リドルの日記
りどるのにっき
第2巻に登場。かつてホグワーツに在籍していた学生トム・マールヴォロ・リドルが日記帳として使用していたノート。元々はロンドンの書店で購入した普通のノートだが、他に類を見ない性質が後から付与されている。
実は、トム・マールヴォロ・リドルはヴォルデモートの本名であり、この日記は彼の学用品の一つであった。本作で発生した秘密の部屋に関する事件の元凶であり、日記に保存されていたリドル(=ヴォルデモート)の「記憶」が16歳当時の姿で実体化。ジニー・ウィーズリーを操って秘密の部屋を開放し、スリザリンの怪物を操ってマグル生まれの生徒を次々と襲わせたのだった。
しかし、1993年5月29日、秘密の部屋の怪物の正体に辿り着いたハリー・ポッターとの決闘の末、ハリーは折ったバジリスクの牙を日記に突き立てる。直前の調子に乗った失言と、ハリーの行動に対する反応で、日記が「破壊されてはマズい本体」だと彼に悟られてしまったのだ。
日記はたちまち毒びたしの読めないものになってゆき、宿っていたリドルの「記憶」はもがき苦しみながら消滅した。
第6巻で、この日記がヴォルデモートの分霊箱の一つであったことが判明する。前述した「記憶」とは、厳密には分霊箱に納められたヴォルデモートの魂の欠片だった。
前述の通り、ロンドンの書店で購入した普通のノートだったが、ヴォルデモートにとっては自分がスリザリンの子孫・継承者であることを証明する重要な品であり、秘密の部屋の詳細が記載されているため、分霊箱に選んだ。1943年6月13日、秘密の部屋への入口になっている女子トイレに頻繁に閉じこもっていたレイブンクロー寮所属の女子生徒マートル・エリザベス・ワレンをバジリスクに殺させ、彼女の死を生贄とする形で分霊箱にした。
1981年10月31日にゴドリックの谷のポッター家を襲撃する直前、ヴォルデモートは日記をルシウス・マルフォイに預けていたが、肝心のルシウスはこれが分霊箱であることを知らされておらず、主人に無断で1992年にジニーの学用品に紛れ込ませた。
これは、自身と反目するアーサー・ウィーズリーの娘の手元に日記を忍ばせて事件を起こすことで彼の信用を貶め、アルバス・ダンブルドアをホグワーツから追放させ、自分にとって不利な物証を片付けるという一石三鳥を狙ったものであった。
しかし、その結果として前述の通りハリーによって日記を破壊されてしまい、さらに事件の首謀者であったことをダンブルドアに暴かれたルシウスはホグワーツの理事を解任された。
さらにヴォルデモートは復活後、ルシウスが信用して預けた「自分の一部」を私利私欲で使い、挙句の果てに破壊まで許したことを知って激怒し、彼の一家を捨て駒同然の地位に降格した。
ダンブルドアは、この日記がヴォルデモートの分霊箱だと気付いた時、本来はその存在を隠すことで「自分を防御する意図」を持たされるはずの分霊箱が「秘密の部屋の開放」という「相手を攻撃する意図」を持たされていた事に目をつけ、「ヴォルデモートが分霊箱である日記が破壊されても大した問題にならないように対策している」と推測。日記以外にも複数の分霊箱を作成している、という結論を導き出した。
また、バジリスクとの戦いでハリーが使用したグリフィンドールの剣は、刀身より強いものを吸収するという特性からバジリスクの毒を吸収したことで、分霊箱を破壊できるようになった。