シリーズ第2巻
(原題:Harry Potter and the Chamber of Secrets)
ホグワーツ城内の施設(The Chamber of Secrets)
ホグワーツ魔法魔術学校の創設者の一人であるサラザール・スリザリンは、迎え入れる生徒は魔法族に限定すべきという純血主義を主張。
これに対して同じくゴドリック・グリフィンドール、ロウェナ・レイブンクロー、ヘルガ・ハッフルパフが反対し、対立に敗れたスリザリンがホグワーツを去る時に場内に極秘に作り上げたとされる部屋である。
この学校にスリザリンの真の後継者が現れる時まで誰もその部屋を開ける事はできず、その後継者のみが部屋の封印とその中に隠された「恐怖」を解き放ち、この学校で魔法を学ぶにふさわしくない者(非魔法族であるマグル出身者など)を追放すると、言い伝えられていた。
長い歴史の間にその信憑性が疑われていた時期もあったが、1943年の女子生徒の不審死事件を機に学校側などによる本格的な調査が何度も行われる。
しかし特に大きな手がかりすらも見つからないまま、主人公のハリー・ポッターの2年生時に起きた怪事件によって秘密の部屋の名が再び注目されるようになった。
ネタバレ注意
ハリー達の調査によって、その入口は現在はほとんど使われていない城内の女子トイレに隠されていた事が判明。
蛇の模様の彫り込みのある蛇口に蛇語で開放を命じると、洗面台が動き部屋へのトンネルが開く仕掛けであった。
トンネルの底は城のそばにある湖の底より深い所に位置にある。
その終点にある部屋の本体はかなり広く、天井の高い石造りの広間にサラザール・スリザリンの巨大な顔の彫像が置かれている(映画版では部屋全体の床と壁が濡れており、顔の像の前の人工池や、口の開いた複数の大きな蛇の像、さらに各所へ分岐する水道管状のトンネルも存在)。
そしてそこに隠されていた「恐怖」とは、英国魔法界で最も恐れられている魔法生物である巨大な毒蛇のバジリスクであった。
ジニー・ウィーズリーを追ってその最深部に辿り着いたハリーは、そこに姿を表したトム・リドルがジニーを操っていた事、彼が学生時代に秘密の部屋を開きその際に操っていたバジリスクの死の眼差しによって後にゴーストの嘆きのマートルと呼ばれる女子生徒が亡くなっていた事、そして彼こそが若き日のヴォルデモートであった事を知る。
そしてハリーはバジリスクと、魔法によって実体化したリドルの記憶と対決して勝利。
後にヴォルデモートの分霊箱の一つと判明する「リドルの日記」の破壊にも成功した。
5年後の7巻『死の秘宝」』では、ロン・ウィーズリーとハーマイオニー・グレンジャーが分霊箱の一つ「ハッフルパフのカップ」をバジリスクの死骸の歯で破壊するために秘密の部屋を訪れた。
なおその際ロンは得意の声真似でハリーの蛇語を再現し、見事に部屋の入口を開いてみせた。
その他
原題の「chamber」は、「特定の用途に使用される特別な部屋」としての意味合いが強く、「会議場」、「議会」、「謁見室」、「裁判官室」なども指す。
小説・映画での描写から、現代の日本語では「大広間」がより該当すると思われる。
秘密の部屋の入口が女子トイレにある事について、同じ作者の同じ世界観作品シリーズでの言及から、かつてホグワーツ城の水洗トイレ導入の際にサラザール・スリザリンの末裔であるゴーント家のコルヴィヌス・ゴーント少年がカモフラージュのために密かに改装を施したとされている。