荻久保豊
おぎくぼゆたか
『龍が如く7』に登場する民事党の幹事長で、横浜・伊勢佐木異人町の三大勢力「異人三」に偽札を製造させた張本人。
また、『7外伝』にて大道寺一派の一人であることが判明した。花輪喜平の口から相当な実力者として語られていることから、上層部の人間であった可能性が高い。
戦後間もない頃、市議会議員の一人でしかなかった彼は、地元である異人町で犬猿の仲だった横浜星龍会と横浜流氓による抗争を止める為、紙幣の原料と配合を自身の持てるコネを使って調べ上げ、彼らに偽札を作らせた(しかし星野龍平曰く、そこまでの出来ではなかったとの事)。
そして、その偽札を神奈川県警に横流しすることで警察を意のままに操り、異人町でシマ争いが発生していた区画を中心に取り締まりを強化した(向田紗栄子は治安の強化としか思っていなかったが、星野は抗争が限りなく起きない区域を作ったと語っている)。さらに星龍会と横浜流氓が継続的に莫大な資金を手に入れられる事に加え、構成員同士のいざこざを荻久保の鶴の一声でもみ消す事が出来た為、抗争が起きず両者の面子を守れた。
そして1980年代に入り、東城会との抗争で壊滅し異人町に流れ着いた韓国マフィア「真拳(ジングォン派)派」の残党勢力(後のコミジュル)に対し、星龍会から偽札印刷の工程を引き継ぐ事と秘密の保持と監視を彼らに提案し、異人町における秩序(通称「肉の壁」)の基礎が作られ、当時の異人三トップ3人に一目置かれるようになった。
その後、荻久保はこの無限に湧き出る財源を利用して栄華を極め、民自党の幹事長に就任することになったが、荻久保の失脚を画策していた東京都知事・青木遼の私兵であるブリーチジャパンと近江連合によって荻久保の弱点である偽札の秘密を暴かれた上危篤状態に陥り、幹事長の職を降りることを余儀なくされた。
悪事に手を染めていたのは確かではあるが、かといって救いようのない外道なのかと言われればそうではなく、青木遼と対面した際に異人町に住む人々を貶すような発言をされた際には「彼らをゴミとでも言うのか」と、彼らを貶されたことに対して怒るような発言をしているなど、彼なりにそこに住む人々を大切に想う気持ちは確かにあったのだろう。
神宮京平…荻久保と同じく悪徳政治家だがこちらは私利私欲の為に動いていた為、荻久保の方が情状酌量の余地がある。
大道寺稔…前作に登場した悪徳政治家。荻久保は彼の弟子ということになる。だか大道寺は限りなく自分の保身しか頭になかったのに対して、荻久保は異人町の人々を思いやる心を持っている等、師弟であっても裏社会との付き合い方は真逆である。
青木遼…「一見真っ当なことをしているように見えて、実際は世間からの信用を得るための上っ面だけのパフォーマンスしかしていない青木遼」と、「紛れもない悪事に手を染めているが、町の為に尽くそうとしていた荻久保豊」という対比構造となっており、春日と真斗を光と闇とするならば、彼と「青木遼」もまた光と闇だったのだろう。