受け入れ羽根ペンと入学名簿
うけいれはねぺんとにゅうがくめいぼ
「受け入れ羽根ペンと入学名簿(The Quill of Acceptance and The Book of Admittance)」とは、『ウィザーディング・ワールド(魔法ワールド)』に登場する魔法の道具。ホグワーツ魔法魔術学校に存在する。
いまだかつて生徒の誰も訪れたことのないホグワーツの小さな石塔の中に、古めかしい本がある。
城の完成時に創設者の4人が設置して以来、その本は人の手に触れられたことがない。
その剥げた黒いドラゴンの革装本のそばには小さな銀のインク瓶が立っており、そこから長い羽根ペンが突き出ている。これは「受け入れ羽根ペン」と「入学名簿」で、この2つが生徒をホグワーツ魔法魔術学校に選ぶための唯一の方法をなしている。
もしどれほど強力で長く続く魔法がこの名簿と羽根ペンに機能を果たさせているか誰もが理解していれば――その魔法のことを知っている人はいないが――(アルバス・ダンブルドアがかつてため息をついて言ったように) 自分の子どもがホグワーツへの入学を選ばれなかったことに激怒した親へ、職員が説明をうんざりするほど繰り返さなくても済むだろう。
その名簿と羽根ペンの決定に変更は許されず、名簿の日焼けしたページに名前が記されていない子どもは、これまで一度も入学を認められたことはないのだ。
通常、7歳までに魔法族の子供は魔力を示し、杖や呪文無しで、統制の取れていない魔法を使う。そして子どもが初めて魔力の兆候を示したまさにその瞬間、オーグリーの羽根を用いているとされる羽根ペンはインク瓶から浮かび上がり、本のページにその子どもの名前を記そうとする(オーグリーの羽毛はインクをはじくと知られている。またインク瓶は空であり、魔法にかけられた羽根ペンから流れる銀色の液体が何なのか正確に分析できた者は誰もいない)。
数少ないその登録工程を見たことのある者たち(何人かの校長たちが羽根ペンと名簿の動きを見ようとし、その塔で静かな時間を過ごすのを楽しんでいた)は、羽根ペンのほうが名簿より甘いと評価されることに賛同している。
羽根ペンの判断には、魔力のほんの兆しで十分だ。しかし、名簿は魔法の能力の十分で顕著な証拠が示されるまで記名を拒み、しばしばページをパタンと閉じてしまう。
たとえば、ネビル・ロングボトムが生まれたとたんに羽根ペンは彼の名前を書こうとし、ページを閉じた名簿に拒まれた。ネビルの母アリス・ロングボトムに付き添った助産師でさえ、出産後すぐにネビルが毛布を自分にもっとぴったり合うように魔法で動かしたことに気づかなかった。「父親が赤ちゃんにしっかり巻いてあげたのだろう」と思ったのだ。
ネビルの家族はずっと彼のかすかな魔力の兆候を見逃していた。8歳になるまで、スクイブなのかと落胆した大叔父と大叔母にも、口うるさい古びた名簿にも認められなかった。ネビルは 8歳のときに大叔父に誤って2階の窓から落とされるという死んでもおかしくない転落事故から生きのびた時に、ようやく正しく魔法使いだと認められた。
その名簿の厳格さにはある目的がある――名簿がホグワーツにスクイブが入るのを阻止した実績は完璧だ。魔法族に生まれた魔力のない子ども(スクイブ)たちは、両親が残した魔力の気配を有していることが時々ある。しかし、いったん両親の魔力が消え去れば、彼らが呪文を行使する能力を持たないことが明らかになる。
羽根ペンの感度は、名簿の執拗さと相まって、まだ一度も間違いを犯したことはない。
生まれた瞬間に「羽根ペン」が動き出す例があるということは、「羽根ペン」は全ての魔法族の名前(戸籍)を知っていることになる。これは「忍びの地図」の原理に似ている。