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概要編集

1964年に小松左京が書き下ろしたSF小説。細菌兵器による人類の破滅を題材としている。

1980年に角川で映画化された。

2009年には、新井リュウジによって原作版を元に舞台を2009年以降の21世紀初頭に移し、低年齢層でも読み易いようリメイクした児童小説『復活の日 人類滅亡の危機との闘い』がポプラ社から出版された。

なお、原作と映画化版には、少なくない相違点が有るので批評・論考の際には注意が必要。(SF作家やSF小説が専門の批評家でも、原作と映画版の内容を混同して本作を批評家している場合が有る)


物語編集

時は1960年代。イギリスの細菌研究所で新開発されたウィルス「MM-88」がスパイによって盗み出される。しかしスパイの乗ったセスナ機は吹雪のためアルプス山中で墜落。MM-88は空気中に流出してしまった。

やがて春の訪れとともに気温上昇で増殖、拡散したMM-88は世界中に蔓延。人類文明は夥しい犠牲を生んで崩壊。あらゆる国家は崩壊し、ほとんどの人間と数多の脊椎動物が絶滅状態という最悪の結果となった。

その頃、極寒の南極大陸ではウィルスの活動は妨げられており、辛うじて南極の各国観測隊は生存していた。また深海で潜行中だったために生き残った米ソの原子力潜水艦2隻も南極の観測隊と合流する。

彼らは一致団結協力して共同機関を作り、人類存続とウィルスのワクチン作りに講じることになった。

数年経っても現状は変わらなかったが、新たな問題が判明する。

アラスカで発生が予見された地震をアメリカの自動報復装置が敵からの核攻撃と誤認し、自動的にソ連に向けて核攻撃が実行されるという。しかもソ連側にも同様の自動報復装置があり、南極も核攻撃の応酬に巻き込まれる恐れが出てきた。装置を止めるための決死隊が結成され、原子力潜水艦に乗って無人化したアメリカとソ連に向かったが──。


映画版編集

スタッフ・キャスト編集

監督は深作欣二。出演者は草刈正雄オリヴィア・ハッセージョージ・ケネディ緒形拳夏木勲千葉真一渡瀬恒彦森田健作多岐川裕美など。


映画版の概要編集

原作が壮大なスケールで描かれたことや、当時の角川映画が大作一辺倒ということもあり、映画版は22億円以上もの製作費がつぎ込まれた。撮影隊は、北はアラスカから南はチリまでアメリカ大陸を移動し、南極ロケも敢行。チリ海軍から本物の潜水艦と哨戒艦をチャーターして撮影も行われた。

邦画興行成績では24億円を記録するヒットになったが、高額な製作費に広告費などを勘案すると赤字であり、製作費を回収することは出来なかった。これ以降、角川映画は大作路線からの変更を余儀なくされている。


ヒットしつつも赤字化していたり、原作から内容を改変した部分もかなり多いが、各場面の映像は衝撃的な描写が多い。

例を挙げると、

  • 患者が殺到して野戦病院のような状態になる日本の医療機関。
  • 日本に戒厳令が布告され、着剣した自衛隊員らが国会議事堂前を封鎖(早朝の議事堂前でゲリラ撮影された。戦国自衛隊の角川61式戦車を出す予定もあったとか無かったとか)
  • 感染者の死体を山積みし、火炎放射器で集団火葬する自衛隊。
  • 全ての人間が感染して死亡し、廃墟と化した無人の東京。
  • 実際に南極やマチュ・ピチュで撮影されたロケ映像。
  • チリ海軍からチャーターされた本物の軍用潜水艦が登場。

まだCGが大々的でないため一部は特撮だが、大半は実写映像である。どれも邦画としては非常に強烈的な映像が次々出てくるので、映画版を一度見てみるのも良いだろう。


なお、原作出版から15年前後経ってからの映画化という事情は有るにせよ、皮肉にも、SF作家である小松左京が執筆した原作よりも、ヤクザ映画などの「男の世界」を描いてきたイメージが強い深作欣二による映画版の方が、女性登場人物についての描写・設定に関しては、より「現代的」なものとなっている。


児童小説版編集

2009年、新井リュウジにより原作版をベースとしつつ、舞台を2009年以降の21世紀初頭に移して低年齢層でも読み易いようリメイクされた児童小説『復活の日 人類滅亡の危機との闘い』がポプラ社から出版された。

低年齢層向けなので読みやすいよう内容省略はされているが、原作の不気味な現実感はうまく残されており、読み応えは原作に勝るとも劣らない。


基本は原作を準拠としつつも、原作の1960年代と違い2009年以降が舞台であることから、崩壊したソ連に代わりロシアなどが登場したり、南極観測隊を派遣している国家が増えていたり、パソコンやインターネット、国際宇宙ステーション、新幹線のぞみ、東京ディズニーランド等、1960年代には無かった要素が追加されている。

また、登場人物の何人かは設定変更され、例えば主人公の元カノは主人公の妹となり、最期の迎え方が原作や映画版とは違ったものになっている。他にもメイン画像で主人公を抱き締めている女性(イルマ)などには、かなりの出番追加と人物像掘り下げが行われた。


他にも、1960年代と2009年では合わない価値観、あるいは児童向けとしてはセンシティブな話題なども改変が為されている。例えば性問題は、恋愛問題に差し替えられている。ただし生物兵器と核の脅威、南極の共同体が生まれる前の国家間対立などは原作同様に描かれているのでご安心(むしろ国家間対立の描写は増やされた気もするが)。


さらに映画版の要素(自衛隊が国会議事堂を封鎖する場面、イタリア風邪という病名など)や、原作者の別作品『日本沈没』のオマージュ要素も取り入れられ、補完エピソードとして日本が滅亡するまでの様子や、南極育ちの子供たちを描いた後日談なども追加されている。


現在は電子書籍化済み。原作と比べると少々値段は高いが、児童小説と侮れない程うまくリメイクされているので、一読をお勧めしたい。


関連タグ編集

SF小説 小松左京

バイオハザード BC兵器 パンデミック 生物兵器

南極

ネーレイド号


のび太の海底鬼岩城:アトランティス帝国が遺した自動報復装置が、地震を敵からの攻撃と誤認した事が引き金となって人類が滅亡の危機に立たされる事がテーマになっている。

ゼツメイツ:メンバーのモチーフの組み合わせが、原作版及び新井リュウジによるリメイク版の内容を連想させる。

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