概要
黒乃奈々絵による、『月刊少年ガンガン』で連載された日本の漫画及びそれを原作としたメディアミックス(TVアニメ・実写ドラマ・舞台)作品。シリーズ累計発行部数600万部。
『新撰組異聞PEACE MAKER』では鉄之助の新撰組入隊から池田屋事件までの期間を描く。これらの時期など細部は史実と異なるものの、時代の大きな流れには沿って話は進む。
タグとしては『PEACEMAKER』(PEACEMAKER鐵)や『ピスメ』が使われている。
連載誌
1999年に『月刊少年ガンガン』で連載開始、2001年に『新撰組異聞PEACE MAKER』連載終了。
2002年にエニックスお家騒動により、連載誌を『月刊コミックブレイド』へ移し、第二部『PEACEMAKER鐵』として連載されていたが、2005年春以降休載し、
2009年秋から2010年9月まで、ケータイサイト「コミックi」及び「コミックシーモア」で5巻の続き『PEACEMAKER鐵 油小路編』が配信される。
2013年12月に、マッグガーデンから刊行されたムック『時代活劇画伝―斬―ZAN』において新章となる『PEACE MAKER鐵 北上篇』の初回を掲載後、
翌2014年1月よりマッグガーデンのウェブコミック配信サイト「WEBコミックBeat's」(現在はMAGCOMIへと名称変更)にて連載を再開している。同年9月からは『月刊コミックガーデン』でも連載されるようになった。
アニメ
2003年に『PEACE MAKER鐵』のタイトルでアニメ化。制作はGONZO。
テレビ朝日他一部系列局にて放送されたが、タイトルは鐵だが内容は『新撰組異聞PEACEMAKER』のものである。後に、2010年BS11にて全国放送された。
2016年4月に再びアニメ化されることが発表され、2018年の6月に劇場版アニメ『PEACE MAKER鐵』前篇が公開され、後編が2018年の11月に公開されている。
アニメーション制作はWHITE FOX。
メインキャストは2003年のアニメ版から続投するほか、声変わりした鉄之助と鈴は、ドラマCDで役を引き継いだ梶裕貴(鉄之助)と立花慎之介(鈴)が演じている。
実写ドラマ
『新撰組PEACE MAKER』のタイトルで、2010年1月より毎日放送・TBSで実写ドラマ化された。毎日放送では金曜ナイト劇場の最終作となっている。キャッチコピーは「新たな歴史の幕開け―」。
舞台
ブルー・シャトル主催:2007年公演
FREE(S)主催:2009年公演
Knocturn主催:2011年公演 再演:2012年
主催が異なる公演は各々が独立しており続編などの繋がりは無い。
全公演がDVD化されているが、ブルー・シャトル主催公演とFREE(S)主催公演は流通ルートが主催会社による直販のみだった事もあり、2017年現在は入手困難になっている。FREE(S)主催公演はYoutubeの公式チャンネルでダイジェスト版が公開されている。
あらすじ
物語は元治元年(1864年)3月の京都から始まる。
両親を長州藩士に殺された市村鉄之助は、強くなりたい一心で兄・市村辰之助に付いて新撰組の門を叩く。しかし見た目と態度の悪さから“チビ”とあしらわれ、中々入れてもらえない。
そんな折ひょんな事から出会った新撰組隊士の一人・沖田総司の仲立ちでなんとか入隊許可が降りた。副長・土方歳三の小姓となるも、当初の目的である修行のイメージとは異なる自分の立場に不満を感じ葛藤する。
そんな中で新撰組局長・近藤勇や隊長・永倉新八・原田左之助・藤堂平助、監察方の山崎烝らと出会い、徐々に鉄之助も組に慣れていった。
そんなある日、新撰組と対立する尊皇攘夷派の長州藩士・吉田稔麿が京の町々に放火する騒動を起こす。その最中に鉄之助は一人の少年と町で大喧嘩をしてしまう。少年の名は北村鈴。鈴は吉田に仕える小姓だった。
また花街島原で、鉄之助は以前町で絡まれている所を助けた禿・沙夜と淡い恋に落ちる。
さらに鉄之助はそこで偶然にも鈴と再会し、互いの素性を知らない2人はすぐ友達になるが、廓を訪れた吉田の為に再び会えなくなってしまう。
その一方で鉄之助の入隊を反対していた辰之助も唯一の家族である鉄之助を想い苦悩する。
この他、土方と山南敬助の確執、沖田に忍び寄る病魔の影など、それぞれの想いが様々に交錯する。
互いが心の靄を晴らし切れないまま、物語は池田屋事件へと突入する。
登場人物
主要人物
市村鉄之助(いちむら てつのすけ)
新撰組副長・土方の小姓。愛称・鉄。明るく真っ直ぐな性格の熱血少年。
両親を何者かに殺され、敵を討つために新撰組に兄・辰之助と一緒に入隊する。両親を目の前で殺されたショックから体の成長が止まっており、よく子供扱いをされていたが、池田屋事件以降は成長痛を訴えるほど立派に成長した。
池田屋事件後は隊士見習いとなり、剣の腕も確実に上がっている。新八曰く、鉄之助の剣は「土方さんと同じ“野外実践型”」らしい。
刀を取るのは「殺すため」ではなく、あくまで「守るため」であり、未だに敵を殺したことはない。
島原に暮らす少女・沙夜を大切に想っている。
沖田総司(おきた そうじ)
CV:斎賀みつき
新撰組一番隊隊長。一見すると優男風の美青年だが、新撰組一二を争う剣の遣い手である。作者曰く、「明るく振舞っているが とてもクールな性格」。他者の感情や苦悩に敏いものの、言葉を選ばなかったり、その人が踏み込まれたくない領分まで無遠慮に突っ込んだりする悪癖もある。
「鐵」から結核を患い体調を崩している。土方の句集を勝手に持ち出して笑いながら詠むなど、よく土方にちょっかいを出している面もあるが、周囲の誰よりも土方を気遣っている。
近所の子供達と山南と共によく遊んでおり、子供達には「宗次郎」と呼ばれている。
土方歳三(ひじかた としぞう)
CV:中田譲治
新撰組副長。「鬼の副長」という異名を持つ。その異名の通り、性格は冷徹。それ故隊員からも恐れられているが、実際は部下思いである。
鉄之助に対しては彼に刀を持たせないなど、特別な態度を取っており、鈴からは「預かっている」ようだと言われたが、その理由はまだわかっていない。
密かな趣味は俳句で俳号は「豊玉」。 が、あまり上手い句は詠めていない。
市村辰之助(いちむら たつのすけ)
CV:上田祐司
新撰組勘定方。鉄之助の兄。両親が亡くなってからは鉄之助の親代わりでもある。
いつも鉄之助の無茶苦茶な行動に振り回されている。神経性胃炎持ち。鉄之助に過保護で、彼が剣を取ることを快く思っていない。
山崎烝(やまざき すすむ)
CV:櫻井孝宏
新撰組監察方。主に忍者として敵の詮索を行っていた。小姓としての役目を果たさない鉄之助に対し生まれて初めての怒りを見せていた。
姉の死をきっかけに、鉄之助と友人になり、以前より感情を表に出すようになった。
「鐵」では医師、松本良順の提案により隊医も務めることとなる。
真面目な性格であり表面では冷静に見えるが、沖田の容態をよく心配したりと心優しい一面を見せることもある。
新撰組
永倉新八(ながくら しんぱち)
CV:山口勝平
新撰組二番隊隊長。神道無念流を修めた剣の達人で、その手腕は隊内では沖田と並ぶともいわれる。
背が低い事を原田にからかわれることもあるが、自称原田左之助の飼い主。他人の感情に敏感であり、一人で抱え込んでしまうことがある。
原田左之助(はらだ さのすけ)
CV:乃村健次
新撰組十番隊隊長。種田宝蔵院流の名手。三馬鹿の一人。
単純かつ豪快な人柄で、情に厚い。一方、医者が怖いという臆病な一面もある。腹に切腹の傷跡がある。
藤堂平助(とうどう へいすけ)
CV:鳥海浩輔
新撰組八番隊隊長。北辰一刀流の遣い手。池田屋事件後では額に傷がある。
三馬鹿の一人であり、永倉・原田と共に江戸試衛館時代からの古株。
小さいもの、可愛いもの(男女問わず、動物でも何でも)が大好き。
山南の死後、隊の方向性に疑問を感じ伊東らと共に御稜衛士となり、自ら新撰組を出ていく。その後、油小路事変で隊士に斬られ命を落とすこととなる。
斎藤一(さいとう はじめ)
CV:松山鷹志
新撰組三番隊隊長で沖田と一二を争う剣の実力の持ち主。物静かだが何事にも動じず、つかみどころのない性格。
霊感が強く、死者の魂と対話できる。また幼少時代から未来を先読みすることが出来たという。
よく蕎麦を鉄之助に奢らせ、食べに行く姿が多く見られる。
山南敬助(やまなみ けいすけ)
CV:井上倫宏
新撰組のもう1人の副長。北辰一刀流の遣い手。土方に対して、温厚な気質のため「仏の副長」と呼ばれている。
沖田と仲が良く、一緒に子供達と遊ぶ事もある。明里のことは正体を知りつつも本気で愛していた。土方とは意見の食い違いもあるが、お互い認め合っている。
しかしある行動がきっかけで命を落とすこととなる。
近藤勇(こんどう いさみ)
CV:土師孝也
新撰組局長。大らかな性格で、鉄之助にも優しく接するが、時には局長としての厳格な一面も見せている。情に厚い人物である。
伊東甲子太郎(いとう かしたろう)
CV:平川大輔(コミックムービー)
途中から新撰組に入隊した参謀、のち御稜衛士の盟主になって新撰組と対立。
男色で土方に対して危ない執着心を抱いている。甲の子年に入隊したことから、名前を大蔵から甲子太郎に改名した。油小路事変で自らを暗殺しようとした新撰組を逆に嵌め、屯所に攻撃を仕掛ける。藤堂と同様、この戦いで命を落とすこととなる。
山崎歩(やまざき あゆむ)
CV:永島由子
山崎烝の実の姉。普段は隊士達の食事を作っている。美人な上、その食事は絶大な人気があり、隊士達からは「アユ姉」として慕われている。
だが、それは表向きの顔であり、命を受けると「髪結いの弓」なるくノ一として活動する。烝が敵方に潜入した際スパイだということがバレてしまうものの、彼女と示し合わせていたお陰で烝は命拾いし、歩は決して口を割らないまま拷問にかけられ暴行の末に殺害された。
忍という立場故、普段はほとんど関わったりすることのなかった二人だが、弟の身を誰よりも案じており、自らの最期が迫った時、鉄之助に弟をよろしく頼むと言い遺していた。
サイゾー
CV:高橋美佳子
新撰組で飼われている子ブタ。沖田にとても懐いている。目つきが悪く、それが土方に似ているのでサイゾー(歳三は「さいぞー」とも読める)。鉄之助の主人公の座を狙っている。
鈴一派
北村鈴(きたむら すず)
この作品のオリジナルキャラ。兄を殺した新撰組に復讐するため、吉田稔麿の小姓についている
鉄之助とはお互いの正体を知らない状態で友達になる。
池田屋事変で敬愛する師・吉田を失い鉄之助の素性を知ったことでますます新撰組、並びに鉄之助を酷く憎み、復讐のみを生きがいとしていくようになる。
男色の相手として自身を拾った大和屋の店主を殺し店主となる。後に、鉄之助に復讐するうえで坂本龍馬の存在が邪魔になり、鉄之助に変装して彼と中岡慎太郎を襲った。
黒の漆塗りにした吉田の頭蓋骨を常に持ち歩いている。
膕(ひかがみ)
ある罪を犯した為に死刑にされそうになった所を鈴に助けられる。それ以来鈴には絶対的な忠誠を誓う。吉田稔麿の面影を持つ。
腦・頭(なづき、つむり)
『大和屋』の主人の稚児になっていた双子の幼児。声帯模写と猫との会話を得意とする。
島原
明里(あけさと) / サラ=フウマ
CV:根谷美智子
山南の恋人。異人と日本人のハーフ。表向きは島原の天神・明里、裏では風魔の忍として長州藩に情報を渡している。
最初は籠絡する相手だった山南を後に本当に愛するようになる。山南の死後は遊女・明里の名を捨て、忍・サラ=フウマとしてのみ生きる決心する。
山南の死後、あることがきっかけで龍馬を愛するようになる。龍馬の殺害時は現場におり、真犯人が鈴だと知る唯一の人物であったため、鈴によって山に監禁される。
沙夜(さや)
CV:高橋美佳子
島原の明里がいる店で禿として働いている少女。口がきけない。
鉄之助の友達だが彼に対して仄かな恋心を抱いているが、鈍感な鉄之助は気付いていない。
ハナ
CV:加藤奈々絵
沙夜の同僚で友達。大人しい沙夜とは逆に元気でお転婆な女の子。後に花魁として見世に出る事になる。14歳。
討幕・尊皇攘夷派
吉田稔麿(よしだ としまろ)
CV:諏訪部順一
長州藩士。吉田松陰の愛弟子として崇高な理念を持ち活動。京都では桝屋喜右衛門こと古高俊太郎の家に他の長州藩士と共に居住する。
鈴が尊敬する師だったが、池田屋事件では臆することなく新撰組と戦い、敗れる。
坂本龍馬(さかもと りょうま)
土佐藩士。鉄之助と辰之助の父親のことを知っているようだ。
ドレッドへアにサングラス、テンガロンハットにブーツ…と異様な風体をしている。常に拳銃を携行している。
後に京都・近江屋で中岡慎太郎と共に襲撃され、鉄之助に変装した鈴に斬り殺された。彼の組織する海援隊のメンバーからは大いに信頼されており、彼を殺害した犯人を鉄之助だと勘違いし襲撃することとなる。
中岡慎太郎(なかおか しんたろう)
土佐藩士。龍馬の仲間。豪快でしっかり者の性格。後に龍馬と共に京都・近江屋で鈴に襲撃され、膕と戦い瀕死の重傷を負わされてその翌々日に死亡した。
桂小五郎(かつら こごろう)
長州藩士。常に新撰組や見廻組の追手から逃げ回る生活を余儀なくされている為、変装していないと落ち着かない性質。龍馬に犬扱いされている。幾松という恋人がいる。
幕府関係者
勝海舟(かつ かいしゅう)
幕臣。青谷という部下がいる。餡蜜が大好物。江戸っ子口調の剛胆な性格の持ち主。鉄之助の父や龍馬の知り合いでもある。
その他
CV:森川智之
鉄之助と辰之助の父親。
尊王攘夷が叫ばれる世に在って、「日本も世界に目を向けるべきだ」という先進的な考えを持っていた。そのせいか若干“外国かぶれ”で、英語もわずかだが習得していた。
鉄之助が幼いころ何者かに殺害される。
関連イラスト
関連項目
PEACEMAKER PEACEMAKER鐵 ピースメーカー ピスメ