デザイナーはガンプラ・パッケージアートをいくつか手掛ける間垣リョウタ。
概要
ティターンズの強化人間ロスヴァイセの専用機としてオークランド研究所(地球連邦軍の直轄組織)で開発されていた試作型モビルスーツ「グリンブルスティ」の改修機。名称はハヤブサ科の鳥、チョウゲンボウの英名を由来とする。
宇宙での機動試験中に鹵獲に見せかけて親エゥーゴ派の研究者がエゥーゴに譲渡し、アナハイム・エレクトロニクスのドック艦「ロサ・ギガンティア」での試験運用を経てエゥーゴの戦力として実戦配備された。
ティターンズ側からは両肩のビームブレイドを展開した際のシルエットから「カマキリ」のコードネームで呼ばれる。
主なパイロットはヴァン・アシリアイノ。
胴体と脚部に内蔵された三基の高出力ジェネレーターを持ち、その豊富な出力で複数のビーム・サーベル、ビーム・ブレイドを同時に展開出来る。
また、バックパックにはアルビオンに用いられていたものと同様のレーザー推進器を内蔵式にした新型のレーザーロケット推進器を持ち、両脚の熱核ロケットエンジンを併用する事で高い機動力と加速性能を誇る。
このレーザーロケット推進は、本来は惑星間航行を前提とした技術であり、ペイロードと居住性の問題を確保すれば、機体そのものを惑星間航行船として使用する事も出来る。
レーザーロケットに使用する推進剤は水であり、高出力のレーザーを照射し水蒸気爆発を発生させる事で推進力を得ている。
また、準サイコミュシステムとして「シャーマン・フレーム」を搭載しており、感応波がニュータイプよりも弱い強化人間やオールドタイプであってもパイロットの感応波をサンプリングしたシステムのサポートを得て危機回避など思考の一部を機体コントロールに反映させる事が可能となっている。
この他、「エクステリア」と呼ばれる追加パーツを装着出来るなど機体の拡張性も高い。
メインカメラは頭部ではなく胸部に搭載されており、頭部はダミー、もしくはサブカメラとして機能する大胆な設計が採用されているのも特徴である。
しかし、強化人間専用機という事もあって、同・オークランド研開発のギャプラン同様、その加速Gは一般的なパイロットが耐えられるそれを超えており、その為にオークランド基地でのテストも含めて三人のテストパイロットが入れ替わっている。他にも戦闘中は高い加速性能を維持するため推進剤の消費が激しく、内蔵式レーザーロケットの信頼性が低いなどの欠点がある。
その結果、エゥーゴのテストパイロットからは「欠陥機」や「自殺装置」という評価を下されていたが、四人目のパイロットとして先天的に高いG耐性を持つヴァン・アシリアイノが搭乗した事でその性能を発揮する事になる。
なお、グリンブルスティからケストレルへと仕様変更されたのは、過去のテスト時の事故で膝と肩、頭部を破損した為。この際、ワグテイルの外装データを参考にしたアナハイム製のパーツによって修復され、それと共にカラーリングも白と青を基調としたものに改められた(この改修には、オークランド研開発機であることを隠すための偽装という意図も含まれている)。
グリプス戦役時のモビルスーツには珍しくコア・ブロックシステムを有しており、後のネオガンダムやクロスボーンガンダムと同じホリゾンタル・イン・ザ・ボディタイプのコア・ファイター「コア・スクァード」が搭載されているが、これはメインスラスターであるレーザーロケットをローテーションで整備する為のバックパック換装機構としての側面もあり、レーザーロケットタイプのコア・スクァードの他にも熱核ロケットエンジンを搭載したバックパックも存在する。
装備
頭部バルカン砲
RX-78などと同様に額に二門搭載されているバルカン砲。
ビーム・ライフル
後部に独自規格のエネルギーパックを装着する長銃身型ビームライフル。一撃でモビルスーツの半身を蒸発させる威力を持つ。
非使用時にはバックパックにマウントされ、コア・スクァードに懸架しても使用可能。また、予備のエネルギーパックはサイドスカートに四本携行される。
ビーム・サーベル
バックパックにマウントされているビームサーベル。
標準的なビームサーベルと変わらないオーソドックスな仕様だが、全身のビームブレイドと同時に稼動させる事が可能。
なお、サーベルラックはコア・スクァードの推進器となる部分とは別パーツである為、コア・スクァードには装備されていない。
ビーム・ブレイド
肩、肘、膝、つま先に配されたビームユニットから展開されるビーム刃。
攻撃範囲についてはビームサーベルほどの自由度は無いが、高出力で幅広のビームを展開可能。また、全身のビームブレイドを同時に稼動させる事も出来る。
なお、肩のユニットはアームを介して接続されており、簡易的なビームガンとして使用可能。腕部のビームユニットはオプションパーツのプラットホームにもなる。
ビーム・マドゥ
肘のビームユニットにフレームを介して接続される専用のシールド。
標準的なシールドと比べて小型だが、三本のビーム刃を展開する事で敵の斬撃を受け止められる他、正面に構えて打突武器として使用可能。
また、シャーマン・フレームと連動し、パイロットの技量(および運)によっては敵のビーム攻撃を弾くといった芸当も可能となる。
メガビームランチャー
肘のビームユニットを介して接続され、本体から直接エネルギー供給を受ける高火力装備。
砲口部で15度前後の射軸変更が可能となっており、拡散ビームモードへの切り替え機構とあわせて取り回しの悪さをカバーしているが、重心が安定せず機動戦では扱いづらいなど、機体との相性は悪い。
最大出力で数秒間の継続掃射が可能だが、使用後は強制冷却が必要となる。
センサー部はビームライフルと共通パーツとなっている他、コンデンサー・本体・バレル部分がユニット化されている。
エクステリア
マニューバー・エクステリア
両肩に搭載される四基のブレイク・バインダーからなる追加パーツ。
装備する事で機体の旋回性能と火力が向上するが、末端重量が増える為戦闘機動時の安定性が低下する。
バインダー自体はレーザー発振装置を一機備えたシンプルな設計であり、先端にビームガン兼ビームブレイドを備え、それ自体を武装として使用出来る。
また、バインダーは有線サイコミュ兵装としてオールレンジ攻撃が出来るよう設計されており、この機構を流用し、有線ミサイルの要領でバインダー自体を射出武器として使用可能となっている。
ケストレル本体のレーザーロケットが戦闘で損傷し、低下した機動力を補う為に装備された。
バックパックも熱核ロケットエンジンに換装されているが、こちらはマニューバー・エクステリアに必須の組み合わせという訳ではない。
アーマー・エクステリア
全身のミサイルポッド、追加装甲、増加推進器からなる火力強化装備。
グラナダにて「機動力が高すぎるのであれば装備を重くして機動力を殺し、重MSとして運用すればよい」という発想の元に開発された。
アーマー・エクステリアを装備していても通常のMSよりも高い機動性は発揮出来る一方、扱い易い操縦性を獲得した為、耐G体質でないパイロットであっても操縦が可能となる。
全身にミサイルポッドを装備し、加えてバックパックにはリニアガンとセンサーユニットを搭載。また、冷却装置やプロペラントタンクも増設されており、行動半径・作戦行動時間が延長されている。
メガビームランチャー、マニューバー・エクステリア等の同時装備も可能であり、それらの装備に加えレーザーロケットタイプのコア・スクァードを装着した状態を「フルアーマーケストレル」と呼称する。
グリプスⅡ攻防戦後、ティターンズ・テルアビブ分艦隊による地球主要都市への核攻撃を阻止するべく、戦力不足を補う為に投入された