デザインは片貝文洋。
概要
オークランド研究所で開発、ゼダンの門(旧ア・バオア・クー)工廠で建造された可変型モビルスーツ。
ORX-007[ハティ]の護衛用随伴機としてティターンズで運用された。
かつてガンダム開発計画で開発されたGP-02に近い頭部エクステリアを有するのが特徴。
同じくオークランド研究所製の[グリンブルスティ]とは同時期に開発された兄弟機にあたり、頭部やバックパック等に技術的な繋がりを見せており、グリンブルスティから改修されたガンダム[ケストレル]にも本機のデータが登録されていた。
パイロットはアーネスト・マクガイア。
ガンダム[ケストレル]やガブスレイ[フギン]、ガブスレイ[ムニン]等と同様に準サイコミュシステム「シャーマン・フレーム」を搭載しており、頭部などにシステムの感度を高める為のアンテナが配されている。
スコルのシャーマン・フレームはスペックを最大限に引き出す為には[ハティ]のシステムと相互リンクを行い、それを維持しなければならない。
相互リンクの限界距離は半径10,000メートルと極めて短い。これは[ハティ]側から[スコル]への通信がサイコミュで行われるのに対して、[スコル]側から[ハティ]側への通信は通常無線で行われる為である。
本機は宇宙空間であっても人間の自然な動作を再現出来る程に機体性能が高く、システムの相互リンクを維持すれば他を寄せ付けない戦闘能力を発揮できる。しかしながら、その能力を発揮するには母機である[スコル]を常に敵機レーダーによって捕捉させられ続ければならないという、凄まじいディスアドバンテージを同時に背負う事になる。
しかし、ティターンズのゼダンの門の放棄に伴い持ち出された機体は外装の一部が未完成となっており、それを補う為に耐ビーム・コーティングを施したナノカーボン製のカウルを装着している。その為機体は軽量である反面、格闘戦(Ζガンダム等の機体が見せた回し蹴りや打突)は事実上不可能であり、実弾・質量兵器による被弾には脆いという欠点を持つ。
本機はガブスレイに似た脚部をクローアームとするモビルアーマー形態へ変形可能であり、その際には専用の大型シールドを機体上部へ装着する。
この形態は、前述の[ハティ]との相互通信限界距離への早急な復帰を目的とした物であり、ΖガンダムやガンダムTR-6のような大気圏突入能力は有していない。
装備
ビームサーベル
腰部サイドスカートに左右合計四本搭載されているビームサーベル。
モビルアーマー形態時にはビームガンとして使用可能。
ビームライフル
標準的なビームライフルよりも大型なビームライフル。
RX-78やガンダム試作1号機等が用いたビームライフルをスケールアップしたかのような形状を有し、肩に担いで使用するその様相は後のリゼルのメガビームランチャーに近い。
シールド
ビーム撹乱幕が装填された近接防御ロケットを搭載する専用シールド。
敵機のビーム発振時に漏れる光のスペクトル変化をキャッチし、ビーム撹乱幕を展開する事で敵のメガ粒子砲を減衰させる。
[スコル]と[ハティ]のリンクによってこの機能を実現させており、本機が「護衛用モビルスーツ」である所以ともいえる装備である。
[ハティ]
型式番号ORX-007。
オークランド研究所で開発され、ゼダンの門で建造された強化人間用モビルアーマー。
その姿形はタツノオトシゴ、もしくは旧ジオン軍のブラウ・ブロに近いが、本機のベースとなったのは一年戦争前に立案されていた航宙イージス艦構想である。
同時期に開発されたORX-009ガンダム[スコル]を直掩に付けて運用する事を前提としており、その性質上、スコル側からの操作でも機体をコントロールする事が可能。
ウイング、艦橋、武装サイロを折りたたみ収容形態に変形可能であり、そこから艦橋とウイングを起こして巡航形態となる。
パイロットはロスヴァイセ。
オールレンジ攻撃を行う有線ビットとIフィールド・ジェネレーターを装備し、単体でも高い戦闘能力を有しているが、本機の本領はサイコミュを用いた搭載兵器の誘導管制能力にある。
機体下面に長距離ミサイルを収容可能な武装サイロを装備しており、サイロ前面のサイコミュ感応アンテナを用いてミサイルの誘導を行う(ミサイルをサイコミュで制御する機能は後のΞガンダムやオデュッセウスガンダムと同じだが、これらのサイコミュ誘導式ミサイルがMS同士の中~近距離機動戦闘での運用を想定しているのに対して、本機が使用するミサイルは運用方法に大きな隔たりがある)。
ミサイルの収納筒は合計40本。一発あたり20基の突入体を収納するので、800発の弾頭を運搬・運用でき、更にその全てを同時に誘導出来る。また、核弾頭、中性子爆弾の運用も可能であり、劇中ではテルアビブ分艦隊司令ニシザワ中佐の命令で中性子爆弾を用いたグリプスⅡ奪還の為に用意されていたが間に合わず、地球主要都市への核攻撃の為に運用された(すなわち、本機のミサイルはICBMのような、定位置攻撃用である)。
しかし、本機の管制機能は、数ミリメートルの射角のズレによって攻撃対象から数十キロメートル単位の命中誤差を生む、サイド間の宇宙距離を精密爆撃出来る程の攻撃精度は実現しておらず、地球への核攻撃についてはジャミトフ・ハイマンの思想を強く受け継ぐニシザワ中佐の独断に加え、「強化人間用モビルアーマーによる地球への核攻撃」をサイコミュでのミサイル誘導によって行われたとエゥーゴに思わせる一種のブラフとしての意図があった。
なお、有線ビットは主砲と副砲を備えており、主砲はメガ・ランチャーに匹敵する威力を有するが発射までにタイムラグがあり、副砲がそれをフォローする形となっている。