🚰概要
液体や流体を運ぶ管の出口に相当する部分、あるいはその部分の器具や金具のこと。水道に設置する機種の正式名称は「水栓金具」。
大抵の機種は、流体の流量を調節・開閉できる「栓」を内蔵している。
外気温が氷点下になるおそれがある場合、2分で500mmペットボトルの半分まで給水される程度の吐出量まで水栓を開け、あえて水を流したままにする。なぜかというと配管にたまった水が凍結して詰まったり、氷結の際に膨張して管を破壊してしまう事故が起きかねないからである。
株式会社カクダイが奇妙な水栓「Da Reya」シリーズを販売していることで知られる。
- 出典
- ウェブサイト
- 蛇口 - Wikipedia
- 水道蛇口の部品(パーツ)名称や構造を徹底解説 - 交換できるくん
- ウェブサイト
名称について
文法において「蛇口」やその正式名称、表記ゆれは日本語の固有名詞に属する。
「蛇口」という名称の由来は、1880年代後半から日本国にて近代水道の整備が始まったころ、公共用水飲み場に設置した水栓の吐出口の意匠に蛇の頭部を取り入れたことから。
よくある表記ゆれ「水栓」は、蛇口の中でも水の流量調節に特化した器具を指す。
「カラン」という呼び名も日常生活で稀に聞く。これはオランダ語で鶴という意味する単語からきている。
構造
「流入口」「栓」「スパウト(吐出口)」の三要素で構成されている。
蛇口の中でもオーソドックスな『スピンドル式』はまず、流入口からやってきた流体は栓の部分の下側に入り込み、源流からの圧力が独楽の形をした部品「こまパッキン」を押し上げる力へと変換される。この時栓が全閉の場合、流量の調整を司る「スピンドル(調整ねじ)」が下がった状態で固定されており、その力がばねを経由してこまパッキンを強く押し込み栓を塞ぐことで、流体はスパウトから排出されなくなる。
ハンドルと直結しているスピンドルを反時計回りに回転させると、スピンドル本体が上がりこまパッキンを押し込む圧力が弱くなる。これが流体からの圧力を下回ると、流体がこまパッキンを押し上げてスパウトへと流出を始める。これがいわゆる「栓が開いた」状態。開栓後のこまパッキンは流体の流れ過ぎを抑え流量を均等に近づける働きをする。
要するにスピンドルを通じてこまパッキンが流れを邪魔する力を調節することで、流体の排出量をコントロールしている。
スピンドル式は開閉操作に手間と握力、腕力を要する一方、ハンドル回転数が多い分流量の微調整が非常に容易という長所がある。
バリアフリーに関する法律が施行されてから普及が進みつつある「レバーハンドル方式」はスピンドルの形状を工夫し、レバーの上げ下げ(押し引き)だけで流量を手早く調整できるよう設計されている。ハンドル部分を長くしててこの原理を利用することで、手の力が弱い人でも操作しやすくなっている。
レバーハンドル式の短所はてこの原理で栓の部品に応力がかかり消耗しやすいことである。
栓の機能を電磁弁が受け持つ「電磁弁式」も公共施設でよく見かける。これはスピンドルが電磁石に置き換わっており、コイルに通電していない間はこまパッキンが押し下げられて管を塞いでいる。電源からコイルに通電するとこまパッキンの固定が解除され、流体がスパウトへと移動する。
栓による分類
【単水栓】
1種類の流体のみを制御する蛇口。通常「蛇口」というとこのタイプを指すし、pixivに投稿された蛇口のイラストも単水栓がほとんどである。
流入口から管を分岐させ単水栓を2つないし3つ設けた「複式単水栓」もある。
【混合水栓】
流入口が2つあり、2つの流体を混ぜ合わせて排出可能な蛇口。片方の流入口の流体が反対側の流入口に進入するのを防ぐために、混合水栓内部か直前に逆止め弁(流体を一方向しか通さない弁)を配置する。
旧来のスピンドルが2つあるタイプは、それぞれの栓の開度で流体の混合比率と流量を調節する。混合比や流量の調整に手間がかかるデメリットはあるが、共通部品が多く使用された機種が多くメンテナンス性に優れている。
一方、近年普及が進んでいるサーモスタット式は、「サーモスタット」というツマミで2つの流体の混合比率を変更し、スピンドルに繋がるハンドルで混合された流体の吐出量を制御する。イラストのようなサーモスタットとハンドルが一体化したものは台所で多用される。手軽に混合比調整ができるが、専用部品が多く部品交換のメンテナンスに難がある。
【自閉水栓】
使用者が開栓したあと、自動で栓が閉まる蛇口。栓を操作している間だけ吐出するタイプと、開栓すると一定時間放流されたあとに閉塞するタイプがある。
「ボタンを押すと流体が流れる」蛇口は自閉水栓と考えてよい。
自閉水栓は公園や公衆トイレ、銭湯で見ることができる。手を離してしまえば放流が止まるため、開栓したまま放置することで水道水を浪費することがないことから。
一般家庭向けのものとしては、日本企業TOTOが浴槽への給水を目的とした自閉水栓「TMF47ARRA」を販売している。
スパウト
スパウト
栓の本体と別体になっていて、用途に合わせて接続する専用の吐水管を『スパウト』と言う。ベビーグッズのスパウトと混同しないよう「蛇口スパウト」と呼ばれることもある。
イラスト左のような首振り機構を持ったもの、右の市販のホースを接続しやすくした先端部のもの、そのほかに鎧状にして柔軟に向きを変更できるものが水栓として日常的に使用される。SANEI株式会社の「EA100-60X」「EA200-60X」のような、既存の水栓のスパウトを交換して自動水栓化できる製品も発売されている。
庭園への散水や、火災が発生した際に消火を促す物質(水や消火剤)を散布する「スプリンクラー」設備もこのカテゴリに属する。
ニップル
スパウト先端部に固定し、ホースを直接ねじ込んだり、専用端子を装着したホースを接続するための外付け部品を「ニップル」(ホースニップル)という。ホースニップルのコネクタ同士でホースを連結することで、軽く引っ張っただけでは抜けなくなる。