機体データ
型式番号 | RMS-141 |
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所属 | 地球連邦軍、ニューディサイズ |
開発 | 地球連邦軍ペズン基地 |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 20.05m |
頭頂高 | 19.20m |
本体重量 | 37.63t |
全備重量 | 87.28t |
出力 | 2,100kW |
推力 | 88,000kg |
センサー有効半径 | 15,000m |
装甲材質 | ガンダリウム・コンポジット |
固定武装 | ビーム・サーベル×4 |
オプション武装 | 専用マシンガン、ビーム・ライフル+グレネード・ランチャー、遠射用ビーム・スマートガン、クレイ・バズーカ、ビーム・カノン、クラブ、ミサイル・ポッド、シールド、スモーク・ディスチャージャーなど |
※全高と全備重量は第3種兵装のもの。
概要
雑誌企画『ガンダム・センチネル』に登場。
地球連邦軍教導団の青年将校を母体とする反乱軍・ニューディサイズが使用した汎用量産型モビルスーツ(MS)。型式番号RMS-141。
ドイツ語で数字の「1」を意味する「アイン」の名を冠する、X(ゼク)・シリーズ1番目の機体。傑作量産機ザクⅡの設計思想をもう一度採用することで、先鋭化・煩雑化し行き着くところまで行ってしまったMSに汎用性を取り戻し、新世代の汎用量産機を目指す、というコンセプトで開発されている。
開発拠点である小惑星ペズンのMS工廠は、かつてジオン公国における「ペズン計画」で数々の試作機を生み出した過去があるため、そこで開発された本機にもモノアイや指揮官機用のブレードアンテナ、腹部パイピングなどジオン系の技術色が色濃く反映されている。しかし、胸部に重点的に施された装甲など、いかにも連邦らしい設計も垣間見え、ハイザックとは違ったアプローチで両軍のMSのハイブリッド的な存在に行き着いた機体でもある。
なお、『ADVANCE OF Ζ』シリーズにおける後付け設定では、脚部プロペラントタンクはガンダムTR-1のマルチコネクターポッドに接続されるものと共通規格になっており、アドバンスド・マラサイの前頭部のセンサーが本機と酷似した形状になっているなど、コンペイトウ工廠からの技術供与も示唆されている。
機体構造こそ無骨で派手さや革新的な部分のないオーソドックスな技術の集合体ではあるものの、骨太で洗練されたクリアランスの機体性能はトータルバランスに優れ、ハードな運用に耐える信頼性の高いものになっている。
そして何よりもオプション兵装の豊富さは当時においては群を抜いており、換装によって種々の専用機並みの性能を得られ、1機種で幅広い運用が可能となるのが本機体最大の特徴である。
オプションを積む前提で設計されたため、ジェネレータ出力には余裕があり、ペイロードやラッチ、マウントシステムが各所に用意されている。
基本兵装
- 第1種兵装:通常ビーム兵器携帯仕様。
両肩にプロペラントタンクやランディングデバイスを装備。主兵装はグレネードランチャー付きのビームライフル。かなりの軽装。
- 第2種兵装:長距離攻撃(遠射ガンナー)仕様。
左肩のみに装備したマウントラッチ兼用シールドにディスク・レドームをセットし、ビーム・スマートガンを持つ。数万kmオーダーの距離での射撃戦にも対応可能。
- 第3種兵装:重攻撃仕様。
要塞戦を想定しており、実体弾を使用。主兵装の大型マシンガンは、肩部シールドにマウントしたドラム弾倉から給弾ベルトで弾を供給するタイプ。他にクレイ・バズーカなどを装備。
- その他
ビーム・カノン搭載用、マインレイヤー用、月面降下用などの兵装があり、ミッションによってミサイル・ポッド、スモーク・ディスチャージャー、クラブなどのオプション武装を使い分ける。また、後部テールスカート内部にはチャフ・ディスペンサーを有する。
本機の性能及びウェポンシステムは、戦技教導団を含めたパイロットたちに高く評価され、信頼性の高い本機をベースにゼク・シリーズは新しい方向性を示すプランが進められていったのだが、ニューディサイズ動乱においてペズン基地が崩壊し、ニューディサイズも壊滅してしまったため、プロジェクトは頓挫してしまい、ゼク・シリーズも発展のないままに終わってしまった。
劇中での活躍
『ガンダムセンチネル』において、ニューディサイズ側の主力MSとして物語全般で活躍。トッシュ・クレイやジョッシュ・オフショーなどの指揮官クラスから一般兵まで、多くのパイロットが搭乗。特にオフショー機は第2種兵装でFAZZと遠距離戦を繰り広げたり、第3種兵装でSガンダムの迎撃にあたったり、ネロ隊をゲリラ戦で翻弄したりと、性能や数で劣る相手にも大いに奮戦している。
また、ニューディサイズの蜂起前夜を描いたカトキハジメ氏のコミカライズ作品では、クレイとオフショーが第3種兵装の本機体に搭乗して、ペズン要塞を占拠する際に防衛隊のバーザム改と交戦し、これを撃破する様子が描かれている。オフショーのビームライフルのみを狙撃する高い技量や、クレイの容赦ない冷徹な戦闘などが魅力。
備考
この『換装により1つの機体が専用機並になる多機能性』というコンセプトは、当時としては非常に斬新なものだった。以前にも『MSV』における高機動型ゲルググとゲルググキャノンがゲルググのオプション換装による機動力もしくは砲撃力を強化した仕様として提示されたことがあり、『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場したザクⅢもオプション換装を前提としてデザインされている(ザクⅢ改はオプション換装による仕様変更機である)ものの、本機体のように専用機レベルまで機能特化できるオプションパーツ群を大量にセッティングした機体は当時他に例を見ないもので、この方向性は後の宇宙世紀作品では『機動戦士ガンダムF90』に登場するミッションパック、また別軸では、コズミック・イラを舞台とした『機動戦士ガンダムSEED』のストライカーパックシステム、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』のシルエットシステムやウィザードシステムなどに多大な影響を残している。
バリエーション
ゼク・オーレ
型式番号RMS-141X。
雑誌企画『トリビュートセンチネル「オペレーションS」』に登場。
ゼク・アインのオプション兵装開発の一環として提案されたプランのひとつ。機体名称にある「オーレ」は「軌道上における武装変更可能な特殊装備」(Orbital armed Replaceable Equipment unit : O.R.E.)の略。
大出力ブースターと武装コンテナからなる機体本体よりも巨大なバックパックを装着しており、戦闘時には僚機への武装の補給や援護を担当する他、戦域まで僚機を曳航するサブフライトシステム的な役割も担う。また、戦闘哨戒を行うアイザックとの連携によって、指揮官機として運用することも想定されていた。
構成要素にゼク・アインが含まれている必要性が希薄な「バックパックが本体」という状況に陥っており、実機は製造されずに終わったが、ゼク・ツヴァイの設計に影響を与えているとも言われる。
ガンダムTR-6[ハイザックⅡ]
四肢換装形態のガンダムTR-6にハイザックの腕部とマラサイの脚部を接続した、ジオン系MSからTR-6への機種転換用にデチューンされた形態の内、腕部を本機のものに交換したマイナーチェンジ仕様。
ハイザックの腕部が排除され機体構成からはハイザックの要素が完全に消え失せたが、運用コンセプトは変わらないため引き続き同じ名称が用いられている。
初出は『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』の設定画稿だが、「ガンダムTR-6[ウーンドウォート]バイザックⅡ形態」という呼称に改められた『A.O.Z Re-Boot』において本機の腕部を接続した画稿は未掲載。
ガンプラ
第3種兵装がHGUCでキット化されている。
後発のアドバンスド・ヘイズルは設定通りにバックパックのマルチ・コネクター・ポッドに本機の脚部プロペラントタンクが無改造で取り付けられるようになっている。
後継機
RMS-142 ゼク・ツヴァイ
RMS-143 ゼク・ドライ