「いいよなぁあの犬…、褒められてる」
演:内山眞人
変身する仮面ライダー
概要
仮面ライダーザビー3代目の資格者を経て、後にZECTが内密で開発した仮面ライダーパンチホッパーの資格者となる。
初登場は第7話。
登場当初は、矢車想に話しかけた加賀美新に「馴れ馴れしい」と怒りを見せたり、矢車を足止めするためにカブト=天道総司によって負傷された際は(足止めが目的だった為、手加減はされたようだが)、自分が原因でチームの足を引っ張ってしまったことを激しく悔いるなど、矢車を尊敬し、彼の唱える「パーフェクト・ハーモニー」を信奉する生真面目な一隊員として描かれていた。
しかし、本質は主体性が希薄で自分を周囲に認めさせることや地位を失わないためなら汲々とするタイプ。そのためなら手段も選ばず、周囲を無下にし、嫌いな相手にすら泣きすがる卑屈さを併せ持つ。
ザビー資格者復帰を目指す矢車を「組織を乱す不協和音」として切り捨て、新たなザビーゼクターの資格者に選ばれてシャドウ隊長に就任したのだが……
- 偽名を使用している上に自分もゼクターの資格者だと隠したままZECTに潜入した天道に(資格者だと公表しているのに)リーダーの座を奪われる(ZECTは経歴問わず実力主義のため)
- ドレイクの資格者である風間大介に「リーダーの天道から、ZECTに入団しないライダーの抹殺を命令された」と大嘘をついて襲撃するも、風間本人が天道に抗議した結果、直接頭を下げさせられたばかりか罰として食器洗いの手伝いまでやらされる(それも汚れがとれていなかった為、加賀美に注意されていた)
- フォルミカアルビュスワーム相手に風間と天道は1体ずつ撃破した一方で影山だけ1体も撃破出来ないまま返り討ちに遭って変身を解除される(残る1体はそんな影山を見かねた三島正人が「影山に戦い方を教える」という目的で変身して片づけた)
- 挙句三島に「どうか私を見捨てないで下さい」と泣きつく
- ゴンを人質として誘拐し、風間が(表向きは)目的を果たしてもゴンを解放しないという非情ぶりを見せつけるもあっさり場所を知られ料理人に変装した天道らに奪還される
- ビエラワームと交戦している最中の風間を裏切り者として抹殺しようとするが(ビエラワームは風間が撃破)、風間の加勢に駆け付けた天道に圧倒され、天道と風間の連携攻撃を受けて敗北し撤退を余儀なくされる
- ワームの巣窟になっている工場にシャドウを率いて突入しようと試みるも三島から「(お前の実力じゃ突破は無理だから)攻撃中止」と言い渡される
- 三島からの命令でサソードの資格者である神代剣を味方に引き入れようとするが、彼のペースに巻き込まれて誕生日の歌を歌わされる(目の前で聞いていた剣本人からは「なんかつまらなそうだな…」「気持ち悪い…」などとダメ出しを食らった上に横で見ていたひよりからも「余計気持ち悪くなってる…」と言われ、天道からは「中間管理職は辛いな…」と同情される始末)
- 新たに表れたワーム軍団の間宮麗奈に所々ヘタレを見せ、『打倒カブト』としての地位を実質奪われる
- 天道がZECTに入団(二度目)したため、(資格者だと公表しているのに)リーダーの座を奪われた(二度目)上に新入りの高鳥蓮華に圧倒される
- その後「三島さん、俺を見捨てないで下さいよ。一生ついていきますから」(二度目)
- と言った矢先に全てのゼクターを回収しようと考えていた天道からザビーゼクターを取られたくないがために三島に不都合な動きをする麗奈側に(ほぼ脅しに近い形で)あっさり寝返る
と、これといった成功も無く失態を繰り返す。
更にはかつての矢車がやさぐれた姿に変貌し、新たなライダーの資格者となって戻ってきたのがダメ押しとなる。
矢車はワームをライダーキックで蹴散らした後、地獄に道連れと言わんばかりに影山も巻き添え攻撃を食らいザビーの変身を解除され、とうとう変身者の資格を失ってしまう。そしてそのまま天道にザビーゼクターを奪われてしまったことから、自らもZECTを追われてしまう。
この時の「返せ!俺のザビーゼクター返してくれよぉぉぉ~…返せよ!返してくれよ、俺のザビーゼクター…」と過去の栄光に縋るかのように泣きつく姿は何かとネタにされる。
その器の小さい性格は部下達からも嫌われていたらしく、シャドウからも追放され、完全に孤立してしまった影山は、その後ザビーに復帰したい一心で蓮華と共に天道の雑用を自ら志願したり、天道にザビーゼクターを返して貰う様に加賀美に頼み込むなど、恥も外聞もない行動の連続で迷走を極めてゆく。
最終的にワームとまで手を組み、間宮麗奈の指示で立川を襲うも、彼の護衛を任されていたシャドウのゼクトルーパーらに阻止され、その際に顔に切り傷を負った。
結局ワームからも見捨てられ、どん底まで堕ちたところを矢車に拾われる。
ホッパーゼクターを受け取ってパンチホッパーの資格者となった彼は、以後は矢車を「兄貴」と慕い、地獄兄弟として2人で気ままな行動をとり続ける。
同時に、かつて三島に戦い方を教えられた事が、ザビーよりも影山のスタイルに適しているパンチホッパーになってからはフル活用できるようになった他、兄貴とのコンビネーションや、周りとの協調性を身に着けるなどの人間的な成長も無くはなかったが。
しかし彼自身は光への未練を捨てきれず、矢車曰く“燃えカスのような”正義感と過去の栄光を求めており、誘いを受け再びザビーに復帰。
しかしガタックと連携をとろうとせず(加えて、カッシスワームの能力を聞くことなく襲い掛かってしまった)、あっさりカッシスワームに惨敗した無様さから、遂にザビーの資格を完全に失ってしまい、再び矢車の元へと戻る。この時は弟の敵討ちに燃える矢車に助けて貰えた(加えて、結果論では影山の行動が矢車にカブト、ガタックへの協力を決断させている)ものの、このことから、矢車には度々「光を求めるな」と叱責されているが、この後の行動からも矢車としても光を求める意思を捨てきれずにいた事が窺える。
最終話直前、ZECTが「ワーム感知能力を有する」と嘯いて配布していたネックレス(実際は人類をネイティブ化させる代物)を複数装着していたため、その影響から早くもネイティブになりかけた事で絶望し、矢車に自身を倒すように懇願。ライダーキックで倒される道を選ぶが、生死の明確な描写はされなかった。
後述するジオウや『ライダージェネレーション2』、本編を再構成した小説版では死亡したことになっているが、『ディケイド』では特に説明もなくパンチホッパーが登場している。おそらく生きている時間軸から鳴滝が連れてきたと思われる。
『仮面ライダージオウ』
「お人好しは誰だよ? 他人を助けてる場合じゃない…」
EP37・EP38にゲスト出演。
ただし、今作に登場する影山はワームによる擬態であり、加賀美の口から本物の影山は既に死亡している事が遂に明言された(仮面ライダー図鑑でも『ジオウ』の後に公開された『カブト』本編の影山は「その命を散らした」と説明されている)。
ちなみに原典と違い、着ているコートは左腕にもちゃんと袖が付いている他、髪も茶髪になっている。
パンチホッパーの変身能力(というより変身資格?)もオリジナルから受け継いでおり、戦闘時はパンチホッパーに変身してジオウやガタックと対決する。なお、こちらでは加賀美が明確に「地獄兄弟」と発言している。
作中での人格は当時とあまり変化がなく、本人も「俺は擬態だが記憶は生前のままだ」と発言している(もちろん加賀美やソウゴを嵌める罠だったので真偽は不明)。
ジオウにおいて、成り行きや誤解などでジオウ達と交戦するライダーは数名いたが、いずれもソウゴ達とは協力するライダーがほとんどである中、地獄兄弟は最後まで敵として戦うことになったレジェンドライダーである。その為、レジェンドライダーではあるがソウゴ達によって倒されている。
活躍
- EP37『2006:ネクスト・レベル・カブト』
アナザーカブトとなった矢車と行動を共にしており、自分達の行方を追っている加賀美と敵対している。
しかし、実際はワームの先導役として多くの同胞を内包した巨大隕石を地球に落下させることを目論んでおり、その姿で矢車の力を利用していた。
劇中ではソウゴやウォズと接触し、「怪物になってしまった兄貴を助けたい」と告げ、2人をとある廃工場まで誘う。
これはソウゴ達を密かに尾行していた加賀美を誘い出すための罠であり、加賀美がガタックとなってアナザーカブトと戦う中、自身はパンチホッパーに変身してソウゴに襲い掛かる……が、罠である事は既にソウゴ達には見抜かれており、ウォズギンガファイナリーに動きを封じられる。
ソウゴがジオウ・フォーゼアーマーとなって隕石を破壊しに向かった後はガタックと対峙し、彼を圧倒してみせた。
- EP38『2019:カブトにえらばれしもの』
前話の戦いで捕縛した加賀美を人質に取り、ソウゴとウォズからフォーゼライドウォッチとギンガミライドウォッチを奪うなどして暗躍。しかしタイムジャッカーのウールに「地獄もいいけど、地球を滅ぼされたら困る」とウォッチを没収され、ウォッチはスウォルツやツクヨミを介してソウゴ達の手元に戻る事に。
その後は大量のワームを乗せた巨大隕石を地球に落とすべく、邪魔者であるゲイツやガタックと対決する。通常形態のゲイツやウォズとは互角の勝負を繰り広げたが、ゲイツリバイブには剛烈、疾風のどちらの形態にも終始圧倒されてしまっている。最後はゲイツリバイブ疾風が繰り出したフィニッシュタイムの一撃に自身のライダーパンチが押し負け敗北した。
戦いが終わり、巨大隕石が破壊され仲間のワームが全滅した事を嘆く中、同じく敗北しアナザーカブトの力を失った矢車から「もう一度、俺を兄貴って呼んでくれよ」と告げられる。
しかし既にゲイツによって致命傷を負っていた彼は「俺は影山じゃない……お前は俺の、兄貴なんかじゃない……!」と拒絶の言葉を遺し、ワームの姿に戻り消滅していった。
ジオウにおける余談
この影山に擬態したワーム、姿こそ一般的なサナギ態だったが
- パンチホッパーを使いこなし、かなりの戦闘経験を積んでいるガタックにサシで勝利する
- さらに加賀美を矢車の協力なく人質にし、果たし状を出す(それでいて地獄兄弟らしいキャラ付けは忘れない)
- フォーゼライドウォッチとギンガミライドウォッチを奪って世界破壊とワーム侵略を企む
などなど、矢車の影で独断の策を練っていることが多い上にオリジナルの影山ではまず成し得ないような成果を出している辺り、ワームらしい特徴が現れている。もしかしたら見かけによらずワームの中でもかなり知能が高い方なのかもしれない。なおオリジナルの影山は『カブト』第28話において「ワームは(擬態した人間の)全てをコピーする。(だからライダー変身者に擬態したワームが)変身できたとしてもおかしくはない」と発言したことがある。
また、今際の際の言葉については、あくまでワームとして矢車を利用していただけに過ぎなかったという説もあれば、本来の影山が死んでもなお彼に縋ろうとする矢車を想って(ザビーの資格を巡って対立していた頃の過去も踏まえて)あえて突き放す言葉を放ったという説もあり、ワームの意志が強かったか本人の言う通り影山の意志がそれを上回っていたかは曖昧となっている。
なお、演じる内山氏は『カブト』放送当時と比べるとほぼ変わらない矢車を演じる徳山氏とは対照的にだいぶ太ってしまっていたために、容姿が激変していたことに驚いたファンも多かったとか。誰が呼んだかアナザー影山。
出演情報解禁時に「(オファーを受けてから)1か月半じゃ痩せられませんでした。これもまた地獄か……。」と自虐気味のコメントを残している。
ただし、これは別の出演作の役作りのための肥満体であり、本人の怠惰の結果ではないことを記載しておく。
本人曰く、撮影後からは痩せ始めたとのことで、公式発表後の写真等では客演時よりも痩せている姿が確認できる。
役者について
影山を演じた内山氏は過去に『仮面ライダー555』で小林義雄/ラビットオルフェノクを演じていた。先輩と呼び慕っていた相手に手のひらを返して出世しかけるが、地獄のどん底に堕ちた点も同じ。
ウルトラシリーズでは『ウルトラマンネクサス』で千樹憐/ジュネッスブルーを演じていた。
関連タグ
3号ライダー変身者