概要
文字通り「ヒロイン」に該当するような女子キャラクターがいない作品のこと。
おおむね、レギュラーや準レギュラーが男子キャラクター中心の場合と、主要キャラクターの中に女子キャラクターはいるが、ヒロイン扱いはされない場合(特に、味方側に戦闘要員や恋愛対象など主要な立場の女子キャラクターがいない場合)に分けられる。後者の例としては、主人公の母親(祖母)といった恋愛感情対象外であったり、女子キャラクター自身が既婚者であったり、といったものが挙げられる。
「ヒロイン不在」という言葉自体は新しいが、それに該当するような作品は古くから存在する。
公式にメインヒロイン自体は存在するが、ストーリー上の立ち位置や人気などでヒロインとしての扱いが悪い場合は「メインヒロイン(笑)」、設定が杜撰であったり、性格や言動に問題があって正統派なヒロインとは呼びにくい場合は「ヒドイン」と呼ばれる。これらのヒロインが存在する作品はファンから「ヒロイン不在」に近い扱いを受けることがある。
「ヒーロー不在」とは対な概念であると言われることもあるが、あちらが要約すると「メインキャラクターが女子だらけ」なのに対し、こちらは「ヒロインという役割を遂行するキャラクターがほぼ居ない(メインキャラクターに女子が居るが、主人公の親だったり既婚者だったりしてヒロインたりえない、男ばかりのバトルが長続きしてヒロインなどが出る日常の影が薄く、似た属性の男性キャラクターの出番すら危うい、といった状況も含む)」であるため純粋な対義語とは言い難く、いうならば『本筋には絡まないが女子は何らかの形で登場はする』ということとなる。
ヒーロー不在の場合、女子キャラを引き立てる役は男子でなくてもいい、というわけであり、女子だらけになる要因を作っているといえる。女子キャラ自体、男子キャラより汎用性が高く、キャラ的にも男子の肩代わりになるケースもあるためである。それに比べるとヒロイン不在の場合は女子キャラを男子キャラで肩代わりにすることは難しく、どうしても女子キャラに頼らざるを得ない現象が起きてしまう。
現にメディア化に至っては、原作ではヒロイン不在の作品でもオリジナルキャラクターのヒロインが登場したり、原作では男性キャラクターなのが女子キャラクターに変更されてヒロイン扱いされたりしている傾向も見られている。下記のように「女性の出番がない、存在しない」作品はあるものの、やはりストーリーに絡ませやすい女性の存在は大きいのである。
不在のパターン
大きく分けて二つのパターンがあり、一つは作者が絶望的に女性を描くのが苦手な場合(カメレオンなど)、もう一つはターゲットを女性に絞っているためヒロインが不要(最遊記、文豪とアルケミストなど)の場合である。
またスポーツ漫画ではスポーツの局面を強調するためラブコメ要素を排した描写も少なくなく、そのような作品もヒロイン不在となりがちである。ヒロインは一切登場しない『キャプテン翼』や『名門!第三野球部』、『あした天気になあれ』は、その代表的な存在。また満田拓也の『健太やります!』では、恋愛対象として前田に近づこうとした渡瀬ひかるに対し、マネージャーの近森や主人公の井口が「そんなチームの和を乱す行為は許されない」と一刀両断している。ほかに『ハイキュー!!』や同作品に影響を受けた『Allout!!』『送球ボーイズ』などもヒロインやサブヒロインは登場するが、主役級に絡んだ恋愛描写は一切ない。
スポーツ漫画でもヒーロー不在ということもある。主人公を女子にして、かつ恋愛要素を排した場合で、『はねバド!』はその典型例といえる。
注意すべき点
BL
当たり前のことではあるが、BL・乙女ゲー等の「主人公の相手役が男性である必要がある」作品は含まれない。
主人公が異性愛者の男性という設定であり、意中な女子が出て来てもよさそうなものなのにどういうわけなのかその手の人物が登場しない(もしくは影がとても薄い)……といった感じの特殊な状況を指して「ヒロイン不在」と呼んでいるのであって、主人公≒ヒロイン≒相手役の中から本命の男性を選ぶプレイヤーである作品や、カップリングの受け役やファンサービス役が男性じゃないと成り立たない作品や、意中な女子など登場しないのが当たり前、むしろ登場させてしまったらファンからブーイングが飛ぶようなジャンルの作品に対して「ヒロイン不在」と呼ぶのはほとんど言いがかりである(その逆は成り立つのだが)。
古い作品
概ね1970年代前半以前には、男が弱者としての女子を守る事はあっても、対等な関係になる事は軟派として避けられる風潮があった。このような作品では、男女子の関係より男同士の友情に比重が置かれ、結果的にだがBL作品と似た構造になる事も多い。ヤンキー系やミリタリー系に顕著である。
作品一覧
・アルファベット→50音順。特記事項がある場合は※で示す。
・ヒロインという曖昧な概念と関係している用語であるためなのか、ヒロイン不在に該当するのかしないのかで意見が分かれてしまう作品も存在する。そういった作品については下記「要審議」に移動させる。
・上記「注意すべき点」に一度目を通そう。
作品についてはヒロイン不在の一覧を参照。
関連タグ
メインヒロイン(笑) ヒドイン ホモソーシャル スポ根 硬派
ヒーロー不在:対義語。
DMM.com:対義語のヒーロー不在にも作品(ブラウザゲーム)があり、両極端の作品が多い傾向がある。
カプコン&SNK&コナミ:80年代は殆どヒロイン不在作品が多かったゲームメーカー
データイースト:作品のほとんどにヒロイン不在が多いゲームメーカー。ただし、例外もある。
本宮ひろ志&宮下あきら&木多康昭&福本伸行&小沢さとる&車田正美:これらの人達の作品は女子キャラクターはいてもヒロインというには出番も見せ場も少なすぎることが多い
また女子キャラクターが全く出てこない作品もある
NUMAnimation:ヒロイン不在のスポーツアニメ作品に定評のあるアニメ枠。(ただし、一部を除く)
コロコロコミック:小学生男子向け雑誌故に少年・男性向けコミック誌の中ではヒロイン不在の作品の比率が多い。一方で高めの年齢層をターゲットにしたコロコロアニキや週刊コロコロコミックではヒロインのいる作品や女性キャラが主人公の作品も多く掲載されている。
梅澤春人:作品全般で女子キャラクターは登場するが、主人公と明確な形で結ばれるメインヒロインが少なく、大抵は両片想いや友達以上恋人未満という形で終わる傾向が高い。