マスクドライダー計画
ますくどらいだーけいかく
地球に降下したネイティブと人間が手を組み、ワームを殲滅するための兵器マスクドライダーシステムを開発するために立ち上げた計画。
1971年の地球の隕石落下と同時にネイティブが上陸。
人間に将来迫りくる別の生物ワームから守ってもらう代わりに対ワーム用兵器開発に協力する契約を交わしZECTを結成。そこに携わっていた人間の中には加賀美陸と日下部総一の名前もあった。
「AREA Z」で自らの生体構造を提供してガタック(主戦力)、カブト(副戦力)、ザビー・ドレイク・サソード(第三戦力)の5体のゼクターを中心としたマスクドライダーシステムを開発するプランを立ち上げる。
特にガタックとカブトは計画において重要な役割を果たす存在であり、ハイパーフォームと呼ばれるさらなる強化を施す装置ハイパーゼクターと専用武装パーフェクトゼクターも開発された。
また計画のかなり初期の段階からすでに資格者も決まっており、ガタックとカブトは「新」「総司」と名付けられる予定の陸と総一の息子達がなることを決定づけられていた。
それから28年半後の1999年10月19日、ネイティブの予言通りワームは隕石飛来と共に渋谷に上陸することとなる。
だが人間とネイティブ、両者は本心では完全に手を結んでいたわけではなかった…
まずネイティブは、マスクドライダーシステムをもって人間にワームを殲滅させると同時に、地球上の人類すべてをネイティブ化させようという企みがあった。
これに関係するのか、本物の総一は妻のさとみごと息子にベルトを授けることなくネイティブに殺され、擬態されている(擬態の総一は人類には敵対していたが、瓦礫に埋もれたひよりを救う為に天道にベルトを託している)。
また、隕石が落下した渋谷の跡地内の「AREA X」では誘拐した子供をネイティブに改造する人体実験が行われており、その第一号が幽閉されていた。実はこの第一号はマスクドライダーシステムの実験台でもあり、プロトタイプのカブトゼクターが授けられている。
ワームの大半が殲滅され、ZECTの表向きの目標が果たされようとしてたころで次第に本性を現してゆき、上記の人体実験の副産物なのか人間をネイティブ化させるアクセサリー開発に成功。「ワーム感知デバイス」と称し人間に配布し始めた。さらに人間である三島正人が根岸と手を組みネイティブ側に寝返ったことで一気に戦局はネイティブ側に優位に働くようになる。
最終的にはZECT内部のゼクトルーパーの人員の多くがネイティブ化、さらに計画が実行される間際には次第にアクセサリーの身に着けさせ方も手荒くなって行き、「アクセサリーをしていない者はワームだ」と言いがかりをつける実力行使にまで至っている。
一方人間側の総一と陸もまたネイティブを信頼しきってはいなかった。
総一はガタックとカブトのブラックボックスにゼクターをワーム・ネイティブに取られた時を想定して不定期に発動する「赤い靴システム」という暴走スイッチを仕組んだ。これはガタック・カブトのセーフティ装置であると同時に味方のネイティブ問わずワームを見境なく全滅するまで攻撃し続けるという代物だった(ちなみに第三戦力であるザビー、ドレイク、サソードゼクターには赤い靴の代わりにパーフェクトゼクターがセーフティ装置の役割を果たしている)。実際陸も、当初は本気でネイティブをひよりや田所のような敵意のないもの含め殲滅させるつもりでいたが、息子や総司の活躍を見ているうちに次第に考えを改めていくようになった。
この事実を知るのは当初は総一と陸のみであり、息子達に資格者を定めていたのもそのため。総一は早期に息子にベルトを授け、陸はあえてZECTでネイティブに地位を譲り下層部に就くことでネイティブに反逆していた。後に陸は(本編で説明はされなかったが)赤い靴システムの暴走を止める目的で独自にホッパーゼクターを開発している。
しかし、実際は根岸にも暴走スイッチの件はばれてしまっており、上記の三島の裏切りによりダークカブトゼクターという証拠をもって暴走スイッチを仕組んでいたことを告発され陸は逮捕されてしまうこととなる。
マスクドライダー計画についてはZECTの人間、ネイティブ共に想定外だった誤算も生じている。
一つはマスクドライダーシステムの開発が大幅に遅れてしまったことである。
ネイティブが予言したワームが襲来する1999年になっても開発に難航し(特にガタックゼクター)導入には至らず、実際にシステムが運用されたのは7年も後の2006年だった。
また仮に開発がワームの襲来に間に合っていたとしても、息子達二人が実際に生まれるのが計画立ち上げから13年も後だったため、1999年時点で14~5歳の息子達をZECTに入隊させるのは難があったのも事実である。
もう一つの誤算が本物の総一と妻のさとみがワームに殺害され擬態した現場とワームが擬態した両親が見知らぬ娘を連れて歩いていた現場を総司が目の当たりにしてしまったことである。
この出来事でいち早く「ワームは人を殺害し擬態する」「1999年の隕石落下前からワームはすでに存在した」ことに気付くきっかけとなり、ZECTという組織に不信感を持つようになる。
またその見知らぬ娘とは、ネイティブに殺されたさとみが身籠っていた子で、流産という形で命を落とした総司の妹・ひよりだった。
渋谷隕石でワームが擬態した両親も死にかけていた時、総司は本気で彼らを殺すつもりでいた。しかしひよりの「殺さないで」という声に思いとどまる。その直後ワームが擬態した両親はそのまま瓦礫に飲まれて死滅し、総司はひよりだけを救出した。
これ以後、たとえネイティブの擬態でもひよりだけは守り抜くことを決意し、やがて「人間(とそれに近い心を持ったネイティブ)が平和に生きられる世界を守る」というZECTの人間・ネイティブ両方の野望とも相容れない中立的な立場になったのである。
そのため、ネイティブが擬態した総一からライダーベルトをもらっても総司はZECTに入団しなかった。
物語序盤ではZECTがカブトの資格を総司からはく奪・もしくは倒そうとしていたのはZECT外の人間が資格者になったからではなく、資格者と定められていた総司がZECTの意思に逆らいながらカブトゼクターの資格者になったためである。
総司からゼクターを奪う手段の一環として急きょZECT内から資格者を出しているが、ワームに先回りされトイレで殺害、カブトの刺客としてザビーゼクターのロールアウトを予定より早く進める手段も逆にザビーゼクターが次々と見限るため資格者が安定しないなど失敗が続いていた。
さらには14~5歳だった1999年からすでにマスクドライダーシステムの取り扱いを熟知し鍛錬を続けていたことから、本来ガタックが担うはずだった最強戦力の地位を非ZECT隊員駆るカブトに奪われてしまったことも計算外であった。この影響でガタックは劇中一度もハイパーフォームに変身することはなかった。