細菌性赤痢(さいきんせいせきり)は、赤痢菌による経口感染症である。発展途上国での流行が多く、日本をはじめとする先進国での発生は少ない。
従来、赤痢と呼ばれていたものは、現代では細菌性赤痢とアメーバ赤痢に分けられ、一般的に赤痢と呼ばれているものは赤痢菌による細菌性赤痢のことを指す。
感染経路
赤痢菌に汚染された水・氷・食品を摂取することによって感染する(経口感染)。ただし、この菌は非常に少ない菌量でも感染できるため、食器や箸を介して人から人へと伝染することもある。
菌種
赤痢を起こす赤痢菌は大きくAからDの4種類に分けられる。
- A群赤痢菌(志賀赤痢菌)
この菌は志賀毒素という猛毒を産生する。これは腸管出血性大腸菌(O157など)が産生するベロ毒素と類似のものである。
かつては広域に渡って感染していたが、現在、感染例は激減しており、一部の途上国に限られている。
- B群赤痢菌(フレクスナー赤痢菌)
- C群赤痢菌(ボイド赤痢菌)
- D群赤痢菌(ソンネ赤痢菌)
症状
主な症状は発熱、腹痛、下痢。
一般的にA群によるものは症状が重い。A群は大腸にひどい炎症を起こし、40℃近い高熱・激しい腹痛・血便を伴う激しい下痢といった典型的な赤痢症状を示すことが多い。赤痢という病名は、この血便に由来している。
A群以外(B群・C群・D群)では血便をみることは少なく、特にD群では軽い下痢(軟便)や微熱のみで回復することも多い。
また、幼児でごく稀にみられる、細菌性赤痢の劇症型として、疫痢(えきり)がある。
治療
安静にして、水分補給に努める。重症の場合(血便が出る、衰弱がひどい)は入院が必要。
予防法
海外では十分に手を洗い、生水・氷・生ものを避けることが重要。