概要
細菌の一種。細菌性赤痢(赤痢)という下痢を起こす感染症の原因(病原体)となる。
非常に感染力が強く、食べ物や水だけでなく患者の大便からも感染する。
菌種
赤痢を起こす赤痢菌は大きくAからDの4種類に分けられる。
A群赤痢菌は重症化しやすく、特に乳幼児や小児にとっては危険である。A群以外の赤痢菌は重症化することはほどんどなく、他の細菌による食中毒と変わらない。
A群赤痢菌(志賀赤痢菌)
4種類の赤痢菌の中で最も重症化しやすく、感染すると高熱・激しい腹痛・血便を伴う激しい下痢といった症状が起こる。
ときに溶血性尿毒症症候群(HUS)という重い合併症を起こすことがあり、特に子供(乳幼児・小児)や高齢者は死亡することもある。
この菌は志賀毒素という猛毒を産生する。これは腸管出血性大腸菌(O157など)が産生するベロ毒素と類似のものである。
かつては広域に渡って感染していたが、現在、感染例は激減しており、一部の発展途上国に限られている。
B群赤痢菌(フレクスナー赤痢菌)
先進国でも感染の報告あり。
C群赤痢菌(ボイド赤痢菌)
日本での発生はまれ。
D群赤痢菌(ソンネ赤痢菌)
先進国でも感染の報告があり、日本で発生する細菌性赤痢の70%以上はこの菌によるもの。重症化することはほとんどなく、微熱や軽い下痢(軟便)程度で回復することが多い。