南極
なんきょく
地球のいちばん南側。北極と異なり南極大陸と呼ばれる大陸がある。
「南極」と言った場合、南緯90度の地点、すなわち南極点と、その周辺の南緯66.33度より南側(南極圏)、そして南極大陸のいずれも意味しうるが、一般的には南極大陸のことを指すことが多い。
南極大陸は世界で5番目の広さの大陸で、オーストラリア大陸よりも広い。南極半島の先端部を除いて南極圏内にあり、ほとんどが雪と氷に覆われている。周囲を南極海流という寒流が取り巻いて流れているため、暖流にさらされる事がなく気候は極寒で、内陸部は一年中氷点下である。
きわめて降水量が少ないが、気温もとても低いのでわずかな降雪は蒸発する事なく、そのまま氷床として何百万年も堆積していく。氷床は2000~4000メートルの厚みがあり、地球表層の90%ほどの淡水がここにあるといわれる。氷床の厚みのために内陸部は海抜3000メートルを超え、世界一平均標高の高い大陸でもある。
地理的には、南極横断山脈と南極点、ロス海とウェッデル海を境に2/3を占める東南極(大南極)と、1/3を占める西南極(小南極)に大きく二分される。西南極から南アメリカ大陸に向かって南極半島が伸びるが、南極半島は氷床がなく比較的暖かく、夏には雪が解ける。ちなみに南極に最も近い南アメリカ周辺の陸地はフエゴ島である。
南極大陸には4つの活火山があり、温泉もみられる。そのほか周辺の島にもエレバス山(ロス島、3795 m)など活動の活発な火山が多くある。ちなみに南極大陸の最高峰はビンソン・マッシーフである(標高は5140m)。
南極の降水量は極めて少なく(沿岸部で年間200mm以下、内陸だとそれよりさらに少ないといわれる)、ケッペンの気候区分に基づくと砂漠気候に分類されうる。南極点の気温は夏でも-20度以下、冬だと-60度近いという低さで、4月から8月にかけては太陽の光が全く差さない(下記参照)。遮るもののない南極は風が強く、しばしば吹雪が吹き荒れるが、これは降雪ではなく地上の雪が舞い上がった「地吹雪」である。高緯度にあることから、夏は真夜中になっても太陽が沈まない状態(白夜)であったり、冬は逆に正午近くなっても太陽が昇らない状態(極夜)であったりする。そのため、日照時間が月によって両極端になる(下記のように、夏は極端に長くなるが、冬は完全に0の月も出てくる)。
上述のように大部分が雪と氷に覆われているが、南極半島はツンドラとなっており、夏にはわずかに草花もみられる(本来自生するのはナンキョクミドリナデシコとナンキョクコメススキの2種類だけだが、近年は温暖化と人間による持ち込みでいくつかの外来種が定着している。木は生えない)。しかし地衣類や藻類は割と豊かであり、南極でしかみられないような独特の種類も多い。ロス海沿岸の一部地域には「マクマードドライバレー」という極めて乾燥した地形があり、そこには名前のとおりに雪や氷が一切なく、裸の地面が露出している。一説には200万年以上も降水がなかったといわれる。
近年の地球温暖化に伴い南極、特に西南極や南極半島の気温の上昇が顕著である。2009年には西南極の氷床の減少が確認され、今世紀中の大幅な海面上昇は避けられないと考えられている。しかし、東南極では気温上昇はみられず、氷床も安定している。南極上空には、20世紀のフロンガス排出の影響でオゾン層の薄いオゾンホールが広がっているが、フロン規制の施行に伴い徐々に塞がってきている。
主な南極の地点の気候
昭和基地
年平均気温:-10.1℃(最高-7.6最低-13.7)
年日照時間:1925.9時間
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最高気温記録 | 10 | 8 | 3.6 | 0.5 | 2.8 | -0.7 | -2.5 | -2.8 | -1.1 | -0.6 | 7.3 | 9.4 |
平均最高気温 | 2 | -0.5 | -4.3 | -7.6 | -10.7 | -12.1 | -14.1 | -15.8 | -14.9 | -10.8 | -4 | 1.1 |
平均気温 | -0.7 | -2.9 | -6.5 | -10.1 | -13.5 | -15.2 | -17.3 | -19.4 | -18.1 | -13.5 | -6.8 | -1.6 |
平均最低気温 | -3.7 | -5.5 | -9.2 | -13 | -16.6 | -18.7 | -20.8 | -23.3 | -22 | -17.2 | -10.4 | -4.6 |
最低気温記録 | -12.6 | -18.2 | -25.2 | -35.9 | -40.5 | -38.3 | -42.7 | -42.2 | -45.3 | -34.7 | -25 | -12.9 |
日照時間 | 375.7 | 203.2 | 120.1 | 58 | 17.7 | 0 | 4.8 | 64.1 | 136.5 | 191 | 316 | 434.6 |
降水量は観測できないとされることが多い。
ボストーク基地(ロシア)
年平均気温:-55.2℃(最高-50.5最低-59.8)
年間降水量:22mm
年日照時間:3765.1時間
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最高気温記録 | -12.2 | -21 | -30 | -33 | -38 | -33 | -34.1 | -34.9 | -34.3 | -33.6 | -24.3 | -14.1 |
平均最高気温 | -27 | -38.7 | -52.9 | -61.1 | -62 | -60.6 | -62.4 | -63.9 | -61.6 | -51.5 | -37.2 | -27.1 |
平均気温 | -32 | -44.3 | -57.9 | -64.8 | -65.8 | -65.3 | -66.7 | -67.9 | -66 | -57.1 | -42.6 | -31.8 |
平均最低気温 | -37.5 | -50 | -61.8 | -67.8 | -69.1 | -68.9 | -70.4 | -71.5 | -70.2 | -63.1 | -49.8 | -38 |
最低気温記録 | -56.4 | -64 | -75 | -86 | -81.2 | -83.8 | -89.2 | -88.3 | -85.9 | -76.1 | -63.9 | -50.1 |
降水量 | 1 | 0.7 | 2 | 2.4 | 2.8 | 2.5 | 2.2 | 2.3 | 2.4 | 1.9 | 1.1 | 0.7 |
日照時間 | 696.4 | 566.8 | 347.3 | 76.3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 203.4 | 480.2 | 682.3 | 708.8 |
南極点
年平均気温:-49.5℃(最高-45.8最低-52.2)
年間降水量:2.3mm
年日照時間:2698.2時間
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最高気温記録 | -14.4 | -20.6 | -26.7 | -27.8 | -25.1 | -28.8 | -33.9 | -32.8 | -29.3 | -25.1 | -18.9 | -12.3 |
平均最高気温 | -26 | -37.9 | -49.6 | -53 | -53.6 | -54.5 | -55.2 | -54.9 | -54.4 | -48.4 | -36.2 | -26.3 |
平均気温 | -28.4 | -40.9 | -53.7 | -57.8 | -58 | -58.9 | -59.8 | -59.7 | -59.1 | -51.6 | -38.2 | -28 |
平均最低気温 | -29.6 | -43.1 | -56.8 | -60.9 | -61.5 | -62.8 | -63.4 | -63.2 | -61.7 | -54.3 | -40.1 | -29.1 |
最低気温記録 | -41.1 | -58.9 | -71.1 | -75 | -78.3 | -82.8 | -80.6 | -79.3 | -79.4 | -72 | -55 | -41.1 |
降水量 | 0.3 | 0.6 | 0.2 | 0.1 | 0.2 | 0.1 | 0 | 0 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.3 |
日照時間 | 406.1 | 497.2 | 195.3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 34.1 | 390.6 | 558 | 616.9 |
南極大陸に棲む動物は少ない。陸上を主な生活場所とする哺乳類は皆無であり、鳥類も沿岸部でアデリーペンギンとコウテイペンギンが繁殖するだけである(他のペンギン類やアザラシなどの海獣類は南極周辺の島などで繁殖している)。昆虫もナンキョクユスリカのみが生息する。
一方、周辺に広がる南極海は、水温0度前後と陸上の気温と比べると遥かに暖かく、南極の生物にとってはオアシス的存在になっている。深層水が沸き上がるため栄養豊富で、この栄養が膨大なオキアミ資源(バイオマス量で数億トン、個体数ではゆうに兆単位)を育み、ヒゲクジラ類、アザラシ類、イカ、コオリウオ、ペンギンなどはこのナンキョクオキアミを主な餌とする。南極海は周辺の海に比べて水温が低く塩分濃度も高いので、南極周辺の海に棲息する生物は北側の海との間を行き来することができない。そのために南極海の魚は独自の進化を遂げたものが多い。
南極には各国からの観測隊が駐留しているが、現在のところ、南極にはいずれかの国の領土となっている部分はない。これは南極条約によって「南極はどの国の領土ともしない」と取り決められているためである。しかしながら、南極には地下資源が豊富にあることが分かっているため、オーストラリア・南アフリカ・チリ・アルゼンチン・ニュージーランド・ノルウェーなどの国が、南極の一部を自国の領土として割譲してほしいと主張している。
南極は近年観光地としても注目されている。南米から南極までは最短で700kmほどと比較的に近いため、南米南端周辺のウシュアイアやプンタアレナスといった都市は南極観光の基地としてにぎわいを見せている。もちろん南米南端は、南極が観光地となる以前から観測隊や探検隊の補給基地となってきた歴史がある。
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表紙からの短話 ⑤
~それは、寒い寒い夜だった。~⑤ 表紙から連想して出来たお話です。原稿用紙2枚足らずの短文です。 ファンタジーな素敵な絵ですね。(注)今回は、BL要素がほぼなくても大丈夫な方のみ。 『魂は永遠』がテーマです。続きは、ご想像のままに。 ⑤になったので、シリーズ化にしました。 拙文ですが、お忙しい毎日や眠れぬ夜のささやかな癒しになれば、幸いです。 紅葉(kureha)なほ ※別のお話 ①(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1900748) ②(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19083876) ③(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19125004)⇒③全文(https://kureha1128.fanbox.cc/posts)【R-18】FANBOX全体公開中(どなた様でも) ④(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19125022) ⑥(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19148342) 7(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19161028) ☆☆☆☆☆☆☆☆ 初めてご覧下さった方へ。いつもはこんな感じのお話を、大体日曜日、投稿しています。 7シリーズ・17のお話があります。(スピンオフ含む)よろしかったら。 時系列⇒(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16869840) 【1】『おちない君を誘う夜』(高校時代・ゆう目線)#1 (https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12374779) 【2】『まどろむ君が願う朝』(高校時代・同じ場面けいた目線他)#1 (https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12901051) 【3】『せつない君の昼下がり』(成人後の3人の物語 #17からⒶとⒷの結末あり) #1(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14302753) 【4】『次に生まれてくる時は』(3人の転生後の物語。大学生・ゆう目線) #1(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16100811) 【 5 】『逢いみての・・』(3人の転生後の物語。大学生・つよし目線) #1(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18804722)更新中! ・・・・・ 【 6 】『酔った勢い、気の迷い、一夜限りの・・・』 #1(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19044763) FANBOXにて更新中!822文字pixiv小説作品 一橋戦記
当初は「優の闘い」としてシリーズの一部にする予定でしたが、自伝的要素が大きいので独立した作品としました。 自分の受験時代を振り返って南極探検の話を思い出していました。 スコットと白瀬は子供の頃、学研学習漫画シリーズで初めて読みました。 なぜ子供向けの本で、南極点一番乗りを果たしたアムンゼンではなく、スコットと白瀬を取り上げたのかはわかりませんでした。しかし、だいぶ後になってアムンゼンの探検記を読んでなんとなく理解しました。彼の南極点行はあまりに順調で教訓にならないんです! スコットの探検が失敗した原因については研究者の間でもいろいろと議論があるようです。本文で述べた1トンデポの他、主力としていた馬と雪上車が早々に使えなくなったこと、あるいは直前で南極点アタックのメンバーを4人から5人に増員したこと、さらに学術調査を並行して行っていたため負担が重くなっていたこと等々が挙げられています。また、すべてがうまくいったとしても、記録的な異常低温により生還は難しかったという意見もあります。 ですが、私の受験時代を支えたのはまぎれもなく、 ―今日この妥協を、後悔する日が来るような気がしてならない― という言葉でした。 ついつい手を抜きたくなる自分に、この言葉を投げて前へ進んだのを覚えています。 南極点に立った5人のうちエバンズが凍傷により最初に倒れ、オーツ大尉も凍傷にかかりました。足手まといになることを恐れた彼は自らテントを飛び出し、行方不明となっています。 残念ながら、残された3人もすでに凍傷に侵されており、猛吹雪に阻まれて1トンデポの18キロ手前で力尽きてしまいました。 最後に、わが日本の白瀬矗の探検について触れたいと思います。 白瀬隊もまたアムンゼンとスコットがしのぎを削っている1911年から1912年にかけて南極探検を行っています。隊員の士気は高かったものの、天候の急変と装備の不安から帰還を優先し、到達地点(南緯80度)を『大和雪原』と命名して撤収しています。(最近の研究では出発時点で南極点への到達はあきらめていたようですが…。) 成功の秘訣は、十分な装備と訓練それに目標達成の確固たる意志であると思います。 私はそれほど能力が高いわけではなく、運が良かったというのも事実でしょう。 しかし、このときは3つの要件ではだれにも負けなかったと自負しております。 もう一つ好きな言葉を。 ―強いだけでは勝てない 勝利は必死な方がつかむ― 「スマッシュ」より 間違いなく誰よりも必死だった時間でした。8,497文字pixiv小説作品南極百貨店のロバートさん
南極で遭難した探検家の前に、ありえない建物が出現。「南極百貨店・・・だと・・・?」彼がそこで目にしたものとは?そして、思いがけない人との出会いが・・・。3,270文字pixiv小説作品- 狂気の山脈にて(if)
贖罪
【参考文献】 「狂気の山脈にて ラヴクラフト傑作集」田辺 剛 2016年10/24発行 株式会社KADOKAWA発行 「世界ミステリーch」様 原作 「狂気の山脈にて」H.P.ラヴクラフト 1936年「アスタウンディング・ストーリーズ」 偉大なるラヴクラフト氏、クトゥルフを愛する皆様に愛と敬意を込めて。532文字pixiv小説作品 - 石炭紀に帰れ!
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日米の領土問題は、ついに軍事的解決を見ることになった。高度に複雑化し、国家をがんじがらめにした無数の条約により、世界は核戦争へと突入。我々が知る世界は崩壊した。極地にわずかに生き残った人類は、放射能半減期が訪れる200年後まで南極に閉じ込められたが・・・6,653文字pixiv小説作品 - ナーヤ君の大冒険&じんクエコラボ小説
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