概要
鉄之助の元友人にして最大の敵。銀の剛毛に褐色の肌とエキゾチックで日本人離れした容姿が特徴。顔立ちは整っており、サラに色小姓と揶揄される事もあった。新撰組に兄を殺されており、彼らに復讐するため長州系志士・吉田稔麿の小姓に付く。彼自身は政治的信条は特に持ち合わせておらず、純粋に敬愛する吉田の力になりたい一心で行動している。普段佩く刀は兄の形見である。
鉄之助とは街の刀屋で知り合うが、初対面の時は互いに喧嘩腰だったため印象は良くなかった。その後島原で偶然再会し、話し合ううち何となく自分と似たものを感じた二人は、互いの正体を知らない状態で仲良くなった。
しかし鉄之助との交流を快く思わなかった吉田に二人は引き裂かれ、遂には鈴が鉄之助の抹殺を命じられたことで交友が断絶してしまう。
やがて勃発した池田屋事変で吉田を失い、鉄之助の素性を知ったことで新撰組並びに鉄之助をより深く恨むようになる。
吉田の死後の生活は悲惨そのもので、両替商『大和屋』の主人に男色の相手として拾われ、陵辱される日々を過ごした事で精神が壊れてしまう。そのため言動が度々常軌を逸しており、吉田の頭蓋骨を黒漆の薄濃にして持ち歩き、これまで同様復讐を目的としながらも、何処か破滅を愉しむような振る舞いを見せる。
自分を拾った大和屋を殺害し、店の財と立場を乗っ取ると、同じく稚児として拾われた頭(つむり)、腦(なずき)の双子の男児、吉田の面影を持つ巨漢の元罪人・膕(ひかがみ)を仲間に引き入れ、鉄之助への復讐と新撰組の壊滅へ向けて本格的に動き出す。
大切なものを己から奪い続けてきた新撰組と鉄之助に同じ苦しみを与えようと、迂遠ながらも悪どいやり方で彼らを追い詰めていく。
しかし油小路で斎藤一に反旗を翻され、事態は一変。彼に真正面からぶつかられた事で、長い間鈴を呪縛していた怨念が一時解消される。我に返った鈴に嘗ての(だいぶ弱ってはいるが)正常だった人格が戻り、それが絶体絶命の沙夜を救う事に繋がる。