概要
腸管出血性大腸菌の一種。正式にはO157:H7という。
食中毒や経口感染症の原因として知られており、感染すると出血を伴う激しい下痢が起こる。また、子供や高齢者など免疫力が低下している人がO157に感染した場合、溶血性尿毒症症候群(HUS)という重い合併症を起こし、死亡することがある。
本菌が産生する猛毒「ベロ毒素」は、細菌性赤痢の病原体である赤痢菌が産生する志賀毒素に類似している。
一部の動物(牛など)はこの細菌を通常保有しており、糞に菌が含まれている。
1982年にアメリカ合衆国でハンバーガーが原因の集団食中毒事件が発生し、ここで初めてO157が発見された。アメリカでは加熱が不十分なハンバーガーによる発生が多いため、O157感染症は別名ハンバーガー病と呼ばれることもある。
日本では1990年にさいたま市の幼稚園で井戸水が原因と思われる集団感染が起こり、2人の園児が死亡した。
1996年には日本全国で爆発的な感染が起こり、約1万人が感染し、13人が死亡した。特に岡山県と大阪府堺市の小学校での事件が悲惨だった。ちなみに、この事件でカイワレ大根が原因ではないかと疑われ、多くのカイワレ農家が倒産した(風評被害)。ここで大量のカイワレを食べるパフォーマンスを行い、事態の収束を図った政治家が菅直人である。
1997年以降、毎年3000~4000人程度の患者が発生している。
予防のためには、食事の前には十分に手を洗い、食品(特に牛肉)を十分に加熱調理してから食べることが重要である。
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腸管出血性大腸菌 病原性大腸菌 ベロ毒素 赤痢菌 もやしもん 細菌 経口感染症 食中毒 三類感染症
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