「俺は俺にしかなれない、でもこれが俺なんだ」
演:佐藤祐基
変身する仮面ライダー
概要
ZECT・田所チームの見習い隊員の青年。年齢は21歳、血液型はA型。
ZECTの隊員として働く一方、表向きの姿として洋食店“Bistro la Salle”のアルバイト店員も務めている。
性格は一本気かつ心優しい熱血漢で、目的の為ならばZECTの意に反する行動にも出る強い信念を持つ。
彼の意外なまでの精神的な強さは天道に影響を与えることもある。警視総監でもある父・陸とは確執があり、彼自身は“親の七光り”を嫌っている。
弟・亮がベルクリケタスワームに襲われ行方不明になったことを契機にワームを憎み、全てのワームを倒すことを誓いZECTに入隊する。
当初はカブトゼクターにカブトの変身資格を認められなかったが、共に戦う仲間を命を賭けて守ろうとした行為からザビーゼクターに認められ、ザビーの資格者兼シャドウリーダーとなる。
しかし、ワームと戦い自分達に敵意を持っている訳ではない天道(カブト)を倒す事にはどうしても納得がいかず、紆余曲折を経てザビーとシャドウリーダーの資格を自ら返上する。
後に1度ワームの攻撃を受け絶命するが、陸の命令を受けた三島が与えたライダーベルトの力により蘇生し、ガタックの資格者となる。
その後はガタックとして戦う一方、ZECTと“マスクドライダーシステム”の真実を探っており、エリアXの旧ZECT基地に潜入した際には、自身が生まれる以前よりガタックの資格者に選ばれていた事が明らかになる(実は加賀美がザビーの資格を失った(厳密には加賀美が自ら手放した)第10話のラスト辺りで三島が陸との会話で「つまり、ザビーの資格が失われても、結ぶべき大きな実がある。ご子息(新)には…と」という意味深な発言をしており、この発言はガタックの伏線だったのではないかという声もある)。その後、ザビーの資格者が不在になった際、シャドウはガタックの資格者である新の指揮下に入り、本意ではなかったもののシャドウリーダーに返り咲く。それからはワーム全滅まで、ZECTの戦闘要員全体の先頭に立つ行動隊長格として戦う事になった。
終盤では根岸の甘言を信じて彼と共闘することを誓う。ZECTに反旗を翻すカブト=天道を1度は倒すが、トップの座を奪われた陸を救った際にネイティブ側の目論見と、自身にそれを阻止する使命を与えられていた真実を知る事になった。
最終話には天道と共に三島を倒し、ネイティブの計画を阻むことに成功した。1年後には父親と同じく警察へと入り、警察官として生活を送っていた。
スーパーヒーロータイムのEDでは回を追うごとにネタに走る天道総司に対するツッコミ役として登場。しかし、本編同様にコミカルな面もあり、兜煮と聞いてカブトのソフビが入れられた料理だと勘違いする一幕も描かれた。
『世界の果てで君と出会う』
DVDの初回限定特典として毎巻連載された、米村正二氏書き下ろしの連続短編小説。本編の後日談ではあるが番組終了前から連載されているため、本編最終回とは一部の描写に差異がある。
『小説 仮面ライダーカブト』にて「祭りのあと」の章題で再録されている。
この作品では主人公を務めており、愛すべきバカとしての一面が強調されている。
本編以上にグリラスワームに痛めつけられた為、最終決戦後は入院していた。
知己にも全く連絡が取れず、かつてバイトしていたビストロ・サルも閉店していた事を知り、天道家だった場所で出会った謎の老婆(おそらく天道の祖母)から託されたエアメールを頼りにひよりの行方を求めてバンコクへ旅立つが、そこで出会った男に睡眠薬が入ったパンを食べさられてしまい、ライダーベルトをその男に売っぱらわれてしまうという大ポカをやらかしてしまった。ひよりが海外で世話になったという韓国人のリンの助けを得て、カオサンにて犯人の男"ナイ"に辿り着くが、成り行きで彼の経営するタッパイ屋台の手伝いをさせられ、せっかく稼いだ金もムエタイ賭博場で消し飛ばしてしまう(ライダーベルトはナイによって買い戻された)。そこで何故かチャンピオンに登りつめていた天道に叱咤されてインドへ旅立ち、ひよりと再会を果たした。
『仮面ライダージオウ』
EP37~38にゲスト出演。
演者の佐藤はゲームでのボイス出演をこなしてきたが、同役で映像出演することに限れば本編放映後初かつ13年ぶり。そして何より、カブトのキャラクターの顔出し客演自体今回が初となる。
上記の通り、最終回後は警察官になっていたが、(ある事件をきっかけに)地球に再び多数の隕石が飛来し、それに乗じて新たなワームが出現したことで再びガタックの資格者として活動していた。
なお、『カブト』当時は矢車想と影山瞬を「さん」付けと敬語で呼んでいたのだが、地獄へ堕ちた2人に流石に愛想が尽きたのか『ジオウ』では名字を呼び捨てにしている。
活躍
- EP37『2006:ネクスト・レベル・カブト』
ワームに襲われていた常磐ソウゴ達と共闘し、彼らにアナザーカブトとパンチホッパーの変身者について教える。
しかし、彼とソウゴ達の間では渋谷隕石に関しての認識の違いがあるようで…?
後に擬態影山の策に乗ったソウゴの後を付け、矢車が変身したアナザーカブトや擬態影山が変身したパンチホッパーとソウゴ達と共に奮戦するが、いつの間にか拉致されてしまう。
- EP38『2019:カブトにえらばれしもの』
擬態影山に捕まるなど失敗もあったが、ジオウ、ゲイツに救出される。
その後、ソウゴにかつて自分が一度も勝つことが出来なかった男について語り、今もなおその事が胸に引っ掛かっているからこそアナザーカブト(加賀美曰く、カブトもどき)に勝てないのだと弱音を吐いてしまうが、王になるというソウゴの夢を聞いて、「流石のアイツも王様になる」とは言わなかったと苦笑していた。しかし、その顔はどこか吹っ切れた様子であった。
そしてゲイツと共闘して地獄兄弟を相手に奮戦。
しかし、キックホッパーはともかくアナザーカブト相手では分が悪かったのか終始押され気味であり、総力戦でもキックホッパーには打ち勝ったもののアナザーカブトには一方的に押され、変身解除に追い込まれる。
しかし、
「カブトゼクター……!俺を認めてくれるのか!?」
それでも諦めず立ち上がったその時、迫る隕石の影からカブトゼクターが飛来。
ガタックとして戦い続け、「俺は俺にしかなれない」と自らの道を歩み続け、そして窮地に於いても屈することのなかった男は、ついに「カブトにえらばれしもの」として仮面ライダーカブトに変身。
アナザーカブトを押し返し、最後は天道ばりのカウンターライダーキックで粉砕、決着をつけた。
戦闘後、カブトゼクターはその場でカブトライドウォッチに変化。
このことから、飛来したのは天道の所持するカブトゼクターではなく、カブトライドウォッチから具現化した「カブトの力」だったと考えられる。
そして、ソウゴにカブトライドウォッチを渡したのだった。
ジオウにおける余談
最終的に満を持してカブトに変身したことについては、「13年越しに実現したかつての夢」「加賀美はガタックで通してほしかった」などと視聴者からは賛否両論だが、ある意味それも「カブト」らしいと言えるかもしれない。
ちなみにこの変身に関して、天道役の水嶋ヒロ氏の個人チャンネルで後に佐藤と対談した際、代わりに変身した事についてのやりとりがあり、事情によりぼかしてはいるが「それで良いよ」「託したぞ」と語るなど好意的に受け止めている様子である。
メタ的に言うと、あの場ではゲイツリバイブがパンチホッパーで手一杯だった都合上、カブトの存在無しではアナザーカブトを倒せなかったので必然の成り行きではある(そもそもハイパーゼクター自体はカブトの力では無く、コーカサスのゼクトバックルみたいに、ベルトの左側にハイパーゼクターを装着可能な構造をしていれば誰でも使用可能なので、人によってはハイパーガタックの登場願望があったみたいだが、「カブトの力を持ったガタック」では無く「強化されたガタック」にしかならないであろう事を考えれば、ハイパーガタックでもアナザーカブトを完全撃破出来るかはかなり微妙なラインである)。また、仮にゲイツリバイブがアナザーカブトを倒す展開にするとしたら今度は「カブトウォッチをどうやって登場させるか」が問題になる(ゲイツリバイブがアナザーカブトを倒した後で実は加賀美がカブトウォッチを持っていた流れにすると、かなり不自然になる)。そうなった場合、話の展開上やはりカブトウォッチがカブトゼクターに姿を変えて加賀美の所に駆け付けて加賀美がカブトに変身してアナザーカブトを倒す流れが1番スムーズになるだろう。
なお、彼の変身したカブトは変身前のポーズはガタックと同じである。そして天道のスタイリッシュなカウンタースタイルと、ガタックの荒っぽくも力強いスタイルを足して二で割ったようなパワータイプな戦闘スタイルを見せた(細かく見ると、本家は攻撃に対しては回避を中心にしていたのに対し、加賀美カブトは腕でのガードを多用している)ほか、クロックアップやライダーキックの時にガタック=加賀美が見せた首を動かす癖が見られ、単なるオリジナルの模倣ではなく、紛れもなく加賀美自身がカブトに変身した事を短い時間の中でしっかり描写する戦い方であった。
変身後は流石にスーツに合わせてベルトの青い部分が赤になっているが、カブトゼクター装着直後はガタックの青色のままなので、何気にガタックゼクターのベルトにカブトゼクターを装着している超特別仕様である。これは元々玩具では遊ぶことが可能だったもので、今回初めて、と言うより今回だけの仕様だろう。
余談
実は彼はTV本編と劇場版『GOD SPEED LOVE』で合わせて三回死んでいる。
それぞれの死因
- タランテスワーム・パープラと自身に擬態したブラキペルマワーム・ビリディスによる攻撃で死亡
- キャマラスワームの攻撃で爆死
- 劇場版にて仮面ライダーコーカサス(=黒崎一誠)に宇宙船(?)の窓ガラスを割られて死亡
TV放映版で二度目の死亡は爆死というものだったのだが、その際に加賀美役の佐藤祐基が歌う「LORD OF THE SPEED」が使用された。
その為、この歌はニコニコ動画にて歌いだしの歌詞からウンメイノーや爆死用BGMと呼ばれている。
また、猪突猛進気味な性格のためバカと思われがちだが、ZECT解散後1年で警察官になる(=公務員試験に合格している)辺り、決して頭は悪くない(父は警視総監だが、父の意向だけで決められるわけではない上、本人もコネを嫌っている)。
また『ジオウ』でのカブトへの変身を含めると、彼は3つのライダー(ザビー、ガタック、カブト)に変身していることになる。
これは仮面ライダーシリーズ全体においても多い方で、微妙なラインの者(ディケイドやライダーとアナザーライダーに変身する者など)を除けば、該当する者はとても少ない。
加賀美の他には城戸真司(龍騎、リュウガ(劇場版とRT龍騎)、ナイト(TVSP))、草加雅人(カイザ、ファイズ、デルタ)、木場勇治(ファイズ、カイザ、オーガ(劇場版))、飛電或人(ゼロワン、001、アークワン)ぐらいのものである。
名前の由来は昆虫の脳の後方に存在する器官「アラタ体」からと思われる。昆虫を幼虫のままでいさせる効果をもつ幼若ホルモンを分泌する器官である。
関連タグ
関連・類似キャラクター
- アラタ(仮面ライダーディケイド):別世界の仮面ライダーガタック。
2号ライダー変身者