「前世の恨み、晴らさせてもらうぞ!」
登場話数:第31話「宅配ダイエット」
概要
マシン帝国バラノイアが開発したマシン獣の一体。
蛇口のような細長い頭に、配管工のような出で立ちなど、かつてオーレンジャーと戦い敗北を喫したジャグチャックに近似・・・というよりほぼ瓜二つな姿(※1)が特徴であるが、それもそのはず、バラジャグチはジャグチャックを再生強化して生み出された個体である。
作中でもブルドントがその点について言及している他、自身も記事冒頭に示した台詞通り、ジャグチャックだった頃を「前世」と認識している節がある。
姿形こそ既存のマシン獣の再利用とはいえ、もちろんただ単に再利用している訳ではなく、その全身は新開発の液状金属で構成され、これにより全身を液状化して水道管を自由に移動したり、相手の攻撃を回避するといった能力も新たに行使できるようになった。
この材質の変更と関係しているかまでは定かではないが、ジャグチャックの頃にはなかった人間(※2)への変身能力までも有しており、この姿でもマシン獣時と同様に身体に付いた蛇口を取り外したり、その跡から新たに蛇口を生やしたりすることもできる。
戦闘の面においても、従前から用いていた口からの強烈な放水、それに得物のピッケルだけでなく、胴体に複数付いた蛇口全てから「七色ビーム」なる光線を発射することも可能となっている。
この七色ビームは、単なる攻撃用の手段という訳ではなく、「月の虹」というもう一つの顔を備えている。緑色の液体であるこの月の虹は、人間が摂取し続けることで次第に理性を失わせるのと同時に、異常なまでの食欲を湧き立たせる効果を現す危険な代物であり、身体に付いている蛇口には人間の家庭にあるそれと取り替えることにより、そこからも月の虹が出るという働きを持つ。
この月の虹の持つ効果を利用して人々を凶暴化させ、人間社会に混乱を引き起こした上で地球征服を推し進める・・・バラノイアの狙いは正しくそこにあるといっても過言ではない。
(※1 一応、頭部のヘルメットや手袋の色が青へと改められている、といった細かな差異もない訳ではない)
(※2 オープニングでは「ツナギ男」としてクレジット)
作中での動向
作戦の実行役として地上へと派遣されたバラジャグチは、ツナギ男の姿で新田家を始めとする様々な家庭を訪ねて回り、「1日コップ1杯飲み続けるだけで、太らずにどんどん痩せることができる」との触れ込みで、元々あった蛇口を自らのそれへと交換。さらには「痩せる効果を高める」という銀色の減量スーツまでもサービスすることで、バラジャグチは人間達が月の虹に興味を持つよう仕向け、着々と作戦への布石を打っていった。
しかしその過程で、ジョギング中であった桃に対し公園の蛇口から奇襲を仕掛けたことで、オーレンジャーにも自らの暗躍が露見してしまう。液状化能力を駆使して彼等からの攻撃をことごとく回避し、アチャとコチャから命令遂行を念押しされたこともあってその場から早々に退散したものの、その際にばらまいた七色ビームの分析により、これが月の虹と同一の成分であることが判明することとなる。
月の虹が水源に混ぜられ、被害が拡大することを懸念した三浦の指示により、オーレンジャーも貯水池での水質調査や、バラジャグチの追い込みを目的としたローラー作戦を展開することとなるが、そんな彼等を嘲笑うかのようにバラジャグチは水道管の中を自在に移動して追跡の手から逃れ続けており、月の虹の飲用を止めるようにとの市民への呼びかけもまた、証拠不足を理由に取り合ってもらえぬ有様であった。
その結果、月の虹を飲み続け理性を失った人々により、街中で食べ物の奪い合いが発生する等、事態は深刻化の一途を辿るばかりであり、バラジャグチによる月の虹作戦も一定の成果を上げた・・・かに思われたが、その間オーレンジャーもただ手をこまねいているはずもなく、リキ達の協力の下バラジャグチを水道管の中から追い出すべく、新たな作戦に着手することとなる。
この作戦によってバルブを閉められ、次々と自らの行く手を塞がれていったバラジャグチは、作戦通り水道管から引きずり出されながらも液状化して脱出、追って来るオーレンジャーにもバーロ兵をけしかけて逃亡しようとするが、キングレンジャーに退路を塞がれたために自らも応戦を余儀なくされてしまう。バーロ兵を一掃されたとはいえ、バラジャグチも口からの放水や胸に備わった蛇口からのビーム、そして液状化能力による攻撃の無効化でオーレンジャーに苦戦を強いてみせた。
しかし、オーレッドの機転によって液体窒素のパイプの近くへと誘導され、一旦姿を消したオーレンジャーによる頭上からの奇襲を回避しながらも、キングスマッシャーによって破壊されたパイプから噴出した液体窒素により身体が凍結。これで身動きが取れなくなったところへキングビクトリーフラッシュを撃ち込まれ、敢え無く粉砕されるに至った。
巨大化後も、キングピラミッダー・バトルフォーメーションの威容に圧倒され、大した抵抗も出来ぬままスーパーレジェンドビームを喰らい、「前世」の無念を晴らせぬまま二度目の最期を迎えたのであった。
備考
デザインは阿部統が担当。と言っても前述の通りジャグチャックをほぼそのまま流用した怪人であるため、バラジャグチとしては特に新たにデザインは起こしていないものの、再登場に当たっては「水みたいな模様を入れよう」みたいな指定をした覚えがあると後に述懐している。
演者の篠田も、やはりジャグチャックに引き続いてCVを担当しており、ここでは声だけでなく「ツナギ男」としての姿も併せて演じている。
このツナギ男も、元のバラジャグチに準じた黄色い作業着姿とされているが、この作業着は『特警ウインスペクター』に篠田がゲスト出演した際に着用したものと同じであることを、当時助監督の一人として本作に携わっていた竹本昇が後に明かしている。もっとも、これについては同作出演時のオマージュ・・・という訳ではなく、「当時の衣装部には黄色の作業着がこれしかなかった」ためであるとも語っている(参考リンク)。
関連タグ
カメラトリック:同じく劇場版が初出のマシン獣の一体で、後にTVシリーズにも再登場したという点で共通項を有する
カネダマ、GGボーン:前後のシリーズ作品に登場する、CV担当を同じくする戦隊怪人達。
蛇口仮面、ジャグチジゲン、ジャグチヒルドン:いずれもスーパー戦隊シリーズの他作品に登場する、蛇口をモチーフとした戦隊怪人達。
メッツラー、ザミーゴ・デルマ:こちらはスーパー戦隊シリーズの他作品に登場する、液状化能力の持ち主である怪人達。ゲスト怪人であるバラジャグチとは異なり、いずれもレギュラーキャラクターであるという相違点を持つ
ノコギリバンキ/チェーンソーバンキ、ハッシャボタンリガニー/ハッシャリガニー:バラジャグチと同様に、一度倒された個体を元になる強化改造を施して復活させた戦隊怪人達
バクレンオー、雷々剱、獄々丸、獰猛の戦騎D:いずれもスーパー戦隊シリーズの他作品に登場する悪役達で、劇場版が初出であるのと同時にそこから変化を加える形でTVシリーズに再登場したという点で、バラジャグチとの共通点が見られる