シナンジュ
しなんじゅ
- アメリカの推理作家ウォーレン・マーフィーの執筆した小説「デストロイヤー」の中で出てくる架空の武術。暗殺術にしてその伝承者はシヴァ神の化身となるすごい拳法。
- 朝鮮民主主義人民共和国平安南道安州市に属する地区の名前。平仮名読みなら「しんあんしゅう」(新安州)。
- アニメ『機動戦士ガンダムUC』に登場するメカ。本項で解説。
第二次ネオ・ジオン抗争終結後の宇宙軍再編計画『UC計画』の一環としてアナハイム・エレクトロニクス社がグラナダ工場において少数量産した試作MSのシナンジュ・スタインを、ネオ・ジオン軍残党『袖付き』の首魁フル・フロンタル大佐に相応しいカスタムアップを施した専用機体(アルレット・アルマージュおよびダントン・ハイレッグが関わっていない点もある意味においてフロンタルに相応しい)。
型式番号のMSN-06Sはアナハイム・エレクトロニクス社のサザビー(MSN-04)、ジオン軍ニュータイプ専用機ジオング(MSN-02)に連なる系列機を示す(由来は違うがクワトロ時代のシャアの乗機である百式もMSNナンバーである)。
元となったシナンジュ・スタインは、かつてのサザビーやνガンダムと同じく、機体の駆動式内骨格ムーバブルフレームの一部に、パイロットの脳波に反応する高機能構造材「サイコフレーム」を採用した機体であるが、サザビーとは異なり連邦系モビルスーツの延長技術上で誕生した機体であるため、ネオ・ジオン所属(を前提とされて開発された)機体でありながら機体構造はサザビーよりも寧ろνガンダムに近い。
実際、モノアイの下にはデュアルアイが隠れており、劇中ではダグザ・マックールから攻撃を受けモノアイを破損し髑髏のような顔面フレームを晒した際に、右側をサブセンサーとして起動した。その顔貌で右目のみ赤く輝く様はゾンビを彷彿とさせる不気味な形相となっている。
主に操作系のマン・マシン・インターフェースにパイロットの感応波を操縦系へ直接伝達する「インテンション・オートマチック」で追随性を高めた本機には、ファンネルを初めとしたサイコミュ兵装が搭載されていない(コクピットには規格機同様のコントロールスティック・フットペダルを採用しているが思考制御とどのように併用されているのかは不明)。
これは、驚異的な機動力と追従性を誇る本機が元々はサイコフレームをメインフレームに据えたMSの、殺人的な加速度とサイコミュによる精神的負荷で一般パイロットでは計測不可能な限界値を取得するべく、無人機としての試験運用を目的とした実験機として設計されている事に由来する。
その限界値を突き詰めた極めてピーキーな仕様の設計ゆえに欠陥機とも言えるポテンシャルを、ニュータイプとしてもMSパイロットとしても高い能力を誇る「赤い彗星の再来」は遺憾なく発揮した。
また、本機はスタインから仕様変更された背面と脹脛側面の推力偏向スラスターの他、全身に多数のスラスターを装備しており、いかなる姿勢においても高い機動性を発揮できる。
特に背面の推力偏向スラスターは翼を想起させる形状になっており、最大出力時には羽ばたくような挙動を行う。
背面の推力偏向スラスターの下部には、サザビーのものよりも大型のプロペラントタンクが配置されており、戦闘ではこれを意図的に切り離すことで囮としても利用している。
尚、シナンジュ(シナンジュ・スタイン)によって得られたデータを元にしてユニコーンガンダムが開発されていることから、本機はいわば兄弟機、あるいはプロトタイプに当たるといえる。このためもあって、本機の性能はカタログスペック上においてはジェネレーター出力、パワー・ウェイト・レシオ共に、ユニコーンガンダム(ユニコーンモード)を一回り下回っている。
本来は地球連邦軍に納品されるはずであったが、宇宙世紀0094年6月15日にクラップ級巡洋艦「ウンカイ」と「ラー・デルス」による輸送任務中にフル・フロンタル率いる『袖付き』によってシナンジュ・スタインは2ユニットが強奪され、この内1ユニットがフル・フロンタルの操縦技能にあわせた改修、外装の変更、及び機体色のリペイント等を経て、2年後にユニコーンガンダムと刃を交える事になる(なお、シナンジュ・スタインの強奪は実際には強奪に見せかけた譲渡であり、アナハイム社は以前にもシーマ艦隊へのGP-04の譲渡など同じような行動を取っている)。
上述の通り本機はインテンション・オートマチックを採用してはいるが、あくまでもユニコーンのプロトタイプとしての側面が強く、デストロイモードのようにサイコフレームを外界に展開するような機構を有していないため、サイコ・フィールドを任意発現させる“機能”は備わっていない。
運用艦には、『袖付き』旗艦であるレウルーラが用いられる。
ビームライフル
専用に開発された長銃身型ビームライフル。
射程距離や照射時間が他のビームライフルと比べて長く、ネェル・アーガマのカタパルトデッキを貫通する程の威力を誇る。
不使用時には腰部ラッチに懸架できる他、上部にライトセンサー、下部にはグレネードランチャーやバズーカを取り付けられる等、拡張性にも優れる。
ユニコーンガンダムのビーム・マグナムと比べ破壊力に劣るが、継戦能力に優れる(と言うよりも、ビーム・マグナムの継戦能力が極端に低すぎる)。
余談ではあるが、劇中やゲームで採用されている射撃時の効果音はジオングのメガ粒子砲射撃音を音声加工した物であり、ガンダムのビーム・ライフル射撃音を元にしたビーム・マグナムと対になっている。
ビームアックス
シールド裏に二本マウントされている、メイン近接武装。
マウントしたままの状態でも使用可能な他、出力を上げる事でビームソードアックスとしても使用可能となる(サザビーと同機構)。
また、二本を繋げてビームナギナタとなり、この状態で回転させる事で簡易的なビームシールドとしても機能する(アニメーション版未使用)。
ビームサーベル
前腕装甲に収納される、予備用の近接格闘用装備。
リゼルのロング・ビームサーベルとの鍔迫り合いに押し勝つだけの出力を有する。
前腕部に取り付けた状態で、ビームトンファーとしても使用でき、この機構はユニコーンガンダムにも継承されている。
バズーカ(ロケットバズーカ)
ユニコーンガンダムのハイパーバズーカと同じく、砲身伸縮機能を持つバズーカ。
ビームライフル同様、不使用時には腰部ラッチで懸架出来る他、シールドやビームライフルへの装着も可能となっている。
砲身を縮めて使用する場合は、取り回しが良くなる一方で、弾頭の初速が遅くなるというデメリットも生じる。
後述するようにガンプラでは単品版に同梱していないことが多く、入手に手を焼く武装でもある。
インダストリアル7宙域を離れようとするバナージ・リンクスたちを追撃するために初登場。
サラミス級の残骸を囮にした作戦で暗礁宙域に潜伏していたネェル・アーガマ隊の位置を割り出し、アンジェロ・ザウパー大尉ら親衛隊と共に急襲を仕掛ける。その際、障害物だらけのデブリ帯の真っ只中を後続機のおよそ3倍のスピードで接近しており、前述の通り本機のスペックを引き出すこと自体が至難であることも加え、暗礁宙域を高速で駆け抜けるフロンタルの技量は本物である。
ネェル・アーガマ改と接敵した後には対空防御を簡単に回避し、逆に対空砲座を次々に破壊している。その後ネェル・アーガマ改から発進したノーム・バシリコック少佐率いるMS部隊を相手取るも4対1という数的な不利を物ともせず、リディ・マーセナス少尉を残し壊滅状態に追いやる。
ユニコーンガンダムと交戦した際には撃破こそしなかったもののNT-D発動形態でも互角に渡り合っている。
バナージが地球から再度上がって来た後の、ドゴス・ギア級戦艦ゼネラル・レビルとの戦闘では、レウルーラによって宙域に駆け付け、ジェガンA2型とリゼルC型などの量産機を多数相手にしても有利を崩さず、敵機のコクピットをわざと外す余裕すら残してあしらっており、ほぼ単機による攻撃でゼネラル・レビルの部隊を退却させている。
ネェル・アーガマ隊との共同戦線が決裂した後はレウルーラへ戻り、ネオ・ジオングのコアユニットへと換装されることとなった。
原作小説版
ネオ・ジオングではなく通常形態のシナンジュが最後の敵として登場し、「シャアの怨念」に呑まれたフロンタルの鬼気迫る戦いぶりでユニコーン、バンシィを追い詰めている。
シナンジュ・スタイン
強奪・改修される前のシナンジュ。型式番号MSN-06S。
宇宙世紀0094年6月15日に『袖付き』は2ユニット分の機体を強奪しており、シナンジュはこの内の1ユニットを改修している。詳細は当該記事を参照。
武装や装甲が未成熟だがその分軽量で、ジェネレーター出力及びスラスター総推力は同値のため、単純なカタログスペックはシナンジュよりも高い。
シナンジュGPB-Dカラー
『ガンプラビルダーズ』外伝の『ガンプラビルダーズD』に登場するガンプラ。
無敗を誇るガンプラビルダー「白い彗星」の愛機であり、「赤い彗星の再来」たるシナンジュ本体のカラーリングを白に改められている。
「白い彗星」はこれを用いてガンプラバトルで100人斬りを達成している。
ヴァイスシナンジュ
『ガンダムビルドファイターズトライバトローグ』に登場するガンプラ。
ダイバーシティ東京プラザ内にあるガンダムベース東京の新アトラクション「G-クエスト」のこけら落としで、ミッション(10分以内に目標となる機体を見つけ出して破壊する)の達成目標として設定されていたシナンジュの近接格闘タイプ。
基本的な仕様はシナンジュを白くしただけだが新たに大型剣とシールドを併せた複合武器「モーントシュヴェールト」が装備されている。
モーントシュヴェルートは分割してハルプムントフォームと呼ばれる双剣になる他、シールドと剣を分離したフォルモーントフォームとしても使用出来る。
2008年12月に「MGVer.Ka」ブランドで発売。ユニコーンと同じフルABSフレームを採用している。ユニコーンのような派手なギミックはないが、背部スラスターの連動ギミックなどがある。
複雑なエングレービングの色分けは当時のバンダイから「現在の技術では出来ません」と明言されていたためホイルシールか水転写式デカールの選択式となっている。
フルABSの宿命か腰が折れやすいという報告もあった。
2013年にはフレーム素材をABSからKPSに変更し、劇中でも使用していたバズーカ付属のアニメカラー版も発売された。近い時期にシナンジュ・スタインVer.Kaも発売されているが、あちらと違いエモーションマニピュレータは使われず旧式のものが使用されている。
2010年にHGUCも発売され、MGとギミックも大差ないため買うならこちらの方がおすすめ。2014年発売のHGUCネオ・ジオングにもバズーカも合わせて一体丸々付属。
MG・HGUCどちらもチタニウムフィニッシュバージョンが発売されている。
2016年にはRGで発売。なんと1/144サイズでエングレービングがパーツ分けされており、MG Ver.Ka発売当初の無念をさらに小さいサイズで晴らすこととなった。
エングレービングは光沢金メッキ、ボディカラーの赤部分はグロスインジェクションによる光沢仕様となっている。
…しかし見栄えは良いのだが、フレームにガンダムMk-Ⅱのものを無理矢理使用している(特に脚の付け根部分はかなり強引)ため、可動や関節強度はかなり悪く賛否両論となっている。
プレミアムバンダイ限定で拡張セットも発売され、握り手(手甲はつかない)やダグザ中佐の生身での砲撃シーンを再現したフィギュアとその攻撃を受けて装甲が破損しカメラが露出したシナンジュの頭部、ビームアックスの新型エフェクト、そしてやはり単体では付かなかったバズーカが二丁(こちらではロケットバズーカ名義)付属した。
最近ではユニコーンガンダムはMGEXが発売された一方、MGシナンジュの方は改善可能な技術は十分出揃っているにもかかわらず長らくアップデートされていない。
間に出たMGνガンダムやサザビーのVer.Kaはサイコフレーム演出にあたってクリアパーツやシルバーパーツの導入、LEDユニットを使った発光ギミックなどで豪奢な要素を取り入れてるのもあり、エングレービングすらオールドテクノロジーなままのMGはどうしても見劣りしてしまうのだ。そのエングレービングのパーツ分けもシナンジュ・スタイン(ナラティブVer.)Ver.Kaに先を越されてしまった。
そのためつい最近Ver.Kaが出る前のΖガンダムくらいにリニューアルが求められている機体と言えよう。
SDシリーズでももちろん発売されている。
BB戦士とEXスタンダードの2種類が発売されているが…BB戦士はネオ・ジオングの方を買うことをお勧めする。単体では付かないバズーカも付いてくるし。
EXVS
第2次解禁で登場。2巻公開とほぼ同時期というタイミングだった。重装備モードと高機動モードを切り替えながら戦うというスタイル(原作で見せた隕石を使った移動、攻撃も再現)。ただし基本火力が低く逆転性に欠けるため、高い機体性能を使って圧倒できるかが鍵となる機体になっている。耐久力も2500級では実質最低である(X1改はマントがあるため)。
マキシブーストに続投した際に3000コストに変更。武装換装こそ廃止になったものの、
サブ射撃にバズーカ(重装備モード)、特殊射撃でアシスト呼び出し(重装備モード)、特殊格闘で隕石蹴り(高機動モード)と前作の両形態を統合した、耐久力の低さを回避性能の高さで補う高機動万能機に大幅に変更された。
バズーカの即ダウン力を活かした迎撃力と高い機動力からの高い自衛力を持つシンプルかつ率直な武装構成の機体となっている。
ただし、換装廃止のデメリットとして高機動モードの高火力のコンボが使用不可になってしまった。そのため前作以上にダメージの積み重ねが必要となる。
また、他機体と比べ押し付け武装も少なく射撃だけだとダメージ負けしやすくどこかで格闘を仕掛ける必要性があり、プレイヤーの力量が求められる。
そしてオーバーブーストにて時限強化が追加。隕石蹴りを行うと自動発動なのはもどかしいが、この状態だと追いつくのが困難なほどの高い機動力で飛び回ることができる。
Gジェネレーションシリーズ
作品共々『ワールド』で初参戦。
大技に相当するような武器こそないが、基礎スペックの高さと燃費の良さから扱いやすい機体。唯一の難点はサイコミュ兵器がないためサイコフレームの効果が腐りがちな点だが、逆にOTパイロットでも十分扱えるということでもある。
主な開発元はサザビーなどだが、本機はシナンジュ・スタインを経由することによりνガンダム系列やユニコーンガンダムなど、連邦機ルートへ派生することも可能である。逆に連邦機からスタイン経由で本機を開発しジオン機ルートに来ることも可能。
『ジェネシス』ではアビリティとしてインテンション・オートマチック・システムが登場したためサイコフレームの効果も無駄になりにくくなった。また、ネオ・ジオングが非常に強力なためそちらの派生元としての価値もある。
機動戦士ガンダムUC
PS3用ゲームにおいて強奪される以前のシナンジュであるシナンジュ・スタインが登場する。
また、強奪時のエピソード「戦後の戦争」もダウンロードコンテンツでプレイ可能な他、コレクターズパックにはそのエピソードの小説も付属している。
機動戦士ガンダムバトルオペレーション2
2022/6/30に実装。700コスト汎用機。
スキルを発動した状態のスラスター移動は同じ700コストの強襲機すら上回る最速の機体で、高速で接近しながらビーム・ライフルで足止めし、3種類の格闘武器で瞬間的に火力を叩き込む格闘型。
ライバルであるユニコーンガンダムも同様に格闘寄りだが、どちらかと言えば耐久力を活かして長時間居座る機体であり、先手を取って格闘戦に持ち込みやすいのはシナンジュだが、逆に先手を取られるとダメージレースで負けやすいという相性になっている。
ロストヒーローズ2
ガンダムシリーズ最大のメインヴィランとして登場する。
袖付きを引き連れ、ホロスコープス筆頭のサジタリウス・ゾディアーツと手を組み暗躍をする。
彼はストーリー上一番のリジェスの忠実なる部下であり、彼の手によってストーリーを大きく引っ掻き回す存在にもなっている。ストーリー上最後のステージであるデストロイ・キューブで倒されるも、亡骸はリジェスに回収されネオ・ジオングへと変えられた。(ネオ・ジオングになった時点でもう自我はなくゾンビ怪獣のような扱いになっている)
モンスターストライク
2023年1月中旬にコラボされた際にフル・フロンタルが搭乗する星5(6)降臨キャラとして客演を果たす。ただし、あくまでネオ・ジオングの進化前の扱いである為お世辞にもクエストに連れていく性能では無い。(ただしボール絵は進化前がシナンジュで進化後がネオ・ジオングとファンには二口美味しい為、紋章にしたい者にとっては是非ラック90を目指したいものである。)
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