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溶血性尿毒症症候群

ようけつせいにょうどくしょうしょうこうぐん

腎臓の重篤な病気。腸管出血性大腸菌O157や赤痢菌などの感染症の合併症として発症することが多い。
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溶血性尿毒症症候群(ようけつせいにょうどくしょうしょうこうぐん、略称HUS)は、腎臓および血液病気日本では腸管出血性大腸菌O157感染症の重篤な合併症として知られている。


概要編集

何らかの原因で腎臓が機能しなくなり、それに並行して血液中の赤血球血小板が減少する、重篤な病気。また、腎機能低下のために尿素が体外に排出されず体内に蓄積されるため、など全身の臓器にもダメージを与えることがある(尿毒症)。


原因編集

HUSには、下痢を伴う典型的HUSと下痢を伴わない非典型的HUSがある。

典型的HUS編集

主に免疫力の弱い子供高齢者に発症する。腸管出血性大腸菌O157など)や赤痢菌感染した際、大腸にひどい炎症を起こした後、約6~7%の割合で発症する。の出すベロ毒素が血液中に侵入し、それが腎臓に移動して細胞を破壊し、同時に赤血球や血小板も破壊していく。

非典型的HUS編集

主に大人でみられる、稀な病気。AIDS白血病などに合併することがある。また、遺伝的な異常が原因となることもある。

再発することが多く典型的HUSに比べて重篤になりやすい傾向がある。


症状編集

典型的HUSでは、前駆症状として、大腸の炎症による激しい腹痛血便を伴う激しい下痢発熱がみられる。

HUSを発症すると、腎機能低下による症状(尿が出なくなる血尿むくみ)、赤血球減少に伴う貧血症状(顔色が悪いめまい)、血小板減少に伴う出血症状(鼻血歯茎の出血・全身の皮膚あざができる)があらわれる。また、進行すると尿素の蓄積により脳や肺にも異常があらわれ、特にけいれん意識障害呼吸困難がみられた場合は非常に予後が悪く、最悪の場合、死亡することもある

典型的HUSの致死率は約1~5%と言われており、約5~10%に高血圧などの後遺症が残るとされる。

なお、非典型的HUSでは致死率が10%以上と非常に高く、典型的HUSに比べて重篤化しやすい傾向がある。また、非典型的HUSは再発することがある。


検査診断編集

血液検査尿検査によって腎臓や血液を調べる。

前駆症状の段階では便の細菌検査をして腸管出血性大腸菌や赤痢菌によるものかどうかを検査する。これらの菌の感染とわかったら、HUSに進行していないかどうかを症状が落ち着くまで検査する。


治療編集

前駆症状の段階では点滴などで十分に水分を補給し、脱水症状を防ぐことが重要である。なお、下痢止めは絶対に飲んではいけない毒素を体外に排出できず、HUSへの進行を早める恐れがある)。

HUSを発症した場合、2週間程度の入院が必要である。腎機能が著しく低下している場合は人工透析を、貧血が強い場合は輸血を行い、自然に回復するのを待つ。


予防方法編集

典型的HUSの予防のためには、食事の前には十分にを洗い食品十分に加熱してから食べることが重要である。


関連タグ編集

腸管出血性大腸菌 O157 O-157 赤痢 細菌性赤痢 ベロ毒素 志賀毒素 志賀潔 経口感染症 食中毒 胃腸炎 下痢 血便/下血

腎不全 尿毒症 血小板 紫斑病

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