「君にはどうしてやることもできん。」
「助けてはやれぬ。」
「先生、あれは何?」
「わしらには救えぬものじゃ。滅ぶべき、ヴォルデモートの欠片じゃよ。」
概要
ハリー・ポッターという分霊箱に入っていたトム・マールヴォロ・リドルの魂の残骸。
作中末期のヴォルデモートの恐ろしい顔で瘦せ細った赤ん坊のような姿で弱々しく苦しそうにしている。
映画では白く(血みどろで赤くも見える)、肉体を失ったヴォルデモートの姿(第4巻の復活の儀のシーンを参照)にも似ている。
魂と人間性を汚損した者は、ゴーストになる(現世へ留まる)こともベールの向こう側(死後の世界)に行くことも出来ず、リンボ(辺獄)に閉じ込められてどこへ行くことも出来ない。
故に、アルバス・ダンブルドアは「救えぬもの」と形容した。
慈悲をかけるハリーが問いかけたように、それでも激しく死ぬような痛みを伴う良心の呵責を受け入れることで解放されるという。
言語道断の悪行を行なったこの「救えぬもの」は、ヴォルデモートの内なる子供や傷ついた心を表したものとも考察できる。
しかし、魔法界と人間そのものからの疎外と孤独が闇の帝王を生むのに、誰ならヴォルデモートを救えたのだろうか?
つまり、『ハリー・ポッターシリーズ』のテーマに触れる核心的な存在であり、人々に差別への反対や博愛の精神を持つように説き続けたダンブルドアでも、世に蔓延する差別や憎しみを完全に取り除くことは出来ないと諦めていたが故の哀しい言葉にも取れる。
誰にも必要とされなかった命は、世界の敵として全てを破壊するか己が滅ぶしか道が無くなり、死という救済も得られないまま永劫冥府に閉じ込められることとなったのだ。
シリアスなシーンなのだが、わしらには救えぬものじゃのせいで、ネットではミームとしてコラや大喜利になった。
関連タグ
ピーター・ペティグリュー……良心の呵責からは逃れられず、慈悲をかけられたハリーに自分の死で借りを返すことになる。
鬼舞辻無惨……ヴォルデモートと似た悪役。最終的にこちらも恐ろしげな赤ん坊になった。
など