概要
コレラは、コレラ菌による経口感染症である。発展途上国での流行が多く、日本などの先進国での発生はまれ(しかし、それ以前の日本では「コロリ」と呼ばれるほど恐れられている)。
日本の感染症法では細菌性赤痢や腸管出血性大腸菌感染症、腸チフスなどと同じ三類感染症となっており、全数届出が義務付けられている。また、コレラにかかっている人は陰性になるまで飲食業やサービス業に従事できなくなる(就業制限)。
現在でも治安が悪化した国、大洪水や地震により衛生状態が悪化した国では多発しており、2020年代でも極端な治安の悪化が著しいシリアやハイチ、大水害が起きたパキスタン、ウクライナ侵攻前線のロシア軍内などで発生件数が増えている。
感染経路
コレラ菌に汚染された水を飲んだり、魚や魚介類を食べることによって感染する。
摂取した菌の大半は胃酸で死ぬが、そこを通過した菌が小腸で毒素を発生することにより症状が起きる。
症状
主な症状は激しい下痢と嘔吐。発熱は無く、腹痛も軽いことが多いが、重症の場合は米のとぎ汁のような真っ白い下痢便を大量に排泄し、急速に脱水症状に陥り死亡することもある。
治療
水分補給が基本。重症の場合は入院が必要。
予防
衛生的な環境を作ることがまず第一の予防である。
上水道などのインフラ整備、手洗いなどの衛生指導で大幅に減少が期待できる。
台所や食品の扱いを清潔にすることも大事である。
海外では生水・氷・生ものを避けること。
ワクチンもあるため、コレラが多発している国へ出張する前には接種しておくのが望ましい。
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