概要
ハリー・ポッターシリーズ及び同じ世界観を共有する作品群に登場する魔法学校、ホグワーツ魔法魔術学校の創設者の内の一人。スリザリン寮の祖。
主人公のハリー・ポッターたちの時代から約千年前に生きた人物である。
来歴
「東の湿原」からホグワーツの地へやって来た純血の魔法使い。優れた開心術士であり、悪名高い純血主義の擁護者。
何かと蛇に縁が深く、蛇および蛇に分類される魔法生物が喋る蛇語(パーセルタング)を使う蛇語使い(パーセルマウス)の才能を持ち、蛇を使役することが可能であった。
またスネークウッドの木にバジリスクの牙が芯に使われた杖を作り使用しており、この杖は蛇語使いが話しかけることで特定の作用をするなど特別仕様となっている。
ゴドリック・グリフィンドール、ヘルガ・ハッフルパフ、ロウェナ・レイブンクローらと出会い、彼らと共にホグワーツ魔法魔術学校を創設した創始者の一人である。
創始者四人は良き友であり、特にグリフィンドールとは「これほどの友ありうるや?」と讃えられる程の親友だった。
しかし、サラザールは次第にホグワーツの生徒たちを魔法族の血を汲むものに厳選すべきという考えを持つようになる。
即ち両親が魔法力を持たないマグルから生まれたマグル生まれの魔法使い、魔女をホグワーツに入れないというものだった。
サラザールの考えは他の三人の創始者と相いれず、特にゴドリックからの反対が凄まじく、親友であった二人は決闘にまで発展してしまった。
決闘の末、サラザールは秘密の部屋とその部屋に怪物を残してホグワーツを去った。
この創始者の不和によりロウェナはストレスと娘ヘレナの出奔のショックが重なり若くして死亡している。
思想
スリザリン寮の信条や組み分け帽子の歌にもあるように、野心に溢れ、狡猾さを備えた人物であったと思われる。
また、自らと同じように大望や臨機の才を持つ若者を高く評価していた。
一方で、マグル生まれの魔法使い、魔女に対する差別意識が酷く、マグルの血が混じっている者はホグワーツへの入学を拒否するべきだと考えていた。スリザリン出身の魔法使いの大半が純血主義で、尚且つ他の寮よりもマグルへの差別意識が特に強いのはこのため。
ヘルガ・ハッフルパフを除けば皆入学者になんらかの特性を求めていたが(グリフィンドールは勇敢、レイブンクローは叡知)彼のそれは二人の求めるものと違い本人の意志、努力などではどうにもならないものだった。
最も狡猾さや野心を重んじていたのも事実であり、千年以上前の人間のため、正確な人物像を知る術は現在の所無い。
そもそも、「マグルへの差別感情を持たなかったゴドリック達と親友だった」という事実や、四人の創始者の脳と人格をコピーされている組み分け帽子の存在自体が、サラザールが最初からマグルへの差別感情や純血主義を持っていた訳では無かったのを実証しているのが明白であると言える(最初からマグルへの差別感情があれば、組み分け帽子もマグルへの差別意識を持った一面を見せるはずだし、ゴドリック達と親友同士になる事すらまずあり得ない)。
その為、マグルに対する差別感情を抱くまでに至ってしまったのには、当時の魔法界における社会事情や背景等がサラザールの思想に大きく影響を与えてしまった可能性も否定出来ないと思われる。
なお二次創作でこのことが言及される際、魔女狩りに関して触れられることがあるが、かの惨禍は早くとも12世紀以降、実際は15、16世紀に行われたため、彼の思想と魔女狩りに関係があるかは疑わしい。また彼の思想は同時代の大多数の魔法族にとって異端で不料簡なものだったとされており、事実秘密保持法が制定されるまでは、マルフォイ家のようないわゆる“純血”魔法族も、(利害関係の一致から)マグルと交流していた。サラザールの純血主義が何によって育まれたのかは今のところまったくの不明である。今後の公式情報に期待。
秘密の部屋
サラザールは三人の創始者たちとの意見の決別からホグワーツ城から去るが、その前に「この学校で教えを受けるに相応しからざる者(=マグル生まれ)」を追放する為に蛇語を鍵とした「秘密の部屋」を設け、中に怪物、バジリスクを棲まわせたとされている。
後にこの伝承を信じたスリザリンの継承者によって部屋は開かれ、マグル生まれの女子生徒が殺されている。
ちなみになぜ部屋が女子トイレにあったかというとホグワーツ改修工事の際に配管の都合で部屋の入り口が暴露されそうになり、子孫の女性コルヴィヌス・ゴーントが入り口を移したためである(裏設定により判明)
この裏設定が出るまでは、女子トイレを入り口にするなんてサラザールは変態なのかと思われることもあった。また、実は正体は女性ではないのかと考察されることもあった模様。そもそもサラザールの時代のホグワーツにトイレ設備は存在していなかったのにとんだとばっちりである。
蛇語
蛇語(パーセルタング)とは蛇および蛇に分類される魔法生物たちの言語であり、この言葉を使うことで蛇を使役する者のことを蛇語使い(パーセルマウス)という。
極めて稀な能力を持ち、その力は彼の子孫にも受け継がれた。
スリザリンのシンボルが蛇なのもこのため。
また闇の魔術と蛇語が関連付けられる理由でもある。
しかし善良な魔法使いにも蛇語使いは存在する。
そもそもスリザリンの血脈ではない者でも蛇語は習得可能でグリフィンドール寮のアルバス・ダンブルドアは習得しており、ロン・ウィーズリーはハリーの言葉を真似ることで蛇語を断片的に話して見せた。
所有物
スリザリンのロケット
重い金でできており表にはヘビのような形をした「S」が緑の石ではめ込まれて輝くロケット。
このロケットはやがて子孫であるゴーント家に受け継がれるもメローピー・ゴーントが生活苦のために売って以降、様々な人の手に渡ることとなった。
メローピーの息子がこのロケットを手に入れ、自身の分霊箱として、罠の張り巡らされた洞窟に保管していたが、部下の裏切りによって最終的にはハリー・ポッターの元へと渡り、ロン・ウィーズリーにグリフィンドールの剣で破壊された。
スリザリンの杖
スネークウッドの木にバジリスクの牙が芯に使われた杖を作り使用しており、この杖は蛇語使いが話しかけることで「眠る」ことが可能な特別仕様となっている。
17世紀頃、アイルランドのゴーント家に伝わっており、過激な純血主義者の魔女、ゴームレイス・ゴーントが使用していたが彼女に両親を殺された姪のイゾルト・セイアがこの杖を盗み、新大陸のアメリカへと渡った。
その後、イゾルトはゴームレイスが「眠らせ」た後に自身が創設したイルヴァーモーニー魔法魔術学校の庭に埋めた。
のちにそこから杖の材料であるスネークウッドと類似した樹木が生え、切り落とすことができないがその葉には強力な薬効が備わっていた。
子孫
スリザリンの血は死の秘宝のペベレル家と交わり、ゴーント家に受け継がれた。
しかしゴーント家は近親婚を繰り返し、没落している。
魔女のメローピー・ゴーントが魔法力のないマグルのトム・リドル・シニアとの間に儲けたトム・リドルは近代魔法史上最悪の闇の魔法使いヴォルデモートとなっている。
ヴォルデモートの死後は彼の娘デルフィーニが現存する直系の子孫であるが、紆余曲折を経て彼女はアズカバンに収容されている。
ちなみにゴーントの血はアメリカに渡ったイゾルト・セイアにも流れており、彼女はイルヴァーモーニー魔法学校の創設者の一人であり、「ホーンド・サーペント(角水蛇)」寮の祖となっている。
イゾルトは魔法力のないマグルのジェームズ・スチュワードと結婚し、双子の子供に恵まれるが、魔法力のある娘は生涯結婚せず、魔法力のないスクイブの娘は魔法力のない伴侶を選び以降はマグルとして生きることとなった。
容姿
原作の描写、作者のHP、秘密の部屋にあった彫像によれば、禿頭でローブの裾ほどまである長い白ひげをたくわえた厳つい猿のような顔の老人。
ちなみに彼の子孫のマールヴォロ・ゴーントも猿のような顔。
二次創作では
Pixivの二次創作では長髪の美男子として描かれることが多い。アルビノの蛇のイメージからか、銀髪赤目のファン設定も流布している。いまのところPixivに禿頭のサラザールのファンアートは存在していない。
彼の純血主義、そして後世の魔法界の純血主義はしばしばファンによってその由来と意義を考察される。