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目次
ページ先頭
  • 1 概要
  • 2 杖と魔法
  • 3 杖の歴史
  • 4 主な杖職人
  • 4.1 ギャリック・オリバンダー/Garrick Ollivander
  • 4.2 マイキュー・グレゴロビッチ/Mykew Gregorovitch
  • 4.3 シコバ・ウルフ/Shikoba Wolfe
  • 4.4 ジョハネス・ジョンカー/Johannes Jonker
  • 4.5 ティアゴ・キンタナ/Thiago Quintana
  • 4.6 ヴィオレッタ・ボーウェ/Violetta Beauvais
  • 5 杖の構造
  • 6 杖の忠誠
  • 7 杖の長さ
  • 8 杖の柔軟性・硬さ
  • 9 杖の芯材
  • 10 一角獣の毛の杖
  • 11 ドラゴンの心臓の琴線の杖
  • 12 不死鳥の尾羽根の杖
  • 13 ギャリック・オリバンダーが扱わない芯材
  • 13.1 セストラルの尾毛
  • 13.2 ヴィーラの髪
  • 13.3 トロールの髭
  • 13.4 ルーガルーの毛
  • 13.5 バジリスクの角
  • 14 杖の木材
  • 15 Acacia/アカシアの杖
  • 16 Alder/ハンノキの杖
  • 17 Apple/リンゴの杖
  • 18 Ash/トネリコの杖
  • 19 Aspen/ヤマナラシの杖
  • 20 Beech/ブナノキの杖
  • 21 Blackthorn/リンボクの杖
  • 22 Black Walnut/黒クルミの杖
  • 23 Ceder/スギの杖
  • 24 Cherry/サクラの杖
  • 25 Chestnut/クリの杖
  • 26 Cypress/イトスギの杖
  • 27 Dogwood/ハナミズキの杖
  • 28 Ebony/黒壇の杖
  • 29 Elder/ニワトコの杖
  • 29.1 Elder wand/死の秘宝の「ニワトコの杖」
  • 30 Elm/ニレの杖
  • 31 English Oak/ヨーロッパナラの杖
  • 32 Fir/モミの杖
  • 33 Hawthorn/サンザシの杖
  • 34 Hazel/ハシバミの杖
  • 35 Holly/柊の杖
  • 36 Hornbeam/クマシデの杖
  • 37 Larch/カラマツの杖
  • 38 Laurel/月桂樹の杖
  • 39 Maple/カエデの杖
  • 40 Pear/ナシの杖
  • 41 Pine/マツの杖
  • 42 Poplar/ポプラの杖
  • 43 Red Oak/レッドオークの杖
  • 44 Redwood/セコイアの杖
  • 45 Rowan/ナナカマドの杖
  • 46 Silver Lime/ギンヨウボダイジュの杖
  • 47 Spruce/トウヒの杖
  • 48 Sycamore/シカモアの杖
  • 49 Vine/ブドウの杖
  • 50 Walnut/クルミの杖
  • 51 Willow/ヤナギの杖
  • 52 Yew/イチイの杖
  • 53 余談
  • 杖が、魔法使いを選ぶのだよ。

    概要

    原語では「Wand」。

    ウィザーディング・ワールド(魔法ワールド)』における魔法の道具。数多くの魔法族が用いる。

    ハリー・ポッターシリーズ』の舞台であるイギリスヨーロッパ魔法界では学齢期以上の全ての魔法使い・魔女が使用する。

    杖と魔法

    単純かつ効率的に魔法を使いこなすには、杖が一番とされている。これは杖の芯に魔法生物の一部が使われているため。

    また杖なし呪文(wandless magic)は非常に難しく、高度な集中力と技能が必要であるため、アルバス・ダンブルドアヴォルデモートといった一握りの魔法使いしか使いこなせない。

    (ただし、これはヨーロッパで限った話で、アフリカにある世界最古の魔法学校ワガドゥー」では、皆が杖無しの魔法を学ぶ。また、屋敷しもべ妖精ゴブリンは独自の魔法体系を持つため、杖を使用せずとも魔法が使える。)

    ちなみに日本の魔法界でも杖は使用されているようである。魔法学校「マホウトコロ」では、の木の杖を持つ者は特別視されるという。

    杖は「生きている」がゆえに、一度破損すると修復することができない。

    杖の歴史

    魔法を使うのに杖を使うのは、紀元前から行われてきたことだった。

    それがヨーロッパに伝来したのは古代ローマ時代、「オリバンダー」と呼ばれる一族が地中海からブリタンニアに移住したのが始まりとされている。ちなみにオリバンダーという名前は「オリーブの杖を持つ者」の意味。

    オリバンダーの一族はローマ人と共にブリタンニアに到着し、露店を開店した。そして雑な仕上げで性能の低い杖を使っていた魔法使いたちを相手に杖を売りはじめた。それ以来彼らはずっとブリテンに住み、杖作りに関しては世界一と称された。

    その後、オリバンダー家純血聖28一族」に数えられるようになる。

    主な杖職人

    ギャリック・オリバンダー/Garrick Ollivander

    イギリスロンドンの杖職人。「オリバンダー:紀元前382年創業高級杖メーカー」という店をダイアゴン横丁に構える。

    世界一優秀な杖職人であり、外国人が自国で売られている杖よりもオリバンダーの杖を求めて、ロンドンにやって来るほどの腕前。

    家業を手伝って育ったギャリックは、幼いころから杖作りの才能を発揮し、それまで使われていた杖の芯と木の材質を改良しようという野心を抱き、若いころから理想の杖を追求していた。

    マイキュー・グレゴロビッチ/Mykew Gregorovitch

    中欧あるいは東欧の杖職人。

    ビクトール・クラムの杖などを手がけた。

    ギャリック・オリバンダーも認める優れた職人だが、一部の材質の解釈については相容れないところがあった模様。

    後にニワトコの杖を求めるヴォルデモートに一家諸共殺害される。

    シコバ・ウルフ/Shikoba Wolfe

    アメリカの杖職人。チョクト一族の血を引いている。

    サンダーバードの尾羽根を芯とする、複雑な彫刻を施された杖の制作を得意とする。

    彼の杖は非常に強い魔力を持ち、特に変身術の魔法の使い手に重宝されるが、扱いには熟練が必要。

    ジョハネス・ジョンカー/Johannes Jonker

    アメリカの杖職人。マグル生まれ

    父親は家具職人だった。

    その杖の多くには、美しいアコヤガイインレイ装飾(象嵌)が施されているため、美術的な人気があった。

    好んで使っていた芯材はワンプスキャットの毛。

    ティアゴ・キンタナ/Thiago Quintana

    アメリカの杖職人。

    スラリとした長めの杖で、売り出されると同時に魔法界では大きな話題に。

    芯にアーカンソー州ホワイト・リバー・モンスターの背から取り出した半透明の脊椎骨を使用したことで、力強く優雅な呪文を放つ事が可能に。

    しかし、ホワイト・リバー・モンスターをおびき出す方法はキンタナのみの秘密で、誰にも伝授されなかった。

    ヴィオレッタ・ボーウェ/Violetta Beauvais

    アメリカニューオーリンズの杖職人。

    沼サンザシ(Swamp mayhaw)の木を材質とする杖だけを作り続けた。

    芯材はルーガルーの毛だが、長い間秘密になっていた。

    その杖は闇の魔術を求めると噂されたが、英雄の中にもボーウェの杖を使った者も多い。

    杖の構造

    ギャリック・オリバンダー曰く、

    「杖の構造はどれひとつとして他のあらゆる要素と切り離して考えるべきではなく、木材、芯材、柔軟性で、杖の長さによる特性を補ったり、強化したりできる。こうした要素がすべて組み合わさって、その杖に唯一無二の特性が備わるのである。」

    杖の忠誠

    ギャリック・オリバンダー曰く「全ての杖は持ち主を選び、その持ち主に対し忠誠心を持つ」。

    忠誠心は不変ではなく、勝ち取ること(殺害・武装解除・力尽くで奪取など)によって次の持ち主に移る。杖の忠誠心を得ていない魔法使いや魔女がその杖を使うと、唱える呪文の威力が弱くなってしまう。

    なお、魔法を使わずに奪っても忠誠心は移る模様。劇中ではハリーがドラコから杖を魔法を使わずに手でもぎ取り、それを最終決戦で使用した。

    杖の長さ

    ギャリック・オリバンダー曰く、

    • 杖の長さを体格や身長に合わせるのはナンセンスである。
    • 長い杖は、おおらかな性格の人物に惹かれ、雄大で劇的なスタイルの魔法の使い手を好む。小柄な魔女や魔法使いが選ばれる事も多い。
    • 一方でこぢんまりした杖は、優雅で洗練された呪文のスタイルを好む。
    • 大半の杖は、長さ23cm~36cmの間に収まる。
    • 38cmを超える長い杖を売った事がある。これはルビウス・ハグリッドの41センチの杖。身体的特徴から極端に長い杖が必要だった。こういったケースは極めて稀。
    • 20cm以下の異常に短い杖は、性格的に何かが欠落がある持ち主を選ぶ。
    • とはいえ、杖の構造はどれひとつとして他のあらゆる要素と切り離して考えるべきではなく、木材・芯材・柔軟性で、杖の長さによる特性を補ったり、強化したりできる。

    杖の柔軟性・硬さ

    ギャリック・オリバンダー曰く、

    「杖の柔軟性、あるいは硬さは、杖と持ち主の組み合わせがもたらす、変化に対する順応性や積極性の度合いを示す。

    しかし、くり返しになるが、この要素も杖の木材・芯材・長さまたは杖の持ち主の人生経験や魔法のスタイルといった要素から切り離して考えるべきではない。

    こうした要素がすべて組み合わさって、その杖に唯一無二の特性が備わるのである。」

    杖の芯材

    ギャリック・オリバンダーが家業を引き継ぐ前は、魔法使いたちは実にさまざまなものを杖の芯に用いていた。

    自分が愛着を感じるもの、親から受け継いだもの、フラー・デラクールの杖の芯のように、一族が誓いを立てたものなど、芯に用いる魔力を持った素材は、客の方が杖職人に渡していた。

    だがギャリックは、お気に入りのニーズルのひげだの、父親を毒から救ったハナハッカの茎だの、スコットランドでの休暇中に出会ったケルピーのたてがみだのといったものを単に客が好む木材と合わせただけでは、最高の杖は作れないと思っていた。

    ギャリックの考える最高の杖は、きわめて強力な魔力を持つものを芯(一角獣、ドラゴン、不死鳥)に用い、その芯に合わせて選んだ木材の中にていねいに収めてその性質を補い、最後に、杖自身が最も親しみを感じる持ち主を選んでこそ、実現されるというものだった。

    当初はこの革命的な杖の製造法に誰もが大いに抵抗を示したが、ギャリック・オリバンダーの杖がそれまでの杖とは比べものにならないほど優れていることは、すぐに明らかになる。

    木材と芯の材料を見つけ、その2つを融合させ、最後に理想の持ち主と引き合わせる手法は秘密として厳重に守られており、同業者たちの垂涎の的となる。

    一角獣の毛の杖

    • 最も一貫性の高い魔力を生みだし、揺さぶりや妨害を受け難い。
    • 闇の魔術に最も感化され難い。
    • あらゆる杖の中で最も忠実。持ち主が熟練の魔女魔法使いであるかどうかに関わらず、最初の持ち主との結びつきを強く保ち続ける。
    • 強度の点で他よりも劣るが、木材で補う事も可能。
    • 取り扱いを極度に誤るとふざぎ込みがちで、芯が「死ぬ」事もあり、そうなると芯の交換が必要。

    ドラゴンの心臓の琴線の杖

    • 特に華々しい呪文をかける事ができる。
    • 他の杖よりも学習が早い傾向。
    • 最初の持ち主が杖を奪われた場合、新たな持ち主に忠誠を示すようになるが、その時々の持ち主に対しては常に強い結びつきを保つ。
    • 闇の魔術に最も感化され易い。しかし自発的にそうはならない。
    • 気まぐれなところがあり、3つの中で最も事故が起こり易い。

    不死鳥の尾羽根の杖

    • 最も貴重な芯材。
    • 使える魔法の幅広さが随一。しかし本領を発揮するまでに時間がかかる。
    • 最も自発性が高く、自分の判断で勝手な振る舞いをする事も。なので魔女や魔法使いに敬遠されがち。
    • 持ち主に対する選り好みが激しい。不死鳥自体が独立心の高い、超然とした生物である為。
    • 手懐ける、自分好みに調整する、忠誠を得る事が難しい。

    杖の木材

    ギャリック・オリバンダー曰く、

    「杖にはひとつとして同じものはない。杖がどんな性質を持つかは、素材を提供する木と魔法生物の種類で決まってくる。さらに、どの杖も理想的な持ち主を見つけた瞬間から、その人間に教え、またその人間から学び始める。

    それゆえ、この先に記すことは、あくまで杖に適した木材各種についての一般的な所見であり、個々の杖について説明したものではないことに留意されたい。

    杖品質の木材を生み出せる木は、ほんの一握りにとどまる。

    これは、魔法を使える人間が一握りなのと同じである。

    長年の経験がなければ、力を秘めた木を見分けることはできない。しかし、木の葉にボウトラックルが住んでいれば、杖品質の木だと容易にわかる。

    ボウトラックルは、並の木には住まないからである。以下に述べる杖用木材についての説明は、あくまで足がかり程度のものと考えるべきである。

    木材の研究は生涯続くものであり、私はこれからも、みずからが作り、持ち主と組み合わせる杖の一つひとつから学び続ける所存だ」。

    “極めて珍しい杖用木材である。

    アカシア材で作った杖は扱いが難しい。

    多くの場合、持ち主以外の者が使っても魔法が発揮されず、また極めて優れた魔法使いでなければ最大の力を引き出すことができない。

    こうした繊細な性質から、使う者を選ぶ杖である。

    このため我が店でも、十分な繊細さを備えた魔女や魔法使い向けに、少数の在庫しか置いていない。

    アカシアは、いわゆる「派手な音や煙だけ」の魔法には向かないのである。

    ひとたびふさわしい持ち主が見つかると、どんな相手とでも優れた力を発揮するが、上記のような特殊な性質のせいで過小評価されることも多い”

    “ハンノキは硬くて曲がりにくい木材だが、理想的な持ち主は頭の固い頑固な人間ではなく、思いやりのある感じの良いタイプが多いようだ。

    通常、杖用木材の多くは、みずからと同じ性質を持つパートナーを求める。

    ハンノキのように、正反対とはいわないまでも、まったく違ったタイプの持ち主を望む例は珍しい。

    ハンノキの杖は、ふさわしい持ち主にとっては、忠実で力強い味方になる。

    数ある杖の種類のなかでも、ハンノキは無言呪文の魔法に向いており、それゆえ高度な能力を持つ魔女や魔法使いにしか使いこなせないといわれる”

    【例】

    “リンゴの木の杖は、作られる数が少ない。

    強力な杖で、高い志と理想を持つ者に向いているが、これはリンゴ材が闇の魔術とそりが合わないためである。

    リンゴの木の杖を持つ者は、人に愛され、長生きするといわれている。

    私が気づいたところでは、リンゴの木の杖と相性がぴったりの客は、人としての魅力にあふれていることが多いようだ。

    また、他の魔法生物の言語を操って会話する珍しい能力を有する者は、リンゴの木の杖の持ち主に多い。

    水中人 ― その言語と習慣の完全ガイド』の著者、ディラン・マーウッドもそのひとりである”

    【例】

    “トネリコの杖は、真の持ち主のみに忠実である。

    元の持ち主が誰かにゆずったり贈ったりすると、杖は力を失う。

    この傾向は、芯に一角獣の素材を使った場合、さらに強くなる。

    杖に関する古い迷信のほとんどは、詳しく調べれば嘘だとわかるものだ。

    しかし、ナナカマド、クリ、トネリコ、ハシバミについての古い詩(「ナナカマドはうわさ好き、クリはしゃべり好き、トネリコは頑固で、ハシバミは文句たれ」)には、

    わずかながら真実が含まれている。

    トネリコの杖にふさわしい魔女や魔法使いは、私の経験上、ゆるぎない信念と決意を持つタイプである。

    とはいえ、自信過剰で図に乗った魔女や魔法使い(往々にして、この高名な杖を試したがる)がトネリコの杖を使っても、その効果に失望することになる。

    この杖の理想的な持ち主は、たとえ頑固でも強い精神を持つ者で、うぬぼれた浅はかな考えは決して持たぬ者である”

    【例】

    “杖品質のヤマナラシ材は、きめの細かい白木である。

    象牙に似た上品さと、呪文の効力が飛び抜けてよいことで、あらゆる杖作りに高く評価されている。

    ヤマナラシの杖にふさわしい持ち主は、魔法使いの決闘に熟練した者や、そうなることを運命づけられた者が多い。

    というのも、ヤマナラシの杖は、特に戦闘系の魔術に適した杖のひとつだからである。

    18世紀に悪名をはせた秘密決闘クラブ「銀の槍」は、ヤマナラシの杖の持ち主のみ入会を認めたという。

    私の経験上、ヤマナラシの杖の持ち主は往々にして確固たる意志の強さを持っており、未知の世界の探求や新たな秩序に魅力を感じるタイプが大半である。

    つまり、革命家向きの杖と言えよう”

    “ブナノキの杖にふさわしい持ち主は、若者であれば実際の年齢を超えるレベルの知恵を持ち合わせた人物、一人前の大人であれば深い洞察力のある経験豊かな人物である。

    視野が狭く、おおらかさに欠ける者が使うと、弱い効果しか発揮しない。

    にもかかわらず、この杖にふさわしくない魔女や魔法使いが、ブナノキの評価の高さや色の深み、価値に引かれて、手に入れることもある。

    そうした者は、我が店のような知識豊かな杖メーカーをしばしば訪れ、いい杖なのになぜ効果が発揮されないのかと訴えるものだ。

    ふさわしい者が持てば、この杖は他の木材ではまず見られないほどの繊細で芸術的な魔法を放つことができる。

    それゆえに輝かしい評価を受けているのである”

    “リンボクは杖用木材としては極めて珍しく、戦士に最も向いていると評される。

    これについては、私から見ても当然の評価だ。

    ただし、だからといって持ち主が闇の魔術の使い手だとはかぎらない(むろん、闇の魔法使いがリンボクの杖の強大な力の恩恵を受けることは否めないが)。

    リンボクの杖の持ち主は、闇祓い」やアズカバンの住人たちに多く見られる。

    危険なトゲを持つリンボクの茂みが、極寒の冬を耐え抜いて甘露な実をつけるのは、興味深い特徴である。

    この木を用いた杖も、持ち主と共に危険や苦難を乗り越えた末に、初めて真の絆を築くようだ。

    こうした条件はあれど、ひとたび持ち主と絆を結んだリンボクの杖は、この上なく忠実なしもべとなってくれる”

    【例】

    “普通のクルミ材より珍しい黒クルミ材の杖は、洞察力が鋭く、直感の働く持ち主を求める。

    黒クルミは大変見事な杖だが、誰にでも使いこなせるわけではない。

    というのも、この杖には奇妙なクセがあり、使う者の心に迷いがあると、魔法の効果に影響が出るためである。

    持ち主がなんらかの形で自分をだましていようものなら、杖の力は激減する。

    持ち主の魔女や魔法使いが自分あるいは他人に対して正直になれない(または、なる気がない)場合、黒クルミの杖はたいてい本来の力を発揮できなくなる。

    そうなると、もはや持ち主を変えないかぎり、力を回復できない。

    とはいえ、おのれをよく知る誠実な持ち主とめぐりあえば、黒クルミはどんな杖より優れた忠実な杖となり、いかなる種類の呪文を使っても、特に高い効果を発揮する”

    “スギの杖の持ち主は必ず、気骨と並々ならぬ忠誠心を備えている。

    父のジェルベーズ・オリバンダーはいつも、『スギの杖を持つ者に、まやかしは決して通用しない』と言っていた。これには私も異存はない。

    スギの杖に最適な持ち主は、洞察力と認知力を備えた者だからだ。

    しかし、私は父よりもさらに極端な意見を持つ。

    私はこれまで、スギの杖の持ち主に逆らおうと思ったことは一度たりともない。

    特に、彼らの愛する者に危害を加えるなどもってのほかである。スギの杖にふさわしい魔女や魔法使いは、敵に回すと恐ろしい相手になりうる。

    彼らに軽率な勝負を挑む者は、しばしば驚くことになる”

    【例】

    “非常に珍しいサクラの杖は、不思議な力を生み出す。

    日本にある魔法学校の生徒たちの間で特に高く評価されており、同校ではサクラの杖を持つ者は特別視される。

    西洋の魔女や魔法使いは、「ピンクの花をつける木の杖など、役に立たないか、ただの飾り用だろう」という考えを一切捨てるべきである。

    サクラ材からは、どんな芯材を用いても、死をもたらすほど強力な力を宿す杖ができることが多い。

    ただし、ドラゴンの心臓の琴線と組み合わせた杖は、並外れた自制心と精神力を持つ者にしか扱えない”

    【例】

    “いくつもの側面を持つ、極めて興味深い木材である。

    この木で作った杖の性質は、使う芯の種類によって大きく左右されるうえ、持ち主の性格にも染まりやすい。

    クリの杖が引かれる魔女や魔法使いは、魔法動物の優れた調教者、才能あふれる薬草学者、または生まれつきの飛行の名手である。

    ただし、ドラゴンの心臓の琴線を芯に使った場合、

    物欲が強くぜいたくを過度に好み、欲しいものは分別なく手に入れようとする者と相性がよくなる。

    反対に、ウィゼンガモット最高裁の長は、歴代3人ともクリと一角獣の杖を使っている。

    この組み合わせの杖は、司法関係者を好む傾向にあるためだ”

    【例】

    “イトスギの杖は、高貴な精神を持つ者と結びつく。

    中世の偉大な杖作り、ジェレイント・オリバンダーの残した書物によると、イトスギの杖の持ち主探しは、彼にとって名誉ある仕事だったという。

    なぜなら、この杖の持ち主は、英雄として死すべき運命の魔女や魔法使いだとわかっていたからだ。

    幸い、昔ほど血なまぐさい争いのない現代では、イトスギの杖の持ち主が命を捨てるべき状況はめったにない。

    しかし、必要とあらば、彼らの多くは迷うことなくそうするであろう。

    イトスギの杖が魂の伴侶に選ぶのは、勇ましく大胆で、自己犠牲の精神を持つ者である。

    彼らは自身の心の闇と、他者の心の闇とに向き合うことを恐れない”

    【例】

    “私が個人的に一番好きな木材である。

    この杖の理想的な持ち主を探すのは、いつも楽しい仕事だ。

    ハナミズキの杖は、気まぐれでいたずら好きである。

    遊び心のある杖で、刺激や楽しみを与えてくれる相棒を求める。

    だからといって、必要なときに本格的な魔法が使えないと思うのは大間違いだ。

    ハナミズキの杖は、困難な状況において実に優れた魔法を発することで知られている。

    また、頭の回転が速く独創性に優れた魔女や魔法使いが使うと、まばゆいばかりの魔法を生み出す。

    この杖のおもしろい欠点は、無言呪文を拒否することと、魔法を使うときにやたらと大きな音を立てることだ”

    “この真っ黒な杖用木材は、見た目が印象的で評価も高く、

    あらゆる戦闘系の魔法および変身術に最適である。

    黒檀の杖の持ち主として最適なのは、あるがままの自分でいることを恐れない者である。

    この杖の持ち主には、体制にくみさず、自立心が強いか「はみだし者」の立場を好む者が多い。

    このため、「不死鳥の騎士団」のメンバーと「死喰い人」の双方によく見られる。

    私の経験上、黒檀の杖と最も相性がいいのは、外部からどんな圧力がかかろうとみずからの信念を貫き、たやすく決意をくつがえさない者である”

    “あらゆる杖用木材の中で最も希少で、不幸を招くと伝えられるニワトコの杖は、どんな杖よりも使いこなすのが難しい。

    強力な魔力を宿しているが、自分の持ち主が共にいる仲間より劣っていると感じれば、持ち主に見切りをつける。

    このため、抜きんでた力を持つ魔法使いでなければ、ニワトコの杖を長く所有することはできない。

    『ニワトコの杖、栄えたためしなし』という古い迷信は、この杖への恐怖心から生まれたものだが、実のところ根拠はない。

    愚かな杖作りがニワトコの杖を作りたがらないのは、この木材を扱うことを恐れているというより、むしろ商品として売れないことを心配しているだけだ。

    この杖と相性がいいのは、極めて並外れた人間だけである。

    しかし、もしそのようなたぐいまれな人間がニワトコの杖を持てば、その者は必ずや特別な宿命を背負うことになるだろう。

    また、長年にわたる杖の研究により、もうひとつわかったことがある。

    ニワトコの杖の持ち主は、必ずといっていいほどナナカマドの杖に選ばれた者に強い親近感を覚えるようだ”

    Elder wand/死の秘宝の「ニワトコの杖

    ニワトコ材のうち、「死」がつくりだしたとされる、セストラルの尾毛を芯にした特殊な杖は「ニワトコの杖(Elder wand))」と呼ばれる。最強の杖。

    【「ニワトコの杖」の歴代所有者】

    “ニレの杖で魔法をかけられるのは純血の魔法使いのみと信じられているが、この説には根拠がない。

    みずからの血統を証明したい持ち主が広めた風説と考えて間違いないだろう。

    というのも、ニレの杖と相性のいいマグル生まれの魔法使いを、私は何人も見てきたからだ。

    実のところ、ニレの杖が好む持ち主は、魔術を器用に操る能力を持ち、存在感と生まれつきの品性を備えた者である。

    私の経験上、ニレの杖はいかなる杖と比べても事故やばかげたミスが少なく、最も優雅な魔法を生み出す。

    ふさわしい者が手にすれば極めて高度な魔法を使える、洗練された杖である(だからこそ、純血主義の信奉者が何を置いても欲しがるのだ)”

    【例】ルシウス・マルフォイの杖(芯はドラゴン)

    “この杖を持つにふさわしい魔法使いにとっては、良いときも悪いときも忠実な友となる。

    ヨーロッパナラの杖が相棒に求めるのは、強さと勇気と忠誠心である。

    あまり知られていないが、この杖の持ち主は直感が鋭く、自然界の魔力と結びつきを持つことも多い。

    このため、魔法に使う手段として、また純粋な楽しみとして、動植物と密接な関係を築くこともしばしばである。

    冬至から夏至までの間、ナラの木は『森の王』と呼ばれ、ナラ材を採集できるのはこの期間だけである

    再び日が短くなりはじめると柊が『王』になるため、柊は年の後半にしか採集すべきではない。

    このように『王』になる期間が分かれていることから、『男の杖がナラで、女の杖が柊なら、結婚するは愚かなり』という古い迷信が生まれたものと信じられている。

    ただし、私の調べたかぎり根拠はない。

    また、偉大な魔法使いマーリンの杖はヨーロッパナラだったといわれている(ただし彼の墓は見つかっていないため、証明はできない)”

    【例】

    “威厳ある我が祖父、ガーボルド・オクタビウス・オリバンダーは、いつもモミの木の杖を『生き残りし者の杖』と呼んでいた。

    というのは、祖父がモミの杖を売った魔法使い3人が、その後そろって命の危機に見舞われながらも無事に生き抜いたからだ。

    モミの木は、回復力が極めて高い。

    その木材で作った杖が、耐久力と強い決意を持った者を真の持ち主に選ぶのはもっともである。

    気まぐれで決断力のない者が使うと、おそまつな道具にしかならない。

    なお、モミの杖は変身術に特に適している。

    また、ひとつのことに集中する強い意志を持ち、場合によっては威圧的な態度も辞さない持ち主を好む”

    【例】

    “グレゴロビッチの著述によると、

    サンザシ材は『奇妙で矛盾に満ちた杖を生み出す。杖の親となる木も同じように矛盾をはらんでおり、葉や花は人を癒す力を持つが、切り枝は死の香りを放つ』とされる。

    グレゴロビッチが導き出した結論には賛同しかねる部分も多いが、サンザシの杖に関しては同感である。

    この杖には複雑で好奇心をそそる性質があり、杖に適した持ち主もまた同じである。

    サンザシの杖は回復系の魔法に特に適していながら、同時に呪いの名手でもある。

    私の見たところ、多くの場合、サンザシの杖が最も好むのは、みずからの内に相反する性質を持つ者か、混乱のさなかにある魔女や魔法使いのようだ。

    とはいえ、サンザシの杖を使いこなすのは難しいため、私は才能を認められた者にしかゆずらないようにしている。

    さもなくば、危険を招く恐れがあるからだ。

    また、サンザシの杖にはひねくれた性質があり、扱いを誤ると呪文が自分に返ってくることがある”

    【例】

    “ハシバミの杖は繊細で、持ち主の心の状態を反映することが多い。

    このため、持ち主には自分の感情を理解し、制御できる者がふさわしい。

    持ち主が最近かんしゃくを起こしたり、深い失望を味わったりした場合、杖の扱いには注意せねばならない。

    ハシバミの杖はそうしたエネルギーを吸収し、予期せぬ形で放出するからである。

    とはいえ、ハシバミの杖の長所は、こうしたささいな問題を補ってあまりある。

    熟達した技術を持つ者が使えば、たぐいまれなる魔法をかけることができる。

    また、この杖は持ち主に忠実なあまり、持ち主が死を迎えると『しおれて』しまうほどである

    (杖が一切の魔力を放出し、魔法の実行を拒むようになる。

    以降もその杖を使うには、芯を抜き出して別の杖に入れ替えなければならない。

    ただし、芯が一角獣のたてがみの場合、杖はほぼ確実に『死んでしまう』ため、もはや望みはない)。

    なお、ハシバミの杖には地下水を探し当てるという固有の能力もある。

    地下に隠れた泉や井戸の上を通ると、杖は銀色をした涙型の煙を吐き出す”

    【例】

    “杖用木材としては珍しい部類に入る。

    柊の杖は古くから持ち主を守る杖と考えられており、怒りや衝動を抑えられない者と最も相性がよく、そうした持ち主を手助けする。

    同時に、危険な冒険(精神的な意味であることが多い)のさなかにある者を持ち主として選ぶことも多い。

    柊は、組み合わせる芯の種類によって魔法の効き目が最も劇的に変わる木材のひとつである。

    特に不死鳥の羽根とは組み合わせるのが困難なことがよく知られているが、これは、柊の移ろいやすい性質が、不死鳥の超然とした性質と奇妙に反発し合うためである。

    ただし、柊と不死鳥の羽根の杖が理想的な持ち主に出会うという奇跡のような出来事が起きれば、

    その持ち主の行く手をはばむものは一切存在しないだろう”

    【例】

    “私自身の杖もクマシデ製である。

    それゆえ控えめに言わせてもらうが、クマシデの杖が生涯の友に選ぶのは、1 つのことに純粋な情熱を注ぐ、才能ある魔女や魔法使いである。

    人によってはその情熱を「執着」と呼ぶのかもしれないが(私は「展望」という呼びかたを好む)、それはほぼ確実に実現される。

    クマシデの杖は、どの杖と比較しても、持ち主の魔法のスタイルに適応するのが最も早い。

    あっという間に「持ち主専用」の杖になるため、他の者が使うのは極めて難しく、単純な呪文でさえかけるのに苦労する。

    同様に、クマシデの杖は持ち主の主義主張を吸収するため、それがどんな考えであろうとも、

    持ち主の信条と一致しない行為は(よかれ悪かれ)拒否する。

    細やかな調整のきいた、鋭い感覚を持つ杖である”

    【例】

    “丈夫で暖かい色みのカラマツは、魅力と強さを兼ねそなえた杖用木材として、長きにわたり珍重されている。

    使用者に勇気と自信を注ぎ込むといわれており、それゆえ常に需要が供給を上回る。

    しかし、誰もが求める杖ではあるものの、理想の持ち主の条件は厳しく、多くの者が想像するよりもはるかに扱いづらい杖である。

    カラマツ材からは、隠れた能力や思いもよらない効果を秘めた杖ができるが、この特徴は、理想的な持ち主にも当てはまる。

    カラマツの杖に選ばれる魔女や魔法使いは、この杖と組むまではみずからのありあまる能力を十分に発揮できていないことが多い。

    しかし、この杖を手にして以降は、計り知れない力が引き出されるのである”

    【例】

    “月桂樹の杖で卑劣な魔法は使えないといわれるが、

    栄誉を追求する目的で(この杖にふさわしい人間にとっては、決して珍しい目標ではない)、

    この杖から強力な魔法や、場合によっては命を奪うような魔法が放たれた例を私は知っている。

    月桂樹の杖は気まぐれだといわれることもあるが、この評価は妥当ではない。

    月桂樹の杖は所有者の怠け心を許さず、そのような気配を感じるや、みずから進んで他の魔法使いに勝ち取られるのである。

    そういった状況でないかぎり、最初の持ち主から決して離れることはなく、別の者が杖を盗もうとすると、自発的に落雷を起こすという優れた特性を持っている”

    カエデの杖が選ぶ持ち主には、生来の旅人や冒険者が多い。

    この杖はおとなしく家にいるタイプではなく、持ち主に野心を求める。

    条件に合わない持ち主の元では、杖の魔力は鈍くなり、活気もなくなる。

    新たな試練を与え、常に目先の景色を変えてやると、文字どおり輝きを放つようになる。

    また、持ち主と共に成長しながら能力を磨き、地位を高めていく。

    カエデ材は美しさゆえに人気が高く、杖品質のものは何世紀にもわたり、最も高価な木材に名を連ねている。

    カエデの杖は『成功者の杖』と評され、古くから、所有できるのは高い地位の証しとされてきた”

    “黄金色の木材で、華々しい魔力を宿す杖ができる。

    思いやりがあり、おおらかで賢明な持ち主の手に渡ると、ナシの杖は最高の力を発揮する。

    通常ナシの杖の持ち主は、私の経験上、人望が厚く、広く尊敬を集める人物である。

    闇の魔女や魔法使いが持ち主になった例には、一度たりともお目にかかったことがない。

    ナシの杖は特に回復力に優れており、長年にわたって酷使しても、いつまでも新品のように見事な外観を保ち続けることが多い”

    “木目がまっすぐなマツの杖は、必ず自立した個性の強い人物を持ち主に選ぶ。

    こうした人物は、一匹おおかみと思われたり、好奇の目で見られたり、謎めいているという印象を持たれたりすることもある。

    マツの杖は独創的な使いかたを喜ぶため、一部の杖とは違い、新しい手法や呪文に抵抗なく適応する

    多くの杖作りが主張するところによると、マツの杖は長生きする者と相性がよく、そうした人物を見つけ出す能力があるとされる。

    たしかに私自身、マツの杖の持ち主で若くして死んだ者を知らない。

    また、マツの杖は無言呪文に極めて敏感である”

    “『完全なものを求めるなら、まずポプラを探せ』とは、祖父のガーボルド・オクタビウス・オリバンダーが残した格言だ。

    私自身も経験上、ポプラの杖とその持ち主についての意見は、祖父とまったく同じである。

    高い信頼性、一貫性、強さ、そして安定した能力を誇るポプラの杖は、明確な道徳観念を持つ持ち主を求める。

    『ポプラの杖は決して政治家を選ばない』とは、腕の悪い杖作りたちの使い古された冗談だが、彼らがなげかわしいほどに無知であることの表れでもある。

    最も成功した2人の魔法大臣エルドリッチ・ディゴリーエヴァンゲリオン・オーピントンは、オリバンダーの手による最高級のポプラの杖を所有していた”

    “『レッドオークの杖は、持ち主の気が短い証拠』などと、無知な者が言うのをよく耳にするだろう。実際のところは、レッドオークの杖が求める理想の持ち主は、並外れて反応が速い者である。

    ゆえに、レッドオークは決闘にうってつけな杖といえる。

    ヨーロッパナラほど一般的ではないが、レッドオークの杖の所有者として理想的なのは、軽妙で頭の回転が速く、順応力に富んだ人物である。

    みずからのトレードマークとなる独自の呪文をつくり出す者も多く、男

    であれ女であれ、戦いの際に頼れるタイプである。

    レッドオークの杖は、あらゆる杖と比較して最も均整が取れているというのが、私の意見である”

    “杖品質のセコイアは供給が不足気味だが、一定の需要がある。

    持ち主に幸運を招くといわれているためだが、杖に関する伝承ではよくあるように、一般大衆は事実を逆にとらえている。

    セコイアの杖が幸運をもたらすのではなく、

    この杖はもともと運の強い魔女や魔法使いに強く引きつけられるのである。

    この杖に選ばれる者は、苦境を逃れる運の強さや、正しい選択をする判断力、破滅的な状況をくつがえす力を備えている。

    そうした幸運の持ち主とセコイアの杖の組み合わせには、私も常に好奇心をかき立てられる。

    この特別な杖を理想の持ち主と引き合わせて我が店から送り出すとき、いずれ彼らの胸躍るような活躍ぶりが風のうわさで流れてくるだろうと期待されるからだ”

    “いかなる杖と比較してもとりわけ高い防衛力を持つといわれるナナカマドは、実に人気のある杖用木材である。

    私の経験上、あらゆる防御魔法をかける際、この杖を使うと特に強力で破られにくくなる。

    一般的に、過去にも現在もナナカマドの杖を所有する闇の魔法使いはいないとされている。

    たしかに、私が作ったナナカマドの杖が世に悪事をなした例は、一度たりとも覚えがない。

    ナナカマドの杖の理想の持ち主は、頭がよく心優しい人物だが、こうした善良な評判にごまかされてはならない。

    ナナカマドの杖は他の杖に匹敵するどころかそれに勝ることも多く、決闘では相手を上回る力を発揮することもしばしばである”

    “希少かつ魅力的な杖用木材で、19 世紀に大流行した。

    需要が供給を上回ったため、恥を知らぬ杖作りどもは低品質の木材をギンヨウボダイジュの色に染め、客に本物だと信じ込ませて売りつけていたほどである。

    そこまでの人気を博した理由は、見た目が飛び抜けて魅力的であることに加え、占い師や開心術に熟練した者が使うと最高の力を発揮するといわれていたためである。

    いずれも神秘の術であるため、ギンヨウボダイジュの杖の所有者は高い地位にあると見なされた。

    杖の需要が絶頂に達したとき、杖作りのアルトゥーロ・セファロポスは、ある訴えを主張した。ギンヨウボダイジュの杖と予知能力に関連があるとする説は、

    ガーボルド・オクタビウス・オリバンダー(私の祖父)などの商人が、仕入れすぎたギンヨウボダイジュ材の在庫を売り払いたいために広めたデタラメだ、というのである。

    しかし、セファロポスはずさんな仕事をする無知な男であったため、

    彼が廃業したときは、占い師でなくとも驚く者はいなかった”

    “技術のない杖作りは、トウヒは難しい木材だと言う。

    しかし、彼らはそうやってみずからの未熟さを暴露してしまっている。

    たしかに、トウヒ材を扱うにはある程度の熟練が必要である。

    トウヒの杖は、警戒心の強い者や神経質な者とは相性が悪く、不器用な者が扱うと間違いなく危険である。

    この杖は、どんな魔法を発するべきか、みずからの意志で判断しがちなようだ。

    このため、使用する者には厳然とした態度が求められる。

    しかし、相性が最適の持ち主に出会うと(私の経験上、ユーモアのセンスがあり、大胆に魔法を操る人物がいいようだ)、杖は強い忠誠心で持ち主を大いに助け、鮮やかで派手な魔法の効果を生み出す”

    “シカモア材からは、冒険好きな杖ができる。

    いつも新たな経験を求め、刺激のない仕事をさせると輝きを失う。

    この見事な杖にはやっかいなクセがあり、退屈させるといきなり燃え出してしまう。

    ゆえに、中年になって落ち着いてきた魔女や魔法使いの多くは、信頼する杖にいつものように『スリッパを取ってこい』と命令したとたん、杖が手の中で燃え上がり、動揺することになる。

    シカモアの杖の理想的な持ち主は、好奇心旺盛で生命力にあふれる、冒険好きな人物が最適である。

    そのような持ち主と組み合わせれば、シカモアの杖は持ち主から学び、適応し始める。

    そして、世界で最も称賛を受ける杖用木材の名に恥じない能力を発揮するのである”

    ドルイド僧たちは、木質の茎を持つものはすべて木と考えていた。

    ブドウの木からは特殊な性質を持った杖ができ、私は喜んでその古来の伝統を受け継いできた。

    ブドウの杖は一般的ではないが、興味深いことに、この杖の持ち主はみな大いなる目的を追求する魔女や魔法使いである。

    彼らには凡人には計り知れない先見の明があり、彼らについて理解し尽くしていると思っていた者たちを驚かせることもしばしばである。

    ブドウの杖は、一見しただけではわからない深みのある人格を持つ人物に強く引かれるようである。

    また、他の杖と比較して、持ち主になるべき人物を即座に探し当てる傾向にある。

    信頼できる筋からの情報によると、ブドウの杖は、理想的な持ち主が同じ部屋に入っただけで魔法の効果を発するという。我が店でも、そういった現象は2度確認されている”

    【例】

    “知性の高い魔女や魔法使いには、まず試しにクルミの杖を渡してみるべきだろう。

    10回中9回は、理想のパートナー同士だと判明する。魔法の革新者や発明者が所有者となる例も多い。この見事な木材は、ずば抜けて多様な用途に向いており、適応力も高いためである。

    ただし、注意も必要である。

    一部の木材は、持ち主が主導権を持って扱うのが難しく、木材の性質と合わない呪文をかけようとすると抵抗する。

    ところがクルミの杖は、いったん服従したら最後、持ち主が望むことはいかなることでも成しとげてしまう(使用者が十分に頭脳明せきであればの話だが)。

    このため、クルミの杖は良心のない者の手に渡ると恐るべき武器になってしまう。

    杖と魔法使いが悪影響を与え合うという、非常に不健全な関係が築かれてしまうからだ”

    【例】

    “ヤナギは癒しの力を持つ珍しい杖用木材である。

    私が気づいたところによると、ヤナギの理想的な持ち主には、どれだけ隠そうとしても、(しばしば根拠のない)不安を抱えたものが多い。

    杖の見事な外見と、高度な無言呪文をかけられるという定評に引かれ、自信にあふれる客がヤナギの杖を試したいと主張することもよくある。

    しかし私が作るヤナギの杖は、もはや学ぶことはあまりないと感じている者よりも、むしろ大いなる可能性を秘めている者をいつも選ぶ。

    『最も遠い道を歩む者は、ヤナギと共に最も速く進む』とは、オリバンダー家に伝わる格言である”

    【例】

    “イチイの杖は珍しい部類に入る。

    理想的な持ち主もまた、たぐいまれなる力を持つ者で、悪名高い人物の場合もある。

    イチイの杖は所有者に生死に関わる力を授けるとされている。

    むろん、それはどんな種類の杖にもいえるわけだが、イチイの杖は特に決闘や呪いの分野において、恐るべき不穏な評判を博す。

    とはいえ、イチイの杖を使う者が闇の魔術に引かれやすいという説は、真実ではない(杖に関する伝承ついて不勉強な者は、よくそう言うものだが)。イ

    チイの杖に最適な魔女や魔法使いは、その強大な力で他者を守ることもあるからだ。

    イチイという極めて長寿の樹木から切り出した杖は、しばしば英雄、あるいは悪人に所有されてきた。イチイの杖と共に魔法使いを埋葬すると、通常地中の杖が芽吹いて木となり、死んだ持ち主の墓を守る。

    私の経験上、はっきりと言えるのは、イチイの杖は決して平凡な人物や取るに足りない人物を持ち主に選ばないということである”

    【例】

    余談

    ホグワーツ・レガシーではマグルの大砲を杖の一種と勘違いしている魔法使いが登場した。

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