野上良太郎
のがみりょうたろう
その後、イマジン・モモタロスに憑依される事で豹変。不良相手に暴れまくったが、自我を保つことができ、モモタロスによる暴走を食い止めたことから”特異点”である事が判明した。
「君なら電王になれる」とハナに頼まれ、仮面ライダー電王として時の運行を守る事となる。
異様なまでの不運体質であり(普通に自転車をこいでいたはずなのに自転車ごと高い木の上に引っ掛かる、銀行強盗事件に巻き込まれる、事故に巻き込まれて入院沙汰になるetc…)、彼の元には(比較的)細々とした不運が毎日無数に降ってくる。その不運ぶりは「ギネス級」とも称される。
気弱で揉めごとが嫌いで、身体能力も高いとは言えず、体力に乏しい上喧嘩も弱い。貧血気味でもあり、本編序盤では予想外の出来事に遭遇すると度々気絶していた。
一見ただの情けない青年に見えるが、その一方で他人の幸せや不幸には人一倍敏感で、自分の不運ぶりを差し置いても「他人を救いたい」という思いが強い。
その胸に秘めた意思は時として頑固と言われるほど強く、アクの強い仲間のイマジン達を一つにまとめ上げるなど、時の運航を守る原動力の一つになっている。
穏やかな気質ではあるものの怒らせると怖い。怒らせてはいけない。
イマジン達に大不評のクライマックスフォームをかっこいいと言ったり、身体が小さくなったハナに「コハナ」、ライナーフォームの必殺技に「電車斬り」と命名したり、デザインやネーミングのセンスはかなり悪い。
そのネーミングセンスにおいては、彼とどっこいどっこいな後輩が後に現れる。
両親は物心つく前に他界し、幼い頃は祖母の家で育てられた(劇中未登場だが現在も存命)。高校卒業前の冬、姉・愛理が婚約者の失踪で彼に関する記憶を失い、彼女を支えるべく高校を卒業目前に中退。
現在は一人暮らしをしながら、彼女の経営する「ミルクディッパー」(元は両親が経営していた喫茶店)でアルバイト店員として働き、愛理目当ての客達からも弟のような扱いを受けている。また、移動の際は主に自転車を使用する。
なお前述の様に不運やトラブルへは非力だが、それであっても周りに向き合う姿勢を曲げる事はない。
故に他人の良心を動かして助力を得やすいとも解釈可能で、曲者ぞろいのイマジンズが良太郎の元で結束したのもこの姿勢故だと言えよう。
当の良太郎本人はこの長所を自覚していなかったが、物語中盤で仲間達の言葉を切っ掛けとして『自分にも(周りを動かす)力があった』という確信を得た。直後に変身できる様になったライナーフォームは、その確信を象徴する存在と言えるかもしれない。
最終決戦後はライダーパスを返却(=自由に電王へなれる権利を手放す)し、日常へと戻る道を選んだ。
その選択を仲間達に応援されながらデンライナーを降り、去って行く仲間達を良太郎が見送るシーンを持って電王本編は幕を閉じるのだった。
「いつか、未来で……」
精神面
モモタロスと出会う以前からありえない程のアンラッキーに揉まれ続けて育ってきた為多少の事では動じない神経を持っており、また彼自身の意志を曲げない心根から、心のタフさ・折れなさ加減については全仮面ライダー変身者の中でもトップクラスとの呼び声も高い。
その精神面でも特筆すべき点の一つが、非力でありながら退行欲求のコントロールが出来ている事であろう。
この退行欲求とは、大雑把に言うと無力な赤ん坊の感覚に退行しながら「何も出来ないから言う事を聞いて」と周りに要求する行動の事で、弱い存在である人間が生まれながらに持つ欲求の一つ。
事に周りの都合へ引っ張られて、成すがままトラブルに揉まれる不幸体質(受難)キャラはこの欲求を頻繁に出す傾向がある。
だが実の所、常人より退行欲求と身近に接する身でありながら、それと上手く付き合うのでは無く否認してしまっている不幸体質キャラも多い。
『周りの人は悪くない、自分が不幸なだけ』と言う優しさを押し出した道徳は“優しい不幸体質キャラ”がよく持ち出す物だが、見方によっては自分の弱点(不幸や無力さ等)に責任を擦り付けて退行欲求を出した自分を悪者とする事でその場のトラブルを凌ぐ為だけの理屈にも取れる。
加えてこの理屈により、トラブルの度に退行欲求へ被害者感情や敵意を乗せて周りに振り撒き、余計に周りから不快を買っている事実も否認、及び解消する事も放棄してしまっている。
そもそもトラブルへ無力ならば、その無力さを認めた上で周りに助けて貰う事でトラブルを解決する力を補い身に着けるのが弱い存在である人間の取れる最良の解決手段だが、これを退行欲求を否認した結果封じてしまい、周りに不快を齎すばかりで晴らせず心理的に孤立、解決する力を得られずまたトラブルに見舞われる悪循環に嵌っていると思われる不幸体質キャラも珍しくないのだ。
翻って良太郎を見てみると、第1話で不良に絡まれて袋叩きにされた後、悔しさ等を堪えている様な表情をして無言でその場より立ち上がっている。これは痩せ我慢であると同時に、心の底から込み上げて来る退行欲求に溺れない様耐えているとも取れ、無駄に被害者意識を振り撒く事で不良以外の第三者(物語の読み手)へ不快を与えない様にもしている。
本当にそれだけの事だが、周りに余計な不快を与えないと言う事はその分スムーズに周りと向き合える事でもあり、その良心を刺激して助けて貰える可能性を上げられると言える。この片鱗はミルクディッパーにおいて、姉目当ての客より煙たがれず弟の様な扱いを受けている事からも見える他、バットイマジンの契約者にされた不良の一人・哲男の心を動かす要因ともなった。
なお、この様に退行欲求に溺れずコントロールする方法を確立するには、周りに散々振り回されてもそれへ正面から向き合うのを諦めない勇気が必要となるが、それを得るには退行欲求のコントロールが必要不可欠となる。…矛盾した話ではあるが、物語開始前からこの矛盾を自力で乗り越えていた良太郎は既に心理面で好循環に乗っていたとも言えるだろう。
ただし第1話時点での良太郎はそれまで受け身の状態で不運に揉まれていた為、上で書いた自分が獲得していた絶大な心理的長所に無自覚、自分への自信が無かった。だがモモタロスに憑依された事をターニングポイントとして、自分の長所を徐々に自覚していき自信を芽生えさせていった。
2013年を描いた設定でいまだ無職である事が触れられている(イマジンを始めとした様々な設定が異なっており、本編とはパラレル扱い)。
俺、誕生!に登場した11歳の良太郎。本編の良太郎と区別するため、ハナ(ディレクターズカット版ではモモタロス)によって「小太郎」と命名された。
両親の影響から本好きで探求心が強く、興味本位で良太郎一行とともにゼロライナーに乗り牙王たちを追う。その際に何万年も前に飛ばされたときは恐竜に驚きながらもその姿を写真に収めていた。
難局にあっても臆することなく、自分のできることをまっとうすべく行動できる正義感はこの頃から持っており、戦国時代で牙王がけしかけた忍者軍団に襲われた際にはモモタロスの憑依および仮面ライダーミニ電王ソードフォームへの変身を許諾するなど、勇敢な一面も持つ。
オニ一族が起こした時空の歪みによって、良太郎も少年の姿になってしまう。
過去の良太郎こと小太郎とは違い、精神や記憶は青年時の良太郎のままのためか、仮面ライダー電王への変身時は仮面ライダーミニ電王にはならず、通常の体格の電王に変身していた。
不幸体質も健在で、ミルクディッパーのリニューアルオープン準備中にダンボールの山の下敷きになる、ウラタザオを上手く扱えないNEW電王から流れ弾を食らったり、海東大樹に愛用のマグカップを盗まれるなど、相変わらずひどい目にあっている。
クチヒコ率いるオニ一族を打ち倒して時空の歪みを正すことに成功したものの、元の体に戻ることはなく、以降も少年の姿のままで時の列車に乗り旅を続けている。
また、この際に歴史の改変が発生したのか、事情を知らないはずの三浦と尾崎は、少年の姿であることに驚かず、良太郎であると認識していた。
この為、仮面ライダーディケイドにて唯一
『リ・イマジネーションライダーではなく本人が直接門矢士と絆を紡いだ』主人公となっている。
その為、ディケイドの最終話にて
『他のライダーとは違い士と直接絆を紡いだはずの良太郎が敵対するはずがない』という非難が出ていた。
仮面ライダーシリーズ初となる、一人称が『僕』の主人公。
野上良太郎を演じた佐藤健氏は当時17歳で、『仮面ライダーゴースト』の主人公・天空寺タケルを演じた西銘駿氏と共に単独主人公最年少記録タイ保持者である(ただし厳密には放送開始時点で佐藤氏が17歳と10ヶ月7日、西銘氏が17歳と7ヶ月12日と西銘氏の方が約3ヶ月若い。また、「単独主人公」に限定しなければ最年少記録保持者はフィリップを演じた菅田将暉氏で、放送開始時点で16歳と6ヶ月13日である)。
また、初の演者が平成生まれの主人公である。
また、小太郎を演じた溝口琢矢氏は当時12歳で、プリティ電王に変身したアンナが登場するまでは、歴代最年少の仮面ライダー変身者の記録を保持し続けていた(男性に限定するなら、今もその記録は健在している)。
因みに溝口氏は後に『仮面ライダーゴースト』でシブヤを演じた。
元々良太郎役には、ある程度演技経験のある俳優を起用しようと想定していたが、オーディションでの佐藤氏の演技を見た白倉伸一郎プロデューサーが「彼しかいない!」ということで合格となった。
作中ではイマジンに憑依されると、憑依されたイマジンの声になるが、当初はイマジン本人の声だったり、良太郎とイマジンの声両方で話すパターン、良太郎の声そのままにイマジンの口調になるパターンの三パターンが存在していた(さらば電王の予告編では三番目のパターンになっている)。
なお、イマジン憑依時の良太郎の演技の感覚を佐藤氏に掴んでもらうために事前に「ガイド音声」を収録した上でそれを聴いてもらうという演技方針をとっていた。しかし、この作業は担当声優にとってはタスクが二倍に増える、言わば二度手間でしかなかったため、モモタロス役の関俊彦氏は特撮作品初出演であることも相まって序盤はかなり苦労したそう。
少年姿の野上良太郎(超・電王) | 仮面ライダー図鑑 | 東映
『平成ジェネレーションズFOREVER』ネタバレ注意!!
平成最後の劇場作品『MOVIE大戦』シリーズ「仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER」が2018年12月22日に公開。
アナザー電王の出現やモモタロスを演じる関俊彦の出演から、ファンの間では電王が関連してくると前々から考えられていた。
劇中、アナザー電王に本物の電王が立ちはだかる。電王は次々とフォームチェンジしていき、ロッドフォームのデンライダーキックにてアナザー電王は撃破された。
両者の変身が解除され、アナザー電王の変身者・久永アタルに、ウラタロスに憑依されたある男が手を差し伸べる。
???「大丈夫?」
その男の顔は……
アタル「の、野上良太郎!?」
ゲイツ「どこだ?ここは」
U良太郎「君たちの時間とは別の時間、かな。」
ソウゴ「あんたは?」
U良太郎「仮面ライダー電王。まぁ、愛と正義のタイムパトロールってとこ? あ、忘れちゃった?」
なんと野上良太郎であり、オリジナルキャストの佐藤健氏本人である。
完全なサプライズ登場であり、『さらば電王』以来実に10年ぶりとなる佐藤氏の良太郎に、公開初日の劇場ではどよめきが起こり、感動のあまり泣く者まで現れ、エンディングクレジットで佐藤氏の名前が出ると拍手が起きる劇場まであったという。
その後のイベントでプロデューサーの白倉氏は、撮影面でも情報統制を徹底し、電王関係者である関俊彦氏なども含めて、公開当日まで極秘で佐藤の出演を隠していたと語っている。(その証拠に、本作に出演していた犬飼貴丈氏が後の特番にて「同じ作品に出てたのに俺知らなかったもん。」「何か、奥野くんたちだけ俺らと別の台本持ってたし。」と若干嫉妬のこもったコメントをしている。)
また、電王のパートは当時のメインライターである小林靖子女史にお願いしており、本作のメインライターである下山健人氏でさえ佐藤氏の出演は知らなかったという。
今回はU良太郎での登場となったが、これは佐藤氏の「今の歳で良太郎を演じたらみんなの夢を壊してしまう」「10年経って良太郎が成長しているのはいいことだが、一方それは夢を壊すことでもある」という意向からであったことも語られている。
ウラタロス役の遊佐浩二氏も、「『電王』当時は良太郎の人格を完全に乗っ取っていたけど、今回は良太郎が成長していたため、佐藤健くんに寄せて演じました」との旨を明かした(遊佐はこれに関して「溶け合うように」と表現している)。『電王』本編同様の乗っ取る形で演じたバージョンも先に収録したが、最終的に寄せて演じたバージョンが採用されたとのこと。(参考サイト1、2)
今作の良太郎の年齢こそ不明だが、(仮にジオウやFOREVER世界の歴史と合わせれば)幸太郎の存在を考慮するとすでに子供や姪が誕生していてもおかしくないため、「電王当時の雰囲気の良太郎」と「10年経ち成長した良太郎」のどちらもファンの夢を壊しかねない。そのため、U良太郎を選択したのは英断ともとれる(素の良太郎で登場していないためか、仮面ライダー図鑑ではFOREVERに登場した良太郎の写真が載っていない)。
そして今回のイマジン憑依は、『電王』初期に見られた「人間とイマジンの声がオーバーラップする」方式がとられており、佐藤氏の声も聞こえる(=遊佐の完全吹き替えではない)形となった。
なお、『電王』本編中では「仮面ライダー」という単語は登場しない。そのため、上記のセリフが佐藤氏演じる良太郎が初めて「仮面ライダー」と名乗ったセリフとなった。
『ジオウ』本編の電王編では良太郎は登場しなかったが、EP39では侑斗がモモタロスに対して「野上のイマジン」、EP40ではモモタロスがソウゴを褒めながらも「ま、良太郎ほどじゃねえけどな!」とそれぞれ言及しており、後年の『プリティ電王とうじょう!』でも、「どっかの誰かさんと同じこと言いやがって…」と、その存在が感じられる描写がなされている。
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ライト(トッキュウジャー)=トッキュウ1号 同じく10年後にサプライズ出演した電車ヒーロー
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