真メインヒロイン
しんめいんひろいん
別名「裏ヒロイン」「真(の)ヒロイン」とも呼ばれる属性。
最初は別にメインではないただの女性仲間だったのが、劇中で出番を与えられて行く内に様々な設定が付け加わっていき強い人気を得て、最終的に初期のメインを凌駕し本当のヒロインへと昇格・成長したキャラを指す。元のメインを押し退けて主人公のハートを座を射止めた者も多い。
メインヒロイン(笑)の対極を成す存在でもあり、中には、公式に「このキャラクターがメインヒロイン」と説明されるケースもある。
なお、ハーレムものやWヒロイン等で、最終的に主人公の隣を射止めた者は対象外と看做される。
また元から主人公とヒロインに恋愛フラグ等、人間関係が発展する見込みがなかったものも同様である。
恋愛ゲームではマイナーチェンジ版及び家庭用ハード移植版の追加要素として攻略対象ではなかったヒロインが攻略可能なヒロインに昇格するパターンもある。
なぜメインヒロインより人気が出てしまうかについてだが、大まかに以下の理由が多い。
- キャラクターデザインに恵まれた
漫画の看板の一つであるヒロインゆえにキャラクターデザインにもそれなりのレベルが求められるのだが、昇格タイプの多くがメインよりも奇を衒った容姿・性格をしているケースが散見される。
メイン役は概ね「王道」なデザインで推されるが、こちらはそこから外した「個性」で際立たせるのが定番といえる。この「定番」が時として一部の客層にクリーンヒットすることがあり、王道より好まれることも珍しくない。
- 出番や主人公の隣にいる時間がより長い
物語の筋書きの問題上、メインヒロインよりも主人公と接触している時間が長ければ、当然として起こってくる現象でもある。
特に90年代前後の少年漫画などでは、いわゆる「お留守番」型のヒロインがまだ健在な時期でもあった。
このパターンになると、メインが主人公の無事を祈って日常を送っているのに対し、昇格タイプの多くは主人公の助けになるべく自ら危険へと飛び込んでいき、時に主人公の危機を命懸けで救ったりしている。
令和時代になってくると、むしろお留守番型の方が希少になりつつある。
日常が舞台の作品でも、メインより積極的に主人公へ好意をアピールするキャラクターが昇格・大成するケースも珍しくない。
並行してメイン側が別の異性に好意を抱いていると、ストーリーの進行次第で別のヒロインが登場して主人公と結ばれる流れになるのも珍しくない。
ラブコメの場合は、主人公とメインの距離感を調整するため、作者の匙加減で結末までの二人の関係に細かい修正が入り、ヒロインが簡単に入れ替わることは滅多に起こらない。
一方であまり恋愛関係を意識していない作品の場合、ストーリー進行によっては主人公と共に過ごす時間が削られ、その隙に他のヒロインとフラグが作成されてしまい、そのままフラグを成立させて昇格ヒロインへ昇級するパターンがあり得る。
- こちらの性格の方が好まれた
これは特に受け手の嗜好に影響されるケースで、そのキャラクターの積極性や作品の雰囲気との相性、キャラクターの内面を知る機会等の関係により、受け手がより感情移入しやすい方をヒロインと位置づけて応援した結果として。
上記出番の問題も重なるとこの点はより顕著になりやすく、主人公と当初のメインの接触の機会が少なくなると、必然的にその内面に踏み込んだ描写を差し込む機会は少なく、受け手も感情移入しづらくなってしまう。
「お留守番」型ではなくとも読者に批判される行動ばかり取ってしまうメインヒロインもおり、「ずっと出ているにもかかわらず、主人公との接点が弱い」(バウムクーヘンエンド作品や叙述トリック作品の初期にいる偽主人公のような無理矢理感がある)「他のヒロインに印象の強さで負けている」と言われてしまうケース。
- 元々のメインヒロインに、そうなり得る要素が薄かった
非恋愛主軸少女漫画の戦闘ヒロイン(彼氏役はいるが影が薄く、女ヒーローになってしまった)、既婚者のお姉さん、小学生以下の教え子、主人公の親友(もう一人の主人公)の彼女、主人公の姉妹など、本気の恋愛要素に繋がり辛い要素を持ったキャラがメインにいた場合。
- 露骨な恋愛描写がなく、リアリティが強まった
メインヒロインは王道設定で主人公とくっつく流れがバレバレなケースが多いが、昇格タイプは「単体萌え」に徹していたり、主人公との出会いが型に嵌っておらず、生々しかったりする。
前者のケースは読者の間で人気になり、後者の場合は主人公の本命に昇格するケースがあり得る。
- 第三者の意図
いわゆるメタフィクション的な事情。
漫画が人気によりアニメ化されて読者が増えた結果、キャラクター人気に変動が生じ、サブ役が下剋上を達成して昇級する事例がある。
特にアニメの主要制作スタッフにそのヒロインの熱烈なファンがいる場合、アニメオリジナル回やソフト化の特典映像として出番を一気に増やし、結果として視聴者からもファンが増加。
ここまでくると、メインヒロインを押しのけて主人公と結ばれてしまうことも。
- 改修作などによる追加要素
恋愛ゲームに限られるが、マイナーチェンジ版やコンシューマー移植版の追加要素として攻略できなかったキャラが攻略可能になるパターンも存在する。
なお「公式のメインにアンチが多いから」「公式のメインより美人だから」「恋愛せず、アンチが付きづらいから」と言われるケースは含まれないと思われる(あくまで、自然にヒロインの座にスライドしていくパターンに限らなければいけない)。
この言葉は、初期又はありがちなメインヒロインを叩く為にあるのではない。
メインヒロインに設定されている女性キャラが
- こんな女性現実にいない
- どの作品でもそっくりさんを見かけて、どの作品でも人間味に乏しい
- 女性全員の気持ちを代弁するキャラではない(※女性キャラクター全員に言えます)
- 作者が編集部にありがちな設定を強要されて描かされた(※キャラに対するアンチ意見ではなく、メタな否定意見です)
- いいキャラクターだが、脇役に見える
などと言われるキャラだった時に、真メインヒロイン的な女性キャラにこの称号が贈られるのである。
当然ありがちなメインヒロインを魅力的に描いている作家も多く、そのキャラが一位とは限らないものの、固定ファンが付いているケースもある。
ファンにその娘が好きな理由を聞くと、取り分け
「ありきたりだから」「メインだから」だとか「主人公と結ばれる女性だから」「守られるヒロインor戦うヒロインだから」だとか「サブが嫌いだから」etcといった理由ではなく、
- その娘だから好き
- 個性がないのが個性だから好き
- 些細な仕草が好き
- 好きな作家が描いてるから好きで、同じ作家が個性的なメインヒロインを描いても好きだった
という声が聞けると思う。
悪いのはありがちなヒロインではなく、ありがちな娘のみをメインヒロインに設定させるルールだと覚えておこう。
彼女を選ぶ男の主人公が、男児向けや乙女ゲームで一番人気になりそうな男性キャラか、肝心のストーリーが面白いかにも注目しよう。
個人的に一番萌えた女性キャラを「真メインヒロイン」と呼ぶ人もいるが、その場合は推しメンという単語を使うべきである。
二次創作作品のみに登場する読者の理想が投影されたオリジナルヒロインが真のメインヒロインだと囁かれている作品も存在するとか(女主人公の名前を決められるゲーム、主人公の性別が選択できるゲーム、スピンオフで乙女ゲームを出している作品、脇役に独り身の人気男性キャラが存在する作品など)。
ただし、一部作品においては完全に意味が異なる。
表向きメインヒロインとして紹介はされないが、作中上で実質のメインとして扱われるヒロインをそう指す。いわゆる隠れヒロインの一種。
この場合、示唆はされるものの存在自体が最後の最後まで出てこないか、あたかもサブヒロインのような顔をして出演している場合が多い。
作劇上意図されての扱いであり、上段のような扱いとは異なる。理由は千差万別だが、基本的には「存在自体がネタバレであるため」秘匿される。
ヒロイン攻略型のゲームにおいては、攻略に一種のロック(他ヒロインルート全てのクリアーなど)がかかっていることが大半。
立ち位置上、作中の謎や主人公の因縁などを一手に引き受けるようなシナリオを担当することになる。
どのような作品が該当するかは……各作品のネタバレになるので、自力で探してください。