ナギニはスリザリンとの繋がりを際立たせ、ヴォルデモート卿の神秘性を高める(アルバス・ダンブルドア)
概要
ヴォルデモート卿のペットであり、同時に誰よりも信頼する側近でもある大蛇(性別は雌)。ナギニの存在はヴォルデモート卿とサラザール・スリザリンの繋がりを際立たせ、魔力の根源とされる神秘的な雰囲気を高めるものでもあった。
ヴォルデモートが唯一愛情に近しい感情を見せた存在であり、その信頼度はルシウス・マルフォイやベラトリックス・レストレンジらの比ではない。アルバス・ダンブルドアからは「もしもヴォルデモートが何かを好きになることがあるとするなら、それはナギニじゃろう」と語られるほどである。常にヴォルデモートの傍に控えているが、ヴォルデモートから重要な任務を与えられた時にのみ別行動を行う。
第5巻では神秘部に潜り込んでアーサー・ウィーズリーを襲撃(構想段階ではこの時点でアーサーは死亡する予定になっていた)。第7巻においてはチャリティ・バーベッジ(ホグワーツ魔法魔術学校のマグル学教授)、セブルス・スネイプを殺害するなど、ヴォルデモートの命で主要キャラクターを次々と殺傷していった。
初登場は第4巻の冒頭、1994年のリトル・ハングルトンのリドル邸。
ヴォルデモートと出会った正確な時期は不明で、以下の3通りが考えられる。
- 赤ん坊のハリー・ポッターを殺し損ね、肉体を失った1981年の10月31日(ハロウィーン)より以前に出会った
- 1990年 - 1991年頃、クィリナス・クィレルの肉体に乗り移ったアルバニアの森で出会った
- 1994年頃、ピーター・ペティグリューと合流後に出会った
名前の由来は、インド神話の蛇神ナーガ(Naga)の女性形、Nagini。
能力
巨大な毒蛇としての強さに加えて、死の呪い「アバダ・ケダブラ」を含めたあらゆる魔法を無効化する絶対的な魔法耐性を誇っている為、並の魔法使いでは手も足も出せない。
ナギニに噛まれると極めて迅速な処置がなければまず助からないとされる。毒は非常に強力で、完全な中和は不可能な上に毒が糸を溶かしてしまう為、傷口を縫合する事もできない。この毒により作中ではアーサー・ウィーズリーが一時瀕死の重傷を負った。
ヴォルデモートからは単純な攻撃指令はもとより、バチルダ・バグショット(ゲラート・グリンデルバルドの大叔母、魔法史学者の魔女)の遺体を被って化けてハリー・ポッターの命を狙うといった動物の域をはるかに超えた命令さえ正確にこなすなど、極めて高い知能を持つ。
ファンタスティック・ビースト
演:キム・スヒョン(英名:クローディア・キム)/吹き替え:大地葉
ハリー・ポッターシリーズと世界観を共有しているファンタスティックビーストシリーズにもナギニは登場している。
第一作『魔法使いの旅』でアルカノス・サーカスのアメリカ・ニューヨーク巡業のチラシに「スネイクガール(蛇少女)」と彼女らしき存在が仄めかされており、本格登場は第二作『黒い魔法使いの誕生』から。
ナギニは、魔法サーカスに人間の姿で囚われた状態で登場。
アルカノス・サーカス団長兼オーナーのスケンダーの口上によるとインドネシア出身、母から娘へと受け継ぐという避けられない血の呪いを持つマレディクタスであり、動物に自分の意志で変身する力を持つ。
しかしこの呪いはやがて変身できる動物に固定され、いずれ自分では制御できなくなり永遠にその姿のまま生きることになる。
スケンダーの口振りからマレディクタスは下等生物として蔑まれており、彼女はその変身能力を観客への見せ物、商売道具として扱われていた。
ミネルバ・マクゴナガルやシリウス・ブラックをはじめとする動物もどき(アニメーガス)は変身術の一環で自分の意志で動物に変身できるが、ナギニの場合は呪いで徐々に変化せざるを得ないもの。
満月の夜に狼人間に変身してしまうリーマス・ルーピンと状況が類似しているが、ルーピンの場合は夜が明ければ元の姿に戻るのに対し、ナギニはいずれ完全な蛇になる。
また血の呪いというフレーズはハリー・ポッターシリーズの第8巻『呪いの子』にて先んじて登場している。アストリア・マルフォイ(ドラコ・マルフォイの妻、スコーピウス・マルフォイの母)は祖先に掛けられた呪いのため虚弱体質だったと描写されているが、彼女自身がマレディクタスだったかどうかは不明。
1926年の冬のニューヨーク巡業の頃にオブスキュラス(抑圧された魔法力が暴走する力)を抱えた少年クリーデンス・ベアボーンがサーカスに加入し、スケンダーに虐げられているナギニは心を通わせ、彼の協力によってフランス・パリ巡業中にサーカスから逃げ出す。
恩人であり自身の出生を追い求めるクリーデンスに付き添い、パリでは行動を共にするがクリーデンスが闇の魔法使いゲラート・グリンデルバルドの元に下ろうとした時は咎めており、終盤ではニュート・スキャマンダーたちと行動を共にする。
上述の描写からナギニは本名ないし芸名で、ヴォルデモートが名付けたものではないことが分かる。
なお、今作によりヴォルデモート(1926生まれで丁度『魔法使いの旅』での事件の年に生まれている。)よりもナギニの方がだいぶ年上である事がわかった。
関連タグ
【警告】これより先、この蛇の秘密が記載されているため閲覧には注意されたし |
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ヴォルデモートの最後の分霊箱(ホークラックス)。ヴォルデモートは6番目の分霊箱として扱っていたが、実は7番目に作られた分霊箱である。本来、分霊箱は破壊される危険性を考えれば動物を分霊箱化するのは非常にリスクが高いのだが、それを承知で分霊箱に選んだあたり、ヴォルデモートのナギニに対する信頼を垣間見ることが出来る。分霊箱となった時点でナギニはヴォルデモートにすら殺せない存在となった。
分霊箱にされた時期と場所は1994年の夏、アルバニアの森においてである(この時期のヴォルデモートは肉体を失った状態だったため、ペティグリューの協力によって作成した仮の肉体に宿っていた)。ダンブルドアは生贄にされたのはリドル邸の庭師フランク・ブライスだと推測していたが、実際に生贄にされたのはアルバニアの森を訪れていた魔法省の女性職員バーサ・ジョーキンズだった(映画では未登場)。つまり、あらゆる魔法を無力化する魔法耐性は分霊箱としての能力であった。
1998年5月2日、ホグワーツの決戦の終盤、ネビル・ロングボトムが組み分け帽子からグリフィンドールの剣を取り出し、ナギニの首を斬り飛ばして殺害した。ヴォルデモートはグリンゴッツに保管してあったハッフルパフのカップを奪われたことで、ハリー達に自分の分霊箱が破壊されつつあることを知った後、ナギニを守るために球状の防御魔法を施していたが、この時は勝利を確信しての凱旋の最中であり、守りが解かれていた隙を狙われた。これによってヴォルデモートの分霊箱としても破壊されたことになり、ヴォルデモート自身が把握していなかったものも含めて7個の分霊箱は全滅した。
なお、映画ではネビルがナギニの首を斬り飛ばした瞬間に、ナギニの全身が砕けて消滅している。