番はなく、最終的な消息は不明。
ファッジの事なかれ主義のせいで魔法界はヴォルデモートへの対処が一年近く遅れたわけであり、これが魔法省陥落の一因でもある。『ハリー・ポッターシリーズ』全体で見ても割と上位の戦犯の1人。
このことからファンからは「闇の印が無い死喰い人」「ヴォルデモートに最も貢献した死喰い人」「名誉死喰い人」などと呼ばれることも。
前述の通り最終的に世論の要求を受け辞任したが、本人曰く、自分の任期中にこれほど魔法界がまとまったことはないとのこと。
流石に可哀想な気もしなくもないが、彼が(特にハリーやダンブルドアに)したことを考えれば、社会的に抹殺されることは残念でもないし当然である。
人物
良くも悪くも人間臭い人物。
人並みの思いやりや善性、親切心を持つが、小心者で自己保身に走りやすく権力欲も強い。
ハリーに対して当初は特に厳しい態度をとったりせず、彼がドビーに巻き込まれたりマージ・ダーズリーを無意識の魔力の暴発で膨らまして飛ばした時も、特に問題視しなかった。
またシリウス・ブラックの冤罪を知らなかったため、「もしハリーが自身の父の親友が父を裏切り、ハリーを孤児にした張本人だと知ればハリーはどれだけ傷付くだろう」と嘆くシーンすらあるなど、基本的な人間性は決して悪人ではないと言える。
ただしハリーの問題行為を見逃したのはどうも人の良さというよりも事なかれ主義から来ているようで、自らの体制が脅かされそうな気配を感じてからは被害妄想に陥り、陰湿で攻撃的な面も見せるようになった。
また名門マルフォイ家の当主ルシウス・マルフォイから献金や助言を受けており、彼には頭が上がらない。それ故純血を優遇することもあったようだが、魔法省は伝統的に元々純血優先な政策を取っており、彼だけの責任であると追及する事はできない。
まぁ言ってみればよくいる「汚い大人」「世間に染まった大人」であり、悪人でこそないが不死鳥の騎士団のメンバーのような高潔さも持ち得ない一般社会人の代表とでも言える人物である。