曖昧さ回避
- フランス語で人狼を意味する語。
- ルーガルーの表記揺れ。
- ルー=ガルーの表記揺れ。
- カリブ海から大西洋にかけて西インド諸島に広く伝承されている妖魔。本項で解説。
- 『女神転生シリーズ』に登場するキャラクター。 →魔獣ルー・ガルー
概要
「リガルー」や「ルーガー」とも呼ばれる、カリブ海や大西洋にかけての西インド諸島に伝わる邪悪な存在。
その起源は姿を変える者という意味の名を持つフランスに伝わる様々なものに化けて人間を騙す狼の怪物だとされる。
西インド諸島では「リガルー」とも呼ばれており、さらに地方によっては男性の個体を「ルーガルー」、女性の個体を「スコヤン」と呼んでいるとされる。
また、人間が狼へと変身する一般的な人狼と違い、人間が呪術、あるいは狼自身が人間に化けた存在を示す事もあるほか、ただ単に狼が二足歩行で歩いている獣人タイプのものからすっかり人間と化している者までその姿はまちまちであるという。
その正体は、年老いた魔女、あるいは悪魔と契約して犠牲者の血を捧げて力を得た老婆とされている。普段は普通の人間として振る舞っているが、夜になると木綿の木の下で自身の皮を剥ぎ、火の球の姿となって飛び回り、民家に侵入してその血を啜る邪悪な怪物といわれる。
なお、剥いだ自分の皮は綺麗に畳んで隠しているのだが、この皮を奪われてしまうと途端に無力化してしまう弱点を持っており、更に皮に塩を塗られると二度と元の姿に戻る事は叶わず、誰の目にも見える様になってしまうともされている。
また、地面に砂と米粒を撒いておくと、ルー・ガルーはそれに注意が向いて1粒ずつ拾い上げなければ先に包めなくなってしまい、そうこうしている内に夜が明けて時間切れとなり、ルー・ガルーは何も出来ないまま去って行くといわれている。
水木しげるの妖怪図鑑系の書籍に描かれる獣型の火の玉「ルーガー」はこの妖怪の事を指す。しかしどういうわけか『水木しげる 世界の妖怪大百科』(小学館・2005年)などの著書ではニューギニアの妖怪と紹介されたり(P176)、『水木しげる ぼくは妖怪博士』(小学館・2008)においては出身地域こそ西インド諸島でありながら、ゴキブリの姿で描かれ、人間の体内に卵を産み付ける設定になっている(P7)。
フランスの伝承
一種の狼憑きで、日中は普通の人間だが、夜になると正体を現して狼へと変身し、人間を襲い食い殺す人狼の仲間ともいえる存在。
伝承によれば元々は普通の人間だったが、魔女の呪いによってルー・ガルーに変えられてしまうとされているほか、馬や黒犬、または別の怪物の姿にも変身できたという。
また“シミティエール・ルー・ガルー(墓場のルー・ガルー)”と呼ばれるものは墓を荒らして埋葬したばかりの死体を掘り出して貪るとされている。
一度ルー・ガルーと化した者を元に戻す方法はないとされるが、悪魔祓いや血を撒く事によって彼らを遠ざける事が可能とされているが、何よりもの救済方法は彼らの命を絶つ事だけだとされている。
ちなみにハイチでは赤毛の女性とされており、眠っている人物の爪から血を吸う吸血鬼のような性質を持っているといわれている。