概要
元々は社会学用語。
「ホモ(homo)」は古代ギリシャ語で「同じ」を意味する「ホモス」に由来する接頭辞。
同性同士の集団。同性愛嫌悪もある一方でその結びつきは第三者からは疑似同性愛的関係として観察される。
性的に同質な者同士で社会的につながることで緊密な関係を醸成し、内部には女性嫌悪や同性愛嫌悪が共なうことが多く、マッチョイズム的な文化が育まれる。
字面から時々誤解されているが、ホモセクシュアルの人達の社会だとか、ゲイのSNSだとかではない。
問題としてのホモソーシャル
現生人類、つまりヒトという生物種は多くの生息地域で男性優位の社会を築いている。
そのため、支配階層が男性に偏り、権力や財貨などの各種資源が男性へと傾斜分配されやすく、社会的不平等を生む原因としてホモソーシャルが批判的に考察される。
実例
規範化されたホモソーシャル、単なる不平等の結果としてホモソーシャル的になっているものと二種類がある。
・日本政界
「ダボス会議」の通称で知られる世界経済フォーラムの発表するジェンダーギャップ指数(男女間不平等の指数)で日本は2022年の比較対象146か国中116位と非常に低レベルで男女間の格差が大きい国だと指摘されている。
中でも明確に格差が現れているのが国政である。
日本は衆議院定数の10%程度しか女性代議士がおらず、女性の観点が立法に反映される機会が少ないのが実情である。
特に、自由民主党は保守政党ということもあってか他の政党と比べて女性議員の割合が大幅に少ないことが問題視されている。
例えば自民党の木村弥生議員は、党内では女性が少数派で厳しい立ち位置にあることを表明している。
・カトリック教会
カトリック教会では女性信徒も多数存在するにもかかわらず女性は聖職者になれない。
これはイエスが意図的に男性のみを弟子に選んだとして女性司祭を認めていないからだとされている。
2016年には教皇フランシスコが女性が司祭になれる可能性は永久にないという認識を示した。
このため、カトリック教会は非常にホモソーシャル的である。
また、カトリック教会には隠れ同性愛者が多数存在する。
他にも女性禁止が取られる信仰は多数存在しており、カトリック教会が信仰上の観点から伝統を維持することにも一定の主観的合理性があるとする見方もある。
・ヤクザ
日本のヤクザは犯罪結社であり、典型的なホモソーシャルである。
女性を排除した空間で情緒的人間観を基盤にしながら疑似的な親子関係を結び、家父長的上下関係の社会を築く。
・体育会系
日本の体育会系は典型的なホモソーシャルである。
シゴキと呼ばれる内部暴力、先輩・後輩の儒教的年齢主義などの様式によって、内部の異論や異質を排除した均質性の高い権威主義的なトップダウン組織を構成し、多くの場合において理不尽な階級体制を築く。
体育会系は日本のマッチョイズムの代表例である。
体育会系社会では女性を性的対象とみることが男らしさと考えられており、それが過剰な形態に及んでレイプなどの問題を引き起こすことがあり、女性は男性に劣後する存在とみる価値観が珍しくない。
・男子校
男子校はカトリック教会などと同様にホモソーシャルであることが明文化された組織である。
しかし、ミソジニーやマッチョイズムは各学校ごとに振れ幅がある。
・相撲部屋
相撲部屋は相撲の修業をするために、女性を排除した成員が共同生活を行い擬制的な家族関係を構築するホモソーシャルである。
また、組織継承の際親方格が娘を後継者に嫁がせて実際に縁戚関係を結ぶという慣習も存在する。
内部では一般社会では通用しない独自規範が通用しており、時折表面化して問題になることもある。
・軍隊
軍隊はしばしばホモソーシャル化する。
伝統的に戦争で兵士となるのは男性であり、徴兵制が男性しか対象にしていない国家も存在し、軍隊は男性に偏っているため内部は同質的でマッチョイズムや女性嫌悪が蔓延る土壌がある。
しかし、女性の軍事参加も進んでいるため、性的加害を根絶し規律ある正規軍事組織のためにも女性平等は推進すべきである。
・監獄
監獄は男女別に収監されるのが基本であり、規約化されたホモソーシャルであり、内部は典型的なホモソーシャル文化が観察される。
フリーメイソンは女性結社員を認めない規約のロッジが多く、非常にホモソーシャルである。
ただし、儀礼によっては女性の加入を認める組織もある。
表記ゆれ
ホモソ……Twitterなど口語的な表現が使われるネット上で使用される略称