概要
このページを開いた皆様の中には、「はいはい、病原菌のことね」と思っている方も多いかもしれない。しかしながら病原菌とは病原体という極めて大雑把な概念の中の1カテゴリに過ぎない。
病原体とは、生物の体の恒常性を阻害する原因となる「微細な物」を包括した概念であり、病原菌の他、ウイルスや一部のたんぱく質なども含まれる。病原体は基本的に感染症を引き起こす要因となるものを表すため、単なる毒などは含まない事が多い。
分類(食事中の方は閲覧なさらぬよう)
寄生虫
病原体の中で、唯一肉眼視できる存在と言っても過言ではない存在。
線形動物や扁形動物などといったニョロニョロした多細胞生物で、主に消化器系や血管内にて繁殖する。卵を産むなど、他の病原体に比べるとより動物的である。
代表的な種類はサナダムシ、アニサキス、回虫、蟯虫、エヒノコックス、ロイコクロリディウム、住血吸虫など。
真菌(カビ)
キノコの仲間。湿気を好む性質がある群体生物で、子実体は0.1ミリ以下の大きさ。
有機物の「腐敗」「発酵」の主な原因となる。一部種類には猛毒を放つ者もいる。
原虫
原虫はいわゆるアメーバの仲間であり、強い寄生性を示す。
代表的な種類は赤痢アメーバ、クリプトスポリジウム、マラリアなど。
細菌(バクテリア)
いわゆる「病原菌」「黴菌」の最たる例。腸内にいる奴は通称「悪玉菌」とも呼ばれる。
ナノメートル単位の大きさであり、顕微鏡を使わない限り視認不可能。
地球上でもっとも原始的な生物の一つであり、カビ同様に有機物を腐敗・発酵させる働きを持つ。細胞が一つしかないため、細胞分裂で増殖していく。体細胞を直接破壊するタイプと、毒素を放つタイプの二つに分けられる。
代表的な種類は結核菌、肺炎球菌、赤痢菌、虫歯菌、破傷風菌、チフス菌、黄色ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌(O-157など)、ボツリヌス菌、コレラ菌、クラミジア他。
中でも最も小さい細菌はマイコプラズマと呼ばれている。
ウイルス
こいつに至ってはもう生物なのかどうかすら怪しい。サイズはマイクロメートル単位であり、顕微鏡では視認不可能で、電子顕微鏡が必要なほど小さい。
ウイルスはその小さすぎる身体のため、細胞分裂が出来ない。そのため他の生物の細胞を利用して遺伝情報をコピーし、拡散していく。そのため感染力そのものは細胞分裂で増える細菌よりもずっと高い。中には細菌を殺すウイルスも存在する。
遺伝による自己進化「抗原変異」が非常に早いため、抗生物質を造ることは不可能。
代表的な種類はインフルエンザウイルス、ノロウイルス、エイズウイルス、ヘルペスウイルス、エボラウイルス、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、狂犬病ウイルスなど。
天然痘ウイルスは1980年にWHO(世界保健機関)によって根絶宣言が出されている。