概要
『ウィザーディング・ワールド(魔法ワールド)』の人物。ハリー・ポッターの母方の伯父。通称バーノンおじさん。
穴あけドリル製造会社のグラニングズ社の取締役を勤めるマグル(非魔法族)。
妻のペチュニア・ダーズリーと息子のダドリー・ダーズリーと共にハリーを冷遇していた。
妻より年上。
マージという仲の良い姉がいる。
プロフィール
Name | Vernon Dursley
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血統 | マグル |
家族 |
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職業 | 穴開けドリル製造会社 グラニングズ社 社長 |
出身 | スメルティングズ |
映画版演者 | リチャード・グリフィス |
映画版吹替 | 楠見尚己 |
舞台版演者 | ジャック・ノース |
容姿
太っていて、首はほぼ見えない。濃い黒髪、赤ら顔で立派な口髭をたくわえている。(怒ると時々口髭を引っこ抜く)
来歴
生い立ち・学生時代
バーノンはマグルとして生まれ、魔法のことを一切知らずに育ち、私立の名門男子校で一貫校のスメルティングズで学生時代を過ごした。
卒業後
ペチュニアとの出会い
将来の妻となるペチュニア・エバンズとは職場で出会った。事務職のペチュニアと出会ったころ、バーノンはすでにずんぐりした体型で首がほとんどなく、頑固でお金がすべてという中間管理職だった。こうした部分はすべてペチュニアには男らしさの見本のように映っていた。
やがてバーノンはそんなペチュニアの好意に応え、デートを重ねるようになった。定番の車に乗り、自分のことや世の中についてのありきたりな考えを語り、とにかく「普通」のことが好きで、バーノンはペチュニアにとってうれしくなるほど「まとも」な人物であった。
ペチュニアとの婚約・結婚
バーノンは自分の母親の部屋でペチュニアにプロポーズした。片ひざをついたお決まりのスタイルのプロポーズをペチュニアは一も二もなく受け入れた。
ところがこのとき、バーノンはまだペチュニアの妹、リリー・エバンズが魔女であることを知らなかった。 バーノンがリリーについて知ったのは、ペチュニアとのデート中だった。暗い車の中で、映画の後軽食を買ったファーストフード店を窓の外に眺めながら、ペチュニアは妹についてバーノンに打ち明けたバーノンはペチュニアの予想通りショックを受けたが、「変人の姉妹がいるからといって、決して君のことを悪く思ったりしない」ときっぱり言った。ペチュニアが嬉しさのあまりバーノンに抱きついたので、バーノンはソーセージのフライを落としてしまった。
婚約したバーノンとペチュニアは、リリーとその恋人、ジェームズ・ポッターと会い、夕食を共にした。バーノンはジェームズをバカにして、「どんな車に乗っているのか」「魔法使いは失業手当で生活しているんだろうな」などと言った。ところがジェームズはバーノンを「面白い男」と感じ、レース用の箒の説明や両親がグリンゴッツに積み立てた純金のことを語り始めた。バーノンは結局自分がバカにされているのかわからず腹を立て、ペチュニアとレストランを飛び出してしまった。これ以来、ダーズリー夫妻とポッター夫妻の関係は断絶。一応バーノンとペチュニアの結婚式にはリリーもジェームズも出席したが、バーノンはジェームズと話そうとせず、ジェームズに聞こえるところでジェームズのことを「素人奇術師のようなもの」と人に紹介した。そして結局、バーノンとペチュニアはリリーとジェームズの結婚式を欠席。その後二人に直接会うことはなかった。
ダドリー(とハリー)の誕生
1980年夏(おそらく6月)、息子のダドリーが生まれる。以来バーノンとペチュニアはダドリーを溺愛して育てた。
まもなく義理の妹夫婦、リリーとジェームズにも息子ハリーが生まれ、その知らせがバーノンとペチュニアのもとにも届いた。ペチュニアはこれを軽蔑するような目でチラリと見ただけで捨ててしまい、結局この手紙はリリーとジェームズからの最後の便りになった。
ジェームズとリリーの死
1981年11月1日、『ハリー・ポッターシリーズ』の本編開始当時、バーノンは社長に就任しいつもと変わらぬ日常を過ごす筈だった。が、この日、バーノンは街中でたくさんの「まともでない」ものを目撃。 家を出て間もなくプリベット通りの地図を読むトラ猫(変身したミネルバ・マクゴナガル)を見かけ、街中では奇天烈なローブ姿(=魔法族の格好)をした魔法使い・魔女たちを目撃、お昼にパン屋で買い物をした帰り道には、「マント集団」が「ポッター」、「ハリー」という言葉を口にしているのを耳にした。
翌朝、バーノンとペチュニアは玄関前で毛布にくるまれたハリーを見つける。添えられていたアルバス・ダンブルドアからの手紙には、リリーとジェームズがヴォルデモートに殺害された事、そしてハリーを引き取らねばハリー自身は勿論、ダーズリー一家も危険に晒される旨が書かれていた。バーノンとペチュニアはハリーを渋々引き取り育てることになる。ダドリーを虐待的なほど甘やかす一方で(参照)、ハリーに対しては冷淡かつ高圧的で、明らかにオーバーサイズなダドリーのお古を着せ続けたり、11歳頃までは物置きに押し込め、ハリーが反抗的な口を利こうものなら定期的に閉じ込めたりする等、ハリーもハリーで虐待スレスレの冷遇をされていた。
ダドリー(とハリー)の成長後
その後ハリーが魔法に目覚めたりホグワーツに行くようになってからは、ハリー関連で様々なトラブルに巻き込まれた。(バーノンやダドリーの自業自得の面も強いが。)
最終的にはヴォルデモートの襲来を予期して家を退去させられ、ディーダラス・ディグルとヘスチア・ジョーンズに警備されながら別の土地に移った。ダドリーはハリーの5年次に起きた吸魂鬼事件で助けられたことがきっかけで、ハリーと和解したものの、バーノンは最後まで和解することはなかった。
人物
非常に頑固、即物主義にどっぷり浸かっており、とても非魔法的な人物。かんばしいほど「普通」であり、またそれを志向している。
「極度の現実主義者」とも言えなくもないが、とどのつまり俗物であり、非現実的なことや非常識なことを忌み嫌っている。
普通であることを好んでいる割に、他人の車の大きさや服装などをいちいち侮蔑の材料にする悪癖があり、何かにつけ不平不満を言うことを好んでいるため、同族視点から見ても、所謂善良とは異なる人種であるのは明白である。
しかし変なところで義理堅いのか、ハリーには毎年クリスマスにお古の靴下や爪楊枝、ティッシュペーパーといったうれしくないプレゼントを贈っている。
- ただこれはイギリス含め欧米文化圏においてクリスマスがとても重要なイベントであり、それを無視することがその文化圏に住むバーノンにとって「マトモじゃない」からである可能性がある。
- サンタクロース(聖ニコラウス)は「良い子には素敵なプレゼントを渡すが、悪い子には石炭の塊や棒や石などうれしくないプレゼントを渡す」という言い伝えがあり、「ハリーはダーズリー家に災厄をもたらす(バーノンにとって)悪い子なんだからこれで充分だ」という意思表示とも取れる。
こんなバーノンでもペチュニアにとっては良き夫であり、全てが“通常”の枠組みに収まっていた彼は理想的な相手だったのである。バーノン自身、彼女の「身内に魔女がいる」という告白を受け止めた上でプロポーズをしたという過去もある。彼女が孤独を感じさせられていた家族関係や魔法使いになりたくてもなれなかった哀しみを理解しており、現在もペチュニアを傷付けないよう極力話題に出さないようにしている。
息子のダドリーに対してはいかんせん甘やかしすぎであり、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の頃にはダドリーはとうとうスメルティングズ校の養護の先生に太り過ぎの烙印を押され、ダーズリー一家(と巻き添えでハリー)全員でダドリーのダイエットに突き合わされる羽目になる。
バーノンは自分に出された食事の量が少なくて「これっぽっちか」と愚痴をこぼしてペチュニアに睨まれる場面もあった。
(ハリーに出された量は更に少なく、友人達から支援物資をこっそり貰って食い繋いでいた。)
裏話
作者は当初、ダドリーの子供たちの中に魔力を示した者が登場するエピローグを想定していたそうだが、「バーノン・ダーズリーのDNAから魔法が生まれることはあり得ないだろう」ということで却下となった(参照)。
ハリー・ポッターのせいで受けた被害一覧
- 子供を二人同時に育てることになる。英国政府は児童福祉・孤児支援に非常に手厚い(かつ条件が緩い)ため養育費の問題はなさそうなのが救いか。
- 扉の隙間やら暖炉やらから大量の手紙が家に配達される。
- 息子のケツから豚の尻尾が生え、ロンドンの大病院で手術する羽目になる。おそらく自腹。
- 会食で妻が作ったケーキが浮遊&墜落し商談がパアになる。
- 甥が空飛ぶ車で脱走するのを阻止しようとし失敗、二階から一階の生け垣に落ちる。
- 知らないガキに電話越しに大声で叫ばれる。
- 姉が風船のように膨らむ。
- 煙突とストーブを破壊された上、そこから何人も人が出てくる。
- ダイエット中の息子が拾い食いをした結果、舌が2メートル以上伸びる。
- 息子が見えない怪物に襲われ一時頭がおかしくなり、玄関にゲロをぶちまける。
- 送られてきた手紙が大声を出したと思ったら爆発する。
- ガーデニングコンテストに入賞したので家族で授賞式に行ったら、実はイベントはでっち上げだった。
- 魔法界の狂ったテロリストに命を狙われ、20年近く住んだマイホームから引っ越す羽目になる。
ただし、いずれもハリーには殆ど非が無いため、ハリーとバーノンの双方にとって理不尽な話であった。