溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)は、細菌の分類のひとつ。
別名で化膿レンサ球菌ともいう。
概要
血液中で赤血球を破壊する「ストレプトリジン0」という毒素をつくる細菌で、溶血性という名前のとおり、血液を混ぜた培地の上で培養すると血液を溶かす溶血反応を示す。また、丸い玉が連なって増殖するという性質があることから、連鎖球菌と呼ばれるようになった。
溶連菌が引き起こす感染症
溶連菌は感染症の病原体としても知られている。子供がかかるイメージが強いが、大人にも感染することがあるので油断は禁物。
ちなみに、感染しても何も症状が出ないという人も20~25%ほどいる。
症状
溶連菌感染症の代表的な症状として、発熱とのどの痛みの2つが重要。通常の風邪に比べ高熱が出ることが多く、のどの痛みも風邪に比べて強いのが特徴。
ときに舌に苺のようなブツブツができたり(いちご舌)、体や手足に赤い発疹ができることもある。なお、いちご舌や発疹があらわれた状態を猩紅熱(しょうこうねつ)と呼ぶこともある。
この他、頭痛、嘔吐、下痢などがみられることもある。ちなみに、一般的な風邪によくみられる咳や鼻水はほとんど出ないとされる。
特に治療をしなくても自然に治ることが多い通常の風邪と違って、溶連菌感染症はきちんと治療しないと怖い合併症を起こすこともあるので、早めに病院に行くことが大切。
合併症
溶連菌感染症では以下のような怖い合併症を起こすことがある。のどの痛みなどが治ってから発症することもあるので、気を付けよう。
- リウマチ熱 : のどの痛みなどが治ってから1~3週間後に発症。急に高熱を出し、心臓や関節に炎症を起こす。適切な治療が施されなければ死亡することもある。また、治っても心臓に障害が残ることがある。
- 急性糸球体腎炎 : 腎臓の病気。のどの痛みなどが治ってから1~2週間後に発症。血尿、むくみ、高血圧などがみられる。きちんと治療しないと慢性腎炎、腎不全、尿毒症に進行することもある。
- アレルギー性紫斑病(IgA血管炎) : 血管の病気。のどの痛みなどが治ってから1~3週間後に発症。全身の皮膚にあざができたり、関節痛、激しい腹痛、血便などの症状があらわれる。
- 敗血症
- 髄膜炎
劇症型溶連菌感染症
溶連菌が傷口から血液中に侵入したときに起こる。発生頻度は稀だが非常に危険な病気。人喰いバクテリアとも呼ばれる。
初期症状は高熱や筋肉痛だが、急速に進行し、筋肉や皮膚、肝臓、腎臓などの細胞・組織を破壊し殺してしまうのが特徴。早い場合は発症から24時間以内に死亡することもある。致死率は30%を超えるとされる。
主に免疫力が弱い高齢者、糖尿病患者、妊婦などが発症リスクが高いとされる。
治療方法
薬を飲んで、溶連菌をやっつける。最低でも10日間は飲み続ける必要がある。合併症の予防のため、症状がなくなっても薬を飲み続けること。合併症を起こした場合は入院が必要になる。
劇症型溶連菌感染症は大至急、病院へ行くこと(救急車を使ってでも)。すぐに入院して薬を服用し、死んだ組織を切除する。